2.私は飛空挺に乗る

 地下牢にはバルフレアにつきまとう賞金稼ぎとか、ジャッジと呼ばれる帝国隊長とか、うさんくさいのがいっぱい。その中でもっともうさんくさいのが、われらがヴァン率いるご一行様であることは論を待たない。なんせ、言語に不自由なコソドロ、お尋ね者で賞金首の空賊、年齢不詳の兎女だもんな。
 どうやら地下牢の看守は豚男らしい。囚人をいたぶるその姿に、よせばいいのにヴァン君、くってかかる。
「拾いものを」(ひどいことを、と言いたかったらしい)
「なめろう!」(やめろ、と言いたかったらしい)
 豚男も応戦します。
「ひりきっきに、ほめはめはめは!」
「くんだらこんだ、めしはめは!」
 豚男、ヴァンとおっつかっつに言語が不明瞭なうえ、字幕がないので、何を言ってるのかわかりません。

 豚男を倒し、いろいろあって、地下牢深部へ。どういうわけか国王殺しのバッシュ将軍が鳥籠に囚われています。どういうわけかバッシュを救けちゃいます。兄を殺された恨みのあるヴァンは、この処置に納得がいかない。
「マンデー羽子板で」(なんでこいつまで、と言いたかったらしい)
「無駄蹴んなよ!」(ふざけんなよ、と言いたかったらしい)
「フラギレ者だど!」(裏切り者だぞ、と言いたかったらしい)
「臀部揉みの姪だ!」(全部おまえのせいだ、と言いたかったらしい)
 どうもヴァン、感情が激してくると、言語がますます冴える傾向にあるようです。
 バッシュの話によると、国王を殺したのは自分にそっくりの双子の弟だとか。それがあの、ジャッジと名乗る帝国のお偉いさんとか。
 たしかに、にわかには信じがたい話ですな。ヴァンが「ヒンジ買えるかよ!」(信じられるかよ、と言いたかったらしい)と叫ぶのももっともだ。

 とにもかくにも牢獄から地下水路を抜け、ようやくラバナスタに戻る。パンネロは行方不明。
「ぱんにょろは? パイオツでもイッているのか?」(パンネロは? 配達でも行っているのか、と、言いたかったらしい)
 パンネロに代わってお使いを頼まれたヴァン、ダウンタウンでバッシュ将軍と再会。どうやらバッシュはダウンタウンに潜伏する元王国騎士、アズラスに反乱をけしかけようとし、ダランは騎士団の剣を託すことによって、かつての忠誠心を蘇らせようとしているようです。しかしアズラスはバッシュを疑っている。双子の弟説も、レックスと口裏を合わせて作った嘘だと思っているようです。
「遺産が魚なんか突くかよ!」(兄さんが嘘なんかつくかよ、と言いたかったらしい)
 とヴァンが力説しても、聞き分けようとしません。いや、本当に聞き分けられなかっただけかもしれませんが。

 そんなこんなしているうちに、パンネロが誘拐されたという情報が。どうやら空に浮かぶ町、ビュエルバの魔石坑に監禁されているとか。ヴァンとバッシュは、バルフレアに頼みこみ、飛空挺でビュエルバまで飛ぶことに。
「あっテロ、パンニョロ」(待ってろ、パンネロと言いたかったらしい)とパンネロの身を案じながらも、初めて乗る憧れの飛空挺に興奮するヴァンであった。
「なあ、スピードは? 麦は鋤いてる? フィートよりむごいのか?」(武器はついてる? イフリートより凄いのか、と、言いたかったらしい)
 まあ、この飛空挺、10のザリガニよりは、ましなデザインだし。

 ビュエルバはどういうわけか、帝国軍によってあちこち封鎖されている。ともかくも鉱山に入ろうとしたら、妙な少年がむりやりついてくる。鉱山内部では、ビュエルバの君主オンドールと、帝国のヴェインが、どうやら結託しているご様子。
「ローラっていいだろ! パンニョロがワッフル!」(どうだっていいだろ、パンネロが待ってる、と、言いたかったらしい)
 ヴァンの一喝で、一行は鉱山の奧に。
 コウモリやゾンビを倒しながら鉱山奧に進むと、少年が破魔石とかいうけったいなものを持ち出したかと思いきや、牢獄で会った賞金稼ぎのトカゲが登場。どうやらパンネロを餌にバルフレアをおびき出すのが目的だったようです。
「コニャーロ! パンニョロはルッコラ!」(この野郎、パンネロはどこだ、と、叫びたかったらしい)
 ヴァン、興奮しないでもっとわかりやすく明瞭に発音して。ヴァンはやればできる子だって、先生は信じてますからね。
 ちなみにこのストーカートカゲ、えらく強いので、まともに相手したらあっさり全滅します。バルフレアに従って、さっさと逃げたほうがよろしい。

 鉱山の出口まで逃げ切ったら、少年の素性が割れ、ついでに偽名も割れる。どうして王家の奴らってのはどいつもこいつも偽名なんだ。それもどうして、どいつもこいつも頭文字が一緒という頭の悪い偽名なんだ。
 少年と一緒に逃げたパンネロと、帝国につかまったアマリアを助けるため、オンドール公爵と反乱軍にムリヤリ協力を求めるべく、「バッシュ将軍は生きている」という噂を流して回る一行。いや、この作戦もそうとう頭が悪いと思いますが、スポークスマンがヴァンというのはどうよ。
「オエバばっしぇダ!」(俺がバッシュだ、と言いたかったらしい)
「萌えの泡あっしゅ・ぼん・のうぜんかつら」(俺の名はバッシュ・フォン・ローゼンバーグ、と言いたかったらしいが、バッシュってユダヤ系だったのか)
「雄鶏後のバッチョはうろっふぁちだ」(オンドール公の発表は嘘っぱちだ、と言いたかったらしい)
「おえはまるますかのあっしゅ・門・騒然バグ」(俺はダルマスカのバッシュ・フォン・ローゼンバーグと言いたかったらしい)
「あっしはインテルど」(バッシュは生きてるぞと言いたかったらしい)
 こんなことを言われて真に受ける人間はまずいないと思うのですが。
 しかしなぜか噂は広まり(たぶん、バッシュの噂ではなく、変な莫迦がうろついてる、という噂だったんじゃないかと思う)、めでたくオンドール公の屋敷に招待、つーか連行。そこからめでたく逮捕され(またかよ)、帝国のリヴァイアサン飛空挺にご案内。そこでアーシェと再会。王女という素性を明かされて驚くヴァン。
「ぽいうが?」(こいつが、と言いたかったらしい)
「二科展にしろよ、揉まれて費用に時計なんてみゃだからな」(いいかげんにしろよ、お前と一緒に処刑なんて嫌だからな、と、言いたかったらしい)
 やがてウォースラに助けられて囚われの身から逃れ、ご一行は飛空挺脱出をはかる。


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