8月19日 (火)
ミュージカル 「星の王子さま」 東京国際フォーラム・Cホール

出演者: 宮崎あおい、保坂尚輝、ROLLY、EPO、すまけい、宮川浩、松澤一之ほか

あらすじ

ある晩、飛行機が砂漠に墜落した。その砂漠で飛行士(保坂)は「星から来た」という王子(宮崎)と出会う。不思議な少年の言動にはじめは翻弄されていた飛行士だったが、徐々に自分の中にある純粋なものと共鳴するものを王子に感じるようになっていく。王子は自分の国から地球にやってきたまでのいきさつを飛行士に語る。
やがて喉が渇いた飛行士ははかどらない修理のこともありイライラしてくる。王子と井戸を探しに出かけると不思議と砂漠の真ん中にそれが現れる。そして、二人の別れの時がやってくる・・・

以前、音楽座で上演されたバージョンを見たことがあるのですが(演じたのは音楽座ではないです)、今回の「星の王子さま」はそれとは違った作品として新しく製作されたようです。正直なところ・・・このミュージカルに宮川浩さんが出演されなかったら恐らくは見に行かなかったであろう作品です(爆)。最初に主要キャストを聞いたときに違和感を感じたというのもありましたが、前回、市村さんの飛行士で上演した音楽座バージョンにものすごく感動していたので・・・それとは違う新しいものというのに抵抗を感じていた部分がありました。こういう自分の中の背景もあってか、やはりどうしても前作と比べてしまいました(^-^;

全体的には本当に
「原作に忠実」といった感じで、想像していたよりは悪い印象をもちませんでした。が、物語があまりにも原作に忠実すぎるというか・・・なんか、淡々と時間が流れていて・・・途中けっこう退屈に感じてしまう(座ってるのが疲れる)場面が多かったです。セットや小道具はとてもメルヘンチックで「星の王子さま」の世界にピッタリなのですが・・・それを十分に生かしきれていなかったのが残念です。まぁ、原作をちゃんと読んだことがないので分からないのですが、もしかしたら「星の王子さま」のイメージは今回の舞台のようにとても静かで淡々としたものなのかもしれません。ただ、せっかく比較的大きな舞台で上演しているのだから、もう少し『動』の部分を見せても良かったんじゃないかなぁ。今回、作品の性質上、多くの子供たちも親同伴で観に来ていましたが・・・かなり退屈した子が多かったようでした(^-^; ま、もともとこの作品自体もしかしたら子供向けというよりは、大人向けなのかもしれませんが。

キャスティングについて少々…。主演の
王子役・宮崎あおいちゃんは最近テレビや映画で活躍してきている、これからの女優さんです。今回が初舞台ということで、演技的にいえばハッキリいってかなり未熟さを感じてしまいましたが(^-^; なんだかそれでも許せちゃうような不思議な魅力がありました。星の王子さまってすごく純粋で、なににも染まってないような無垢な少年なのですが、宮崎あおいちゃんの存在そのものがピュアで重なる部分が多かったように思います。芝居的にはまだまだだけど、雰囲気的に王子な感じで想像していたよりも好印象を持ちました。それになんか女の私が言うのも変だけど(笑)めちゃくちゃ可愛かったし(^-^)。あおいちゃん目当てでやってきている男性ファンが夢中でオペラグラスを覗いている心境も分からなくはなかった(笑) ただねぇ〜・・・歌が・・・・・・(-_-;; あの短いフレーズの歌詞でも聞いているコチラがずっこけてしまうようなものだったんで・・・歌手は目指さない方がいいかも(苦笑)
飛行士の保坂尚輝さん、私は生で観るのは初めてだったのですがなかなか素敵な方でございました〜。が、・・・・・・・う〜〜ん・・・保坂さんは舞台向きではないかもしれないです。台詞の抑揚はほとんどなかったし、表情もほとんど変化がなし(苦笑) 比べるのは良くないかもしれないけれども、市村さんの飛行士のほうがやっぱり相当魅力的でした。この舞台が淡々と感じられた要因のひとつは、もしかしたら、保坂さんの演技の影響が大きかったのかもしれません。やっぱり保坂さんは舞台よりもテレビの方が映えるのかも・・・。
この二人に関して、もうヒトコト感じたままに書かせてもらうと・・・(作品全体についてです)
ミュージカルとうたっているのに、
なぜ、主演の二人がほとんど歌うナンバーがなかったのでしょうか。『下手だから』という理由もあったかもしれないけれども(爆)、主演なんだから1-2曲はなんとか誤魔化してでもちゃんとしたナンバーを入れるべきではなかったでしょうか。せっかくの主演も、なんだか、ナレーター的な感じになっていて・・・影が薄く感じられてしまいました。

