6月2日(木) 13時30分開演
「シンデレラストーリー」 ル・テアトル銀座

出演者: 大塚ちひろ、浦井健治、池田成志、橋本さとし、宮地雅子、森若香織、尾藤イサオ、高嶺ふぶき、福本伸一、高谷あゆみ、小寺利光、森新吾、デーモン小暮閣下 ほか

あらすじ

昔、とある王国の物語。城の中では王子・チャールズ(浦井)の捜索が行われている。国の援助為に見合い結婚させられそうになっていたチャールズは、そのことに嫌気がさして逃げ回っていたのだ。大臣・ピエール(橋本)は必死に説得するが、「本当の愛」を模索する王子の耳には届かない。
一方、貧しい庶民のシンデレラ
(大塚)は、父・シャルル(デーモン)の再婚相手・ベラドンナ(池田)とその娘達に毎日イジメとも取れるような扱いを受けていた。そんなある日、お城からパーティの知らせを伝えにピエールら使いがやってくる。「国中の歳頃の娘は全員出席するように」と。大喜びのベラドンナと娘達は、シンデレラに家の全てを押し付けてパーティに行ってしまう。
落ちこむシンデレラを慰めようとネズミたちが慰めるが、その言葉はシンデレラには届かない。そこへやってきたのは『愛の魔法使い』
(デーモン)。不思議な呪文でシンデレラをを驚くほどに変身させる。シンデレラはかぼちゃの馬車に乗って城へ向かう。
城で王子と目が合ったシンデレラ。王子は人目でシンデレラに恋をする。二人の恋の行方は・・・

03年の初演の時はデーモン閣下の友人に誘われるまま観に行って、すっかりその面白さにはまりDVDまで購入してしまった私(笑)。でも今回の再演を知ったときは正直観に行く予定に入れてなかったんです。それが・・・ある日ふと紛れ込んできた某サイトのメルマガに『当日券予約あり』の文字が・・・。なんかその言葉で条件反射的に購入ボタンを押してしまいました(爆)。そんなわけで、再演も観に行くことになりました(^-^ゞ
前回は青山劇場だったのですが、今回はル・テアトル銀座。久しぶりだったのですが、この劇場ってけっこう奥行きがあって好きなんですよね。で、予約したチケットを見てちとビックリ!なんと座席が中央のかなり見やすい席だったんですよ(^o^)。いつもこのサイトで予約したチケットって端っこが多かったので今回もあまり期待していなかったんですけど・・・と、言うことは、
あまり売れなかったのか(爆)!?そういえば後ろのほうは特に寂しかったような… ま、良席ゲットできたから良かったんですけどね。パンフレットは相変わらず豪華絢爛でした(笑)。初演のも井上くんやちひろちゃんの写真集みたいな形で『すげー』とビックリしてたんですが、今回もおおよそ演劇パンフとは思えない代物でした。ハードカバーだし中身の写真もものすごくキレイ!紙も相当いいの使ってます!で、パンフと一緒に今回はルミカライト(コンサートのときによく振ってる蛍光色のやつ)がもれなく付いておりました。購入時に受付のお姉さんから「こちらはラストの結婚式シーンで使ってください」と説明されたんですが・・・オイオイ、観る前から既にここでラストのネタバレだよ(爆)。ま、シンデレラを知らない人はまずいないと思うからいいんだけどね〜(笑)。

