6月23日(水) 14時開演
「新市村座」 ル・テアトル銀座

出演者: 市村正親 (座長一人のほか演奏者)

プログラム

1.ご挨拶替り  2.口上  3.音楽講談『噫無情』エポニーヌだけど一人の巻  4.西洋奇術

5.芝居仕立 人情噺『分七元結』  6.大喜利  7.大団円

当初、チケットを取っていなかったので諦めていた公演ですが、友人が急遽譲ってくれることになり観にいくことが出来ました。市村さんの一人座長である『市村座』は今回でたしか4回目くらいだったのですが、まさに観るたびに進化を続けていく市村さん!今回も凝りに凝った内容で素晴らしいの一言でした。

オープニングではいつもの『市村座テーマソング』。
♪ようこそここへ〜、市村座へ〜♪と今回も客席から登場した市村さんは本当に私たちに向かって語りかけてくれてるようで嬉しい(^-^) のっけからミュージカルナンバーを織り交ぜたりしてダンスしたり(あの足のしなやかな上がり具合はまだまだ健在っっ!)と楽しませてくれます。この中で『最近ではSMAPともよく共演してます』と言っていたのが妙に笑えました(^-^;; そういえば、市村さんスマスマにも出演しちゃったんだよなぁ(笑)。ちょこっと『世界に一つだけの花』を歌ってくれました(^-^)。そんなこんなで楽しくオープニングが終了し、市村さんのお着替えタイムに〜

口上では、今回もビシッッと黒の羽織袴でご登場!本日のお題目の説明がここでされるのですが、市村さん独特の語り口調で時折笑いを誘う語りがとても楽しめました♪
『座長は相変わらず私ひとりです』(笑)。いや〜でも、毎度毎度クオリティの高いものをこうして一人でやっている市村さんは本当にすごいよ!自分の好きなことを勝手に一人でやっているのでどうぞ温かい目でと言う市村さん(^-^; 特に今回は市村さんのやりたかったものという色がハッキリ出ていたような気がします。ミュージカルとかどちらかというと西洋ちっくな方面での活躍が多い市村さんですが、実はとっても『和』がお似合いなんですよねぇ。ということで、今回はいつもに増して『和』のテイストが色濃い内容となっておりました。
口上が終わって始まったのが
一人レミゼ。これは前回の市村座のときも披露されており、今回は前回の続きと言った形でエポニーヌ編が一気に語られました。たしか前に見たときは扇子をまわして『盆が回っております』と笑いを誘っていたような(笑)。序章だけだったときよりもグッと中身に迫っていて今回は一気に最後のほうまで話が進みました。ここはもうさすが市村さん!リトルコゼットからテナルディエ夫妻からマリウスと・・・まさにミュージカル『レミゼ』の世界を忠実に再現しておりました。『クリスマスキャロル』で一人50役以上を体験しているとはいえ、あそこまで人をひきつける一人レミゼは本当に流石としかいいようがないですねぇ。特に面白かったのがテナルディエ婦人で、ちゃんと胸の大きさまで表現してくれてて(^-^;; 意地悪ババアの要素が如何なく現れておりました(笑)。最初のうちは笑いのほうが多かった今回のレミゼ講談ですが、次第にエポニーヌの核心に迫っていくとどんどん話の中に引き込まれていってしまって・・・エポニーヌがバリケードで命を落とすくだりは思わず涙が出そうになるほど感動(T_T)。まだ一度もレミゼに出演していない市村さんが、あそこまで登場人物の心を読んでいて忠実に表現してくれるとは・・・本当に恐るべしですよ〜。ハッキリ言って、本当のレミゼの舞台見たときよりも感動してしまった(T_T)。次はコゼット編かなぁ・・・それともジャベール編かなぁ。市村さんだったら、ジャベール編をやって欲しいかも。とにかく素晴らしい一人レミゼでありました!
講談が終了するとまたまた市村さんのお着替えタイム(^-^)。この間の音楽がまた面白くて、今回は加藤茶さんがよくやってる『ちょっとだけよ〜』のテーマ曲なんかが演奏されておりました(笑)。毎度毎度、このお着替えタイムの音楽も進化してます!
第三幕は
『西洋奇術』ということで、身軽な服装に変装した市村さん。はじめ、この西洋奇術の意味がよく分らなかったんですが・・・一般で言うところの『マジックショー』でございました(笑)。過去に三味線の弾き語りなど色々チャレンジしてきた市村さんの新たな試みで、色々な小道具を使ったマジックを披露して客席を沸かせておりました(^-^)。時折「ん?大丈夫か!?」という場面もありましたが(^-^; そこは市村さん独特の間の取り方でクリア。今回も『おみやげ物』として誰でも出来るマジックを教えてくれましたが、これを帰ってから実践した人いるのかな(^-^;;;; ただねぇ、ちょっとこのマジックショーはいまいちノリが悪かったかなぁ。市村さんの努力はすごく認めるところなんだけど・・・う〜ん・・・なんとなくお客さんが飽きちゃったような空気があったもんで(苦笑)。市村さん一人の市村座だから、市村さんが好きなことをやってて、それを私たちは温かい目で見ているわけなんですが(笑)、個人的にはここでミュージカルシーンが欲しかったかも。ちょっと体力的に厳しかったのかもしれないですけど(^-^;; 市村さんのミュージカルを楽しみにしているのは私だけじゃないと思うので次回はぜひ、ミュージカルシーンを復活させて欲しいと思います。

