トラハタ時事新報(2001年12月)


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12月5日(水)

サッチー逮捕・野村監督解任・後任人事は?
 秒読み段階といわれていた野村監督夫人沙知代の脱税疑惑。5日、東京地検特捜部はついに沙知代を5億円の所得隠し、2億円の脱税、隠蔽工作などの容疑で逮捕、家宅捜索に入った。
 これにより以前から「脱税疑惑が表面化すれば考える」という姿勢だった阪神フロントが野村監督に辞任勧告もしくは解任をおこなうことは確実。次期監督として、岡田二軍監督、木戸ヘッドコーチの昇格、もしくは星野前中日監督、仰木前オリックス監督、上田元日本ハム監督などの招聘が囁かれている。またOB会からは「次期監督は能力よりもタイガースを愛する心」と主張し、安藤、田淵、中村などのOBを推薦。ここはジジ捨て山じゃねえ。

野村監督は球界最高年俸
 よりによってこの時期に十二球団監督の年俸が発表された。最高額は野村解任監督の二億。二位の星野前中日監督の一億六千五百万を大きく引き離し、ライバルの長嶋前読売監督の一億二千万を圧倒している。最低は近鉄梨田、ヤクルト若松の両優勝監督で五千万。やれやれ。

横浜株売却問題は白紙に戻す
 ベイスターズの筆頭株主であるマルハが株式をニッポン放送に売却すると発表した事に対し、読売オーナーのナベツネが「すでにフジテレビがヤクルトの株式を所有している。フジテレビとニッポン放送は同じフジサンケイグループ。これは複数球団の株式所有を禁じている野球協約に明らかに違反している」と抗議した。これに阪神の久万オーナーも同調(またかよ)。
 事態は川島コミッショナー預けとなったが、コミッショナーはナベツネの主張を認め、マルハの株式売却をとりやめるか、フジテレビがヤクルト株を手放すか、どちらかの選択を迫った。フジテレビはヤクルト株売却を否定。けっきょく、マルハの株式売却が中止となった。
 またも勝利したナベツネは意気軒昂。「貧乏で困っているなら、合併しちゃえばいいんだ。そもそも貧乏球団に経営の権利はない。オリックスや広島と同様に」と言いたい放題。マルハの中部オーナーは「貧乏で株を売るのではない。実業家としてのビジネス行為だ」と言い返すのがやっと。
 それにしても筆頭株主ではないにせよ、ニッポン放送が横浜の、フジテレビがヤクルトの株式を持っている事態は変わらない。野球協約はいったいどうなっているのか。ナベツネのダシに過ぎないのだろうか。


12月7日(金)

星野監督誕生へ
 阪神球団では七日の役員会で、次期監督は前中日監督の星野氏で一本化することに決定。十日にも正式に就任要請することになった。以前から阪神ファンを公言している星野氏も乗り気で、監督就任に障害はないとみられるが、以前にもずさんな口約束ばかり並べて一枝氏や広岡氏に断られたことがあるだけに、まだまだ予断を許さない。なんとなく、わざと断られそうな方向に話をもっていって、結局、「これ以上延ばすわけにはいかない」という理由で中村勝広を持ち出す、という戦略ではないかという気がしないでもないのでして……。阪神に関しては、いっさいが予断を許さない。
 それにしても精神攻撃の野村から肉体攻撃の星野へ、選手は心も身体も休まる間がない。ま、今岡くんが顔いがむまで殴られると思うだけでも、期待で胸わくわくしてくるというものだ。ぜひやってください。そのための星野監督なのですから。
 しかし何ちゅーか、読売が「選手欲しい欲しい病」なら阪神は「監督欲しい欲しい病」ですな。自前の選手&指導者を潰しまくっといて外から呼んでくるなんざ、まったく同じ。

横浜問題はなおも続く
 けっきょくマルハの株はニッポン放送に売却せず、新たな売却先を探すことで落着したと見えた横浜問題。しかし有頂天のナベツネは調子に乗って新たな提案。「新しく球団オーナーになったときに支払う加盟料三十億円の撤廃」と「球団ぐるみの不祥事が起きた場合のペナルティ強化」である。
 加盟料はもともと、バブルの時代に闇屋あがり(なんて言い方しないか)のようないかがわしい企業が参入してくるのを防ぐためのもので、今はあまり必要がない。こちらはいいとして、二番目の提案はなにか。球団ぐるみで刑事事件を起こしたようなところは、コミッショナー権限(ということは、事実上ナベツネ権限)で解散させることができる、というものだ。やっぱこれって、脱税の話? 監督賞に領収書がないとかいう話もあったし、探せば球団も関与していないとはいえないからな。それとも婦女暴行とかそういうことでしょうか。宮崎のあやしげな店を球団マネージャーがセッティングして女の子まで呼んで、このほどめでたく年俸が二億八千万円に上がったE内野手を乱痴気騒ぎさせる、とかの。


