1997年1月〜4月の無益な妄想


97.2.9

 虎本営は今期予想を発表せり。

 投手陣は万全なり。藪、川尻の両輪に湯船、中込の復活。さらに竹内、山崎、葛西は各々その義務を尽くせり。また酒井(日ハム)、片瀬(広島)、伊藤(横浜)の移籍勢は近年になく楽しみなり。押さえは鉛球の郭李、切れ味の田村、速球の古溝とバラエティに富んだ投手陣なり。

 捕手は関川の復活に定詰(ロッテ)の移籍で正捕手争いは激化せり。いずれにせよ楽しみな選手なれど、塩川にも大捕手となるための飛躍の年となるべし。

 内野は清原、石井、広沢の獲得に失敗するも、上記のごとき老朽艦は艦隊速度をいたずらに減速するのみで無益有害の代物なり。現役大リーガーの主砲、グリーンウェルの加入で4番、一塁は決定せり。新人、今岡に二塁を任せるか、和田の巧技にするか、吉田監督の決断次第。久慈の遊撃ははずせぬ。平尾、田中、移籍の中村(近鉄)がどこまで食い込めるか。

 外野はハイアットの加入により、桧山以外は正選手争いに巻き込まれ、新庄も安閑とはしておれず。関川の外野手出場もあり、誠、高波、無気力を克服せる亀山も含め実力勝負なり。

 

正選手予想

 一番 中堅 新庄           .275 25本 80打点

 二番 遊撃 久慈           .270  5本 60打点

 三番 左翼 桧山           .300 35本 105打点

 四番 一塁 グリーンウェル     .315 45本(本塁打王) 120打点(打点王)

 五番 右翼 ハイアット        .320 25本 100打点

 六番 三塁 和田           .335(首位打者) 5本 70打点

 七番 捕手 関川           .330 15本 80打点

 八番 二塁 今岡           .280 10本 75打点(新人王)

 

投手予想

 先発  藪  15勝8敗(防御率王)  中継ぎ 伊藤       リリーフ 郭李 25S(セーブ王) 

      川尻 12勝7敗              葛西            田村 15S

      湯船 16勝9敗(最多勝)        山崎            古溝 15S

      中込 13勝11敗             弓長

      竹内 8勝7敗               片瀬

      酒井 7勝5敗               井上

            以上 79勝56敗(優勝)

97.3.29

 グリーンウェル未だ帰還せず。

 猛虎軍は片肺打線を余儀なくさるる。桧山、新庄の成長はあれど猛虎打線は所詮1.5流投手以下を打ち崩すの用を得たるにして斉藤、ヒルマン、今中等の1流投手を打つを得ず。1流投手を打たずして優勝は無し。ハイアットは所詮「飛んだ一杯食わせ者」なることを露呈せり。唯八木の復活をもって自ら慰めるなり。トーナメントの決勝に進出を決めしといえど優勝への道は依然遠かるべし。

 投手は藪、川尻万全にて僅かに郭李の調整不足が心配なるのみ。清原には死んでも打たせじとの心意気にて頼もしき限りなり。前回予想の酒井は期待過剰なるも伊藤、山崎、井上がそを埋める活躍なるべし。郭李の代わりには田村が居るべし。

 時はすでに開幕直前、神軍は我が期待に背かず活躍なるや否や。虎本営発表に変わりて神災日記を執るは我が本意にあらず。嗚呼。

 

97.4.4

 開幕や千両役者は何処にや

 緑佳きグリーンウェルは何処にや

 涙雨降る亜米里加よグリーンウェル

                 虎玉

 

97.4.5

 我が軍は広島方面にて戦闘状態に入れり。されど緒戦を飾れず。

 開幕の栄誉を担えし川尻は好投するも緒方の一発に沈む。嗚呼悔ゆべし二死後の投手への四球。されど広島打線を三点に抑えしは殊勲と言うべきにて、損害は軽微なり。川尻は今季も活躍すべし。

 敗戦の原因は偏に貧打の一言也。嗚呼碧眼の大砲よ祖国の空の下何思ふ。

 同日関東方面ではソ連の如き巨人軍が弱小ヤクルトに手ひどい損害を受けり。野村は将に将たる器量、人望を欠くといえど小隊の指揮を執らせればこれほど有能な男も少なかるべし。この二連勝は徳川秀忠の大軍を信州上田城に釘づけにした真田昌幸を思わせる知略あり。

 

97.4.6

 広島に雪辱。移籍4番の本家、平塚の豪打に高橋健、大破。中込は3年ぶり勝利。吉田監督感涙に咽ぶ。監督よ泣くなかれ。あと75回は泣かずばならじ。

 

