「レ・ミゼラブル」裏舞台

<主な製作者スタッフ>

原作・・・・・ヴィクトル・ユゴー

制作・・・・東宝株会社

製作協力・・・・キャメロン・マッキントッシュ
<日本公演スタッフ>

作・・・・・・・・・アラン・ブーブリル/クロード=ミッシェル・シェーンベルク
潤色、演出・・・・・ジョン・ケアード/トレバー・ナン
音楽・・・・・・・・クロード=ミッシェル・シェーンベルク
作詞・・・・・・・・ハーバート・クレッツマー
翻訳・・・・・・・・酒井洋子
訳詞・・・・・・・・岩谷時子/青井陽治
編曲・・・・・・・・ジョン・キャメロン
音響・・・・・・・・アンドリュー・ブルース/オートグラフ

衣装・・・・・・・・アンドレアーヌ・ネオフィトウ
照明・・・・・・・・デイビッド・ハーシー
装置・・・・・・・・ジョン・ネピア

オリジナルフランス語テキスト・・・・アラン・ブーブリル/ジャン・マルク・ナテル
資料提供・・・・・ジェームズ・フェン

<オーケストラ・メンバー>
 指揮・・・・・・・松岡究/佐藤和男         シンセサイザー1・・・間野亮子
 フルート・・・・・松田裕子                 シンセサイザー2・・・河辺大
 オーボエ・・・・・斎藤潔                   ヴァイオリン1・・・・林由美
 クラリネット・・・清水万紀夫               ヴァイオリン2・・・・岡本しおり 
 ファゴット・・・・藤田旬                   ヴァイオリン3・・・・外村京子
 ホルン1・・・・・松田知                   ヴァイオリン4・・・・向井明生
 ホルン2・・・・・山添純                   ヴァイオリン5・・・・中山圭
 トランペット1・・野村毅                   ヴァイオリン6・・・・岡村美央
 トランペット2・・佐藤喜久雄               ヴィオラ1・・・・・・宇佐美久恵
 トランペット3・・三田地裕                 ヴィオラ2・・・・・・真中千晴
 トロンボーン・・・渡辺順平                 チェロ1・・・・・・・鈴木和生
 ギター・・・・・・原とも也                 チェロ2・・・・・・・嶋直樹
 ベース・・・・・・小泉僖美雄
 パーカッション・・長谷川友紀
 ドラム・・・・・・山本修
<受賞の数々>
第41回トニー賞8部門受賞(トニー賞とは舞台演劇界の最高峰の賞です)
           ・最優秀ミュージカル賞
           ・最優秀ミュージカル脚本賞
           ・最優秀オリジナルスコア賞
           ・最優秀ミュージカル助演男優賞
           ・最優秀助演女優賞
           ・最優秀助演男優賞
           ・最優秀装置デザイン賞
           ・最優秀照明デザイン賞
           ・最優秀ミュージカル演出賞
昭和62年度 文化庁芸術祭賞

第14回 菊田一夫演劇賞特別賞

雑感

このミュージカルもすごいスタッフで占められていますね。ユゴーの原作は単行本で5冊にもなる長編小説なんですけど、よくもまあ、うまくまとめたなあと思います。(97年公演前に小説を読んだんですけど、んまあ・・・長い長い!でも、読み始めると止まらなくなりました(笑))
オーケストラもかなりのメンバーがそろってますねえ。男女均等にいらっしゃるようです(^^;)指揮者によって音楽の感じが違うっていうのも魅力のひとつかも。
昨年初演から10周年を数えた「レ・ミゼラブル」。きっと、また20年30年・・・と続くことでしょう(^^)


「レ・ミゼラブル」お話

プロローグ

1815年、ジャン・バルジャンが19年の刑期を終えて仮釈放になる。ところが、世間の風は冷たくバルジャンの心はすさんでいく。ある日、バルジャンに手を差し延べてくれる司教が現われる。ところが、すっかり心がすさんでしまったバルジャンはその恩に報いるどころか司教の目を盗んで銀の食器を盗んで(祐一郎バルジャンはパンも盗んでます(笑))再び警察に捕まってしまう。それを救ったのはバルジャンをかくまった司教だった。司教は銀の食器のほかに銀の燭台を手渡し、「正しい人になりなさい。あなたの魂は私が買った」とバルジャンに人間としてのあり方を教えて去るのだった。
この瞬間、バルジャンの中で何かがはじけ、これから生まれ変わろうと決意するのだった。

