修羅の末裔
MAHIRO MEMORIES
踏絵。

江戸時代、幕府が隠れキリシタンを探す為に民衆に踏ませたキリスト像のプレート。

キリシタンたちはこの踏絵を踏むことが出来ず、
磔にされて行った…。

その事を題材にした小説『沈黙』の中で、
作者の遠藤周作はイエス・キリストにこう言わせている。
「踏むがいい。お前の足の痛さをこの私が一番よく知っている。私はお前に踏まれる為、この世に生まれ、お前たちの痛さを分かつ為、十字架を背負ったのだ」

そう、イエスは民衆が踏絵を踏むその痛みまでをも既に背負っていた。

宗教的にはニュートラルで無宗教な私も、この話には多少なりとも感動しました。




さて、



話は変わりまして。





私、先日、会社の面接試験を受けてまいりました。





といっても、今まで無職だったわけではなくリストラされたわけでもないのですが。




なんとなく、よさげなので受けて見る事にしたのです。




地元の某食品会社です。
主にトマト製品を扱っています。
…と書くと、どこの事なのか分かってしまいますが…。









私は、採用担当者の方と話をしながら、「トマトが好きなんですよ」「家庭の食卓を支える御社にぜひ入社したいと存じ…」など、ありとあらゆる文言を使って、いかにこの会社に入りたいかをアピールしました。










そして、面接も終りになり、その採用担当者の方が、ほとんど談笑のように、















「じゃあ、トマトジュース飲みますか?持ってきますから」




「じゃあ、トマトジュース飲みますか?持ってきますから」




「じゃあ、トマトジュース飲みますか?持ってきますから」














トマトジュース。

















幼少のころ、何度挑戦しても、一口で吐いてしまった、マヒロにとっての脅威の飲み物。

















友達に「トマトジュースだけは、地球の終りまで飲まない」と公言した事もある、
匂いだけでマヒロを駆除できるマヒロ用樟脳。












たしかに、トマトは好き、
でもジュースとなると…。












飲んだ後、正気でいられる自信が有りません。





















笑顔でトマトジュースを持ってくる採用担当者。







笑顔で渡してくれる採用担当者。







「トマトジュース苦手ですか?」と気遣いをみせる採用担当者。

















「いいえ。大好きです」と
即答するマヒロ。



















踏絵。

江戸時代、幕府が隠れキリシタンを探す為に民衆に踏ませたキリスト像のプレート。

キリシタンたちはこの踏絵を踏むことが出来ず、磔にされて行った…。

その事を題材にした小説『沈黙』の中で、
作者の遠藤周作はイエス・キリストにこう言わせている。
「踏むがいい。お前の足の痛さをこの私が一番よく知っている。私はお前に踏まれる為、この世に生まれ、お前たちの痛さを分かつ為、十字架を背負ったのだ」

そう、イエスは民衆が踏絵を踏むその痛みまでをも既に背負っていた。













トマトジュース。













現代の踏絵がここにあったか。



隠れキリシタンたちの気持ちがわかったような気がしました。



飲みましたよ。




まあ、どういうわけか、受かっちゃいましたけれども。

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