「ウーマン・イン・ブラック」 パルコ劇場

キャスト

キップス : 斎藤晴彦 / 俳優 : 上川隆也

<あらすじ>
クリスマス間近のロンドンのとある小さな劇場に中年弁護士キップス
(斎藤)がやってくる。キップスは若い頃に誰にも打明けることのできないような恐ろしく呪われた体験があり平穏な生活が送れずにいた。悩みに悩んだ末、この出来事を家族に話し呪縛から解放されようと決心したキップスはその話をするに当っての手助けとして俳優(上川)を雇ったのである。キップスの告白は恐ろしく長かったため、俳優はキップスに芝居を要求する。キップスは若きキップスがであった人々を、俳優は若き日のキップスを演じることになった。始めはたどたどしい演技だったキップスだったが話が進むに連れて役柄と一体化していき、俳優もヤングキップスになりきり夢中になっていく…
キップスの体験はある老婆の死から始まる。この老婆の遺言書調査のために彼女の葬儀に参加したヤングキップスはそこで思いもかけない光景と出会う…そしてそれは次第に彼を追いつめていき…

 

11月11日(木)1階E列29番 19時開演

感激度 ★★★★★★  (★6つが満点)

実はこのお芝居を見ることに正直言ってちょっと不安持ってたんですよ。ご存知のように(そうでない方もいらっしゃるかもしれませんが(^_^;))私はホラー物が大の苦手なのであります… それなのに、この芝居を観に行くことを決意させたものは…99年夏のキャラメル公演で久々に舞台の上川さんを観たこと(爆)この芝居を観て「おお!!違った舞台に出る上川さんはぜひ見ないとあかんっっっ」という強い気持ちが起こり気がついたらチケット1枚購入していたという訳です(笑)でも、ホラー…果して私に受け入れられるのか…しかも座席がはしっこだし… もう観る前から私の心には不安の波風がたちまくっていたのです(-_-;) ……が!!!!!!

観終って… いや〜〜〜本当に本当に観に来てよかったよ〜〜〜〜〜〜〜!!!!

そのくらい面白かったのです、観る前までは考えられないほど自分がこの芝居にはまるとは(笑)この前にとある2人芝居のミステリーを見たのですが、この芝居はこれを超えましたね(断言)たしかにホラーで恐いんだけど、なんていうのか、それを超越した面白さを感じてしまったんですねえ〜(^○^)もう観終った後、思わずアンケートに記入までしてしまいました(笑)
と、かなり興奮した出だしになってしまいましたね(笑)

この芝居の面白さを引き出してくれたのはまずは劇場のセット。これがまた凝ってて客席前方横のほうまで蜘蛛の巣とか掛かってるんですよ〜まさに観る前からその世界に引き込まれるって感じ。それなのに舞台に上はやけに殺風景で椅子と机と大きな篭くらいしかない。それなのにあの濃密な芝居が展開されるとは本当にすごいことですねえ。で、オープニング、舞台上に斎藤さんがのそのそと現われて何やらボソボソと話しはじめるのですが(私はこの時点で既に恐いと思ってしまった(爆))それに集中して観てて「いつ上川さんが現われるのか」とドキドキしながら見守っているとすぐ真横で上川さんの声が!!なんと、私の座席のすぐ横に上川さんがいるではありませんか〜〜!どうやら斎藤さんが舞台に登場してから上川さんは客席の横入り口からすっと現われてずっと見守っていたらしいのです(@_@) いや〜もうビックリいたしました!「一番端っこの席で嫌だな」なんて思ってた私ですが、この瞬間に「なんてこの席は美味しい席だったんだろう」という想いに早変わり(爆)だって、またしばらくしてからこの逆パターンの展開があって今度はすぐ真横に斎藤さんが立っているということもあったんですよ〜〜!ウーマンインブラックにおける端っこの席万歳!!(笑)
この殺風景な舞台の上ながら瞬き一つせずに観てしまうというほどのどきどきワクワクするようなストーリーがまた最高でした!!普通、こういった重いストレートプレイだと途中でちょっと眠気が差してしまったりするのですが…とんでもない!!もう観れば観るほどはまっていってしまって途中から目が涙目になるほど(笑)瞬きせずにのめり込むように見入ってしまいました!恐いんだけど、とにかく目が離せないほど面白いのですっっっ!ヤングキップスがドラブロー夫人の遺言書を調べに暗い別荘に行くところなんてメチャクチャドキドキします。舞台の上では光と煙のみでその不気味さを表しているのですが、私にはその別荘の姿、庭の墓場、草むら、底無し沼などが不思議なほどよく見えたのです。自分自身にこんなに想像力があったとは…とビックリしたくらい(笑)だからなおさら面白かったのかもですねえ。

そして、なんと言ってもこの芝居の魅力を最大限に引き出してくれたのは斎藤さん上川さんのふたりの素晴らしい役者さんです!!
斎藤さんは特にミュージカルでしかお目にかかったことがなくて、「レ・ミゼ」とかではあまり魅力を感じさせなかったのですが…(斎藤さんごめんなさい)ストレートプレイになると斎藤さん本来の巧さが随所随所に見られました。一人で何役もこなしていくという難しい役柄なのですが、一人一人のキャラクターがまったく同じに見えることなく感じさせたのは本当に素晴らしかった!!老キップスがはじめ恐る恐る芝居をしていたのに見る見るうちに役にのめり込んでいくのが手に取るように分かって非常に面白かったです!!ヤッパリ斎藤さんはお芝居の人なんだなあ〜と改めて思ってしまったのでした。
そして上川さんですが、斎藤さんの胸を借りるつもりでとの本人談でしたがもう十分対等に渡り合っててめちゃくちゃ感動いたしました!!キャラメル以外の舞台はこれがはじめてという上川さんですが、そんな気負いも全然感じさせない素晴らしい演技はさすがです!!!上川さんの演技ってこちらをどんどんと捕らえて離さないすごいパワーを感じるんですよね。今回特に印象深かったのは恐怖の演技!!いや〜、あの怖がり方を見ているだけでこちらも恐くなりますよ〜〜〜(~o~) とにかく彼の恐がりの演技はもはや演技とは呼べないほど絶品です!!あと、犬のスパイダーとのやり取りもすごく可愛くてよかったです!もうすぐそこに小さなすばしっこいスパイダーがいるみたい(^○^)あ、これは斎藤さんの演技もメチャクチャいい味出ててよかったなあ〜(^○^) あともうひとつ…上川さんのスーツベスト姿、かっこよかったなあ〜(笑)

とにかく、いい役者、いい芝居、いい舞台美術とここまで三拍子揃うとこんなにも面白いものかと痛いほど実感させられました!あ〜〜〜こんな事ならチケット3枚は取っておけばよかった…(爆)アンケートにも書きましたが、来年また是非この2人での再演を熱望しますっっっ(^◇^)