99年「レ・ミゼラブル」世紀末公演感想

in 東京帝国劇場

8月29日(日) ソワレ 17時開演  鹿賀バルジャン 大千穐楽 

座席 : K列−36番 (S席)

キャスト
ジャン・バルジャン : 鹿賀丈史     ジャベール : 村井国夫
マリウス : 石川禅             エポニーヌ : 本田美奈子
コゼット : 純名理沙            ファンティーヌ : 岩崎宏美
アンジョルラス : 今拓哉          ガブローシュ : 大矢翔
テナルディエ : 斉藤晴彦        テナルディエ夫人 : 前田美波里
男性アンサンブル
広田勇司、大須賀ひでき、森田浩平、和田哲監、斎藤桐人、石山毅、乾アキオ
、祐木鎧 、西村直人青柳勝太郎酒本朗
女性アンサンブル
大川美佳
麻生かほ里、坂口阿紀 、井上めぐみ、国分美和、岩本あゆみ、鈴木輝美、尹嬉淑

 

8月28日(土) ソワレ 17時開演  祐一郎バルジャン千穐楽  

座席 : 2階L列−52番 (B席)

キャスト
ジャン・バルジャン : 山口祐一郎   ジャベール : 村井国夫
マリウス : 石川禅             エポニーヌ : 本田美奈子
コゼット : 早見優              ファンティーヌ : 鈴木ほのか
アンジョルラス : 今拓哉          ガブローシュ : 大矢翔
テナルディエ : 斉藤晴彦        テナルディエ夫人 : 前田美波里
男性アンサンブル
広田勇司、大須賀ひでき、大谷美智浩、和田哲監、斎藤桐人、石山毅、乾アキオ
井上一馬津田英佑岩田元酒本朗
女性アンサンブル

高谷あゆみ、児玉奈々子、坂口阿紀 、江川真理子、国分美和、木村聡子、鈴木輝美、大川美佳

 

8月22日(日) マチネ 13時開演  滝田バルジャン  

座席 : O列−13番 (A席)

キャスト
ジャン・バルジャン : 滝田栄       ジャベール : 川ア麻世
マリウス : 石井一孝           エポニーヌ : 島田歌穂
コゼット : 早見優              ファンティーヌ : 鈴木ほのか
アンジョルラス :今拓哉           ガブローシュ : 大矢翔
テナルディエ : 山形ユキオ      テナルディエ夫人 : 大浦みずき
男性アンサンブル
広田勇司、林アキラ、大谷美智浩、和田哲監、斎藤桐人、小鈴昌記、乾アキオ
、祐木鎧 、西村直人岩田元井上一馬
女性アンサンブル

高谷あゆみ、麻生かほ里、坂口阿紀 、井上めぐみ山田ぶんぶん木村聡子、鈴木輝美、大川美佳

感想

前回、前々回とほとんどいい思い出のなかったレ・ミゼ観劇。はっきりいって、今回の観劇を辞めようかと思ってしまったくらいだったのですが、また違うキャストだし、石井さん最後だし、大浦さんなんか最初で最後だし…と色々と興味を駆られて観にいってまいりました。が、前回とは打って変わって、今回は見違えるように感動することができたんです〜!もう所々で涙涙で…。やっぱりこのミュージカルは観ていて自然に落ちてしまう涙があってこそはじめて「いい」と言えるんですね。というわけで、今回はいい感想が書けそうです。

