ドキュメント・モンスターパークの動物虐待の実態に迫る

「さて皆様お待ちかね、まったく進展が見られないときの穴埋め企画、『マリベルのフィッシュベル発24時間』の時間がやってまいりました。今回は『モンスターパーク・その杜撰な管理体制を暴く』です。では、VTR、スタート!」
(BGM:重苦しい音楽。ワーグナーかムソルグスキーが好ましい。中島みゆきも可。山崎ハコも可。谷山浩子は不可)
アナウンサー「ここはモンスターパーク。創業者の『すべてのモンスターが集い、お子様でも気軽にモンスターを観察できるパークを作る』という創立者シーブルさんの理念のもと、今からおよそ五年前に設立されました。入場者数もすでに三百万人を超え、ルーメン地方のアミューズメントパークとしてすっかり定着した感があります。しかしその実態は……」
(重低音の効果音。刀傷で瀕死のまま、檻に閉じ込められたスライムの映像)
アナ「ごらんください。すっかり傷ついたモンスター。いったいなぜ、パークのモンスターはこんなにも傷ついて送られてくるのでしょうか」
(モザイク加工した勇者一行の写真)
アナ「ここのモンスターの供給は、勇者一行が一手に引き受けています。私どもの調査の結果、供給のルートを確定することができました。彼らは、戦いで破れたモンスターを、このパークに送り込んでいるのです!」
マリベル「スタジオには、モンスター問題に詳しいアズモフ博士においでいただいています。博士、これはどういうことになるのでしょうか」
博士「戦いに負けたモンスターということになりますと、戦時捕虜の扱いになります。それを収容所に投獄するというのもかなり問題がありますが、見世物にするというのは、明らかな国際法違反ですね」
【テロップ:「勇者A氏にインタビュー【秘密厳守のため音声を変えています】」)
勇者「収容に際して、こっちからは一切強制はしていません。戦闘で負けたあと、むこうからこちらを慕ってくるんです。強制は一切ない」
博士「モンスターが降伏を表明したということですね。その自由と権利を奪ってパークに収容するというのは、さらに問題があります」
アナ「さらに深刻な実態が明らかになりました。なんと、ここに二年前から収容されている、くさったしたいとツボック。彼らは、収容されてから今まで、まったく食事を与えられていないということなのです!」
(テロップ:「飼育係P氏インタビュー【秘密厳守のため音声は変えています】」)
飼育係「いや、だって、あいつらの餌って、死んだ冒険者の魂なんだよ。そんなもん、与えられるわけないじゃないか。それともなにか? だれか殺して餌にしろっていうのかい?」
マリベル「今の話、どう思われますか、博士?」
博士「通常の環境下で飼育不可能なモンスターを収容するというのが、そもそも間違いなんですよ。なんでもかんでも収容するというところに、問題があるんですねえ」
マリベル「この杜撰な管理体制が、いつか改善される日がくるのでしょうか。それではまた明日。次回は、『収益率50%? ぼったくりカジノの黒い資金ルートを追う!』をお送りする予定です」  


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