「天武記」によれば、天武14(西暦685)年に、天皇が大安殿に親王や貴族を集めて、博戯の会を催した、と記されています。博戯は、ばくちのことで、この時の賭博用具は雙六盤である、とするのが通説です。
源氏物語の「常夏の記」に、近江の君と五節の君が雙六を遊んでいるありさまが描かれています。ここで遊ばれている雙六は、長さ1尺2寸、幅8寸、厚さ3寸ほどの木の盤を使って遊ぶゲームです。盤面には12に区切った升目が2列に並んでいて、筒に入れた2つのサイコロをふって、双方、白黒15戸ずつの丸い平たい駒を進めます。
源氏物語にも描かれていることからもわかるように、貴族のあいだで愛好されたもので、清少納言の枕草子にも「つれづれになぐさむもの、碁、雙六、物語」と記されています。