今回こんなに感動できたのは、滝田さんの素晴らしい熱演があってこそ!今までの滝田さんのバルジャンっていつもなんだか熱すぎてちょっとひいてしまうところがあったんですが、今回はいつもとは違っていました。まず唄い方がずいぶんとはっきりして聞き取りやすかったことが挙げられますね。ちょっとは滝田さん独特の唄い方もあるのですが、それでもなんだか今回はストレートに歌詞とかが聞き取れて非常に好感が持てました(^_^) そして更に、あの熱い演技そのままで…舞台全体に滝田バルジャンの燃えるような魂が充満してるって感じだったんですよ〜!それだけでもうこちらも胸が熱くなってしまって。独白で黄色い紙切れを破るところなんて、「俺はこれから生れ変わるんだ…こっから立ち上がるんだ!」といった気持ちがすごくこもってて胸打たれましたねえ。思わずこれからのバルジャンの人生を応援したくなってしまったほどでした。
この滝田さんの熱が舞台全体に残ったせいか、今回はアンサンブルもすごい気合いが入っていてすごかったです!前回あんなに薄い印象しか残らなかったなんて嘘みたい…。特に、酒場のシーンはすごく楽しかったです!(個人的には林アキラさんが笑えましたね(笑))また、バリケードのシーンも「これから政府軍と戦うんだっっ!」っていう学生たちの意気込みがすごく伝わって来てよかったです。なんといってもリーダーの今アンジョルラスが素晴らしい〜〜〜!ここのところご無沙汰していた今さんだったのですが、ちょっと見ない間にずいぶんとリーダーの貫禄が出てきましたね。あのアンジョルラスだったら一緒に戦ってもいい!なんてホントに思ってしまいました(^_^) あと、髪型もなんかサラサラヘアになっててずいぶんと美しくなってました(岡さんに肉薄するくらいかな)。
今回がラストになってしまう石井一孝さんのマリウスやっぱり感動的でした〜(T_T) 石井さんのマリウスはやっぱりコゼットとの恋愛に突っ走り過ぎずに、革命の戦いのことも同じくらい真剣に考えているんですよね。ABCカフェで「彼女は幻…」と歌ってるときはもうコゼット一筋なんだけど、アンジョルラスに「自分のことより民衆のために」と諭されているときにものすごく苦悩の表情を見せるのがとても印象的でした。なので、石井さんのマリウスの場合はコゼットとの恋に没頭しているときよりも、バリケードのなかで学生たちと一緒に戦っているときのほうがすごく生き生きしているんですよね…。そういった意味では、映画版のマリウスに少し似ているのかもしれませんね(笑) 恋におぼれているマリウスも魅力的ですが、革命に燃えて、友達を大切に思っている石井マリウスが私はとても好きです。最後の戦いのとき、バリケード上で「ウオ〜〜〜〜!」と泣き叫ぶところでは何度見ても胸が締め付けられるような想いがしてしまいます…。「カフェソング」はそんな背景もあってすごく感動的でした(T_T)
今回最初で最後の大浦みずきさんのテナ夫人!モリクミさんや美波里さん、はたまた前回までの夏木マリさんがどこかコメディチックに可愛らしく演じてきたのに対し、大浦夫人は第一印象まず「恐い」からはいりました(笑) 迫力あって恐いというよりも、雰囲気そのものがもう、本当に恐い夫人なのです(^_^;) あれじゃあ、コゼットは脅えちゃうわなあ(^_^;) やけに脅え方も素が入っているようで見ていて可哀想になってしまったほどでした。リトルエポニーヌも可愛がっているんですが、どこか厳しくしつけてるような感じで…いや〜、大浦さんがあそこまで恐い夫人を作っているとは思いませんでしたぁ(笑) 最後の宴会乞食のところでは独自のダンス(?)も披露してくださったりして、なんだかとても新鮮な夫人でよかったです。でもやっぱり恐かったなあ(苦笑)

と、今回は色々とキャラクターに感情移入をすることができたのですが、場面場面においてもやたらと私の涙腺を揺るますところが多かったです。ファンティーヌの死の場面、彼女の死後の滝田バルジャンの深い悲しみは見ていて涙を誘います。コゼットをこれから救ってやらなければならないという必死の思いがものすごく伝わって来て泣けるんすねえ…。そんな思いまでして探し得たリトルコゼットとのダンスシーンは滝田さんが一番可愛い。回し方もすごく思いやりがあって、彼女が恐がらないように途中で降ろしてやり、その後手をつないでダンスする… 滝田バルジャンの温かさをすごく感じます。
それから今ジョルラスの叫びともいえる熱唱には今回一番ゾクゾクきました!ABCカフェでの「さあ皆街へ出ていこう!市民は起つ!!」なんか、もうこちらまで一緒に起ちあがりたくなってしまったほど素晴らしかった!!そして最後の戦い前の前半とは打って変わった絶望感に満ちた叫び声も痛切…「死のう!」の言葉に学生たちが狂ったように自ら突っ込んでいくシーンは本当に泣けました(T_T) 今さんの死に方もずいぶんとダイナミックで…初日の死にぞこないがまるで嘘みたいですね(^_^;) あの狂ったように旗をぶんぶんと振り回す姿には胸が痛みました。こんな日こそ、アンジョルラスの死にあまり拍手を聞きたくなかったんだけど…(^_^;)
今回一番涙がぼろぼろ出たシーンがバルジャンがマリウスに告白するところと死に際。マリウスに自分の素性を話すところっていつも私は涙していたのですが、ここ最近ずっと涙が止まってしまってもどかしかったんです・・・。でも、この日はもう大泣きさせていただきました(T_T) もう本当に滝田バルジャンの告白が聞いているだけで辛いんです…石井マリウスも本当に聞きながら泣いてましたしね。マリウスと別れるとき、本当の息子のようにとっっても大切そうに滝田バルジャンがマリウスを抱きしめたんですよ〜(T_T) あんなに優しく悲しい抱擁ははじめて見ました…その時点で私の目からはもう涙ボロボロで…結婚式シーンの冒頭まで止まらなかったほどでした(T_T)
それから臨終の床の滝田バルジャンは本当に死にそうなんですねえ。だから、なおさらコゼットが戻ってきた時の彼の感動がストレートに伝わってくるんです。ここでもうすでに涙(T_T) 最後の告白を渡すときなど、もう本当に今にも天に召されそうで…ものすごく臨場感あったんです・・・。「ああ、バルジャンは死んでしまうんだな」って…。とにかく久しぶりに涙腺の緩むところで揺るんだっていう、充実した観劇となりました。

