ムネオ三昧

「いやー、やってくれますね鈴木宗男」
「日本中が注目した証人喚問の直後に、私設秘書の偽造旅券発覚だもんな」
「しかしなんで偽造旅券だったんでしょうね」
「そうだよな、日本の外務省高官を土下座させるほどの人間なんだから、いくらでも正規旅券を発行できただろうに」
「やっぱり『今までならそういうこともできたかもしれませんが、コンゴはそういうことはいたしません』とか断られて」
「つまんないよ!」
「日本よりコンゴの外務省の方が、立派な人が多かったんですかね」
「しかし疑惑というか、不正だらけの人だね」
「ムネオハウスってのもありましたね」
「ああ、クナシリ島の宿泊施設ね。国の金で作ったのに、勝手に自分の名前をつけて」
「あのネーミングセンスがたまりませんね。尾崎ハウス以来の衝撃でした」
「尾崎ハウスは関係ないだろ!」
「でもあれも、尾崎豊とはなんの関係もないおじさんの家を、尾崎豊の死体が見つかったってだけのことで、勝手に尾崎ハウスと呼んでるんですよ。国民はもっと怒らなきゃ!」
「国民は関係ないだろ」
「疑惑のムネオか、麻薬のオザキか、ってくらいで」
「『く』しか合ってないよ!」
「自民党には『ムネムネ会』ってのもあるそうですよ。ぷぷぷ」
「ああ、桜田議員や大村議員など、橋本派が中心となって鈴木宗男を盛り立てていく若手議員のグループね」
「しかし、『ムネムネ会』って、『死ね死ね団』に似てますよ」
「まあ、ちょっと語感が悪いよな」
「どういう会なんでしょうね。きっとみんな派手なブレザー着て、覆面して集まるんでしょうね」
「そんなわけないだろ!」
「すると鈴木宗男が黒いスーツにサングラスで登場し、『黄色い豚、日本人を絶滅せよ!』って叫ぶと、みんなで挙手して『イエッサー!』って」
「勝手に想像をふくらますなよ!」
「だからロシアの利益をはかってたわけだな」
「勝手に納得するなよ!」
「日本人皆殺しをたくらむムネムネ会の野望を阻止するため、大西青年はインドに渡ってダイバダッダのもとで修業し、エヌジーオーマンに」
「勝手にインドに送るなよ! 大西さんはアフガニスタンだろ」
「ダッシュ1、真紀子の仮面! ダッシュ2、佐々木の仮面! ダッシュ3、辻元の仮面!」
「勝手にやってろ」
「それにしても証人喚問では、社民党の辻元議員が溌剌としてましたね」
「すごい勢いでツッコんでたよね」
「……お前もあのくらいツッコんでくれりゃな」
「俺のことはいいよ! 大きなお世話だ!」
「最後に『あなたは疑惑のデパートと呼ばれているけど、そうじゃない、疑惑の総合商社です!』なんて言い切ってましたね」
「あれはかっこよかったよな」
「総合商社から文句が来なかったんですかね」
「まあ確かに、総合商社を悪役扱いしてるな」
「むしろ今だったら『疑惑の雪印』とか、『疑惑の全農チキンフーズ』とか、『疑惑のスターゼン』とか、『疑惑のジーオーグループ』とかのほうが」
「それ、疑惑以前に問題外の会社だよ」
「この問題は角界にも波及するらしいですよ」
「なんで相撲に?」
「『技のデパート・モンゴル支店』こと旭鷲山が、『技の総合商社』に改名するそうで」
「ぜったい嘘だよ!」
「談合とか裏金で八百長したり、相撲協会が決めた取り組みに口を挟んで変えちゃったり、横綱を本場所に参加させなかったり、モンゴル勢でもんもん組を作ったり、国技館を勝手にモンゴルハウスと呼ばせたりして連戦連勝」
「できるわけないだろ!」
「タニマチは松山千春と西武の三井投手」
「やんねーって!」
「でも最後は偽造旅券が発覚して国外追放」
「いいかげんにしなさい」


戻る          次へ