開演を待っている客席に突然アンサンブルさんたちが
『チャールズ様〜〜』と探しにやってきて「いつの間にか始まっている」と言うパターン(笑)は初演と同じでした。前回は青山だったから探すのが大変そうだったけど、今回は中堅の劇場なので皆さん縦横無尽に歩き回っておりました(笑)。後ろの列の真ん中に座ってた男性が特に弄られてて『この人王子様じゃない?』『似てるよなぁ』『・・・やっぱり違う人だよ〜』『ああん、王子様だと思ったのにぃ〜(←チャールズの婚約者候補のアンサンブルさん 笑)』というようなやりとりがあって思わず笑ってしまった(^-^;。私の席は通路側だったので何人かのアンサンブルさんたちが王子様探しで駆け抜けて行きましたが特に絡まれることもなく、内心ちょっと安心したり寂しかったり?(苦笑)。そうそう、その中でも乾あきおさんがめちゃくちゃ目に付きました。かつてレミゼで花を投げてもらって以来注目している役者さんなのですが、近くで観るとかなりカッコいいんですよ!最近ますますイイ男になられましたねぇ〜(^-^)。
で、そうこうしている間に幕が開いて
橋本ピエールが華々しく登場(^o^)。いや〜、さとしさんっ!初演の時は「おもろい兄ちゃんだなぁ」程度にしか思ってなかったのに「ミス・サイゴン」観てから一気に注目株役者さんになったんですが・・・のっけからカッチョいいですっ!!で、鎧に身を隠して逃げ回っていた王子チャールズの正体がバレて大騒動になるんですが、このあたりちょっとクドいかも・・・とは感じつつ間の取り方とか皆さんお上手なので面白かったです。特に橋本ピエールが王子を発見するくだりは最高でした(笑)。それにしても浦井くん・・・顔が異様に西洋人ぽく見えたのは気のせいでしょうか!?エリザのときよりもさらに美少年になっててかなりビックリしました!それから王様と王女ですが・・・王女の天然ぶりは相変わらずなんですけど(笑)王様のキャラが初演の麻世さんのようなカッコイイ路線から逸脱したキャラになってました(笑)。尾藤さん、あのツッパリ髪型の扮装・・・とても王様っぽいイメージとは言いがたいのですがなぜかものすごく似合っておりました(笑)。初演の時はこのコンビがイマイチ面白くなかったので今回はとても楽しませてもらいました。それにしても高嶺ふぶきさん・・・本当にキレイだった…。

お城のドタバタが終わったあとはいよいよ主役のシンデレラの登場。ここでまた強烈なインパクトを残してくれたのが
成志さんの継母ベラドンナですよ!!『シンデレ〜ラ、シンデレ〜ラぁぁ!!』と呼びつけるその声!あれで一気に初演の時の記憶が甦りました、私(笑)。強烈な成志さんの継母以下、宮地さんの長女、森若さんの次女は初演と同じなので息もさすがにピッタリですね。なんつっても成志さんの継母の横暴ぶりは素晴らしく迫力があります(笑)。これが先日の『お父さんの恋』公演で情けない男を演じていた役者さんだろうか…(爆)。もう水を得た魚のごとく嬉々としてベラドンナ怪演してて目が離せなかったですね!そんなすごい面子にコキ使われながらも笑顔さえ浮かべながら言うなりになっている大塚ちひろちゃんのシンデレラ(笑)。このシンデレラの特徴は、いじめられていても『可哀想』とは思わないところですね。シンデレラにあまり悲劇性がないんですよ、特に最初の方。だから観客も気を抜いて楽しむことが出来るんじゃないかな。ちひろちゃんのシンデレラも初演より余裕が出てきたみたいで堂々として可愛かったです。
で、最強の3人組が捌けた後に登場するのが3役分の1(笑)…つまり父親役の
デーモン閣下。もちろんあのメイクで出てきますよ、今回も(笑)。だけどこの父親はメイクに似合わずめちゃくちゃ情けなくて地味で可愛いんです。なんつってもベラドンナに端であしらわれて過酷な労働に出されているくらいですからね(笑)。そんな父親とシンデレラの交流シーンはドタバタのなかの一服の清涼剤みたいで和みます。私、けっこう好きなんですよ、デーモン閣下の父親。
そんなシンデレラのもとにチャールズの結婚相手を見つけるためのパーティー招待状が届けられます。この時の
橋本ピエールの弾けっぷりは相変わらず最高です!シンデレラは行く必要がないという成志ベラドンナに『年頃の女性は全て行くようにとの命令だ』と絡む橋本ピエール、この2人の第一ラウンド(笑)も楽しめました♪やっぱりこの二人息がピッタリでドつきあいも最高ですね〜。ベラドンナに招待状を破られ悲しんでいるシンデレラを慰めに登場するのがネズミ達。ネズミのキャスティングは初演から全部変えてきたようで、今回高谷あゆみさん(かなり濃かった!)の女ネズミが混じってました(笑)。チュウ太郎役が福本さんに代わってて全体的に若返った感じだったかな。初演の頃は事あるごとにペシーッと叩かれツッこまれていたワハハの佐藤チュウ太郎だったのですが、個人的には初演の方のコンビのほうが好きかも。勢いは佐藤さんのほうがあったしね。福本さん率いるネズミたちも可愛かったんだけど、やっぱり初演の時の濃さと比べるとちと寂しい気もしてしまいました。このネズミたちに混じって再登場するデーモン閣下の3役分の2であるチュウ之丞は相変わらずいい味出してました!あの歌舞伎調のセリフなんて閣下にしか出せないような味があったもんなぁ。しかもかなり似合うんですよ、あの格好が(笑)。
ネズミたちはなんとかシンデレラにパーティーに行って欲しくてベラドンナたちにバラバラにされてしまった衣装を縫い合わせようとするのですがこれがものの見事に雑巾にしか見えない(^-^; このあたりの童話と現実とのギャップが面白いです。
奇麗事じゃなくてちゃんと現実的なことも取り入れているので、「んなはずないだろう!」というツッこみがあまり入れられない(笑)。このあたりも楽しめる要素だと思います。
そして1幕最大の見せ場が
これが本役となるデーモン小暮閣下の魔法使いシーンです。まさに閣下のために用意されたシーンという感じもしますが、今回私がもっとも楽しみにしていたシーンでもありました。初演に見たときものすごく感動してゾクゾクしたんですよ、閣下の独断場!で、再演の今回もやっぱり素晴らしかったです!!迫力ある魔法シーンは目が離せないくらい面白いし、なんといっても閣下の歌声が最高です(^O^)。悪魔とは思えないほどきれいな歌声なんですよね〜(笑)。この魔法シーンでは魔法使いの謎も独特の解釈で明かされています。なぜ魔法使いの魔法は12時までしか持たなかったのか…(^-^;;。ここに関わってくるのがシンデレラのお母さん。魔法使いは掟を破りこのお母さんに恋をしてしまったので魔法が1日おきにしか使えなくなったということになってます(笑)。ここのシーンだけちょっとシンミリモードでちょっとジーンときますね。そのあとはもう火力も駆使して迫力の連続(でも、チュウ太郎たちのお着替えシーンはマヌケっぽくて笑えます 笑)!シンデレラが大きなカボチャの馬車で登場するシーンはすごくキレイでした。ここで一幕は終了です。