第二幕はいよいよメインの
『文七元結』。これは市村さんが西村晃さんの付き人時代にずっと見ててあこがれていたお芝居だそうで、元々は幕末から明治の落語家・三遊亭円朝の落語からきているという噺だそうです。博打好きな長兵衛がまた今日も全部スッてしまい家に戻ってくると、妻が娘の久が家を出たきり戻らなくなったのは長兵衛のせいだと攻め立てます。そこへ藤助という人がやってきて、久が自分の家(遊郭)にいるから迎えに来てほしいといいますが、博打で着るものを剥ぎ取られてしまった長兵衛は妻の着物を剥ぎ取って娘を迎えに行きます(このときの妻がすごく可愛くて・・・着物を剥ぎ取られるときのポーズがお代官様のクルクル状態『あ〜れぇ〜』だったのがかなり笑えました 笑) 。娘の久が遊郭にやってきたのは駄目な父親の分自分が稼ごうと考えた故のことで、その情に打たれた女将は長兵衛に50両を渡す替りに大晦日までにそのお金を返すことが出来なかったら娘を返せないと告げます。50両を手にし、娘のために更正してちゃんと返そうと決意した長兵衛でしたが、その帰り道に川へ身投げしようとしている青年に出会います。青年は店の50両を紛失してしまいどうしたらいいか分らずに飛び込もうとしたと告げ、長兵衛は迷いに迷った挙句、この青年を助けるためにもらったばかりの50両を渡してしまいます。家に戻って事情を話すと、そのことで妻と大喧嘩になってしまう長兵衛(^-^;; しかし、50両を渡したはずの青年・文七が店の主人を連れてお礼に現れます。なくしたと思っていた50両は店の主人の手違いで見つかったと・・・主人は長兵衛の人情に厚く感謝して50両を返そうとします。一度は拒絶したものの妻の手前受け取ることに。さらに、店の主人に見込まれた長兵衛は身寄りのない文七の親になって欲しいと頼み、今後は親戚付き合いをさせて欲しいと言います。さらに、店の主人は長兵衛の娘・久を身請けし、めでたく文七と久は結婚。大団円。
・・・と、大雑把に言うとこんな感じの物語だったんですが(^-^; これ、
ぜ〜〜んぶ市村さんが一人で演じられたんですよっっ!!一場面に3人集まるシーンなんかはセットの中に小さな回転盆があって、それを自分で回すことで違う人物に早代わりしちゃうんですっっ!!ついさっきまで飲兵衛でだらしのなかった長兵衛が女将になっていたり、娘の久に代わったり・・・その回転シーンは見ていてはじめはクスッと笑ってしまったりしていたのですが、何度も見ているとその人物の早変わりっぷりに脱帽!しかも早代わりだけではなく、夫婦喧嘩のときなどにふすまの陰からソッと現れる長兵衛の妻が絶妙で(笑)。市村さんが一人で演じているはずなのに、全く違った人物ひとりひとりが確実にその場に見えていました!まさに、市村さんの素晴らしさが如何なく味わいつくせた傑作のお芝居でした〜(^o^) う〜ん・・・どこまで市村さんは進化し続けるんだろうか!

大喜利は、市村さんの十八番でもある三波春夫の
『俵星玄蕃』!何度も市村座を見ている人にはおなじみで、歌の内容は赤穂浪士の討ち入りです。いつものようにキラキラの着物衣装で張り切って歌う市村さん!完全に歌を自分のものにしてますね(笑)。歌の最後、歌い終わって暗くなった後に客席からいつものおひねりが大量に投げ入れられました。市村さん・・・「おひねりのタイミングちょっとずれましたね 笑」と笑ってましたな〜(笑)。私もいつか市村さんにおひねり投げ入れてみたい!
大団円では「またいつものナンバーだと思うでしょ?」と市村さん(^-^;; そう、いつもここで歌われるのは市村さんの一番お気に入りのラカージュのナンバーで『私は私』なのですが、今回はいつもと違うのを・・・ということで、ラカージュからというのは変わらないのですがナンバーは『マスカラ』となりました。う〜ん、やっぱりいいわぁ〜♪ いつまでも続く拍手を受けて何度も何度も手を振り返してくれる市村さんを私たちは今回も愛しく感じてしまうのでした(^-^)。次回の演目も楽しみです!