第一幕

1823年、ジャン・バルジャンは名前をマドレーヌと変え工場主となりまた、市長の地位も得ていた。しかし、時代は不況の波が押し寄せており工場の外は失業者で溢れかえっていた。
あるとき、バルジャンの工場内でファンティーヌと仲間の喧騒が起こる。ファンティーヌは必死にその場に現われたバルジャンに訴えようとするが彼はそれを聞き入れずに立ち去ってしまい結果工場をクビになってしまう(市長様、急いでいたのか・・?)
帰ってこない恋人との子供をテナルディエ夫婦に預けていたファンティーヌには養育費が必要であったため、金策のためついに娼婦に身を落としてしまう。ところが、そこでも客(?)と騒ぎを起こしてしまい逮捕されそうになるが、通りかかりすべてを見ていたバルジャンによって助けられるのだった。
しばらくしてその場に馬車が暴走してきてフォーシュルバンがその下敷きになってしまう。民衆が恐れて馬車に近づけない中、バルジャンは果敢にもその重荷を持ち上げフォーシュルバンを救い出すのだった。その様子を一部始終見ていたジャベール警部は、仮釈放のまま姿をくらました怪力のジャンバルジャンを思い出してしまう。バルジャンが悟られるのではと思っていたところ、すでに「バルジャンは逮捕された」とジャベールは言い残し去っていく。
それを聞いたバルジャンは「工場の人たち」をとるか「自分の罪を明かし牢に入る」ことをとるか激しい苦悩に陥る。しかし、無実の罪の人が自分の代わりに牢に入ることをどうしても見過ごすことができなかったバルジャンは自ら裁判所に出向き、本物のバルジャンは自分だと明かし「病院にいる」とジャベールに言い残して去るのだった。
一方、ファンティーヌは死の床にあり娘のコゼットの幻を見ていた。そんな彼女を目の当たりにしたバルジャンは「娘は自分が必ず守る」とファンティーヌに誓う。その言葉に安心したファンティーヌは静かに世を去るのだった。しかし、病院に現われるジャベール。(ファンティーヌが死ぬのを待ってたのか?(^^;))ファンティーヌと子供を守る約束をしたバルジャンは、バルジャン逮捕に燃えるジャベールを振り切り再び逃走するのだった。
コゼットを預かるテナルディエ夫妻は宿屋を経営していたが、コゼットへの当たりは強く、娘のエポニーヌを溺愛していた。ある日、暗い夜道を水を汲んでくるように言いつけられたコゼットは森の中でバルジャンと出会う。バルジャンはテナルディエ夫妻に大金を支払ってコゼットを引き取るのだった。(バルジャンは子供好きだった!)

1832年のパリ。ガブローシュ少年が仕切る街中では悪党一家となったテナルディエや気の狂った娼婦、こじきが溢れかえっていた。そんな街中に学生リーダー、アンジョルラスとその親友マリウスが、民衆の味方であるラマルクが重病であることを告げにやってくる。アンジョルラスは必死に民衆に政府軍の腐敗を訴え支持を集めるのだった。
そんななか、すっかり年老いたバルジャンと美しく成長したコゼットが施しにやってくる。偶然出会ったコゼットとマリウスはその一瞬でお互いに一目ぼれしてしまう。(まさに、運命的出会い・・・)そんななか、テナルディエ一家に襲われそうになったバルジャンは再びジャベールと遭遇してしまう。ところがバルジャンに気づかなかったジャベールは彼を取り逃がしてしまい、必ず捕らえてみせることを星に誓う。(ガブローシュやエポニーヌにまでバカにされる、哀れなジャベール(笑))
一方、どうしてもコゼットを忘れられないマリウスはエポニーヌにその居場所を探してくれるように頼む。マリウスにずっと恋していたエポニーヌは複雑な思いを抱きながらも、それを承知してしまうのだった。
ABCカフェではアンジョルラスをリーダーとする学生達が結集し、暗い世相を何とかしようと明日への夢を語り合っていた。コゼットへの恋に想いを巡らせていたマリウスも、彼らと共に戦うことを誓う。そんなとき、ガブローシュが「ラマルク将軍の死」を伝えにやってくる。今こそ立上がる時!学生達は街へとびだし、民衆に決起を呼びかける。
さてコゼットもまた、マリウスへの恋心に胸ときめかせていた。娘の変化に戸惑うバルジャンは「過去をすべて教えてほしい」というコゼットに未だ心を開けずにいた。バルジャンが立ち去った後、エポニーヌに案内されてやってきたマリウスはコゼットへの愛を告げる。同じ想いだったというコゼット。(初々しい二人・・・)
ところが、バルジャンから金を奪おうというテナルディエ一党がやってくる。その場を救ったのはマリウスに恋心を抱いていたエポニーヌの叫び声だった。これに驚いたバルジャンはコゼットから事情を聞き、ジャベールがまた自分を捕らえにやってくると思い込んでしまう
外国へ立ち去ろうとするバルジャン、バルジャンを捕らえようとするジャベール、自由への戦いに燃えるアンジョルラスや学生、お互いの想いに心ゆれるマリウスとコゼット・・・・それぞれがやがて来る明日を思い描いていた。