そんなわけで、レ・ミゼから離れかけていた私の心にまた、レ・ミゼが戻ってきた感じがして嬉しかったです。個人的に、このミュージカルで涙が自然に零れなければ納得できないというところがあるんですよね…。そういった意味では今回とても充実していたと思います。カーテンコールでのあの皆さんの満たされた表情が今回の舞台の良さを物語っているように感じました。とにかくいい観劇ができて、この日に見にいって本当によかったです(^。^)

 

8月20日(金) マチネ 13時開演  祐一郎バルジャン  

座席 : K列−14番 (S席)

キャスト
ジャン・バルジャン : 山口祐一郎   ジャベール : 村井国夫
マリウス : 戸井勝海           エポニーヌ : 島田歌穂
コゼット : 早見優              ファンティーヌ : 岩崎宏美
アンジョルラス : 岡幸二郎        ガブローシュ : 秋山拓也
テナルディエ : 山形ユキオ      テナルディエ夫人 : 前田美波里
男性アンサンブル
広田勇司、林アキラ、大谷美智浩、和田哲監、斎藤桐人、小鈴昌記、乾アキオ
、祐木鎧 、西村直人岩田元井上一馬
女性アンサンブル
高谷あゆみ、麻生かほ里、坂口阿紀 、井上めぐみ山田ぶんぶん木村聡子、鈴木輝美、大川美佳

感想

前回、あまりにこのミュージカルに魅力を感じなくなってしまったという苦い経験をしてしまったため、今回観劇するのになんだか躊躇がありました。でも、チケット代も払ってるし、祐一郎さんだし、きっと仕事後の清涼剤になるに違いない…と思っていたのですが…。この日は私のコンディションも最悪。なんと言っても直前まで会社にいて、挙げ句の果てに仕事上のトラブルが起こったりと心理的にかなり疲れきってました(^_^;) こんなことなら、一日休みにしておけばよかった(でも、そうするとお給料が減るため休めない(爆))〜。
というわけで、チケット取った時点ではかなり期待していたこの公演も色々な悪条件が重なり…はっきり言ってほとんど感動できませんでした。なのであまりいい感想は書けません… 期待していた皆さまごめんなさい。次の観劇は結構感動してるので、「あまりよくない感想は読みたくないな」という方は、この日の感想は飛ばして読んでくださいませ(苦笑)

