マリベル・ジョーク

 リートルードに住むミミはとても勉強熱心だ。きょうも教会から帰ると、神父さんに習ったことを読み上げて復習する。
「勇者一行の働きによって、人民を縛る鎖はとりはらわれた……」
「ああ、勇者のことか。あの日のことは忘れないよ」ミミの母親は言った。
「勇者たちは家にやってきてね、私がタンスに隠していたぎんのネックレスを持っていってしまったよ」

 

 イワンと一緒になりたい一心で、カヤは夫のカサドールの食事に毒を盛っていたが、やがて発覚し、裁判にかけられた。愛する妻が自分を殺害するための毒薬をどうやって手に入れたか、そしてどのように食事に混ぜたか、そしてどのような甘言をもって食事に誘ったか……事細かにカヤが供述するのを聞いていたカサドールは、裁判の席であることも忘れ、かっとなって叫んだ。
「おまえのような性悪であばずれで冷酷な悪女に会ったのは、生まれてはじめてだ!」
 裁判長を勤めていたマリベルはカサドールをたしなめた。
「静かに、原告。あたしがここにいることを忘れないように」

 

 アルスはいつものようにマリベルに殴られ、宿屋のベッドの下に逃げ込む。マリベルに、
「さあ、観念してさっさと出てきなさい」
 と言われ、アルス、
「僕も勇者だ。出ないといったら、絶対に出ないぞ」

 

 フィッシュベルの網元で裕福なアミットの屋敷に、若い男がやってきた。
「おたくのお嬢さんと結婚したいのです」
「駄目だ」とアミットはにべもなく断った。
「私のこともご存知ないのに、なぜいきなり断るのですか?」
「あれと結婚しようなどと考える男は気に入らないね」


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