12月11日(火)

星野監督誕生へ?
 はじめは十日と伝えられていた阪神球団の監督就任要請だったが、なぜか十二日に日延べとなった。阪神フロントが嫌がったのか、最初から新聞記者のフカシだったのか。
 しかしながら十日には星野氏が中日球団に挨拶。中日フロントも星野氏の阪神監督就任を快諾。星野阪神監督の誕生への障害はまったくない。星野氏は中日で貧打、ポカの多い(やる気のない)内野手、苦しい継投、ハズレ外人には慣れているので、阪神向きといえよう。なんといっても夫人がおらず迷惑をかけられる心配がないのがよい。仰木さんでもよかったのだが、現地妻が多すぎるのでねえ。
 コーチ陣は改造される予定。前中日コーチの島野氏をヘッド格で、元ダイエー監督の田淵氏を打撃コーチで招聘と伝えられている。ううむ、島野氏といえば阪神在籍時に柴田コーチといっしょになって審判を殴打し、永久追放になりかかった希有の人材。ううむ、選手を殴る星野監督、審判を殴る島野コーチ、後輩を殴る桜井選手とくれば、いっそファンを殴るレジー・スミスと女を殴る巨人軍E内野手も招聘したいものだ。田淵の役割はなんだろうか。とりあえずのほほんとしている和み系コーチかな。
 ……などと書いてきたがまだ一抹の不安が残っているのも真実。なにせ久万オーナー、「星野監督は緊急避難。立て直したら即岡田監督へ」「岡田監督は時期尚早。阪神の期待の星、岡田に泥をかぶらすわけにはいかん」「田淵の招聘? 監督の下に元監督がいるのはアカンやろ」「十日に要請? それはない。向こう(星野氏)から連絡がないんやもん」「ダメだったら、監督候補を変えればええんやし」などと星野氏のモチベーションを下げまくる発言を連発してますからねえ。やっぱカツヒロが可愛いのか?

岡田二軍監督フテる
 星野氏の監督就任、島野&田淵の招聘ではじき出される形になるのが次期監督と目されていた岡田二軍監督、ヘッドコーチ就任予定だった木戸コーチ、打撃コーチ就任予定だった和田コーチ。木戸コーチと和田コーチはフロントに慰留され、おとなしくバッテリーコーチと打撃コーチ補佐に甘んずることになりそうだが、おさまらないのが岡田二軍監督。「阪神の若い選手を、オレがいちばんよく知っているという自負がある」と星野監督に反発。一時は退団も、と報道されたがこれは否定。一軍で助監督格という話もあったが、「そういう話は監督が正式に決まってから。できればノムさんのときと同じように、二軍からじんわりと嫌がらせをしたいね」と星野監督追い出し工作に虎視眈々。

PL学園暴行事件は和解
 阪神にドラフト四巡目で入団した桜井選手が、後輩部員をバットやパイプ椅子で殴打し、ことし六月に退学に追い込んだ事件。これで後輩側から桜井選手やPL学園に百九十万円の損害賠償を求める訴訟が起こされていた。このほど桜井選手が暴行の事実を認め、百万円を支払うことで和解した。まあ契約金五千万円入ったし。


12月14日(金)

星野監督誕生はいつ?
 12日に監督就任要請を受けた星野氏。その場で受諾、と思われたが即答を保留。週末の二度目の交渉で受諾するものと思われていたが、その場でも回答はしないと明言。スケジュールの都合で、回答は18日以降となった。
 これは明らかに星野氏側のじらし勝ち。すぐにも飛びついてくるかと思われた星野氏が意外に慎重な姿勢をとったことで、阪神球団の星野氏に対する認識が、「野村後任候補のひとり」→「とりあえずの暫定監督」→「阪神再建の豪腕」→「なくてはならない人材」→「阪神の救世主」と飛躍的にふくれあがった。当初難色を示していた田淵、島野の招聘も、いまや星野の言うことならなんでも聞きますヘイコラ、と変わってきた。あと一週間くらいじらせば、リッツカールトン宿泊とか甥の筒井獲得とか娘婿をスカウト部長にとかも受け入れそう。