まず、ローマの休日から久々に復帰した祐一郎さん。ずいぶんと感情表現が豊かになっているのでびっくりしました。1年目のときとはだいぶ違いますね。特に、1幕の囚人バルジャンから独白までが一番すごかったです!司教様の食器を盗んで走り去るときの悪魔の様な笑い方(笑)、捕まったあとの悪態の付き方などは相当迫力ありました(^_^;) だからこそ、独白部分は歌の巧さも加味されて大変感動的でした。何度聞いても「石の〜様に〜」からのオリジナルキーは聞いていてゾクゾクしますね!この時点までは「お!今日はとても期待できるかも!!」と楽しみにしたのです。
が、そのあとが… 役者さんが悪いとか、オーケストラが悪いとか、そういう具体的なものではないのですが、この舞台自体になんの感動も得られなかったのです(爆) 自分のコンディションが悪かったというのもありますが、登場人物の誰一人として感情移入することができなかったんです…なぜ!? しかも、もっと集中して理解しようと観れば観るほどだんだんと退屈してきてしまう…挙げ句の果てに3回くらい居眠りということもしてしまい(爆) まさに最悪状態。こんなことはじめてだったのでかなりショックです。なんていうのかなあ…舞台全体から訴えてくるものが感じられなくなってしまったんですよ。なんだかすごく薄っぺらな感じがしてしまって…私の気持ちはますますこのミュージカルから離れていってしまうような気がしてしまいました。こんなこと感じてるのってきっと、私くらいなもんでしょうね。私の友人は「所々でかなりぐっと来た」と言っていたし、当日お会いできた方々も「感動した」という意見をおっしゃっていたし。う〜ん、いったいどうしたものか。というわけで、革命で散っていった学生達にも、エポニーヌの悲恋にも、バルジャンの死の間際さえも、私は何も感じることができませんでした(爆)

と、かなり危ない感想ばかり書いているとお客様が減ってしまいそうな気がするので(苦笑) 印象的だったシーン(物語とはちょっと違ったところで)を少しご紹介します。
なんと言っても名物は祐一郎バルジャンVS村井ジャベール!この二人ってなんだか本当に対立しているような気迫が感じられて面白いんですよねえ(^_^) ファンティーヌの死後の対決シーンはまたまたやってくれました(笑) 昨年観た時は椅子がバラバラになってしまい木棒を持てなかったというアクシデント(?)がありましたが、今回は逆。あまりの怨念のこもった対決(笑)に椅子のほうが縮み上がってしまったのか、祐一郎バルジャンが思いっきり叩き付けてもびくとも壊れなかったんです(^_^;) 祐一郎バルジャン、一瞬、「なぜ壊れないんだ?」と憮然とした表情で壊れない椅子を持ったまま立ち尽くしてました(笑) が、次の瞬間、壊れない椅子に当るがごとく投げ捨てて、またまた素手で村井ジャベールに構えるのでした(^_^;) ただ、その後の殴り合いのすごかったこと…祐一郎バルジャン、椅子が壊れなかったことへの腹いせなのか村井ジャベールを恐ろしい勢いで投げ飛ばしておりました(笑) いやいや〜、ここはホント物語とは関係なく見応えがありました(笑) それにしても、やはり祐一郎バルジャンと村井ジャベールの対決はホントイワクつきです(^_^;) 色々な意味でとても興味深いです(笑)
祐一郎さんといえばもうひとつ(笑)。リトルコゼットとの出逢いのシーンから宿へ着くまで…コートの襟が片方立ってたんですよ(^_^;) 祐一郎さん、ハイテンションすぎてコートをちゃんと着損ねちゃったんでしょうか(笑) 私は見ていてそれがず〜っと気になってて…そうしたら、前田夫人、「さあさコートを〜♪」と歌いながらさりげなく直してあげてました(^_^;) これに気がついていたのはいったい何人いたのだろうか(笑)
戸井マリウス、ずいぶんと落ち着いてきましたね。相変わらずカッコイイです〜♪存在感もかなり出ているし、この公演でかなり成長されたのではないでしょうか。3人のマリウスのなかでは一番ドンくさいところがまた可愛い(*^_^*) 2幕でバルジャンの告白を聞いている時のキョトンとした表情もよかったです。最後の最後まで「ジャンバルジャン」だと気がつかないといった感じで(笑) それにしても見納めだった戸井マリウスなのに私自身の気分が乗らなかったなんて…本当に残念…
カーテンコールでの山形テナルディエ、なんだか出てきた時からずっと苦笑いしていたと思ったら…一礼して立ち去るときに片方の靴が脱げてしまってました(笑) このハプニングに舞台上も客席も爆笑状態(^_^;)きっと慌てて出てきたんでしょうねえ(^_^;) この辺は観てて楽しかったです。

にしても、この時点であと3回のレミ観劇… 更なる不安が襲ってしまったいい思い出のない観劇となってしまい、本当に残念でした。それにしても本当にいったいどうしてしまったのか…。