第二幕

決起に燃える学生達はバリケードの準備を進めていた。そこへやってきたエポニーヌの身を案じたマリウスはコゼットへの手紙を託し、その場からエポニーヌを遠ざけようとした。手紙をバルジャンに届けたエポニーヌは、自分の気持ちを分かってくれないマリウスに悲しい想いを馳せながら街中を歩き続けるのだった。
その頃バリケードでは、学生の味方を装っていたジャベールガブローシュ少年に見破られ(やはり、彼は間抜けだったのか・・(^^;))捕らえられていた。ジャベールが居酒屋へ連行されたところへコゼットへの手紙を届け終ったエポニーヌが撃たれ傷つきながらバリケードに帰ってくる。マリウスの必死の呼びかけも虚しく、最後にマリウスへキスをしたエポニーヌはそのまま帰らぬ人となってしまう。激しいショックと深い悲しみにくれるマリウス。
そこへ、手紙を読みマリウスを探しに来たバルジャンが敵の軍服を着てやってくる。ちょうど政府軍の攻撃が始まった。バルジャンはその戦いで大きな功績を残しアンジョルラスの信頼を得、捕らえられたジャベールの処遇を任される。しかしバルジャンは、「殺せ」というジャベールに「戦いが終わったら捕らえろ」とその場から彼を逃がしてやるのだった。
ひとときの憩いの中、マリウスの寝顔を見たバルジャンは「自分は死んでもいいから、彼を家に帰してほしい」と神に祈る。(この時マリウスを息子だと思うんですねえ)しかし、その憩いもつかの間、民衆が誰も決起してこないと悲痛にくれるアンジョルラスの声が響く。女性と子供をバリケードの外に出した後、政府軍の攻撃が始まる。銃弾が足りないと騒ぐ中、戻ってきたガブローシュ少年がバリケードの外へ弾を集めに出、集めた弾を仲間に託すと銃弾に倒れて死んでしまう。
ガブローシュの死に深い悲しみと怒りに満ちた学生達。「死のう!」というアンジョルラスの言葉に無我夢中で戦い続けた彼らだったが、アンジョルラスをはじめとし、皆銃弾に倒れ死んでしまう。危うく難を逃れたバルジャンは奇跡的にマリウスが生きていることを確認すると、彼を救うべく下水道へ逃げ込む。
下水道で学生の死体を持ち込み、その身についていた金品を奪い続けていたテナルディエは、バルジャンがマリウスを背負ってくるところを見てしまう。それに気づかないバルジャンは自分の肩の負傷も省みず、必死にマリウスを病院まで運ぼうとするが、そこでまた再びジャベールと遭遇してしまう。(まさに執念だな・・・)マリウスを病院へ連れて行くほうが先だと力説するバルジャンに負けたジャベールは捕らえられずに逃がしてしまう。このことで錯乱状態に陥ったジャベールはその身をセーヌ川に投げてしまうのだった。(最期は哀れだった・・・)
一方、一人生き残ってしまったことに深い悲しみと悔しさを感じていたマリウスは、いまだに誰が自分を救ってくれたのか知らずにいた。嘆き苦しむマリウスを支えたのはコゼットの温かい愛情だった。その様子を見たバルジャンはマリウスに自分の過去をすべて告白(ここは感動的)すると、そのままコゼットを託し姿を消してしまう。
やがてマリウスとコゼットの結婚式が行われる。結婚式会場でテナルディエ夫妻からバルジャンが死体を背負っていたと聞かされたマリウスはそれが自分であり、その命をバルジャンに救われたことを知り、コゼットを連れてバルジャンの元へと急ぐ。しかし、コゼットとマリウスが駆けつけた時にはバルジャンはすでに死の床にあった・・・・

