コンピュータ関連資格試験傾向と対策

情報処理技術者試験

　昭和４４年に始まった試験で、当時はコンピュータと言えば大型機が主流だった。
もちろんパソコンなどというものはそのころの世の中に無かった。
企業で働くプロのシステムエンジニアや、プログラマーのための資格試験として始まった経緯がある。
今でも「プロのコンピュータエンジニアのための試験」という方向は発足当時のままだ。
一般のパソコンユーザーの為の試験ではない。
将来コンピューター関連のシステム設計やプログラミングの仕事に就きたい人の為の試験だ。
コンピュータ関連を専門に勉強している専門学校の学生でも合格は難しい。
一般の人が目標にできるのは、初級シスアド試験くらいだけだが、それでもかなり難関だ。

ＣＧ検定、画像処理検定、マルチメディア検定

　これらは最近流行の最先端の分野の資格試験だ。
それぞれ一級から三級まである。
出題範囲は、ＣＧ、画像処理、マルチメディア関連の専門事項の他に、コンピュータ関連の一般的な事項もある。 コンピュータ関連の問題は、初級シスアドなどの勉強をしていればかなり易しい問題だ。
三級はかなり易しくて、試験問題集を試験前に一週間ほど勉強しておけばいい。
二級はやや難しいが、それでも一月ほど問題集と参考書を勉強すればなんとかとれる。
とはいってもCGや画像処理の出題では座標変換、や曲線の方程式などもあり、数学の勉強をあまりしていない、専門学校の学生にはかなりの難関だ。
一級は一次試験、二次試験、三次試験とあり、一次試験は筆記、二次試験は作品提出、三次試験は実技だ。
一次試験はマークシーと筆記試験。
マークシートは問題が難しくて、出題数も多い割に解答時間が短くて、よほど時間配分をうまくやりくりしないと問題をやり残してしまう。
それに行列を使った座標変換や、曲線の数式などはかなり高度な問題も多い。
その割には筆記試験はやさしいというのが不思議だ。
作品提出は、きちんと予定を立てて準備しないと、締め切り間際に慌てて徹夜する羽目になるので要注意。
実技はパソコンを実際に使ってのプログラミングで受験地が東京と大阪くらいしかなく、地方の人は受験が大変だ。
限られた時間内にプログラムを完成させなければいけないので、実技試験は相当大変で普段からプログラムの仕事をしている経験がないと合格は難しい。
二級と三級は同時受験ができるので、まとめて受験するのが効率がいい。
画像処理検定は内容がちょっと専門的で、大学で「画像処理」関連の授業を受けてないと独学での勉強は難しい。
しかし「画像処理」を専門に勉強している人にとってはかなり易しい試験だ。
それぞれの検定についてCG-ARTS協会から、標準の教科書が出版されているので、それを購入して勉強するのが一番の近道だ。
過去問題も同じCG-ARTS協会から出版されているので事前に入手しておけばいい。
これらの本、一般の書店にはなかなか置いてないので、以前は取り寄せるのが大変だったがいまではインターネットの通販で簡単に入手できる。
早めに購入しておかないと、間に合わないので試験の申し込みをしたらすぐに買っておいた方が良い。
行列や座標変換の基礎知識は、CG-ARTS協会の教科書には詳しくは書いていないので、大学などで使用する教科書を買う必要がある。
行列や、座標変換を扱う数学、一般には「線形代数」とか「ベクトル空間」などの名称で出版されており、相当むずかしくて独学でも最低でも半年程度かかる。

2005年11月より、試験区分が、「CGクリエイター検定」「CGエンジニア検定」「マルチメディア検定」に改訂された。 「CGクリエイター検定」はさらに「ディジタル映像部門」「Webデザイン部門」に別れていて、 「CGエンジニア検定」も「CG部門」「画像処理」部門に別れていてる。
どの区分を受験して良いのか、なかなか判断が難しい。
試験の概要で判断する限りでは、「CGクリエイター」部門が新設され、従来のＣＧ検定と、画像処理検定は「CGエンジニア検定」に名称がまとめられた印象だ。
新区分での試験は始まったばかりなので、対策をたてるのはなかなか難しい所だ。

受験者数
平成１５年 ＣＧ検定 21443人 マルチメディア検定 20934人 画像処理検定 4769人
平成１６年 ＣＧ検定 19156人 マルチメディア検定 22647人 画像処理検定 4020人
平成１７年前期 ＣＧ検定 6539人 マルチメディア検定 7657人 画像処理検定 1759人
平成１７年後期 ＣＧクリエイター 8115人 ＣＧエンジニア 5821人 マルチメディア 7582人
平成１８年前期 ＣＧクリエイター 3518人 ＣＧエンジニア 3214人 マルチメディア 4519人

Ｊ検定 情報処理活用能力検定

　専修学校教育振興会が主催する検定。
専門学校でコンピュータを学ぶ学生が受験するにはちょうどいい内容になっている。
一級、二級、準二級、三級がある。
三級は、コンピューターリテラシーで、普通にコンピュータを使える程度の知識だ。
準二級は、ちょっと内容が変わっていて、あまりコンピュータの試験らしくはない。
二級は、やや難しいがそれでも専門学校で勉強する範囲の知識だ。
一級はシステム設計になっていてかなり難しい。
二級、準二級、三級は同時受験ができるので、まとめて受ける人が多い。

受験者数
平成１５年後期 一級 972人 二級6235人 準二級 5692人 三級 10083人 合計 22982人

ＰＡＴ認定試験 旧パソコン認定試験

　初回の実施が1983年というかなり歴史の古い資格試験だ。
以前はパソコン認定試験という名前だったが最近ＰＡＴ認定試験と名前が変わった。
以前は、一級、二級、三級、四級の区分だったが、ＰＡＴ試験になってからは一級、準一級、二級、三級の区分になった。
試験の内容も以前はプログラミングが中心だったが、ＰＡＴ認定試験になってからはインターネットに関連する内容が多くなった。
二級と三級の同時受験が可能なのでまとめて受ける人が多い。
一級は隔年にしか実施されず、しかも準一級に合格しているのが受験の条件となる。
したがって、一級を合格するためには、場合によっては３年くらいかかり、最短でも１年かかる。
在学中に資格を取りたい学生にとっては、かなり都合が悪い。

教育情報化コーディネータ検定試験

　教育現場でパソコンやインターネットの管理を行う管理者向けの資格だ。
教員免許ではないので、資格を取っても学校で授業ができる訳ではない。
また、教育情報化コーディネータという職種があるわけでもないので、就職に役立つ資格でもない。
一級、二級、準二級、三級があるが、一級はまだ実施されていない。
三級はコンピュータによる出題だが、かなり難しい内容なので、実際に学校でパソコンやインターネットの管理を行っている教員でないと合格は難しい。
出題される内容も学校以外ではあまり役には立たない。
二級は一次試験が「選択式問題」と「小論文」。
二次試験が、課題提出と、口頭試問。
よっぼどやる気のある人でないと、二級を受ける気力は起きないだろう。
準二級は二級の試験の一次に合格するともらえる。
試験会場がかなり限られているので地方の方はかなり受験が大変だ。試験にパソコンを使うので、会場の定員もあり早めに申し込んだ方がいい。
受験の申し込みはインターネット経由のオンラインでしか出来ない。
「受験の申し込みが出来ること」からもう試験が始まっているということだ。
合格者は名前がインターネットのホームページで公開される。
もちろん匿名にしてもらうのも可能だが、匿名にする理由もないと思う。