ヒットラー、スターリン、そしてビル・ゲイツ
インターネットには数多くのジョークサイトがある。それらは例えば、YAHOOの「エンターテイメント、ユーモア・ジョーク・お笑い」に納められている。そして、その中でもっともネタにされることの多いのが、世界一の大金持ち、マイクロソフト社長、ウィリアム・ヘンリー・ゲイツ三世である。
例えばこんなページ。ところでこのジョーク、どこかで聞いたことがないか?そう、これらのジョークは、ヒットラージョーク、スターリンジョークをはじめとする一連の政治家ジョークの流れを汲んでいるのだ。
政治家ジョークの特徴は、「変換可能」である。ジョークの固有名詞を「ヒットラー」から「スターリン」に換えても、「フルシチョフ」でも「金日成」でも「レーガン」でもほとんどの場合通用する。もちろん、「ビル・ゲイツ」でも。
例えばこんなジョークがある。
ヒットラーとゲッベルスが占領後のパリ上空をヘリコプターで視察していた。二人はフランス人の抵抗を最小にする方法について討論していた。金をばらまくのはどうだ?
ヒットラーが言った。「このヘリから百マルク札を撒けば、拾った一人は大喜びするぞ」
ゲッベルスが言った。「それより、十マルク札を十枚撒けば、十人が喜ぶでしょう」
操縦士がつぶやいた。「この二人をばらまけば、一億人が大喜びするだろう」
1950年代には、固有名詞を「スターリン」「ベリヤ」に変えただけのジョークが流通していた。そして今では、「ゲイツ」「ジョブス」のジョークが流れている。
それにしても、何故ヒットラー、スターリンなのか?ルイ14世ではいけないのか?カエサルでは?ネールでは?クリントンは?橋本龍太郎(笑)では?と考えると、政治家の、「ジョークのネタになる条件」がおのずから浮かんでくる。
1・有名でなくてはならない。小沢一郎などはネタにしやすそうだが日本人以外には相手にされない。
2・ワンマンでなくてはならない。ネールやホーチミン、毛沢東は有名ではあるがその施政方法がワンマンではないため、政治に人格性が希薄になり、ネタになりにくい。
3・スローガンが無くてはならない。ヒットラーは、「ユダヤ皆殺し」。スターリンは、「一国社会主義」。フルシチョフは、「アメリカに追いつき、追い越せ」とそれぞれテーマが明確だった。それだけネタにしやすい。ルイ14世はヨーロッパの誇大妄想狂ではナポレオンと一、二を争う人気者だがもう一つテーマが見えてこない。
4・面白い顔でなければならない。ヒットラー、スターリン、どちらも一度見たら忘れない特徴ある顔である。他にも、フセイン、エリツィン、金正日あたりがいい味だしてる。逆にコール、ブレア、クリントン等はもう一つ顔にインパクトがない。
で、ゲイツ君は、有名(もちろん)、ワンマン(共同創始者のポール君は何してる?)、スローガン(商売敵を叩きつぶせ!そして金、金、もっとマネーを!)、顔(ホーキング博士と雑誌「MAD」の表紙を足して二で割った顔)、と四拍子揃った逸材なわけですね。
おまけにマイクロソフトジョークをいくつか。
あるSE(システム技術者)が死んだ。聖ペテロが彼に、天国と地獄のどちらに行きたいか聞いた。SEは答えた。
「まずは現場を見てみないと。両方を見せてください」
SEは天国に案内された。無数の人がパソコンに向かってマイクロソフト・オフィスを操作している。
地獄に行ってみた。同じ光景。
SEは聞いた。「どこが違うのですか?」
ペテロは答えた。「最初のはビル・ゲイツの天国、そして今のがユーザーの地獄じゃ」
日本マイクロソフトの成毛社長がアメリカ本社への出張から帰ってきてから様子がおかしい。四つん這いになってカメラを写しながら這いずり回ってばかりなのだ。
専務や常務がいくら説得しても止めようとしない。専務達は思い余って本社のビル・ゲイツ様に連絡した。
ゲイツは報告を聞くとしばらく考えていたが、陽気に答えた。
「やあ、すまない。君たちのボスはすぐ直るよ。こっちで彼にインストールするプログラムを間違えたんだ・・・火星探査機のと」