「サイドマン」  PARCO劇場  

キャスト

クリフォード:北村一輝 / ジーン:うじきつよし / テリー:浅野温子  / ジョンジー:松澤一之 /アル:斉藤暁 / ジギー:冨岡弘 / パッツィー:高畑淳子 

観劇日 4月20日(金) ソワレ 

 

あらすじ

1950年代、ジャズの全盛期。大物ジャズミュージシャンのバックで演奏するサイドマンのメンバーであるジーン(うじき)はある日、夫に捨てられてニューヨークに出てきたばかりの女性テリー(浅野)と出会い、結婚。ところが、ジーンは根っからのサイドマンであり家庭よりもトランペット第一。しかしはじめのうちはその結婚生活もうまくいっていた…テリーに子供が出来るまでは。息子のクリフォード(北村)が生まれてもジーンのトランペット優先の生活は変わらず、テリーは次第に精神の均衡を失い酒におぼれていく。家族の崩壊を目の前でずっと見てきたクリフォードはついにジーンに向かって…

4月20日(金) ソワレ

あまり宣伝が派手でなかったせいか、間際に購入した割りにはものすごくいい座席が取れたこの作品。キャストをみたってけっこう有名な人がそろっているし、なんと言ってもトニー賞をとった作品なんだからもっと売行きがよくてもよかったのになあ…なんて思う今日この頃です(^_^;) 私がこの作品を見たいと思った動機は二つ。一つ目は『トニー賞受賞作品』を観たかった!ということ。それになんだか感動するって聞いたし、感動作品には本当に弱い私はころっときたわけでして(笑) 二つ目はものすごく単純に…『最近注目の北村一輝さんが見たかった』(笑) 実はちょっと好みのタイプなんですよねえ、北村さん(^。^ゞ 

さて、そんなこんなの理由で観に行った『サイドマン』ですが…よかったです!!テレビなど画像で活躍している俳優さんが多いから正直ちょっと不安だったのですが、そんなことほとんど気にならないくらい良いお芝居でした(^。^)そう、本当に良いお芝居っていうのがぴったりくる感じですね。ジャズって私はあまり興味がない分野なのですがこの芝居の雰囲気で自然にジャズという音楽を受け入れることも出来たし、逆になんだか心地よかったなあ〜。ジーンたちサイドマンが夢中になるのも分かる分かるっていう感じでした。ジャズと家庭崩壊…日本だと、この手の物語だとラストはハッピーエンドになることが多いのですが、これがアメリカ社会…ううう…切なかったです(;_;) ジャズに心を奪われてしまったジーンは結局最後まで妻のテリーの寂しさむなしさを理解してあげることが出来なかったんですね。出会ったときはあんなに生き生きしていたテリーがどんどん荒んでいく姿を見るのは辛かった…。本当はお互いにお互いを想っていたのに…というのが分かるだけになおさらね。それをずっと見つめてきた息子のクリフォードは淡々としているようにみえて実はすごく感情を内に押さえ込んでいるんです。自分が生まれてしまった故に両親の均衡が崩れてしまったという感情を常に抱いてきたクリフォードがこれまた痛々しくて…それに北村さんがまた童顔で可愛いからなおさらね…と、結局私はミーハーな意見に走ってしまいますね(爆) それにしてもジーンみたいな人と結婚したら本当に大変だ(^_^;) 1番に自分の好きなことを通してしまうからね。妻への愛情や家庭を顧みるっていうのは結局彼にとって何番目だったんだろう…なんて思うとちょっと恐い気がしました(苦笑)ああいう人はたとえ女性から『結婚して』と迫られても結婚してはいけないんでしょうね(笑) 思い当たる人、います?(^_^;)

最初にも書きましたが、キャストもかなりの実力者ぞろいでした!
まずはこの芝居のストーリーテラーでもあった初舞台北村一輝さん。彼はこれが初舞台ということで多少の堅さがあり、台詞をとちったりということもあったのですが私は北村さんのクリフォードが好きでした♪だって、もう出てきたときから『息子』そのものって感じがしてたんですから〜♪淡々と話しているんだけど、その中に家族への愛情っていうのが垣間見られてよかったと思います。ジーンを家から追い出すまでの迫真の演技にはジーーンとしてしまいました(これはシャレじゃないよ(爆))今までずっと淡々と話していたのに、だんだんと感情が高ぶってきて涙声になって声をつまらせていくところや痛々しい叫び…ほんとにこれは大熱演で私はよかったと思うんだなあ。それに、かっこよかったしね(*^_^*)…と、やはり私はここでもミーハーモードが抜けないのだ(爆)
ジーンのうじきさんもテレビ慣れしているせいか多少聞き取りにくい台詞があったもののジャズを愛し抜き家族を顧みることができなかった父親をうまく表現しいたと思います。なんといってもですねえ、うじきさんのジーンは可愛かったのですよ!あんなに家族を顧みないなんて本当は憎むべき父親なのに、それでもテリーやクリフォードが憎みきれなかったというのがよく分かる…結婚さえしなければ本当に『良い人』のままですんだのにねえ。それでもやっぱり愛すべき父親を演じたうじきさんに乾杯!
テレビでの顔が印象深いテリーの浅野温子さん、いや〜〜舞台でも光っておりましたわ〜(^。^) ジーンと結婚して子供が出来るまではすごく幸せそうで…もう可愛いくらい愛くる
しいテリーなんですっ!それが、語りに入る別居後のテリーはすごいドスの効いた荒んだ女性で(^_^;) これを交互に演じこなしていたのはさすがでしたねえ。自分よりもジャズを選んだジーンに癇癪を起こして物をブン投げまくる姿は痛快にして大胆!思わずこちらがびくついてしまうほどの熱演だったなあ(^_^;) あと、酒におぼれて窓から半身を出しているのもかなりの熱演!あれは一歩間違えると落ちるぞ〜〜〜とどきどきしながら眺めてしまいましたが(^_^;)きっと、クリフォード=北村さんが支えてくれてたのかもしれませんね(^_^)
サイドマン達を演じた松澤さん、斎藤さん、冨岡さんやパッツィーを演じた高畑さんも痛快で見ていてすごく楽しかった!演技派の役者さんたちが集まると本当に見ごたえがありますねえ〜。

ジャズが好きでない私が好きになった『サイドマン』は本当に良いお芝居でした♪少しはジャズも見なおしてみようかな。でも、ジーン達みたいにはいかないと思うけど(笑)