律子のちょっかいを抜けて視聴覚教室へ行く途中、あの苦手な電波系アルビノ先輩に出会った。なにやら重たげな書物をいくつも抱えている。
ううみゅ、またぞろ失礼な物言いなりね。少しは手伝ってくれてもいいでしょ。かよわい乙女が苦しんでいりゅのですよ、むむむみゅ。
いきなり地かい。もう佐山さんを演ずる気もないようである。
しかしなんなのだろうか、この膨大な書物と、なぜか付随する膨大な雑貨は。
見てわかりないのか、むむみゅ。もちりん、コミケに搬入する同人誌なりね。あと便箋と封筒とシールとカバンと。
なるほど、それで「しましま倶楽部」と……。
きょうは彼女の人の機嫌もうるわしいようだが、察するところ、衣装が縫い上がったとかそういうことなのであろうか。
うふん。そうなのです。むいむい。
彼氏の人に着せるファングの衣装もできたから、一緒に着て踊るなりよ〜。
いや、踊るのは遠慮しますが。
……ともかく行きますか、いざコミケへ。いざお台場へ。いざ汗臭さの殿堂へ。
うふ。
待て！ おまえらふたり、そんな幸せな気分でコミケに出かけることはまかりならん。たとえコミケの支配者米沢さんが許しても、この作者が許さない！
むむむみゅ。また作者の人のでしゃばり登場なりね〜。
作者よ。なぜ若い二人の幸せな道行きを邪魔する。
ふはははは、その若くて幸せなところがねたましくてならんのじゃ。妬けてならんのじゃ。どいつもこいつも、私のように不幸せにしてくれるわ！
むいむい、わかったのです！ すべてが読めたのです！
ゲーム販売促進も愛の交換日記もただの口実。
その実、西崎さん（ぱぺっと）を操ったり自分でしゃしゃり出たり、お邪魔むしぃなことばかりするのは、あちきたちの仲をむしろ壊すのが目的だったなりねぇ！
くかかかか、やっとわかったか。しかしもう遅い。
いでよ西崎さん（洗濯ごくろうさまです）！ 徳田さんの唇をきょうこそ奪い取るのだ！
げへへへへへ、徳田さん、おお、マイ・ダーリン！ もう離さないよぉ、永遠に永遠に！
ひぃぃぃぃぃぃ、に、西崎さん（蹴れば快楽の泉湧く）だぁ〜っ！！ いやぁぁぁぁ、来ないでぇぇぇぇ！！！
ああ、蛋白過少大臣うどんの守さまの貞操が風前のともしびぃぃぃぃぃ。もきゅもきゅもきゅもきゅ、あのケガレない唇が西崎さん（両刀遣い）のものになったら、あちきはもう彼氏の人と別れなければなりません。よよよよよよ。
作者もいいかげんにするだっぺよ。なんだって幸せな人ばっかりつけねらうんだっぺ。そんなに自分と同じ不幸になるのが望みなんだっぺか？
ええかげんにしとかんと、ほんま血ぃ見るでぇ。不幸せのどん底っちゅうもんをその目ぇかっぽじって見せつけたらなアカンのかぁ？
もきゅきゅきゅきゅ、あなたがたは、カッパのでるあたりにお住まいのどこぞのおもろい新婚夫婦！
ここはわたしら幸せの先輩に任せて、あんたらは早ぅ逃げなはれ。さあ作者、ナニワの元ヤンのカミソリ吹雪、いてもたろかっ。
あ、ありがとうございます。では行くぞ、幸せの待つお台場へ！
もきもきぃ、行くなりよっ！
ええいそうはさせるか。追え、西崎（いろいろ使ってごめんなさい）さん！ すべての幸せなカップルを根絶やしにするのだっ！
いやオレ、奥さんが呼んでるから帰るわ。
えええぇぇぇっ？！
西崎（まさか、本当に怒らせてしまったのかしら）さぁぁぁん？！
……
…………
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（ひとり取り残されて）
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うわああぁぁぁぁぁぁぁああんっ！！！！（号泣）
（大団円）