雑感

「レ・ミゼラブル」の邦題は「ああ、無情」・・・・・こうしてあらすじだけ見てみるとまさに、「ああ、無情」な話だなあと実感してしまいました。でも、ミュージカル版よりも小説のほうが無情度(^^;)が高いかもしれません。
ジャン・バルジャンの人生ってこうやって見ると本当に虚しいです。仮釈放から逃げ延びて、最後までジャベールから逃げ回ってて、ようやくほっとするという時にはもう死の床・・。ジャベールもその人生の半分はバルジャン追跡に費やしながら最後は身投げ・・・虚しすぎるなあ。
ところが、これが舞台になるとただ虚しいだけじゃ終わらないからすごい!舞台は生き物なんですね。


「レ・ミゼラブル」の音楽&みどころ

「レ・ミゼ」は全編歌のミュージカルです。みどころといえば、全部なのですが膨大な量ですので特に印象深いものを取り上げます。(あくまでも私見で)

「バルジャンの独白」(Valjean's Soliloquy)

ここはバルジャンの最初の大きなみどころです。私はいつもこの場面でトリハダがたってしまいます。司教様に「あなたの魂を買った」と言われた後に自分のやったことの罪をとても後悔するんですけど、その迫力がすごい!鹿賀さんの「なぁんということをしたのだ!」というはじめの部分にビクッとするし、滝田さんの全身全霊を込めたようなものすごい歌い方にもドッキリするし、祐一郎さんの「石のように〜・・・」「ジャンバルジャンは死んで〜・・・」部分のオリジナルキーにはゾクっとするし、ともう三者三様、感動しまくりなのです(笑)

「ラブリィ・レイディ」(Lovely Ladies)

この歌で感動するわけではないのですが(^^;)隠れコゼットとエポニーヌを探すだけでも楽しいのです。特に、純名さんの娼婦はコゼットとは思えないようなものすごい格好してます(苦笑)完全に乱れまくってます(^^;)この役のほうが楽しいのかな?島田さんの娼婦はエポニーヌと違ってずぅっとウジウジしてます(苦笑)でもこれが可愛らしいんですけど。山田ぶんぶんさんの娼婦長(?)好きだったなあ。すごい迫力なんだもの!

「裁き」(The Trial)

バルジャン第二の大きなみどころといえばここです!ここでも私はビリビリと鳥肌がたっております!ジャベールが自分を本物の市長だと信じていることに対するバルジャンの葛藤シーンなのですが、ここを見るたびにいつも私だったらどちらを選ぶだろうかと考えてしまいます。だから、市長という地位を捨てて自分を明かすクライマックスはもう、涙涙なんですよねえ(;o;)3人のバルジャンの中で一番感動してしまうのがやはり、鹿賀バルジャンですね。葛藤するバルジャンを演じたら、もうこの方しかいないと思えるほど・・・・観ていて胸が締め付けられるような感覚に襲われます。(鹿賀バルジャンの「だれだぁぁ」は絶品です)

「ファンティーヌの死」(Faneine's Death)

娼婦に身を落としたファンティーヌが病に倒れ、その死の間際にバルジャンに自分の子供を託すというまさに、涙を誘うシーンなのですが、どうしたわけかはじめは泣けなかったんです。でも、何回も重ねて観るうちにファンティーヌの無念の気持ちが伝わってきて涙するようになりました。ここで一番泣けるバルジャンは山口バルジャン。あの、優しくささやくような声でファンティーヌを抱きしめるのには思わず胸が熱くなりますね。

「対決」(The Confrontation)

ファンティーヌの死後、そこに逮捕に現われたジャベールとコゼットを守るために逃げようとするバルジャンの対決シーン。2人の大きな見せ場のひとつです。組み合わせ的に好きなのが滝田バルジャンと村井ジャベール、鹿賀バルジャンと村井ジャベール、山口バルジャンと川アジャベールだったのですが、最近この考えがちとかわりまして、山口バルジャンと村井ジャベールが一番すごいということに気がつきました(笑)この二人の対決は本当に迫力あります。まさに二人とも半分本気状態(笑)観ていて一番ぞくぞくしますね。

「宿屋の主の歌」(The Lnnkeeper's Song)

