学校の地理の時間はこんな地名ばっかり探していました

(お断り)この文はキース氏の「それだけは聞かんとってくれ」の文からのパクリです。最初にそちらをお読みいただいた方がよろしいかと存じます。でも帰ってきてくれなきゃいやんいやん。


 

 バベルの塔以来、国が違えば言葉が違う、という状態に我々はある。エスペラントはあまりに無力であった。そのため、時としてとんでもない誤解が生まれることがある。

 スケベニンゲンという町がオランダにある。海水浴場としてちょっとは有名な町らしいが、とりたてて言うこともない町である。
 この町の隣にハーグという町がある。ここで1948年、ヨーロッパ首脳が集まり、「ハーグ宣言」を採択した。統一ヨーロッパ構想、後のECに繋がる宣言である。

「人、思想、及び、物が自由に移動することが再び、 確立される、統一されたヨーロッパを望み、ヨーロッパ統一という 崇高な目的のために献身している全ての人々および、政府に対し、 我々の全面的支持を与えることを誓う。」

 この会合がスケベニンゲンで行われなかったのは僥倖である。どんな立派な文言であろうと、「スケベ人間宣言」では何の統一、何の崇高か。ECってえのはエロチック・カントリーズの略けえ、と古典落語長屋住民風にツッコまれても仕方がないだろう。
 この町に罪があるわけではない。特に性犯罪が多発しているわけでも、特に売春婦の数が多いわけでもない。たぶん。ただ、日本語のある単語と偶然にも一致してしまったことが不幸なだけである。
 この町の知名度は、母国ベルギーに次いで日本が2位であろう。きっと。

 オマーンという国がアラビア半島にある。この国に罪はない。(以下同文)
 エロマンガ島という島が南太平洋にある。この島に罪はない。(以下同文)
 キンタマニー山という山がバリ島にある。この山に・・・もうええわ。

 中には偶然とはいえちょっとひどいんぢゃないの、というものもある。例えば、オスマン・トルコ帝国である。オスマンで、しかもトルコなのだ。どの面下げて帝国と名乗ってやがるんだ、と思わず侵略してしまいたくなる。もう滅びてますが。
 インカ帝国最後の皇帝はマンコ・カパックである。ひどすぎる。マンコで、それがしかもカパックなのである。もう救いようがない。あんた、どこが皇帝やねん、と思わず簒奪してしまいたくなる。もう死んでますが。

 中には合わせ技で1本を取る場合もある。昔懐かしいつぼイノリオの「金太の大冒険」のパターンです。
 むかし増岡厚生大臣という人がいた。何をしたという実績とてないが、たぶん歴代厚生大臣の中でも知名度は管ちゃんに次いで2位であろう。マスをかこーぜ、である。大臣ポストはいっぱいあるんだ。労働大臣はどうだ。文部大臣でもいいじゃないか。何も厚生大臣にすることはないじゃないか。

 外国の言葉が日本語で誤解される例ばかり紹介した(増岡さんは違うか)が、逆に日本語の言葉が外国で誤解される場合もある。

 カルピスがアメリカに輸出されたときのことである。彼の地ではLの音はしばしば省略され、母音に近い発音となる。すなわちカウピスである。これは「牛の尿」という意味になる。モノはといえばどろりとした白濁液。これは雄牛のナニモノかでは?と疑惑が広がり、やむなく輸出を断念した、という話がある。

 レッスル夢ファクトリーというプロレス団体がある。略して夢ファクという。アメリカ人には「You May FUCK!」と聞こえる。これはわざとつけたのかちょっと判断しがたい。プロレス観戦ツアーでニューヨークのMSGに行った日本人女性観光客が、現地男性に
「ほう、日本からきたプロレスファンなのか。日本では好きな団体はどこかね?」
 と訊ねられ、思わず、
「夢ファク!」
 と言ってしまったばかりにその場で犯されてしまった、という噂がある。

 フランスでは男性性器のことをコンという。彼の地では今さんや近藤さんは自己紹介に気をつけた方がいいらしい。
 オスマン・サンコンという有名人がいる。日本人にしてみればオスマンという名前はちょっとどうかしている。オスマンってことはねえだろう、という気がする。
 しかし、彼はフランスでもサンコンなのである。すなわち、5本の男性性器なのである。フランス人もきっと、サンコンってことはねえだろう、と舌打ちしているに違いない。
 これって、国際的に通用する名前、ってことなのだろうか。通用しねえよ。


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