1月22日 13時開演
TSミュージカル「タック」 博品館劇場

出演者: 坂元健児、堀内敬子、立樹遥、川本昭彦、駒田一 ほか

あらすじ

ある古き良きアメリカの時代、森で暮らす老人(駒田)のもとに逃亡中の若者(川本)が飛び込んでくる。強がっている青年に向かって老人はある物語を静かに語り始めた。物語の主人公は「タック」。貧しさゆえに盗みを繰り返していたストリートチルドレンたちの前に突然現れたタック(坂元)はその純真な心で彼らの心を掴んでいく。そんなタックたちの前に口の聞けない女の子ミュー(堀内)が現れた。タックにのみ心を開いていくミュー。そんなミューの姿にいらついていたウクレレ(立樹)は彼女が大切に持っていたハーモニカを壊してしまう。新しいハーモニカは値段が高い…。ミューのために何とかしたいタックはお金を稼ぐためにストリートボクサーに挑戦していくことになる。それは同時にミューの心を開かせるための挑戦でもあったが…

05年新年初観劇は昨年4月に大感動した『タン・ビエットの唄』を上演したTSミュージカル作品「タック」になりました。実はこの作品、観に行こうかどうしようかなぁと思っていたのですがちょうど坂元ファンの友達がチケットを確保してくれて運良く便乗して行くことが出来たんです(^-^ゞ Rちゃん、ありがとう(^o^)/。しかも、それが本当の初日第一発目だったんですよ〜。まったくもって前知識もほとんど無いまま(賞を取った作品のリメイク版というのは聞いていましたが)劇場入り。ロビーはたくさんの花で満ち溢れていましたが、そのほとんどが現役宝塚の立樹さん宛!やはり現役宝塚は違うなぁとちょっとビックリ(^-^;; でもサカケンくんにも大きなファンからのお花が届いてました♪なんてったって主役だもんね〜。で、客層はというと・・・そこかしこに宝塚ファンと思われる方が(^-^;; 私TSで現役のジェンヌさんが出演した舞台初めてだったんですけど、雰囲気がかなり違いますねぇ。

