ワープロの指導

1.ローマ字の指導

 ローマ字の指導は、簡単なようですがと以外と大変なものです。
それは、普通の平仮名の50音のほかに、濁点「゛」半田句点「゜」
「っ」の入力、「ちゃ」、「ちゅ」、「ちょ」、「じゃ」、「じゅ」、「じょ」
など、なかなか入力の仕方がすぐには分からない文字が多いからです。
また、ローマ字の場合は打ち方が一通りでない場合もあります。
 美佳のタイプトレーナでは、50音の入力のほかは濁点「゛」と半田句点「゜」
の入力練習しかありません。
ほかの、難しい入力の仕方は、ワープロの指導をするさいに、順次教えていけば
いいと思います。
最初にローマ字の入力の仕方の表を生徒に配ったり、
教室に大きな紙に書いて張ったり、
パソコンのわきにすぐに小さく張ったりして、
いつでもすぐ分かるようにしておくと、生徒は入力の練習が楽になると思います。
また「ん」の入力については、
いつも「NN」とNを必ず二回打つように指導したほうが、
打ち間違いはすくなくなると思います。

2.漢字変換の指導

 漢字変換の指導もワープロの指導のなかでは、かなり手間のかかるものです。
使う仮名漢字変換プロセッサーの種類により操作が異なるのも問題点の一つです。
それ以外にも、変換がなかなかうまくいかないときに、
どう操作したらいいのかの指導もしておかなければいけません。
変換がうまくいかない例を前もって探しておいて、
こうゆう場合はこう操作するという手順を前もって調べて置く必要があります。
また、例えば生徒が自分の名前を入力しようとしたとき、クラスに何人かは必ず
辞書にない名字や、名前がでてきます。
このような字の入力の仕方としてJIS漢字表の見方まで教えなければなりません。
また、記号の入力の指導なども行う必要があります。
 ワープロは通常、特に教育用には作成されていない場合がほんとどだと思います。
したがって、辞書には通常使わないような漢字も多数登録されています。
「よろしくお願いします」を変換すると「宜しくお願いしますと」
なってしまいます。
このような漢字は正しくても、通常はほとんど使いません。
漢字変換の指導は、「変換キーを押して、出た候補の字を選ぶ」というだけでは、
すまないことを、よく考えて授業の予定をたてたほうがいいでしょう。

3.ワープロの指導

 かな漢字変換の指導が一通り終わったら、いよいよ生徒にとっては待望の
ワープロの授業になります。
生徒に課題となるプリントを配って入力練習をします。
タイプ練習の教科書などにある見本の課題は、多くの場合、ワープロ検定の
ための課題です。
学生にとってはそれほどなじみのある文章でもないので、入力しても
あまり面白いものではありません。
 私が女子短大で授業をしたときは、宮沢健治の銀河鉄道の夜や、
オズの魔法使いなどを使ってみました。
童話は、漢字が少ないので、初めのころの練習には適していると思います。
最初はなかなか速く打てないので200字程度の課題を渡して、
生徒の上達具合いを見ながらしだいに課題の文字数を増やしていきます。
課題のプリントは、本を直接コピーして渡すのではなく、
先生が一度ワープロで打って、プリントアウトしたものを渡したほうがいいでしょう。
入力ができない漢字や、記号などがあったりする場合があるからです。
プリンターから打ち出した漢字は、小さい文字なので、生徒に渡すプリントは
拡大コピーをして、文字をできるだけ大きく、見やすくして作成すると、
いいと思います。
 そのあとは、文章の複写や、移動、罫線や、文字飾りなどの操作を、教えれば
いいでしょう。
 だいたいワープロを打てるようになったら、
自分の自己紹介をワープロで打たせるとか、作文を作らせるとか
いろいろ授業に工夫するといいでしょう。

4.英文タイプ

 いまは国際化の時代です。
外国のとも簡単に電子メールのやりとりができます。
したがって、たとえ日本語ワープロの授業でも、
英文タイプについても、すこしは教えておいたほうがいいでしょう。
しかし、日本語ワープロのなかには、英文タイプの機能がまったくないものが
あります。
このようなワープロでは、英文タイプを教えることができません。
しかし、別の英文ワープロソフトの使い方を教えるというのも、
また授業の手間がかかってしまいます。
美佳のシリーズには「英文タイプ、テキスト練習編」というタイプ練習ソフトも
あります。
このソフトを使えば、英文タイプについては、簡単な練習ができます。
練習テキストは、あらかじめいくつか付属していますが、
英語の授業で使っているテキストの文章などを使うといいと思います。

5.ワープロ検定

 ワープロ検定は、生徒にとってよい目標になりますし、
合格すれば、自信もつきます。
資格を持っていると将来就職などでいろいろと役にたつものです。
ワープロ検定の受験には、積極的に取り組むようにしたほうがいいでしょう。
ワープロ検定には、1級から4級まであります。
1級はかなり難しくて、プロのワープロオペレータでもなかなか合格は難しいと、
思います。
 ワープロ検定の受験で気をつけなければいけないことがあります。
それはキーボードのことです。
普段練習で使っているキーボードと違うキーボードを使うと、
なかなか速く打つことができません。
ワープロ検定の練習をするときは、受験の時使うワープロのキーボードで
練習するようにしましょう。
また、和文入力の場合は、使うワープロの性能によって、
入力の速度がかなり極端に違ってきますので、その点も注意しましょう。

 美佳のシリーズにはワープロ検定練習用に「美佳のチャット体験トレーナ」という、
タイプ練習ソフトもあります。
これは、パソコン通信のチャットをまねたタイプ練習で、たいへん面白い
内容になっています。
しかし、練習テキストは、パソコン通信についての紹介が主な内容なので、
必ずしも授業の教材には適してはいません。
練習テキストは自由に変更できますので、生徒に応じて、
先生が練習テキストを作ってみて下さい。