4.脳天気な夫婦

 いよいよお宝スフィアを求めて、ユウナの故郷、ビサイド島での探検です。村に帰ると、いきなり歓迎されます。
「お帰りなさい、ユウナ。大召喚士には見えないね」
「もう召喚なんかできねーっつうの!!」

 ワッカとルールーの夫婦がカモメ団を迎えます。ふたりとも見た目はあまり変わらないようですが。
 ワッカ「ユウナ……なんちゅーか……雰囲気変わったなあ」
 リュック「ワッカは相変わらずだね。ぷにぷにー」
 ワッカ「やめれっつーの」
 どうやらワッカ、ブリッツを引退して監督に就任して、すっかり運動不足になってお腹がぽよんぽよんになってしまったらしい。わかるぞ、その気持ち。
 ワッカが変わらないのは見た目だけではないようです。
「うーむ、よき父親っつーのは、いったいどーやったらなれるんだろうな……」
「シャキッとするって、どうすればいいんだろうな……」
「アーロンさんがいてくれたら、いろいろ助言してくれるんだけどな……」
 優柔不断なのも相変わらずです。
 しかしワッカ、アーロンがいても、有効な助言なんぞしてくれないぞ。あの不良中年、「これはおまえの物語だ」「自分自身の目で確かめろ」「自分で決めることだ」「さあ、どうする」そんなことばっかで、勝手に暴走して話をややこしくするだけだぞ。
 唯一、有効な助言は、「もう旅はやめろ」と天草四郎時貞に言っただけだったと思う。

 ルールーも相変わらず、胎教に悪そうな衣装での登場です。結婚して少しは性格がまるくなったようで、「あ、動いた……」などと呟きながら、ユウナを叱りもせず泊めてくれます。
 しかし穏やかなルールーは怒ったときのルールーよりも怖ろしい。その証拠が、ワッカが洞窟に消えたと聞いたときの反応です。
「ワッカが魔物にやられるとも思えないけど……それより、ワッカが珍しく、わたしに隠し事をしたほうが気になる……」
 どうやらワッカ、家に帰ったら、その日にあったことと明日の予定を逐一報告することを義務づけられているようです。きっとお小遣いも一日千円です。給料は銀行振込でカードも通帳も印鑑もルールーが管理しています。パソコンで日記の更新なんぞしていたら罵声が飛んできます。日曜日には買い物につきあわされます。飼っている犬の方がいいもん食っています。子供が小学生になったら自分の書斎をあけわたすのです。もうダメだ。

 というわけで洞窟に消えたワッカとスフィアの行方を追って、「ワッカを探せ!」という脳天気なタイトルのミッション開始です。
 詳細は省く。なんだかんだあって洞窟を発見、化け物を倒して、ビサイド島の風景の映るスフィア発見です。これ、白魔導士スフィアにもなるらしい。
 けっきょくワッカが洞窟に入ったのは、死んだ弟チャップが言い残していった、両親の姿を映すスフィアを求めてのことだと判明します。うだうだとワッカの思い出話を聞かされたが無視。もうここには利用価値がない。さっさと帰ります。

 最後にルールーが助言してくれます。
「シンを倒した大召喚士ユウナ、その名前を利用されないように」
「うん、もう誰にも利用されたりしないよ」
 うんうん、今のあなたでは空恐ろしくて、だれひとり利用しようとは思わないでしょう。でも、このゲームのオープニングで、ブリッツスタジアムの大会場でコンサートを開いていたユウナ……あれ、名声を利用してませんか?


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