7月18日 (金)
劇団四季ミュージカル 「李香蘭」 四季劇場・秋

出演者: 野村玲子、濱田めぐみ、五東由衣、芝清道、青山祐士、松宮五郎、青木朗ほか

あらすじ

戦後の上海軍事裁判所で裁かれている李香蘭。満州事変など日本軍との戦火が広がる中、香蘭は関東軍の宣撫工作の一環としてスターとして扱われ絶大な支持を得るようになる。一方、香蘭の姉的存在であった愛蓮は恋人の玉林とともに日本軍と戦うことを決意。香蘭と袂を別ち戦いに身を投じていく。スタートしてどんどんと人気を獲得していきながら心の中は孤独に満ちていた香蘭。彼女を支えていたのはいつも兄と慕っていた杉本であった。しかし、そんな杉本にも召集礼状がきて…

李香蘭が上演されるたびに観続け・・・ついに今回でいつの間にか9回目を数えていました(^-^; このミュージカルってテーマが重いし、歌以外のところはけっこう難しい部分が多いと思います。私も、最初に見ていた頃は『芥川さんの杉本が観たい』一心で劇場に足を運んでいましたが(笑)、芥川さんが退団した今も『李香蘭』を観に行ってしまうんですね〜…。で、今回観てまた思ったんですけど、結局私はこのミュージカルが好き(こんな表現が正しいのか分かりませんが)なんだなぁと。やっぱり曲が素晴らしいですから、何度観てもなんか癒される感じで・・・うん、好きですね、このミュージカル。

今年で上演11年を迎えている李香蘭ですが、なんか今回観たのは今までとはちょっと違った、
真新しさを感じました。そのひとつの要因がキャストの若返り化。川島芳子は濱田さんに、男性アンサンブルも今までとは違った面子が揃っていました。やっぱりキャストが変わると印象も変わりますねぇ〜。しかもよく観ると、『オペラ座の怪人』のファントムが好評だった高井さんが裁判長、同じく『オペラ座の怪人』でファンになった小林克人さんが溥儀、『レミゼラブル』が印象的だった神保さんが永井荷風と・・・なんとも私好みっぽいキャスト勢ぞろいで(笑)、話とは関係ないところでなんだかトキめいてしまいました(爆) 
特に高井さんは私はこの『李香蘭』が初見だったので、思わぬところで出会えてラッキーという感じ(^-^) 今までは佐川さんがやっていた裁判長役での抜擢だったようですが、評判どおり
歌声は素晴らしかったです!ホント、佐川さんに引けをとらないほどの美声〜〜。でもやはり、今まで佐川裁判長を何年も見慣れていたせいか・・・貫禄は・・・う〜ん、今ひとつといった感じでしたかねぇ(佐川さんは貫禄ありすぎだったから 笑)。なんだか、新人裁判官が座っている感じで(笑)。それはそれで初々しくていいと思うんですが、ただ、これから『李香蘭』公演で回数を重ねていけばまた立派な裁判官に見えてくるのだと思います。う〜ん、でも今回初めて観てみて高井さんのファントムがますます観たくなってしまったぞ!
小林克人さん、劇団四季のなかではかなり好きな俳優さんなので、思いもかけず『李香蘭』で観ることができて本当にうれしかったです♪溥儀役、なんか実直そうなんだけどちょっと抜けたところがあるような・・・
かわいらしい小林さんでした〜♪思わず乗り出して観てしまった(笑) 背も高いし、溥儀のメイクでもやっぱり小林さんはカッコよかった!
今回ちょっと驚いたのが神保さん。『レミゼ』で学生をやっていた頃の神保さんが強烈に今でも頭の中に残っているだけに・・・なんか、
老けてしまった様な・・・。いや、あれからけっこう日が経っているからといえばそれまでなんだけど(^-^; 永井荷風が出てきたときちょっとビックリしてしまいました・・・あまりにもマッチしてて(苦笑) う〜ん、なんだかちょっとショックだったような・・・。でも相変わらず歌声はきれいで良かったですけどね。

と、突然アンサンブルの話題から入ってしまいましたが(^-^; そのついでにもうひとつ。男性アンサンブルが今までと大幅に変わった分、
関東軍の迫力がけっこう落ちている感じがしました(苦笑) 松宮さんや岡本さんは年の功ということもありそれなりの恐ろしさを表現してましたが、その他の方がけっこう若返り・・・というか、関東軍新人さんだったので(笑) 今まで感じていた「おお〜こわっっ」っていう感覚が生まれてきませんでした(^-^; 恐らく、回数を重ねていくごとに『恐ろしさ』も出て来るんだと思いますけどね。そう考えると、光枝さん、佐川さん、深水さんの3人の関東軍の存在ってすっっっごい重圧感あったんだなぁと・・・(笑)。
特に杉本と胸倉掴んで言い合いをするシーンなんて、関東軍の将校さんのほうが押され気味だったような(苦笑) あそこ、今までは深水さんが演じられていたのですが
ものすごい怖かったですからねぇ・・・(杉本さんを食ってた 爆)。キャストが変わってくると色々感じ方も変わってきてこれもまた面白いのかもしれません。