97.4.8

 横浜に劇的な逆転勝利。貯金は2年ぶり。桧山、八木、ハイアットの本塁打攻勢に関口、大破。小檜山、轟沈。我が方の損害軽微なり。藪、小破。ハイアットに対する開幕前の暴言を深く謝す。ハイアットとスワローズのホージーは意外な掘り出し物となる可能性あり。

 

97.4.9

 貯金2は92年以来5年ぶりか。湯舟、終盤で力尽くの感あるが力投。盛田、轟沈。小檜山、連日の轟沈。我が方の損害皆無。かくも数年ぶりなる文字が並ぶを見れば、当然「12年ぶり」の文字が約束されしを予感するなり。

 

97.4.12

 横浜より甲子園に転進し、鬼畜ソ連の巨人軍を迎え撃つ。完封目前の斉藤を轟沈。宮本も轟沈。久慈の巧打、新庄が連日の本塁打を放つ等、虎軍の武勲嚇嚇たり。ソ連には敗けじとの必勝の信念、あまねく行き渡りたり。高波の好走、見事也。

(神災日記)

 3日連続の1点差敗。川尻は開幕に続き二死からの投手への四球が致命傷となり、竹内は松井の前の川相の打球を自ら誤って墓穴を掘る。どいつもこいつもフロイト博士の精神分析を受けさせたき強迫観念の囚人也。先発を打つも中継ぎに抑えられる習性が命取り也。

 今年の阪神は違うと言われながらの三連敗。惜敗の文字は見飽きたり。惜敗を百続けると雖も一の勝利を築くにはあらじ。

 

97.4.13

 藪の快投冴え渡り、巨人を撃滅。桑田を轟沈。桑田は真の復活者にあらず。復活者の称号はは中込に与えられるべし。清原は徒にバットを振る醜態を見せり。和田、新庄の連日の好守、殊勲甲なり。

 これまで虎軍は先発投手を轟沈するも、二番手以降に抑えられること多し。第二波攻撃が苦手なること、あたかも南雲艦隊のごとし。されど今日は西山、岡島を轟沈せり。

 定詰は捕手の債務を果たしたり。されど打者としては驚くべし。本営はこれまで山田を12球団1のバッティングセンス無き野手と認定するも、定詰がズバットの如く、指をチチチと鳴らしながら、「あんたは1番打てない野手じゃない。2番だ」と言いそうな勢い也。

 

97.4.18

 今は怒もなく、悲もなく、檄もなく、驚もなし。今年の阪神は違うと言われしも冷静に振り返れば得意の横浜に勝ち越せたといふ平凡な事実があるのみ。惜敗、惜敗、ジリ貧、大敗、ドカ貧といふ例年の行事なり。普段より1週間余計に夢を見せてくれたと思へば腹も立たじ。

 これより125試合の長い消化試合を迎えるべし。これでヤクルトに3連敗しないで済めば儲けものなり。

 

97.4.20

 信じて敗北することに於いて、悔いは無い。むしろ永遠の勝利だ。それゆえに人に笑われても恥辱とは思わぬ。けれども、おお、信じて成功したいものだ。この歓喜!(太宰治)

 生きて、そして希望を持て!(ユゴー)

 人生には二つの悲劇がある。一つはその願いを達し得ぬこと、もうひとつはそれを達すること。(ショー)

 どちらかといえば、優勝に値するけれどそれを逃した方がいい。優勝はしたが、それに値しない場合と比べて。(トウェイン)

 

97.4.24

 横浜に連夜の押し出しサヨナラで3連勝。神が宿りしか魔が憑きしか。されどこの神か魔か、きわめて内気にて横浜戦のみの出現ならん。ああ、翌日よりのヤクルト戦、神よ御座なれ魔よ来たれよ。甲子園の神風よ吹き乱れよ。ヤクルトの投手の球は伸び悩め。ヤクルトの野手のグラブは球をはじけ。ヤクルトの監督の采配は悉く外れよ。ヤクルトの打者のバットは実を結ぶな。ヤクルト応援団の傘は汐垂れよ。

 

97.4.27

 見よ。正しき心の祈りに神仏は必ず感応し賜ふ。蒙古の大軍を払拭せし神風の故事からもこは明らかなり。いよいよソ連巨人を叩きて貯金を成す時なり。松井のアバタは深く穿ちて脳に至れ。清原は攻守に無様なプレーを演じ五万観衆の笑い物になれ。マント、違ったルイスは阪神選手の好走に狼狽えて失策を繰り返し、自信喪失せよ。斉藤は二度と回復するな。仁志は重殺を重ねて監督の不興を買え。ガルベスの投ずる球はストライクゾーンから悉く外れよ。木田は酷使に腕が砕けよ。


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