25人の白雪姫

「さあ王国女子ラグビーフットボール連盟主催、王子争奪女子ラグビー大会一般女子の部決勝、レディース白雪姫VS魔女クラブ、ただいまキックオフ! フッカー魔女、深々と王子を敵陣に蹴りこんだ!」
「22メートルラインぎりぎりまで蹴りましたね。いいキックですよ」
「スタンドオフ白雪姫、王子をしっかりとキャッチ、そのまま走る! 右プロップ魔女をハンドオフ、敵陣10メートルラインを超えた! しかし、ここで右ロック魔女、しっかりとスタンドオフの白雪姫の突進を受け止めた!」
「白雪姫はフォローがしっかりと入ってますよ。モールを組みましたね」
「あっとしかしモールが崩れた! 王子は崩れたモールの下敷きになって行方がわからない!」
「ここで早く王子を出さないと、白雪姫はノットリリースザボールの反則を取られますよ」
「逆に王子は、魔女が確保したようです。左フッカー魔女、王子を人山の中から引っ張り出した! その王子を、右センター魔女が右ウィング魔女にパス! 右ウィング魔女はラインぎりぎりからゴールを狙う! あーっと、ここでナンバーエイト白雪姫が強烈なタックル! 王子は外にはじき飛ばされた!」
「すばらしいタックルでしたね。普段から森の木でタックルを練習しているだけのことはありますね」
「さあ白雪姫側の王子でゲーム再開。ラインアウトから深くパス。左ロック白雪姫の肩車で、高い位置で王子をしっかりと受け止めたスクラムハーフ白雪姫、右ウィング白雪姫に王子をトス!」
「魔女側のエリアが空いている右に展開していくんでしょうね」
「右ウィング白雪姫からナンバーエイト白雪姫、さらに右ロック白雪姫を飛ばして右フランカー白雪姫と、王子を回していく白雪姫陣営!」
「人数余ってます。これはトライの絶好のチャンスですよ」
「あっとしかし右フランカー白雪姫から右プロップ白雪姫へのパスが乱れた! 王子を落とした! 白雪姫、痛恨のノックオン!」
「もったいないプレイでしたねえ」
「王子の権利をもらった魔女はスクラムを選択。両者がっちりと組み合って、体重で優る魔女がじりじりと押していく! フッカー魔女、王子を足で掻き出し、ナンバーエイト魔女が王子を掴む! そのまま、王子を足で空高く蹴った!」
「ハイパントで白雪姫の守備を攪乱しましたね。冷静な判断です」
「ナンバーエイト魔女、蹴った王子を自分でキャッチ! しかしそこに、ナンバーエイト白雪姫、またも強烈なタックル! 思わず王子が宙に浮いた! しかし左プロップ魔女、その王子をキャッチ! 走る走る!」
「スローフォワードは取られなかったようですね」
「左プロップ魔女、スタンドオフ白雪姫をハンドオフ! そのまま右センター白雪姫もかわして22メートルラインを超えた!」
「しかし右ウィング白雪姫、いい位置に守ってます」
「左プロップ魔女、わずかに迷った! その隙にナンバーエイト白雪姫、後ろから足にタックル!」
「フルバック白雪姫が王子を取りましたよ」
「フルバック白雪姫、渾身の力を込めて、王子を大きく外へ蹴り出す! ここで笛が鳴りました! 前半25分終了です!」
「おや、ここで大会委員長の国王が出てきましたよ」
「国王です。ただいま前半25分が終了したところですが、王子の傷みがはげしく、試合続行不可能とみなしまして、前半で試合終了、両チーム優勝といたします!」
「あーっと、ここで意外な幕切れ! ノーサイド! 両者優勝! 健闘をたたえあう白雪姫と魔女! ジャージを脱いで交換しております。おお、ナンバーエイトの魔女と白雪姫は、パンツを交換しています!」
「しかし、王子の替えを用意していなかったことが惜しまれますね」
「ところで解説さん、たしかこのタイトル、『25人の白雪姫』のはずなんですが、この試合に出場した白雪姫は15人、リザーブを含めても20人ですよね」
「そのことなんですが、実はこれ、『25minの白雪姫』だったんですよ」


はてな質問「25人の白雪姫」より


戻る          次へ