12月17日(水)
演劇集団キャラメルボックス「彗星はいつも一人」 サンシャイン劇場

出演者: 西川浩幸、小川江利子、坂口理恵、細見大輔、岡田達也、篠田剛、畑中智行、岡内美喜子ほか

あらすじ

幕末、榎本が新政府軍に降伏しようというときに3人の男を乗せた1艘の小船が海にひっそり繰り出した。降伏を良しとしない北条雷太(西川)・陣八(左東広之) ・騎一郎(筒井俊作)だった。再起をかけて船を漕ぎ出した3人だったが途中竜巻に飲まれてしまう。しかし、3人はその日から不老不死の身体となってしまう。どんなに死にかけても再生してしまう3人はさまざまな場所をさ迷い歩くことに。
現代、下関に住むナオ
(坂口)の元に孫ヒカリ(小川)の友達のしずえ(岡内)がやってくる。しずえはヒカリからの奇妙な体験の手紙をナオに読み聞かせる。
高校の教師をしているヒカリを取材したいと佐々木
(岡田達也)という新聞記者がやってきた。放課後に女優をしているヒカリを取材したいというが、ヒカリの生徒である大地(畑中)は佐々木という名を聞いて突然情緒不安定になる。そこへ突然土方と名乗る男が彼女を守るという名目で飛び出してきた。だがヒカリにはその男が思い出せない。その土方を迎えに2人の男性がまたやってくる。彼らは土方を『北条殿』と呼んでいた。  
そこまでの手紙を聞いたナオは北条という名を聞きあることを思い出そうとしていた。北条はナオより10歳年上で、48年前に下関に住んでいた。ナオには北条との忘れられない思い出があった。北条に一目会いたいナオはしずえと共に東京へ急ぐ。

最近のキャラメルボックス作品に、どうも魅力を感じなくなってしまった私はしばらく観劇を控えていたのですが、今回は映像で見て感激した『レインディア・エクスプレス』の改訂版だと知り久しぶりに行ってまいりました!
キャラメルの劇場ロビーは相変わらずの盛況ぶりで、いつの間にか新製品も増えておりました(笑) 以前は色々購入していた私ですが、今回は何も購入しないぞと心に決めていたので一直線に座席へと移動(^-^; ところが、加藤さんの前説で『前回公演の
DVD副音声に上川隆也が登場』というのを聞いてしまい… キャラメルの幕末ものは好きだということもあり、購入してしまいました…一番高い商品を(爆) 後ほどゆっくり堪能しようと思いますが、どうもキャラメル製品いつも手が出てしまうんだよなぁ(^-^;;

さて、今回の『彗星はいつも一人』ですが・・・
久しぶりにかなり感動いたしましたッッッ!!!これは本当に観に行ってよかったです。映像でこの作品の大元となっている『レインディア・エクスプレス』を見たときに感じた感動が蘇ってくるようでした。改訂版ということで、群唱も最小限にとどまっていたのですがそのバランスが逆に良かったですね(当時はこの群唱にかなり異論も出てたらしいし 笑)。前回群唱だったところはほとんど細見さんがその役割を荷っていました。
現代のエピソードは『レインディア』とけっこう変わってて、ヒカリの教え子大地の抱えている問題が大きく変更されていました。前回は
『自殺した生徒』というのが根底にあってちょっと重々しい雰囲気だったのですが、今回は『離婚した父親との交流』というのがテーマになっていたので胸にジンとくることが多かったです。本当は息子に謝りたかったのにそれを素直に表現できない父親を岡田達也さんが熱演!私はこの手のエピソードに非常に弱いということもあり…けっこう何度も涙ぐんじゃいました。それにしても、久しぶりに観るおっかーさん(達也さんね)、えらくカッコよく見えたわ〜〜。ラスト、北条に「一人で死んでいくのが寂しいと正直に言え(父親は肺がんで余命半年という設定だったので)」と諭されるシーンは特に感動的だったなぁ。

