ササミでさっぱり

 前回のタルタルステーキはちとくどい味でしたので、今回はさっぱりといってみましょうか。
 さっぱりした肉といえば鶏肉。しかも脂身のないササミならばっちりです。

 ササミは脂身がないので、ボクサーや格闘家のダイエット食としてもよく利用されています。太らず筋肉をつけるために、鶏ササミとゆで卵の白身とバナナだけの食事をする人は多いようですね。ステロイドを使わないナチュラル筋力増強。
 なにしろ脂身がないので、焼くと固くぱさぱさになってしまいます。かといってササミチーズカツのように油で揚げては、せっかくのササミが活かされないような気がします。ということで半生で食いましょう。ササミのサシミ。

 できるだけ新鮮なササミを買ってきて、白い筋をとります。なに、どうせあとで切り刻むのですから、包丁で押さえつけてしごき取ればよろしい。
 筋を取ったササミは、鍋にわかした熱湯をくぐらせます。シャブシャブの感覚で、そうですね三十秒から、長くても一分。中が生でないと、今回の料理は楽しくないです。熱湯からあげたら、すぐに氷水で冷やします。

 まずはササミのタタキからいきますか。さっきのササミがじゅうぶんに冷えたら水気をふきとって、うすく小口切りにします。
 別に白ネギ、シソ、ミョウガをみじんに切って、ササミの上に盛り、最後におろしショウガをのせてアサツキを散らします。
 これに醤油をちょいとかけてできあがり。混ぜながら食べます。
 これは東海林さだお「ショージ君の料理大好き!」(新潮文庫)からのうけうり。

 次はササミの梅あえ。なに、簡単なものです。梅干しを包丁でみじんに叩いてペースト状にして、さっきのササミ小口切りとみじん切りのネギと一緒にあえるだけ。これは居酒屋のメニューから盗んできたのですが、梅干しによっては叩く前に水にひたして塩抜きしたほうがいいようですね。
 この梅あえというのも便利なもので、ササミだけでなく魚の刺身とあえてもいいし、キュウリをあえてもいいし、豚しゃぶを冷やしてあえてもいいし、おかかと刻みネギだけであえても酒の肴としてはいいものです。

 ふんわりと蒸す、というのもけっこうササミに合います。
 筋を取ったササミを包丁で開いて、ぺろんとした薄い一枚板にします。その一枚板にちょっと塩をして、マスタードを塗りたくり、これでとろけるスライスチーズと茹でたアスパラガスを巻きます。要するにいちばん外がササミ、その内側がマスタード、そしてチーズ、中心がアスパラガス、となるような海苔巻き状にするのですね。
 巻いたら、はがれないようにタコ糸で縛りつけ、白ワインをちょっと振りかけてラップし、レンジで五分から八分ほど加熱。荒熱が取れたら海苔巻きみたいに切っていただきます。
 これは冷えてもおいしい、というか冷えた方がおいしいので、お弁当のおかずにもいいのです。ササミはどっちかというと、冷やす料理の方がおいしいようですね。さ、寒みーというくらいで<いやホンマに寒い


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