2幕に入るといよいよチャールズ王子が前面に出てきます(笑)。パーティーに気が乗らないチャールズとピエールの掛け合いは今年もありまして、
橋本さんのアドリブっぽいツッコミに必死に対応していた浦井くんは可愛かった♪まぁ、余裕があったのは初演の井上くんのほうだったと思いますけどね(笑)。そういえば浦井くん、橋本ピエールのギャグに一回ツボにはまってたなぁ(笑)。
パーティーが始まってものすごい個性的な女性達が登場。
もんのすごい化け物メイクした女性も登場したと思えば、ベラドンナ一味も到着(^-^; 恐いくらい濃い女性陣に手玉に取られてオロオロしている浦井チャールズがまた可愛い(^-^)。そんなときに、大塚シンデレラが登場して2人はここでついに出会うのです。ものすごい濃い女性に弄ばれてたチャールズが美しいシンデレラに一目ぼれしてしまうのはこれ自然の流れです(笑)。このあとダンスシーンがあるのですが、色々な種類のダンス(シンデレラがダンスが出来るようになるのはガラスの靴のおかげだと言うことになってます 笑)が行われててやっている役者さんたちはあの衣装で大変だろうなぁと…。ダンスの後のレクリエーションはシンデレラの希望で隠れん坊(^-^;。この隙にチャールズはシンデレラと2人きりになってけっこういい時間を過ごしますが、ものすごい嗅覚でこれを発見したのが成志ベラドンナ(笑)。この二人を見つけるまでの下りがすごい面白いんですよ!パーティー会場が暗転してから『チャールズさまー』と客席をベラドンナ一味が探し回りますが、私のすぐ横を通った成志さん・・・どえらい迫力ありました(笑)。で、舞台に上がったと思ったら警察犬も真っ青な嗅覚を発揮(このときの成志さん、もんのすごく笑えます!!!)。で、シンデレラと2人でいるところをものの見事に見つけてしまうんですね〜。ただ、彼女達はチャールズと一緒にいたのがあのいじめていたシンデレラだとは気がつかない。なんだかんだ邪魔しているときに助けに入ったのは馬と執事に化けてたネズミたち+チュウ之丞(笑)。ここでやっといい雰囲気になったのも束の間、シンデレラ最大のクライマックス『12時』を迎えます。服が半分ボロにもどりながらも必死に逃げるシンデレラは妙にリアリティあり!そしてお約束のガラスの靴を落とすシーンもちゃんとあり。しかも、その影でベラドンナが悟ったような不敵の笑みを浮かべるのがまたツボです(笑)。
このガラスの靴がピッタリ来る女性と結婚すると言う王子の言葉に全国ガラスの靴行脚が行われるところは変わってませんね。で、シンデレラ宅にもピエールたちが靴を持ってやって来る。この靴を履けるかどうかのドタバタ劇がまたすごい!長女は足に油を塗り、次女は熱湯で自分の足を靴にピッタリになるように細工してる(^-^;; でもそれがバレて当然失格に(笑)。ベラドンナまでもが試しに履こうとしたときに橋本ピエールとの第二のドつきあい発生(笑)。ここでまたもや出ました、
橋本ピエールの成志ベラドンナに対するドロップキックが(笑)。まるでプロレスのような掛け合いはやっぱり最高です!!でシンデレラはどうしたかと言えばベラドンナに地下倉庫に閉じ込められていた(彼女はシンデレラがガラスの靴の持ち主だと悟ってたんですよ 驚!)んですが、結局助けられてガラスの靴に足を入れるとピッタリ当てはまります。