涙を誘うシーンが多いなかで、テナルディエ夫妻の出てくるシーンはまさに清涼剤になってます(^^)テナルディエの宿屋はかなりインチキの部分が多いだけに笑えます。ここで笑いを誘うといえばノンダクレが2度もチカンに間違えられてひっぱたかれるところと、「トイレに入ったら5%料金上乗せ」というテナルディエのせこさ(消費税3%時代は3%でした(^^;;))、そしてテナ夫人の告白(ここではとても書けない事を言っている(爆))でしょう。あと、2番目の大金持の客が来た時に流れ者の客達がそのお金をこっそり獲ろうとしているところも笑えます。(成功した時の彼らの喜びようといったら(^^;))とにかく、ここは数少ない楽しいシーンなのです。

森の中の出会い

97年版から登場した新しいシーンです。暗い森の道の中でバルジャンが幼いコゼットを発見して一緒にテナルディエの宿へ行くというものですが、これがとても可愛らしい。この出会いのシーンで一番のお気に入りが滝田バルジャンでした。名前を聞いて「コゼット」だと分かった瞬間のあの電気が走ったような喜びの表情はピカイチです!逆に一番あっさりみえるのが鹿賀バルジャンかな(^^;)

「裏切りのワルツ」(The Waltz of Treachery)

お金で片がついた後、コゼットを連れて去っていくバルジャン。コゼットを連れて行く前にきちんときれいな服に着替えさせてやりお人形までプレゼントするんですが、これがまたすごい微笑ましいんです(*^^*)なんといっても一番可愛らしいのが山口バルジャン! 本当にこの人は子供が好きなんだなあ・・・なんて思ってしまうほど。特に、コゼットをぐるぐる回した後も帽子をちょっといたずらっぽく直してやったり、あの短い時間で何かお話したりしているんです(*^^*)ホントにかわいいんですよねえ、山口バルジャンの時。(そのあとの、乞食を投げ飛ばすのはちょっと恐いんですけど・・(苦笑))

「ジャベールの介入」(Javerl's Intervention)

施しにやってきた年老いたバルジャンと美しく成長したコゼット、ところがバルジャンの正体がテナルディエにばれてがんじがらめになってしまうところをジャベールがバルジャンと知らずに助けてしまうというところ。ここは登場人物がほぼ全員登場しています。バルジャン、ジャベール、コゼットのほかにマリウスとアンジョルラス、ガブローシュ、エポニーヌ・・・・もう一人も見逃せないところです(^^;)まあ、それはおいといて、取り押さえているテナルディエ一党を振り払うバルジャンは見物です。かっこいいんですよ、これが!ジャベールが来た事に驚いてバーッとやるんですけど、ジャベールに気ずかれやしないか・・・見ているこちらもドキドキするし。色々とみどころの多いシーンだと思います。

「星よ」(Stars)

ジャベールがバルジャンを逃がしてしまったと気づいた後に(^^;)星に向かって「必ず捕らえてみせる」と誓うシーンです。実はCDで聞いた時やはじめて舞台を観た時、あまりこの歌が印象に残らなかったんです。むしろあまり好きではなかったほうなのですが、その意識を変えてくれたのが川アジャベールでした。とにかくこの方のジャベールは振りが大きい(オーバーだという人もいますが(笑))でもそれがかえって、私の心にすごい響いたんです。今では、村井さんの「星よ」も聞いていてぞくぞくしますけど、その先駈けを作ってくれたのは麻世さんですね。

「ア・ベ・セー カフェ」( The ABC Cafe)

アンジョルラスをはじめとする学生達が革命を起こそうとカフェで熱く語り合っているところ。「レ・ミゼ」のなかで私が一番熱くなるシーンです。とにかく、学生達の活気がビリビリと伝わってくるんです。それに、ここの中では色々な学生の人間模様も描かれています。革命に参加しながら、その反面死の影に脅え続け酒ばかり飲んでいるグランテール、コゼットとの恋をとるか市民のために立ち上がるか迷うマリウス、そんな彼らを一つにまとめようとするアンジョルラス・・・いいなあ、ほんとにこの場面は。ここで印象的なのがまず、石井マリウス。「レッド」といわれた時には本当に希望に満ちた表情をするし、「ブラック」といわれれば本当に絶望の縁に立たされた表情をするんです。この対比が実にすばらしい。そして、アンジョルラスに諭されて考えに考えた挙げ句、最後に「夜の終わり」と歌うところに彼の強い決意を感じます。そしてなんといっても森田アンジョルラス!マリウスを諭す時もすごい説得力あるし学生達の名前の呼びかけも実にいいんです。でもなによりゾクゾクっとくるのがラマルク将軍が死んだと分かった後の学生達を奮い立たせる時の歌!!赤旗を握り締めて机の上に立ちあがるその姿には毎度毎度胸が震えてしまいます。これはもう絶品ですね!その後の民衆の歌も活気に溢れてて素晴らしいです。

