タイアップ再び

「やっぱこれからのゲームシーンは、女の子市場だと思うんだよな」
「なんでいきなり意見が変わるんだよ!」
「今のゲーセン見てみろよ。女の子がゲームにたむろする時代だぜ」
「ああ、太鼓の達人とかな」
「ちっちっち、もうトレンドはオシャレ魔女ラブ&ベリーだぜ」
「ついこないだお前が知っただけだろ! 去年からずっとそのゲームはあるよ!」
「まあ、それはそれとして」
「時代に遅れてるのをごまかすなよ!」
「だってあのゲームスゴイぜ。なんせ開発メンバーがムシキングといっしょ」
「たしかに、それはすごいよな」
「ムシキングでは悪のマネージャーとして、リッキーメルビン、いやムシキングジョーカーのセコンドとして武道館で悪いことしてた奴が、ラブ&ベリーではダンディ植村と名乗ってファッションリーダーを気取ってるんだぜ。これってこの漫才より面白いよな」
「男の子と女の子がいっしょにいる場に登場したら、どうするんだろうな」
「いっそ女子プロレスとタイアップしないかな。コスプレプロレスとかで」
「男の子に石投げられ、女の子に罵られ、えらいことになるな」
「なんで女の子に罵られなきゃならないんだよ!」
「だってヒゲヅラのむさいオッサンなんだもん」
「ゲーム会社の社員なんだから、そのくらい許してやれよ!」

「ええと、あのゲームって、たしかヘアスタイルとか、ドレスとか、靴とか、いろんなファッションアイテムのカードを集めてコーディネイトするんだよな」
「カードのコーディネイトによってボーナスポイントが出るんだな。そこんとこに女の子のオシャレ感覚がそそられるという。同じ年代の男の子はムシキングでヘラクレスカブトムシとかゴライアスオオツノハナムグリとかのカードを集めてるんだよな。このころから男の子と女の子の差がひらく一方だと」
「男の子はこの年代から夢を追い続けるが、女の子はこの年代から現実に密着するからな」

「そんなわけで秋葉原で」
「また秋葉原かよ!」
「メイド魔女ラブ&ベリーという」
「またメイドかよ! おまえ、こないだプロ野球のアンケートで「プロ野球の人気を回復するためには?」という問いに「メイドデーを開催する」とか答えてたろ! ホームインした選手に主審が『お帰りなさいませご主人様』とヒラヒラドレスでかしこまるとか」
「それはそれとして」
「それとできねーよ!」
「メイドカフェ各店でカードを作って」
「それ、前回とまったく同じ企画だよ!」
「対戦モードとか」
「それも前回にやったよ!」
「わかった、それなら私がダンディ下条と名乗って」
「どうするつもりだ?」
「ジャンパースカートとエプロンドレスは1万点で無条件勝利」
「おまえはロリコンか!!」


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