ヤン・トーロップ

Yan Toorop

(1858-1928)

 

あまり好きな画家ではない。嫌いといっていいが、絵画史の上では重要なので取り上げる。

ジャワ島で生まれ、少年時代をそこで過ごす。14才の時にオランダに移住した。アムステルダムとブリュッセルのアカデミーで学び、その時にアンソールらに出会いサンボリズムの洗礼を受ける。

一方彼はヴェルハーレンやメーテルリンクら文人と交流があり、ヴェルハーレンとは1884年に一緒にイギリスに旅行した。ロンドンではモリスやラファエル前派の影響を受け、翌年旅したアイルランドではケルト美術にも傾倒した。そこで地元の女性と結婚している。同年「20人会」に参加した。

 

トーロップの絵にはジャワやケルトの意匠、アンソールやモリスやロゼッティの影響が複雑にからみあっている。その上好奇心旺盛で新しい技法の開発に貪欲だったので、一つの形式で捕らえる事が出来ない。それにしても私にはデッサン力の不足や人物像の浅さが目につく。幽霊のような女性像も好きになれない。

1900年にパリの国際美術展で銀賞を受けたのが頂点で、1905年にはカトリックに改宗。以後サンボリズムから遠ざかり、キリストやマリアの単純な画像を描くようになった。こういう転向の仕方もどうも気にくわない。

 

「運命」紙・クレヨン、チョーク(1893

デルフト・サラダオイルのポスター(1894)

 

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