島野は難航、田淵は快諾
 星野阪神の参謀として招聘が予定されている島野中日二軍監督、田淵元ダイエー監督。島野氏に関しては中日球団が放出に抵抗。「星野、島野と引き抜かれては、サインも戦術も筒抜けになってしまう」「せっかく二軍監督として内定しているものを、非常に迷惑」と反対するが、星野氏は「とにかく誠意を尽くしてお願いする。断られても断られても、イエスと言ってくれるまで頭を下げる」と断固引き抜く予定。
 田淵氏のほうは気楽なもので、12日に電話で星野氏に依頼されると、その場で受諾。「ホシとオレは一蓮托生。地獄の底までつきあうよ」と語った。星野監督を地獄に突き落としそうなのは、田淵本人のような気もするのだが……。

田口には最後通告
 反対にじらし戦術が効かないのがFA田口。「阪神を最優先する」とかリップサービスを振りまきながらも「年内決着は難しい。決断は年明けになるかも」とじらす田口陣営に対し、阪神球団は「年内には結論を出して欲しい。でなければこの話はご破算」と通告した。まあ必要度が田口と星野では違うといえばそれまでだが……。
 ちなみにもうひとりのFA、片岡選手については報道がまったくない。20日以降に結論を出すということだが、今回の監督交代で「阪神に対するイメージが変わった」と語っていることもあって、阪神側ではもはや片岡との交渉はなかったことにしたいのかも。なにしろ、片岡が信頼する日本ハム大島監督は、かつて星野監督に追放された人間だから。

ドラ4桜井は星野監督大歓迎
 入団発表の席上で桜井内野手は「ボクも熱くなるタイプ。熱血の星野監督は尊敬しています。ビシビシ指導してほしい」と、高卒新人とは思えないほどのリップサービスで語った。桜井はかつてPLの大先輩片岡にも「いっしょに阪神で野球しましょう。ボク、片岡さんに教えてもらいたいんです」とおべっかを使ったこともあり、やはり上にヘイコラする人間は下をいじめるものなのだなあ、と周囲を感心させた。将来、指導者とか管理職にはならないでね。


12月17日(月)

星野阪神監督、正式に誕生
 きょう星野氏は、NHKに出向いて解説者内定の約束を破った件について謝罪した後、電話で阪神の久万オーナーに監督要請の受諾を連絡した。野村監督の轍を踏まぬよう、星野氏の意向で一年契約となった。翌18日に記者会見がおこなわれる予定。ほっ。まだ20%ほど疑っていたのだよ。

新庄はジャイアンツへ移籍
 先日、ニューヨークメッツと一億七千万円の年俸で契約したばかりの新庄選手、こんどはサンフランシスコジャイアンツへの電撃トレードが決まった。新庄+レラフォード内野手とエステス投手の二対一のトレード。先発投手が欲しいメッツと、ボンズの移籍が確実で外野手が欲しいジャイアンツとの思惑が一致した形。でも新庄はそんなことはわからんちんちゃ〜んで、「ボク、田舎には住めないんスよね。サンフランシスコは都会だからよかったちゃ〜ん」と浮かれるばかり。
 このトレードに新庄の親戚、竹中万次郎氏は「日本では巨人の松井選手がトレードなんてありえないけど、アメリカだからね」と語る。凄いぞ意味なし男ちゃ〜んの親戚。新庄を勝手に松井なみにランクアップさせるとは。ううむ、新庄の一族は誇大妄想狂の集まりなのだろうか。

城島記念館がオープン
 ダイエーの城島捕手は16日、佐世保の自宅の敷地内に「城島健司ベースボール記念館」をオープンした。城島選手が使用したグラブ、バット、ユニフォームの他に記念のカップ、盾、写真パネルなど展示しているそうだが、ううむ、あの落合記念館すら閑古鳥が鳴いているというのに、だいじょうぶなのだろうか。ま、落合記念館はボッタクリに近い入場料金も祟っているのだが。


12月20日(木)

片岡と田淵、阪神入り
 FAの日本ハム片岡篤史選手が阪神移籍を発表。まさか来るとは思わなかったよ。星野監督誕生といい、どうも読みが狂ってきたな。これはひょっとしたら、来年も最下位という読みが……。
 野球評論家の田淵幸一氏の阪神入団は順当か。打撃コーチに就任するという。田淵がだれのどこの打撃をコーチできるんだ、という批判はあったが、まあもとから、評論家っていっても評論なんかしていなかったし。
 もうひとりの入閣候補・島野中日二軍監督に関しては中日が態度を硬化。「星野は何回も頼むと言っていたが、こっちだって何回も断る」とのこと。


