18.脳天気な解説

アナ「さあ、ここルカスタジアムは五月の快晴のなか、超満員の盛況です。ルカ・ゴワーズ対カモメ・ダンの一戦、豪華解説陣をお迎えしてお送りします」
デブ「どーもっ、一塁側レポーターのデブ大久保でっす」
駄尾「いや違うよデブ、ここ一塁側なんてないし」
デブ「昨晩、カモメ・ダンのアニキ監督と飯を食いましたが、やっぱり連敗でしょげてました。僕からアドバイスしておいたんで、頑張ってほしいですね」
駄尾「いやデブ、誰もそんな話聞きたくないし」
アナ「チーム結成以来、トーナメントに出ると負けのカモメ・ダン。わずかにキーリカ・ビーストとのエキジビションで勝ちを拾っては、どうにかそのポイントで食いつないでいるありさまです」
咳根「うーん、弱いね」
莫迦畑「いやこういうチーム状況の時はね、元気を出していくしかありませんよ! 気迫でナニクソ! という姿勢でぶつかっていくんですよ!」
アナ「対するルカ・ゴワーズは、万人が認める優勝候補。トーナメントは七回連続で制し、リーグ戦でも十三連勝中と、まさに常勝球団です」
デブ「どーもっ、デブでっす。ゴワーズのエース兼監督のピクスンとは僕、親友なんですが……」
駄尾「いやデブ、もうひっこんでろよ」
アナ「さあブリッツオフ! 今シーズンからFAでカモメ・ダンに移籍のシャーミ、ボールを持って突進する! しかしドーラムがたちふさがった! ドーラムはボールを奪った!」
大舌「なんで他の選手はバックアップにいかんのかね。考えられないプレーだね」
アナ「アニキがたちふさがった! しかしドーラム、アニキをかわした! ドーラムはピクスンにクロスボールをあげた! ピクスン、ダイレクトボレーシュート! シンラ、とれない! ゴール!!」
咳根「うーん、あっさり取られちゃったね」
デブ「どーもデブでっす。キャッチャーを長いことやってきた立場から言わせてもらうと、あのシンラのポジションは……」
駄尾「いやデブ、あんたキャッチャーで頭使ったことないでしょ」
アナ「一点先取されたカモメ・ダン、さあリュックがボールを奪い、右から逆側のアニキへパス! アニキはレシーブ失敗! バルゲルダがこぼれだまを拾った」
酷岡「なんなんですかね今のキャッチングは。全然なっとらんですよ。基本をきっちり押さえていないから、ああいうプレーを平気でやるんですよ」
アナ「バルゲルダからアンバスへ、アンバスからピクスンへパス! ピクスン、クリティカルシュート! キーパー、シンラ、とれない! ゴール!!」
大舌「まったく情けないね。駄目だね。同じプロとは思えんね」
酷岡「守備のときの立ち位置について、ミーティングできちっと徹底してないからああなるんですよ。スコアラーもコーチも何しとるんですかね」
革藤「こういう時はね、ナニクソ! という気持ちでやらにゃならんのですよ」
アナ「おっとここでピクスン、またもシュート! シンラ、とれない! ゴール!! ピクスン、早くもハットトリック達成!」
咳根「うーん、いいストライカーだな」
デブ「どーも、デブでっす。巨人の四番ってものはね、僕もやったことがあるからわかるんですけど……」
駄尾「いやデブ、あんたに聞いてないし」
アナ「さらにアンバスも大回転シュートを決め、これでコールドゲーム!! ゴワーズが一方的にダンを圧倒した試合でした。吹本さん、どうですかこの試合の感想は?」
吹本「なんや、クサビみたいのがチョコチョコ動いとんな」


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