「蜘蛛女のキス」日本公演 最高の俳優陣

これ以上完璧なキャスティングはない!といっても過言ではなかった「蜘蛛女のキス」の日本公演キャスト。麻実さんと市村さん以外は全員きびし〜いオーディションを突破した最強メンバーです。初演と再演では多少キャストが入れ替わりましたが、作品の質がまったく落ちなかったというのは本当にすごい事だと思いますね!! 初演、再演とも、この作品に関わった俳優さん達に敬意を表します。

オーディション詳細 (月刊ミュージカル参照)

・1996年1月号
「蜘蛛女のキス」初演が決定する。主役3人のうち、麻実れいさんと市村正親さんは既に決定。
ヴァレンティンほかキャスト10人のオーディション案内が公示。男性はダンス・歌唱力・演技を、女性は歌唱力・演技の審査が行われるとのこと。締め切りは1月16日。

・1996年2月7日〜9日
(1000人を超える応募者の中から書類審査を経て300人が本審査に挑むことに。)
シアターアプルでオーディションが行われた。審査に当たったのは演出補助のクレイトン・フィリップスと振付補助のロブ・アシュフォードを中心としたスタッフ陣。

・1996年3月号 (審査に当たった現場の声)
クレイトン 「才能豊かな人が多くて嬉しい驚き。日本の仕事が楽しみ」
ロブ 「みんなレベルが高い。特にダンサー達がいい」

・1996年4月号
オーディションの審査結果がアメリカに持ち帰られ、演出のハロルド・プリンスによる最終審査を経て、ついに全キャストが決定。

初演、再演の出演者

<主要キャスト>

麻実れい (オーロラ/蜘蛛女)

麻美さんは、フロリダでチタ(オリジナルのオーロラ)の舞台を観てぜひ参加したいと思ったとか。だめでもともとと、ニューヨークでオーディションを受けたところ見事に合格!宝塚退団後に出演した「シカゴ」もチタが演じた役をやり、今回もまたその巡り合わせがきて嬉しいと語っていらっしゃいます。オーロラのシーンでは女優がそれぞれの役を演じているので、その踊り分けが大変だったとか。宝塚時代にもこんなに踊ったことはない!というほどのダンスをこなした麻実さん。初演はちょっとダンサーとのタイミングが遅れていたようですが(笑)再演ではもう世界に溶け込んで見事なダンスを見せてくれました(^O^) さすがは麻実れい!!すごい女優さんでした!

市村正親 (モリーナ)

麻実さんも含めて皆さんオーディションを体験した中、市村さんは「オペラ座の怪人」(四季時代)でプリンスから絶大の信頼があったためオーディションなしで決定されています! プリンス曰く「イチ(市村さんの愛称)はモリーナをやるために生れてきた役者」 !(ハロルド・プリンスとは「イチ」「ハル」と呼び合う仲らしい(@_@))これってホンとにすごいことです!! しかもそれがまったくその通りだったということを実証しちゃうところもすごいんですよねえ!! ブロードウェイで「蜘蛛女のキス」を観た時、演じるならモリーナか蜘蛛女だと思ったとか(笑)…市村さんの蜘蛛女もすごかったでしょうねえ(^_^;;) 初演でも再演でも、悲しきオカマモリーナを演じた市村さん。特に再演のモリーナは観ていてすっごく切なくて・・・やっぱりこの役は市村さん以外にできない!と思ってしまったのでした。

宮川浩 (ヴァレンティン)

月刊ミュージカルで「蜘蛛女のキス」のオーディション結果が出て宮川さんの名前を見た時、なんだかすごく嬉しかったのを覚えてます(^_^) オーディションには「回転木馬」で共演していた市村さんに勧められて受けたとか。審査で歌ったときに声がひっくり返ってしまったので「あ、こりゃ、絶対だめだ」と諦めていたら受かってしまったそうです(笑)市村さん曰く、「ミヤ(宮川さんの愛称)ってヴァレンティンにいいなあ、と思った。だから決まったときには嬉しかった」とか。さすが市村さん、先見の明がありますね(^O^) しかも、ハロルド・プリンスからはブラッド・ピットに似ているとまで言われております(笑) 公演前から宮川さんへの期待は相当なものがありましたね。その期待に見事に…いえ、それ以上に応えてくれた宮川さん!初演ではちょっと演技に固さがあった(私はそんなに感じなかったのですが)ようですが、再演では見事に演技開眼! そしてその歌声はもうトリハダモノです!! 宮川さんがヴァレンティンに選ばれて本当によかったぁぁぁ!!と本当に本当に思いますね(^O^)

高品剛 (刑務所長)

こわーくて、冷静な所長さんを熱演しました。いつ観ても何の不安材料も感じさせなかったですね。さすが! 地の高品さんはけっこうお茶目らしいですよ(^O^) ちなみに、某公演で宮川さんと共演された時、私はなんだか頭が混乱してしまいました(笑)

大方斐紗子 (モリーナの母)

あのお年で、あの美しい歌声を発せられるのはきっと大方さんしかいない! いつまでもいつまでもその若さを持続させてほしい、まさに日本のお母さん的存在ですね。再演のパンフで「最終公演の寂しさは一入です」とのコメントにこの作品への愛を感じました。

遠藤麦太 (看守・マルコス)

舞台上で囚人をいたぶっているときはとっても恐いのに、ラストの映画館のシーンで思いっきり弾けていた姿が印象的でした(^O^) 普段はとてもお茶目な俳優さんで、再演パンフでも「チョーしぶ〜と言われたい」と発言していらっしゃいます(笑) 着替えの速さは天下一品かな(^^;)