「心は愛に溢れて」(A Heart of Love)

マリウスとコゼットがお互いの想いを告白する、まさにラブラブのシーンです(^^;)それをマリウスに恋するエポニーヌが見ているというのがなんとも悲しいシチュエーション・・・。このときのポニーヌは島田さんも本田さんもおなじくらい哀愁こもってていいですね。観ていて切なくなります。で、肝心の二人なのですが石井マリウスの若々しさも好きなんですけど凱旋公演版の石川マリウスが今のところ一番のお気に入りです(*^^*)前から人間味溢れるマリウスを熱演している禅さんですけど、特に今回のコゼットとの出会いのシーンは観ていてこちらが嬉しくなっちゃうほど。柵越えした後、すぐにコゼットの前に行かないで門の柱の影から隠れて恐る恐るコゼットを見るというあの仕草!かわいい!!恋に初なマリウス像がすごいよく出ています。コゼットも純名さん、早見さんとそれぞれの持ち味が出ていていいのですが、高音の美しさは純名さん、はかないコゼットの表現は早見さんかなあ。

「ワン・デイ・モア」(One Day More)

はっきりいって、これを観たいがために「レ・ミゼ」に通ったといっても過言ではないほど。CDを聞いた時からずっとずっと生で観る事を夢見てたんです(^^)で、実際に見て・・トリハダもの!!やっぱり生は違いますねえ。かなりの人数で歌っているのでその臨場感のすごい事。それに、それぞれの明日への想いが直にこちらに伝わってきてなんだか切なさすら感じてしまいます。意外だったのがあの絵(?)はじめはゆっくりスローモーションで行進が始まってその後元気よく手を振って歩き始めるんですねえ。あんなふうになっているとは思わなかった(笑)あと、テナルディエ夫妻が真中の穴から飛び出してくるのもびっくり! 感動的なのがマリウスがコゼットと行く事を選ばずに革命に参加すると行進に加わるところ。ここがすごいドラマチック!そして何重にも重なるそれぞれの想い・・後ろで振られる革命の赤い旗・・・・1幕最後の最大の見所だと思います。私の一番好きな音楽です。

「オン・マイ・オウン」(On My Own)

「レ・ミゼラブル」ときいてこの音楽を思い出す人も多いと思います。(私は知らなかったんですけど(爆))エポニーヌが自分の気持ちを分かってくれないマリウスの事を想ってひとり暗い街を歩くシーンです。ここも、CDをきいたときはあまりピンとこなくてむしろ印象に残らなかったんです。が、実際に聞くと全然違いますねっ!なんだかこちらまで切なく悲しくなってしまいます。島田さんの「オン・マイ・オウン」が有名ですけど、個人的には本田さんのほうがなんだか胸に迫るものがあります。「愛してる」とつぶやくところは全部違った感じで歌っているのがすごく切ない。最近では聞くたびにグサッときますね。

「恵みの雨」(A Little Fall of Rain)

第二幕のはじめの涙腺が緩むのがここ。マリウス会いたさにバリケードに傷つき戻ってきたエポニーヌがマリウスの腕の中で死を迎えるシーンです。エポニーヌの一途さが痛いほど伝わってきてマリウスならずとも涙が出ます。しかも、あの生々しい彼女の血を見てしまうとなおさら・・(涙)でも、エポニーヌはここではじめてマリウスを一人占めできるんです。だから、彼女自身としては幸せだったのではないかなあ。この場面ではマリウスはものすごく大きな衝撃を受けます。石井マリウスはその場ではものすごく嘆き悲しんでいるんですが、結構その後の立ち直りが早い。その逆が石川マリウス。エポニーヌをなかなか離そうとしないし、そのあともずぅぅっとそれを引きずっていて魂が抜けたようになっているんです。どちらの場合もいいんですけど、個人的に情感が湧くのは石川マリウスですね。すごい感情豊かなんですもの・・・。

「共に飲もう」(Drink with Me)

