エドマンド・デュラック
Edmund Dulac
(1882 - 1953)

 史上最高のイラストレーターといえば、実力・人気からしてこのデュラックかアーサー・ラッカムのどちらかだろう。デュラックの特色はドラマチックで華麗な舞台設定・構図の派手さ・現代感覚あふれる造形感覚・デッサン力、などなど賞賛すべき点ばかりである。反面、ラッカムの持つ素朴で荒々しいリアリズムに欠けるとも言える。あとは好みの問題かもしれない。どちらにせよ絵本世界の一大巨人であることは間違いない。
 フランスはツールーズに生まれ、ツールーズ大学からツールーズ美大、さらにパリのジュリアン王立美大に学んでいる。
 1906年にイギリスに来てラッカムの絵本に出会う。画廊を通じて絵本出版社H&Sと知り合い、翌年に「アラビアン・ナイツ」を出版した。これが成功し、以後たくさんの作品を発表した。
 当時の常として日本の浮世絵に大きな影響を受けているが、さらにインドのミニアチュール(細密画)や中国の絵画にも通じていて、その技術を女縦横に使っている。この絵画的バックボーンの広さが彼の魅力を形づくっているのだろう。

「アラビアン・ナイツ」挿絵
1914年

「真珠の王国」挿絵
1920年

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