ホルマン・ハント
William Holman Hunt
(1827 - 1910)



言わずとしれたラファエル前派を創立した3人の画家の一人。
 生真面目な職人肌の人物だったらしく、ラファエル前派のテーゼ「忠実な自然の再現」を生涯貫いた。反面、ミレイの俗世間を騒がす器用さやロゼッティのロマンチシズムとは無縁の石頭、という印象もある。
 ロンドンに生まれ、ロイヤルアカデミーに学ぶ。そこでミレイ、ロゼッティと出会う。ラファエル前派の理論に忠実な最初の作品「リエンツィ」(1848)はハントが制作した。(もちろん世俗的な成功はミレイの「オフェーリア」(1852)であるが)
 イエスの生涯を連作にするために1854年、69年、73年パレスティナを旅し、そこから彼の代表作が産まれている。
 ハントの画法は現代では「魔術的リアリズム」と呼ばれている方法に近い。存在そのものがロマン的なのだと言えないことはないが、そこに何か欠けているものが感じられる。イエスの生涯というテーマ自体が現代では陳腐であるからということだけの問題なのか、そこはよくわからない。
 本の挿絵は多くないが、シャーロットの乙女の図は名高い。

「無垢の勝利」 キャンバスに油彩 1.57M*2.48M 1876−87年


「テニスン詩集/シャーロットの乙女」 挿絵 1859年


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