最初の攻撃の後、一応の勝利を得た学生達がひとときの安らぎにお酒を酌み交わすシーン。ここで注目するのがアンジョルラスとグランテールの関係です。グランテールは「死は無駄じゃないのか」と、盛んに死への恐怖を口にするのですが、その言葉にアンジョルラスが「自分は違う!」と必死に思いグランテールを見つめるんです。ここで、アンジョルラスは本当はグランテールと同じ想いを心のどこかに抱えていたんだなあ、と思ってしまうんですよね。それがなんだかとっても切ない。このとき、アンジョルラスはグランテールが自分を映す鏡のように見えてしまったのかもしれません。岡アンジョルラスがグランテールをぐっと見つめているシーンはなんだかとても痛々しいし、森田アンジョルラスがグランテールの肩をぐっとつかむシーンも胸が痛みます。その後立続けにマリウスが「死んでもいいさ」と言うもんだから・・・このときのアンジョルラスの胸のうちを想うととても辛いものがあります。

「彼を帰して」(Bring Him Home)

バルジャンが眠るマリウスをみて「自分は死んでもいいから、彼を家に帰して」と歌う、感動のソロです。ここの聞かせどころはやっぱり歌がズバ抜けている山口バルジャンでしょう!しかも最近は歌に感情がこもっているのでなおさらジーンと来てしまいます。とくに、「彼に命を」と力を込めて歌うところは感動的です。本当にマリウスを息子だと思っているというのが分かるんですねえ。

「第二の攻撃」(The Second Attack)

第二の涙腺が緩む場面はここでしょう(;_;)足りない弾を小さなガブローシュが攻撃のさなかバリケードの外に出て集めている中、容赦ない攻撃で無念の最期を遂げるシーンです。私はもう、ガブローシュが外に出た瞬間から涙腺が緩んでます(^^;)撃たれて死ぬと分かっていても、毎回外で弾を集めているガブローシュを見ると「早く逃げてぇぇ」と心の中で叫んでしまうんです。それほど、彼の死は衝撃的。何より悲しいのは、最後の力を振り絞って、集めた弾をバリケードの上の学生達に投げるところ。無事に届いた時は「ああ、よかった」と思うんですけど、届かない事もけっこうあってそのたびに「ああ、もう少しだったのに・・・」と学生ならずとも私まで無念の声がでてしまいそうになります。悲しいんですよねえ、届かないと逆に。上からアンジョルラス達の取り損なった「あ・・・・」という無念の声を聞くたびに辛さが倍増します。女優さんも上手いんですけど、子役の子のほうが涙を誘いますね。でも、夜遅い時間は子供が出ちゃいけないんですよね(^^;;;)

「最後の戦い」(The Final Battle)

もう引き続き涙放出状態になってしまう学生達の最期のシーン。何が泣けるかって、森田アンジョルラスの「死のう!!」のそのひとことの叫びです(岡アンジョルラスでも最近泣いてますが)。あまりにも痛々しいそのひとこと・・あの言葉を聞けば、誰だって「一緒に死ぬぞ!」という気になっちゃうと思いますよ。まず、マリウスが撃たれて倒れますが、その時アンジョルラスが一番に降りてきて「マリウス、マリウス!」とゆすり、反応がないのを悟るとはじかれたように銃を捨てて赤い旗を敵に向かって振る・・・・そして死を迎え、今まで攻撃に加わらずに脅えて酒を飲んでいたグランテールがまたはじけるようにアンジョルラスが死んだ場所へ駆け上り、酒ビンを振り・・・・そして死を迎え、その後を追うように、学生達が次々に戦死していきます。あまりにも悲しすぎる彼らの死。なかでも一番涙するのがグランテールがアンジョルラスが撃たれてすぐにその場へ駆け上がるところですね。いつもアンジョルラスに対して逆説的な態度をとっていたのに、心の底では本当はアンジョルラスの事が好きだったんだな、と思うとどうしても涙が出てしまいます。でも、もしもアンジョルラスがマリウスをゆすった時に生きているということが確認できたら、彼はどういう行動をとったのかな。ちなみに、いつもバルジャンがどこで肩を撃たれるのか気になっていたのですが、この前ついに発見。グランテールが撃たれて死ぬ瞬間に撃たれていたんです!どうりで今まで発見できなかったはずだ(^^;)

「ジャベールの自殺」(Javerl's Suicide)