さて、ストーリーは
極めてファンタジー色の強いものでした。森の老人が傷ついて飛び込んできた若者に御伽噺を話すような感覚で語りかける形で進むのですが、実はそれが単なる老人の作り話ではないことがラストに判明するんです(あ、もう上演終わってるからネタバレしても平気かな 爆)。ストリートチルドレンたちの前に突然現れた謎の青年タックはとにかく『純真・無垢』。汚れを知らないといった感じで見ていてとても好感が持てました。これがサカケンくんにかなりドンピシャな役柄で(笑)。登場シーンはビックリ!逆さまに空から落ちてきたということで目の前に現れた最初の姿はパンツ一丁のお見事なスタイル(笑)。客席からも笑いがかなり起こっておりました(^-^; しかも、立ち上がったその姿を見てまた2度ビックリ・・・髪の毛が超銀髪ですよ!!ミス・サイゴンのクリスを見慣れていたせいか、このタックなサカケンくんに慣れるのにちと時間がかかりました(笑)。盗みを繰り返すストリートチルドレンに地道に働くことの大切さを説くタック。黙々と荷物を運んでいるタックの姿はなんだか見ているものの心を打ちます・・・。本当に一生懸命で・・・見ていていじらしいんですよねぇ。そんな彼の前に言葉を話せない少女・ミューが現れる。このミューを演じているのが堀内さんなんですけど・・・カワイイ!!可愛すぎ!まさに年齢不詳ですよ(笑)。言葉が話せないんだけど、一生懸命何かを伝えようと必死になっている姿はやがて彼女を遠ざけていたストリートチルドレンたちの心も癒していきます。タックはミューの一番の理解者となって次第に心を通わせていくのですが、あるときウクレレがミューが大切に持っていたハーモニカを壊してしまいます。このハーモニカを巡ってタックはストリートボクサーになることに。『天使』であるタックは地上のことはほとんど無知(笑)。でもミューのためにボクサーになろうと決めたタックは彼らからボクサーのノウハウを教えてもらいます。このボクサー修行シーンはかなり力を入れていたようでアクロバット満載で大迫力でした!特にサカケンくんはまさに本領発揮です!!ただちょっと舞台が狭かったかなぁ〜。けっこうな人数で大アクロバット大会になってたので(笑)ぶつかりやしないかと内心ちょっとハラハラしながら見てました。TSって必ずこういったダンスというかアクロバットを入れてきますよねぇ。『砂の戦士達』の時はしつこいと感じてしまったのですが、今回のタックは見ていてすごく楽しかったし良かったと思います。で、不死身のタック(笑)は見事に試合に勝利。ミューのハーモニカも無事に新しく買うことが出来てめでたし・・・かと思いきや、彼のファイトに感動したチルドレンたちが勝手に次の試合を申し込んでしまいます。殴ることも殴られることも嫌いだというタックを無理やり説得し、タックは戦い続けなければならない羽目に・・・。ちょっとこのあたりコメディに走りすぎてたのがしつこく感じたかなぁ・・・けっこう胸の痛むところなんだと思うんだけど。このボクシングにこだわるのには訳があって、実はミューの家庭はとても複雑でそれにボクサーだった父親が絡んでいるんです。「だれにも今見たことを言ってはいけないよ」これがミューの心を閉ざしている原因。ハーモニカは大好きだった父親の形見なんですよねぇ。だけどタックはその事情を知らないから無邪気にでも一生懸命ミューに言葉を話させようと涙ぐましい努力をします。この時のサカケンくんがカワイイ(^-^)。けどちょっとネタがしつこかったかも(^-^;;。ミューはその甲斐あって「タック」と言葉を発することが出来るようになるのですが、タックが語った「僕は本当は天使なんだ。でも誰にも言っちゃダメだよ」という言葉に昔のトラウマが甦ってしまい再び心を閉ざしてしまいます。サカケンくんのタックが天使っぽいというのは登場した時に上から落ちてきた時点でなんとなくずっと匂わせているんですけど、なぜか1幕ラストで取ってつけたような中途半端な羽がついててそれがハラリと落ちたんですよ(笑)。あれってハプニング!?(爆)。まぁ、そんなこんなでタックはなぜミューが心を閉ざしてしまったのか分らない。ボクシングをするタックの姿が好きだというミューのために好きではないボクシングを続けていたタックは戦う意味を見失ってしまいます。そんなとき、今まで戦った中でも一番の強敵との試合が決定。迷うタックですが、もう一度ミューの心を開かせるために戦いへと突き進んでいきます。全てはミューの心を開放するため…。このあたりのタックの心情は見ていて泣けます(T_T)。会場からも啜り泣きが聞こえてきたほど・・・。傷つき倒れるタックに向かってこっそり見に来ていたミューが「ターーック!!」とついに言葉を自ら発するところは本当に感動しました!!戦いを終えたタックはそしてまた姿を消してしまう・・・これが老人の物語の終わり。すっかり聞き入っていた若者が老人に語りかけると老人は静かに息を引き取っているのですが、その手からはミューが大切にしていたハーモニカが零れ落ちるんです(;_;)。今までの流れを見ていてなんとなくこの老人は「タック」ではないかなぁとは思っていたのですが、こんな形で老人の正体が分る演出には胸が熱くなりましたねぇ(T_T)。なんだか見終わったあとに心が温かくなるようなミュージカルでした。
キャストは皆さんとても芸達者で楽しめましたよ。
サカケンくんのまさに彼のために書かれたようなタックは見ているこちらが癒される感じがしたし、ほとんど言葉を話せない中、見事に純真無垢なミューを演じきった堀内さんも素晴らしかった!駒田さんが老人役っていうのが意外だったけどすごく深みがあってジーンときました。立樹さんはさすが現役ジェンヌさんというだけあって動きがとてもきれいでしたねぇ。役柄はやっぱり男っぽかったですけど(笑)。あと若者役の川本さん、ストリートチルドレン役ではコミカルな面を披露しているのに老人と話す若者役ではカッチョいい素敵な青年を見事に演じきっていました!川本さんてこんなにカッコよかったんだ!と失礼ながら今更感動した私(爆)。ほかのTS常連の皆さんもものすごくアクティブで見所満載で素晴らしかったです!
ただ、一つ難をいうとすれば
心に残るようなナンバーがイマイチなかったことかなぁ…。もう少し馴染みやすい楽曲があればよかったかも。