笠原竜司 (看守・エステバン)

笠原さんて、とっても体格がいいんですよねえ。背も大きいしなんだかとってもたくましく見えました。囚人をいたぶるシーンでは、人を見下しているといった感じが出ていて迫力でした。それに、すごくいい声してるんです!お得意のダンスも見たかったなあ。それと歌も。

<アンサンブルキャスト>

(中村さん、水野さん、藤浦さん、内田さんは主にダンサーとして参加。泉さんはシンガーとしての参加。)

中村隆男

私はこの作品で中村さんを初めて知り、そしてファンになりました。他の公演で中村さんが出演しているときは思わず注目してしまいます。とってもいい声してますよぉ。それにカッコイイし(^^)

水野栄治
小さな体ながら、大きく踊る姿が印象的でした。水野さんのダンスは「ミス・サイゴン」のドラゴンダンサーなどの経歴により、もう実証済みです。

藤浦功一
この方のダンスもすごかった!それに時折見せるコミカルな演技も見逃せませんでした。ラストでモリーナのホモダチを演じていたのは藤浦さんです(笑) それから「もう一度見られるだろうか」とソロで歌っていたのも藤浦さんのようです。

内田晃一
内田さんはモリーナの前で拷問される囚人を演じていらっしゃいました。その時の迫力もすごかったけど、鉄格子を昇っていくその腕力にも感心させられたものです。それにしても初演のパンフと再演のパンフの写真の差がすごい(笑)別人のようです(^_^;)

泉拓允
「レ・ミゼ」の初演メンバーだったとか。このオーディションのときに「歌が巧い奴」と一番印象に残っていたのが今回も共演している宮川さんだったそうです。不思議な縁ですよね。泉さんも色々なところで活躍してます。アムネスティーインターナショナルの人権委員の人も演じてました。

初演のみの出演者

<主要キャスト>

大浦みずき (マルタ)
元宝塚女優さんで、かなり有名な作品にたくさん出演していらっしゃいます。ダンスがお得意だそうですがこのミュージカルでは一切ダンスなし。それなのにすごい神々しい歌声を聞かせてくれて感動しました! このオーディションが行われることが分かる前、大浦さんはオリジナルの「蜘蛛女のキス」を見て演じてみたいなあ・・・と思ったとか。これはすごく嬉しい偶然だったでしょうねえ(^_^)

<アンサンブルキャスト(シンガー)>

森田浩貴(ガブリエル、ほか)
97年〜98年の「レ・ミゼ」でアンジョルラスを演じて大人気を博した森田さん。でも、私はこの「蜘蛛女のキス」初演で森田さんに惚れました(^O^) ガブリエルの歌はもう絶品! 森田さんのお人柄もあってモリーナに対してなんだかちょっと遠慮が入っていたのが印象的でした(笑)

山形ユキオ
この方も97年〜98年の「レ・ミゼ」出演者。テナルディエを演じていましたが、私がはじめて山形さんを知ったのは彼の声優時代。実際に見たのは「ミス・サイゴン」のトゥイでしたね。とってもパワフルな演技を見せてくれたのを憶えてます。でも、初演ではどこに出ていたのか確認できなくて残念でした。

新木啓介
新木さんは元音楽座の俳優さん。見てみたかったなあ・・・。同じく初演のみでしたので発見できなかったのが残念でした。現在は劇団四季に在団中で「美女と野獣」のガストンを演じていらっしゃいます。

水谷誠伺
初演のプログラムで「夢と希望と娘のためにがんばるミュージカル俳優です」とのコメントがありました(^o^)なんだかちょっと微笑ましかったりして(笑)

小暮清貴(スウィング)
小暮さんはスウィングということは・・・アンダースタディ要員だった様です。主な出演作品に「キャッツ」がありましたので、もしかしたら劇団四季にいらしたのかもしれません。

再演のみの出演者

<主要キャスト>

麻生かほ里(マルタ)
初演の大浦さんとはまた違った魅力がありました。ちょっと可愛らしい感じだったかな(^_^) あのすばらしい張りのある歌声には感動させていただきました! 麻生さんを初めて知ったのは「アラジン」のジャスミンの吹き替えでした。ファンの石井さんの歌声を聞く目的だったんですけど(笑) 麻生さん、元はOLだったそうです!

<アンサンブルキャスト(シンガー)>

津田英佑(ガブリエル、他)
津田さんのガブリエルは森田さんのよりもちょっと冷たい感じがしていたのですが、見続けるうちになんだか不思議に納得してしまうものがありました(笑) プレッシャーもあったでしょうに、堂々と歌い込んだガブリエル像はさすがでした! 囚人のときの津田さんはなんだか弱々しくてかわいかったです(笑)

河岡裕門
まさか自分が出演するとは思わずに、初演の舞台は2回見てしまったとか(^_^) 最近では「ブッダ」などにも出演されています。「血なんか恐くないぞ−!」と叫んでいたのは河岡さんでした。

青柳孝志
青柳さんはミュージカル出演があまりなかったようですので、この作品がデビューのようなもののようです。舞台上では認識できなかったのですが、素顔の青柳さんはめちゃくちゃカッコよかったです(^O^)

小原和彦
なんだかお写真を見るかぎりでもほのぼのした感じの方。「お父さん、お母さん、和彦は幸せ者です」なんてコメントしているのが可愛らしくていいですね(笑) 残念ながら舞台上では認識できなかったです・・

木村公一(スウィング)
木村さんはスウィングでしたのでアンダースタディ要員でした。拷問を受けた囚人の役などを地道にこなしていらしたようです。過去の出演作品に「黒蜥蜴」がある!これは結構すごいかもしれない(笑)