名探偵マリベル

 マリベルは城の全員を大広間に集め、口を開いた。
「さて、今回の事件では、城の中にモンスターが突如出現しました。誰かが手引きしてモンスターを引き入れないと、そんなことが起こるはずがない。あらかじめ城の住人に化けて、潜入していたモンスターがいるはずなのです。それは……」
 マリベルが指さし示した先には、城の学者がいた。
「ば、馬鹿な。わしは先代の三十年前からこの城に住み、王の教育係も勤めた身だぞ。それを……」
「動かぬ証拠はこれです」
 マリベルは手招きした。すると助手のアルスとガボが、ふうふう言いながら本棚をかつぎ込んできた。
「城の図書館はあなたの担当でしたね。一日のうち十五時間は図書館で過ごすとも聞いている。ところが、先ほど図書館を調べたのですが、この本棚からエビルバイブルが出てきましたよ。学者ともあろう者が、本を読みもせずモンスターの棲みつくままにしておくとは奇怪千万。さあ、さっさと白状なさい」


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