ここで主要キャストに着いて少々。
李香蘭の野村玲子さんは11年間演じていられるだけあって立居振舞など可憐で可愛くて・・・とてもよかったと思います。・・・が、歌になるとなんだかとても苦しそうで・・・観ているこちらはちょっとドキドキしちゃうんですよねぇ。そろそろ李香蘭の2代目を出したほうがいいんじゃないでしょうか。たしか、井料さんが在団中は彼女がセカンドキャストだった筈なんですが・・・退団してしまいましたからねぇ・・・。この先も続けてほしいミュージカルなだけに今の野村さんの喉の調子を見るとかなり心配です(李香蘭としての歌は何とか持ちこたえられるものの、淑子としての歌声はかなりイタイかも・・・)。他の主要キャストはセカンドキャストがいるだけに、ちょっと何とかしてほしいと思います。いないのかなぁ・・・野村さんのような可憐さを出せる人・・・。
保坂さんは別公演で頑張っているので(笑) 今回の
川島芳子は濱田めぐみさんでした。よかったですよ!彼女の芳子!保坂さんのようなカッコ良さはまだちょっと・・・という感じではありましたが、全体的にキュートな感じでとても好感が持てました。これからも濱田さんの芳子が見てみたいですね。あ、そうそう、李香蘭の人気の度合いを歌うシーンで『アムロでも〜』と今まで歌っていたのが今年から『浜崎も〜』に変わってました(笑) これも時代の流れでしょうか・・・(苦笑)
杉本役の芝さん・・・やっと今回辺りから私的に慣れてきたかも。でもやっぱりどうしても芥川さんの影がちらついてしまう(涙) 芝さんの杉本もすばらしいんですけど、やっぱりまだ愛着は芥川さんが演じた杉本なんですよね・・・。芝さんごめんなさい・・・。
玉林の青山さんは今回が初見でしたが、う〜ン、存在感が・・・ちと薄い感じが・・・。道口さんも観たかったなぁ。
愛蓮の五東さんは相変わらず素晴らしい歌声&演技でした!特に今回はまたひとつ愛蓮の人間的な深みが増した感じで・・・彼女の演技には今回かなり泣かされました。

なんかキャストのことばかり書いて
(しかもけっこう軽いネタが多い 爆)しまいましたが、久しぶりに観た『李香蘭』だったせいもあるのか、今まで以上に涙してしまいました。私も30代に入って涙腺がますます弱くなったのかなぁ(苦笑) 1幕の「マンチュリアンドリーム」でさっそくウルウル・・・、愛蓮との別れシーンの抗日運動のところでもウルウル・・・。以前は1幕ではあまり泪目にならなかったのが、今回はやけに涙のツボに入りまくりで…。2幕に至っては、「チュイパ」あたりから、ずっと涙止まらない状態に。隣に座っていたのが、ちょうど李香蘭と同じ時代を生きられていた方だったようで、何度も涙をぬぐっていらっしゃり・・・それが私にも伝染したのかもしれません。
毎回泣き所に入るのが『海ゆかば』の映像。昨今、戦争が実際に起こっているだけに今回はあの映像を見るのがとてもとても辛かったですね・・・。
いつも以上に涙涙になってしまいました。戦争・・・本当に愚かな行為・・・。人間はいつまでこれを繰り返していくのでしょうか。こんな世情の中で見たあの映像はいつもにも増して、私の胸に痛く突き刺さった感じがします。
李香蘭のクライマックス裁判シーンでも、香蘭がいたぶられているところから何故かグワッと涙が押しあがってきてしまって・・・結局ラスト愛蓮と抱き合うシーンまで泣きっぱなしだった私(^-^; なんか、いつも以上に泣いたような気がする・・・今回の『李香蘭』。そしてまた、次回公演があった折には観に行ってしまうんだろうなぁ・・・。やっぱり私は
このミュージカルが好きなんだと思います。

ちなみに、カーテンコールが今回から増えてました。最後に『中国と日本』を日本語と中国語で合唱。なかなか良かったです(^-^)。この永井カーテンコールのお蔭で、涙をぬぐう時間も出来たし(苦笑)