12月21日(金)

田淵コーチおおいに語る
 打撃コーチ就任が決まった田淵氏は記者会見の席上で「バント、右打ち、進塁打などのこまかいことは和田コーチに任せる。俺は濱中や新井をホームランバッターに育てる」と要するに打撃コーチとしての仕事はすべて和田にやらせることを宣言。ま、そのほうが賢いとは思うけど。
 さらに「阪神はやっぱり豪快にホームランで打ち勝つ野球をやらなきゃ」とチーム事情をまったく知らない発言が飛び出したかと思うと「そのためにもラッキーゾーンを復活させてホームランが出やすいようにしたい」などと、豪快でもなんでもないセコいことを言い出す。ラッキーゾーンにやっとこさ飛び込むライトフライのどこが豪快なのですか(cf.桧山の打球)。「チーム打率二割五分五厘(今年より一分三厘増し)、本塁打百三十本(今年より四十本増し)がノルマと思っている」という中途半端な数字はどこから出たのか。ほぼ今年のロッテの成績に等しいのですが。
 その陰では平塚コーチがひっそりと二軍打撃コーチへ左遷されていきましたとさ。

アリアス獲得へ向け動く
 阪神球団の野崎社長は「アリアスとは接触している」「マルティネスとは接触していない」とまるで阪神電車の痴漢のような会見。オリックスで三十八本打ったアリアスが来れば、単純計算で田淵のノルマ百三十本には近づくんだけど、かわりに広沢の十二本とクルーズの十四本がチャラになるから、やっぱ無理か……。片岡の十六本を足しても、こんどは今岡の四本がチャラだし……。


12月26日(水)

島野コーチ獲得
 「絶対出せない」という中日側と「どうしても欲しい」という星野側の綱引きが続いていた島野問題だが、ついに中日が根負け。退団を認めた。これで阪神コーチ就任が決定的となった。「とにかくいいつのる」という子供の作戦が功を奏しましたね。

アリアス獲得
 今年の阪神はめずらしく狙った獲物をのがさない。普段なら鴨を狙って撃ったはずなのに落ちてきたのは毒蛾、という感じなのだが。
 今年オリックスで三十八本打ったジョージ・アリアス選手と契約。年俸二億。これでクルーズはお払い箱。星野監督は「四番ファースト」を確約……ん? これって、こないだ言ってた「片岡といえどポジションは確約しない。プロは実力主義。闘って取れ」と言ったのに反してませんか?

中日、FA前田の人的補償で平松を獲得
 FA宣言しジャイアンツ入りしていた前田投手の見返りとして、中日はジャイアンツのプロテクトから外れていた平松投手を獲得した。左腕ワンポイント、中日では活躍の場が多そうだ。
 これにより阪神にも影響があるかも。すでに獲得した片岡(日本ハム)、獲得を目指す田口(オリックス)の補償として選手が要求される可能性もあるのだ。とくに日本ハムの場合、「あのFAは出来レースで、阪神はプロテクト名簿からあえて藪を外し、日本ハムに選ばせる。実質、片岡と藪+金銭のトレードだ」という噂が根強いだけに。

松井、阪神移籍を否定
 25日、ジャイアンツの松井選手は契約更改を行い、イチローの記録を抜く日本人史上最高額の六億一千万円で契約した。球団の提示する複数年契約を断り一年契約とした松井。記者会見では「来年、ジャイアンツに残るか、メジャーに行くかの二者択一です」と明言した。
 これでガッカリしたのは一部の目の見えない阪神ファン。なにしろ数年前からずっと「松井はFAで阪神に来る! だって阪神ファンだもん」「清原、片岡、田口なんかいらん! だって来年は松井が来るんだもん」「外国人獲得?! そんな金あったら来年の松井獲得資金にプールしとけ!」などとあまりにもあんまりな馬鹿げた電波系の言動でひんしゅくを買っていたからだ。
 ま、これで馬鹿どもも現実を見てちったぁ勉強しただろ、と思いきや、「あれは三択の間違いですよね!?」「きっと恥ずかしくて阪神とは言えなかったんですよ」「いや、松井の心の中では阪神=メジャーなんです!!」などと更なる馬鹿発言が。世に馬鹿どものタネは尽きまじ、といったところか。


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