童話ではこの後すぐに結婚式に移り大団円になるところですが、このストーリーでは
シンデレラに立ちはだかる幸せへの壁があります。それはシンデレラの身分。王子とは釣り合いが取れないということで王様と王女は反対するんですね。彼らの想いを汲んだシンデレラは泣く泣くチャールズを諦めようとしますが、チャールズはどうしてもシンデレラと一緒になりたい。そこで出た言葉が『シンデレラと駆け落ちする』というもの。シンデレラはその想いが嬉しいながらも自分は相応しくないと立ち去ろうとするのですが、ここであの魔法使いが黒ベールかぶって登場してきます。ここから先が初演のラストと大きく違う点です。初演の時はこの魔法使いの出したシンデレラの過去が『高貴な生い立ち』という証文で王様と王女が『それじゃあOK』ということになって結婚式になったのですが、再演ではシンデレラは『自分の生まれは高貴な出のはずがない。嘘をついてまで一緒になることは出来ない』と拒み続けます。そんな彼女の気持ちに心が動いた王女がチャールズとの結婚を許可し、王様はショックで倒れてしまうと言うオチに変更されてました。このラストのほうがやっぱりしっくりきますよね。初演ではあのラストでかなり物議をかもしていたようなので鴻上さんも考え直したんじゃないかな。
で、ラストの結婚式。ついにパンフを買ったときについていた
ルミカライトの登場!この日はけっこう年が上のお客さんが多かったのでイマイチ乗りがよくなかったのですが(苦笑)それでも暗くなった会場に色々な色のライトが揺れている景色はとてもきれいで感動的でした!ちなみに私のルミカライトはブルーです。このルミカライト、帰宅してもしばらくブルーに光ってて夜暗くなってからもボーッとついてました(笑)。

全体的に今回もとても楽しい作品でした。では何故最高ランクの評価ではないか…というと…これは
私自身に問題があったということで(爆)。ハイ、わたくし、この日はまだ某イベントでの感動から抜け出せずに心が浮遊したままでおりました(笑)。これがイマイチ完全に乗り切れなかったことの理由かと…。ただ、王子は個人的には井上くんの方が好きだったかな。浦井くんもきれいな顔立ちでちょっとドキドキしたんだけど、全体的には井上くんの方が見応えがあったように思います。でも、私はこの作品好きですよ。また再演して欲しいです。