改定ということですが、変わらずに残っていたエピソードが
ナオと北条の物語です。『レインディア』で初めて観たときに、このエピソードは絶対に生で観て感動したいっっ!と思っていたのですが、実際に今回生で観て思わず涙が出ちゃうほど感動いたしました(T_T) 
ナオがまだ20代だった頃に出会った北条はナオの駆け落ち相手と共に海へ漁に出かけるのですが、嵐に巻き込まれナオの恋人は死んでしまい
北条だけが生き残ってしまいます。ナオはしばらく北条を許せなかったのですが、毎日生活費を黙って置いていく北条に、いつしか怒りの感情が消え信頼を寄せていくのですが10年後に北条は陣八・騎一郎と共に下関から立ち去ってしまいます。いつしか北条への恋心を抱いていたナオと、出会ったときからナオに密かに想いを寄せていた北条はお互いにその想いをハッキリと告げることもなく別れてしまうのですが…これがとても切ないんですっっ! ナオは北条への想いを隠しながら「この人って思う人と出会えるといね」と言うのですが、これに対して北条は「俺はもう出会った。だからこれからも生きていける」と告げるんですよ〜。直接的には好きだと告白しなかったにしろ間接的にナオへの想いを別れ際に告げるんですよねぇ。このあたりが妙に切ない…西川さんがそれを見事に表現してて本当に泣けました。
そして48年後の再会のとき、ここでもナオと北条は自分の想いを直接相手には告げないのですが・・・実は北条は
下関を立ち去ってからも1年に1度必ずナオのもとへ気づかれないように訪れていたことを告白します。ウオ〜〜・・・切ないっすぅぅぅ〜〜〜(T_T) ナオの死んだ恋人との約束「ナオを頼む」…48年前のこの約束をずっとずっと守ってきたんですよ、北条は。そして、ナオの孫・ヒカリのこともずっと見守ってた。思わず涙でちゃうよなぁ。
久しぶりの再会もつかの間、北条たちはまた旅に出ることに。立ち去り際、北条は思わず
『ナオさん』と駆け寄って名前を呼ぶのですが、このときの西川さんの語りかけが思わず声が詰まったといった感じでして・・・思わず私感涙(T_T) すっかり老け込んでしまったナオの顔を見ながら「あんたもあの頃と全然変わらないよ」と言い、『何かあったら必ず助けに来る』と告げて立ち去ってしまいます。北条とナオの『約束』が二人をつないでいる赤い糸のようなものなんですよねぇ。
会場からもけっこうすすり泣きの声が聞こえてきましたが、私もキャラメルではものすごく久しぶりに涙しちゃいました。『カレッジ・オブ・ザ・ウインド』以来かなぁ・・・キャラメルですごく泣けたのは…。

キャストに関してですが、少し前まで感じていた違和感みたいなものは今回感じられず皆さん本当に素晴らしかったと思います。新人さんたちもそれぞれのキャラクターを生かしているようで、今後に期待が持てますね。頑張ってほしいです
。ヒカリ役の小川江利子さんは少し見ない間にまたかなり成長したようで、同じ名前(漢字も!)のよしみとして今後も応援したいと思いました。それから、このお芝居の目玉とも言うべきが篠田剛さんの「柳生先輩」(笑) 篠田さんっていつもおじさんキャラが多いんですけど(見かけも老けてるんで 爆)、今回は剣道部の先輩役…。もうねぇ、登場した瞬間からあまりの不自然さに会場大爆笑でございました(笑) 前説で加藤さんが「柳生先輩という役を篠田がやっています」と言っていたので、何かあるなとは思ったのですが…これはかなりウケてしまいました(^-^;;; ダッチさん、超ナイスです(笑)
でもやっぱり一番素晴らしかったのは
西川さんの北条ナオの坂口さんですね。初演のときと同じ配役だったのですが、また更に心の演技に磨きがかかっていたようで・・・このお二人には本当に感動させられました(T_T) 特に坂口さんは老婆から20代の娘への転換が非常に上手かったですね。またこの二人の物語を観てみたいと思いました。

ウ〜〜ン・・・まずいぞ〜〜〜・・・これ、
DVD出たら買っちゃうよぉ(爆)