傷ついたマリウスを下水道から病院へ運ぼうとするバルジャンの前にバーン!と突然現われるジャベール(^^;)ところが、バルジャンの力説に負けてまたまた逃がしてしまうんです。ここからもう完全に頭が錯乱状態に陥ってしまいついにセーヌ川に身を投げてしまうという、何ともお気の毒なシーンなのです。実はこのシーンもはじめはあまり印象に残らなかったのですが、またしても川アジャベールのあの大きな演技に心撃たれてしまいました(^^;)あの迫力はすごかった!しかも、素顔がなかなかの二枚目だけにあの垂髪がすごいセクシーなんです。「行く場所、たどる道もなぁぁぁい!」の絶唱はトリハダがきました。ただ、最近では村井ジャベールのほうが印象的です。「星さえ凍る」といったあとに自嘲するんですけどこれがなんだか、とても痛々しい。やっぱり最後は年期の入った村井ジャベールなのかな?まさに、貫禄といった感じですね。ちなみに、このシーンは1階席から見るよりも2階席から見たほうが臨場感を味わう事ができます。

「カフェ・ソング」(The Cafe Song)

ひとり生き残ったマリウスが仲間のことを想って歌うシーンです。石川マリウスも石井マリウスもすごい情感込めて歌うのですが、個人的には最近の全身全霊を込めて歌う石井マリウスが好きですね。一人だけ生き残ってしまったことの悔しさ、仲間がいないことの虚しさ、申し訳なさ、観ているだけで胸が苦しくなるほどの熱演です。この後続くのか?と心配してしまうほどの激しさがあるんですよねえ。歌の中頃になって、マリウスの後ろにアンジョルラス達、戦いで散った仲間達の亡霊が現われるんですけどこれがまた悲しい。岡アンジョルラスはただじっとマリウスを見詰めてその後すっと立ち去っていき、森田アンジョルラスはマリウスを見守るという感じでそのあとにこりと微笑んで立ち去っていきます。ここは解釈の違いなのかもしれませんが、個人的に胸を打つのはやはり森田アンジョルラスのほうかな。あの表情観ちゃうと、なおさらマリウスの辛さが浮き彫りになってしまって・・・。

「バルジャンの告白」(Valjean's Confession)

バルジャンが、「一緒に暮らそう」というマリウスに自分の過去をすべて明かし旅に出るという、まさに涙なくしては観られないシーンです。わたしはもう、「愛する息子よ・・」というバルジャンの言葉を聞いた瞬間から涙してしまってます。バルジャンにとって自分の過去を明かすというのは本当は血を流すより辛いことだったと思うと、マリウスに語るその言葉ひとつひとつにすごい重みを感じてしまうのです。愛する娘には絶対に知られたくない自分の真実・・・それをマリウスに語るバルジャン。ここで石川マリウスは涙を流しながら聞いているのですが、これがまた、こちらの涙を誘うんです。マリウスも辛かったんだろうなあ・・・。立ち去る時にマリウスをぐっと抱きしめて去っていく山口バルジャンがとても切ない。しかも音楽もまた涙を誘うような曲調なのでなおさらなんですよ(T_T)

「結婚式」(The Wedding)

涙するところが続く中、唯一楽しい気分に浸れるシーンがこのマリウスとコゼットの結婚式のシーン。前のシーンで涙の跡が消えない石川マリウスの目をそっとふいてやる純名コゼットが印象的でした。・・・・と、なぜたのしいのかといえば、久々にテナルディエ夫妻が登場するからです。しかも、テナルディエ夫人のあのどうしようもならないような分厚いメイク(美波里さんいわく、バカ殿様メイク(苦笑))と超ド派手なドレスは何度見ても笑いを誘います。しかも、彼らはマリウスを強請って金をせびろうとしているのですが、その間に高価そうな食器をこっそり盗んだりして(笑)なんともそのせこさが笑えます。最後は盗んだものが全部落ちてしまって・・・・それでもくじけずに踊りまくって去っていくという、何とも悪の強いご夫婦なのでした(^^;) 笑えるといえば給仕さん。実は給仕さんはアンジョルラス役の人(つまり、岡さんor森田さん)がやるので、そのギャップがすごいおかしい! こっちのほうがなんだか楽しそうになってるんですよねえ。(って、あたりまえか(笑))

「エピローグ」(Epilogue)

バルジャンの死の場面です。ここでまたまた私の涙腺が緩みまくりです(T_T)。ここはもう、語ることできないです。今までのバルジャンの人生がなんだか走馬灯のように甦ってしまって・・。コゼットとマリウスに見守られて静かに世を去るバルジャン。とにかく、ここのバルジャンは誰でも泣けます。特にといえば・・・コゼットに最後の最後に「自分は父ではない」と告白するところでしょうか。もう私はここで爆涙してます(T_T)とにかくここは、実際に観て感動して欲しいですね。

以上は「レ・ミゼラブル」のパンフレットを参考にさせていただきました。