と、なんか辛口のオンパレードのようになってしまいましたが(爆) 脇役の皆さんは非常に個性的で良かったです♪
EPOの生歌をここで聞けるなんて〜!けっこう彼女の歌が好きだった私は嬉しかったですねぇ。演技的にみるとそんなに印象深いものではありませんでしたが(苦笑)、花の歌は好きでした。それにしても、彼女、あんなに老けてしまっていたとは・・・これはけっこう自分的にショックだったかも(^-^;
ROLLYは今回キツネと自惚れやの二役に挑戦。皆さんキツネのほうの評価がとてもいいようなのですが、私はどちらかというとROLLYが自由気ままに演じていた自惚れやがすごい良かったと思います。っていうか、すごいROLLYの雰囲気と合ってた(笑) それにしても小さな地球儀のようなものの上に立っていたのは観ているこちらがこわかったくらいでした〜。キツネに関しては、一番印象深かったのが衣装ですね。ライオンキングのパペットよりも良く出来たキツネの衣装だと思ってしまった(笑) なるほど、あのキツネの扮装だったらROLLYの派手さが隠せるわ〜・・・と妙に感心してしまいました。ただ、これもどうして前回と比べてしまうんですが・・・音楽座バージョンで観た時と同じ感動は残念ながら感じられませんでした。やはり、もう少し哀愁を全面に表現して欲しかったなぁ。なんか呆気なく別れのシーンが過ぎてしまったような気がして、ちと消化不良でした。
松澤さん、福本さんはテレビでよく拝見している俳優さんですが、少しの出番でもとても印象深かったのはやはりさすがです。特に福本さんの呑み助はかなり私的にツボでございます(笑) すっごくかわいかった〜!すまさんの王様も楽しかったな♪ ヘビのダンスは音楽座バージョンとかなり被ってました。杏奈さんのヘビダンス・・・圧巻!

で、一番のお目当ての
宮川浩さん(この舞台、宮川さんが3人いらっしゃるんで 笑)!ファン視線から言うからというのもありますが、やはり際立って良かったですっ♪『点燈夫』としてだけではなく、アンサンブル的に随所随所に登場してくださっててファンとしては嬉しかったですよん。それに歌声は一番響いてましたしね〜♪
で、点燈夫、
このミュージカルのシーンの中で一番良かったかもしれないです。まずその登場シーンからして目を惹きました!すごい乗り物に乗ってくるとご本人が仰っていたので、どんなものかと思っていたら・・・舞台の天上まで届きそうな巨大金色自転車(下の車輪は3輪車でしたが)!!これがまた、えらいメルヘンチックで…あの舞台の雰囲気にとても合っていました。そして衣装も暖かそうな長い帽子姿と・・・なんか童話の世界から本当に出てきたように思えちゃいました〜♪ナンバーもほんとにあったか〜くて素敵(^-^) 眠ることなくひたすら灯りを燈したり消したり・・・傍から見るととても淡々としているように見えるんだけど、宮川さんの演じた点燈夫はそのことを苦に感じない・・・人に尽くす事が楽しいんだといった、そんな温もりを感じさせてくれました。とても感動しました〜〜〜
カーテンコールの時、去り際に
客席に向かって『V』サインをして去っていかれたので、あれはなんだったんだう〜〜と思ってしまいましたが、あとから良く考えたら、『あと2回(公演回数)だよ』のアピールだったようですね。お茶目だわ〜〜(笑)

もし次に再演されることがあるとしたら、もう少しメリハリをつけた流れにしてほしいですね。素敵なお話なので・・・白井さん、頑張ってくださ〜い(^-^)