2002年陸上自衛隊総合火力演習潜入ルポ

fuji kaijo

「よいこのみなさぁーん、今日はこの富士の裾野に来てくれてありがとーぅ。今日はお姉さんと、いっぱいいっぱい遊びましょうねーっ!」
「はぁーい」
「くけけけけけ。そうはさせないやっぺ」
「きゃぁぁぁ、カッパがぁぁぁ」
「くけけけけけ。俺たちは隣のカッパ民主主義人民共和国からやってきたカッパ軍隊だっぺ。日本は俺たちが支配するやっぺ。日本人全員に蒙古斑をつけてやるっぺ」
「きゃあ大変。蒙古斑をつけられたら、カッパに尻子玉を抜かれてしまうのよ。たいへん、日本が大ピンチ!」
「待てカッパども! それ以上きさまたちの勝手にはさせないぞ!」
「あ、あなたたちは……」
「われわれは富士教導団長中村幹生陸将補ひきいる陸上自衛隊富士教導団の精鋭二千名。日本はわれわれが守る! カッパなんぞには渡さぬ!」

203mm self-propelled howizer

「ゆけ! 203ミリ自走瑠弾砲! 海から上陸した敵戦車を、水際でくいとめるのだ!」
「あの……水際っていっても、ここ富士山なんですけど……思いっきり内陸まで侵入されてるんですけど」
「水際作戦だったら田子の浦でやるべきだやっぺ」
「ええい、うるさい、いけ!」

danchaku

「弾着!」
「この爆撃で敵戦車の侵入は止まり、敵部隊は三段山付近に構築したトーチカにこもっています。今がチャンスよ!」
「ゆけ、87式対戦車誘導弾、84ミリ無反動砲!」

type-87 anti-tank missile

「まず敵の最大兵力である戦車部隊を撃滅すべく、このように種類の違う対戦車兵器をさまざまに組み合わせて攻撃するのです」
「きーっ、そう簡単にいくものか……しかし、さっきからわが軍はまったく攻撃しないやっぺ。なぜなんだっぺ!」
「きっと神国日本の霊威にひれふしているのよ」
「そんな都合のいいことがあるかやっぺ」

fire

「対戦車ミサイル、迫撃砲、発射!」

dando

「だんちゃーく」
「うわぁぁぁ、トーチカを越えて砲弾が襲って来たやっぺぇぇぇ」
「このように放物線をえがく弾道をとることによって、障害物を越えて敵を殲滅できるのです」
「ミサイルで戦車のほとんどは破壊したわ。今度はこっちから乗り込む番よ!」

anti-tank helicopter AH-1S

「対戦車ヘリコプターAH−1S、出撃!」
「やった、20ミリ機関砲の突撃破砕射撃で敵戦車部隊は全滅よ!」
「ヘリボーン攻撃で敵部隊の攻撃力を減殺しました」
「もきぃぃぃぃ、くやしいっぺ!」
「それにしてもヘリボーンって、『サルでも描けるまんが入門』に出てきた、イヤボーン攻撃となにか関係があるのかしら?」
「……」

type-90 tank

「さらに戦果を拡大すべく、我が皇軍……いや陸上自衛隊の最新鋭、90式戦車の出動だ!」
「やった! 敵の第一線は崩れたわ!」
「うわぁぁぁ、これはたまらんやっぺぇぇ。とりあえず身を隠すやっぺ」

free-fall by paratroopers

「幕僚長、敵軍は深く塹壕にこもって、うかつに手出しはできません」
「よし、わが精鋭の習志野第一空挺団を送り込むぞ! 輸送ヘリから落下!」
「うわぁ、ふつうの倍以上あるパラシュートをあんなにうまく操って、速度も落下地点もぴたりと同じになってる」
「どうもパラシュート部隊というと、戦果はあがらずしょっちゅう全滅、という印象があるんだけどなやっぺ」
「それはゲーリングが悪いのよ」

transport helicopter CH-47J

「ああっ、でも空挺団はほとんど丸腰だわ。どうやって敵を攻撃するの?」
「心配ご無用。ほら、輸送ヘリコプターCH−47Jがやってきました」
「すごいわ、120ミリ迫撃砲と軍用ジープまで持ち運んでる」
「さあ、さっそく攻撃だ、習志野空挺団!」

danchaku

「だんちゃぁーく」
「くけぇぇぇ、やられたっぺ」
「やった! 塹壕を破壊したわ!」
「残敵は二段山へ転進し、山の陰に隠れました」
「それにしてもカッパ軍って、弱っちいくせに妙にしぶといのね」
「大きなお世話だやっぺ。それが演習というものだやっぺ」

all forces attack

「戦果拡大のため、いよいよ全部隊の突撃だ! 戦車部隊、武装ヘリ、連携して敵軍を皆殺しにするのだ!」
「いよいよカッパ軍の最後ね! 血沸き肉踊る光景だわ!」
「くけぇ、あの、白旗振っぺるんですけど……」
「我が軍は捕虜などという臆病者を認めない。生きて虜囚の辱めを受けるなかれ。武士の情けだ、名誉ある死を与えてやろう」
「そんなぁぁぁぁ。侘び証文書きますからっぺぇぇぇ」

danchaku

「くけけけけけけぇぇぇぇ」
「うわぁ、90式戦車の一斉砲撃がとってもきれい」
「まさに戦場に咲いた花ですな、うわっはははは」

genocide

「だんちゃぁーく!」
「やった、カッパ軍基地の最後よ!」
「これで日本の平和は守られた。しかし慢心してはいけません。いつなんどき、あなたの町も襲われるかもしれないのです。そんなときはわれわれ、陸上自衛隊を呼んでください。必ずやあなたがたを守ってあげましょう」
「よいこのみんなも、陸上自衛隊をよろしくねー!」
「はぁーい!!」

縮小前の写真展示(画像をクリック)は九月中とさせていただきます。


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