「ニジンスキー」 パルコ劇場  

キャスト

晩年のニジンスキー:市村正親 / 若きニジンスキー:首藤康之 / ニジンスキーの妻ロモラ:久世星佳  / セルゲイ・ディアギレフ:岡田眞澄 /ヴィンズヴァンガー医師:段田安則 / フリッツ・ヒューベルス:宍戸勝 

第1回観劇日 2月12日(土) ソワレ ←詳しい感想
第2回観劇日 2月29日(日) マチネ [楽]←楽の雰囲気感想

 

あらすじ

ヴァーツラフ・ニジンスキー、幼い頃から舞台でバレエを踊っていた彼はバレエ学校卒業後に脚光を浴びるようになる。彼をスターにしたのはセルゲイ・ディアギレフ、ディアギレフにはニジンスキーをスターにさせるという思惑ともうひとつ別にニジンスキーを愛人にしたいという欲望もあった。若かったニジンスキーはディアギレフの愛人となり彼の力でスターの頂点まで極めていく。ところが、南米公演に向かう船の上でハンガリー人のロモラと出会い、ディアギレフへの反抗心から彼女と結婚する。これに激怒したディアギレフはニジンスキーを解雇、ロモラとの結婚生活もうまく行かず、バレエ界からも孤立していきついに精神を病んでしまう。精神破綻を起こしたニジンスキーはスイスの精神病院で長年治療を受けていたが一向に明るい兆しは見えない。これに苛ついたロモラの強い希望でついにショック療法が行われるが…

2月27日(日) マチネ観劇 −東京千秋楽− 

千秋楽ということもあって、会場は大盛り上がりでした!通路横にずいぶんと人が座っていましたからチケットは完売したんでしょうねえ。会場中は外の気温とは打って変わってこの舞台への期待で熱気にあふれておりました。千秋楽観劇場所は後ろから3番目くらいの位置でしたが、前回かぶりつきで見たので(笑)全体像をじっくり堪能できてよかったです!
2回目ともなると話の内容もかなり頭に入っていたということもあり前回以上にストーリーに引き込まれていきました。市村ニジンスキーの狂いっぷりももうすごかったし、その上、ニジンスキーのすごくピュアな部分が切に伝わってきました…。首藤さんのダンスもまたさらに切れがかかったようで遠くから見てもとても魅力的でした。やはり印象深いのはディアギレフから絶縁宣言されたときのシーン。ここは音楽もすごければ照明も衝撃的!雷に打たれたようにその場に倒れる市村ニジンスキー…その背後で気が狂ったように激しく回転しながら横切る首藤ニジンスキー・・・前回見たときも圧倒されましたが、遠くから眺めた今回も私も雷に打たれたような気分になってしまいました(~_~;) それほど印象的なシーンですね、あれは。ほかの役者さんたちも熱演で、またさらに役にのめっているって感じですばらしかったです!

千秋楽ともなるとまた雰囲気が違います。カーテンコール、いつものように一人一人出てきて挨拶するのですがその顔にはおのおの満足感がにじみ出ているようでした。花の精の姿で登場する首藤さん、全員洋服の中ちょっと気の毒な感じがしていたのですが(^_^;)今回は殺風景な舞台のみではなく上からバ〜ッと紙ふぶきが落ちてきたくす玉が割れたりととてもゴージャスだったので違和感なしでしたよ(笑)くす玉が出てきたのはたしか…3回目くらいのカーテンコールだったかなあ。ニコニコと客席に笑いかけながら首藤さんの手を引っ張って出てきた市村さん、久世さんと手をつないでテレながらやってきた段田さん、岡田さんや宍戸さんは一人ずつ出てきたっけかな?(うる覚え(爆)) で、このとき突然首藤さんの頭の上に割れたくす玉の中身が直撃したんですよ(笑) 緊張が解けないような表情だった首藤さんもこれにはびっくりでいつまでも頭の上を見上げておりました(^_^;) 逆に段田さんたち側のくす玉がこのカーテンコールの間に割れず、ひそかに「?」と思っていると4回目くらいのカーテンコールで出演者たちが出てくる前に遅れ馳せながら割れてました(苦笑) 本当は3回目のときに段田さんたちの上で割れるはずだったんでしょうねえ(^_^;) そんなこんなで大盛り上がりの千秋楽でした!やっぱり市村さんの笑顔が素敵でしたね(^。^) あんなに狂ってたのなんてうそみたい… お客さんを大事に思ってくれる市村さん、やはりブラボーです!! 

2月12日(土) ソワレ観劇

いつもすばらしい演技を見せてくれる市村さんがバレエ界の巨匠ニジンスキーに扮するというので観る前からとても楽しみにしていました!前評判をチラッと見ると「ちょっと難解」といった意見が多かったようにみうけられたのですが、私はとてもこの舞台に魅了されてしまいました〜(^○^) はっきりいって、私はバレエにあまり触れたことがないし、某劇団の特別公演を見て熟睡した人間ですので(爆)「どうかな〜」っていうのは正直あったんですけど、さすがうまい役者がそろうとすばらしい舞台になりますねえ〜。バレエと芝居の両方を見せてくれるとてもお得な気分の舞台でもありました。
この日についた座席がまた中央前から2列目という夢のような位置で…「本当にいいのかなあ」なんて(笑)でも、すごいブルジョアな気分に浸れましたよね♪(と、語りかけてみた(^^ゞ) だって、周囲は市村さんファンクラブの上級者チックな方々ばっかりでしたからねえ〜(~_~;) それでなおさらこの舞台の壮大な雰囲気に飲まれたって感じです。ちなみに、私は会わなかったのですがこの日は桃井かおりさんもご観劇だったとか!それほどすごい公演だったんですねえ〜ニジンスキー!

さて、私はニジンスキーについては文庫漫画「SWAN」ではじめて知ったというほどのバレエオンチ(爆)彼がどんなにすごい人か、どんな末路をたどったのかはっきりいってぜんぜん知らなかったんです。が、この舞台はあたかも目の前にニジンスキーがよみがえって存在しているかのような錯覚を覚えさせるほど鮮明で…ニジンスキーの波瀾に満ちた人生にのめるように見入ってしまいました!セットもすごくシンプルなんですが所々の壁に扉があってそこから若き日のニジンスキーがバレエ衣装で突然飛び出してきたときなどはドッキリしてしまう…とても斬新なものでした!あとは照明、これも場面場面でとても印象的な使い方をしていました。あれだけシンプルなのにとてもゴージャスに見えるっていうのはやはりすごいことです!音楽もバレエ音楽が随所に流れるので酔ってしまいそうになるほどいい気分に浸ってしまうこともしばしばでした(笑)基本的にクラシックが好きなので私にはフィットしたものだったのかもしれませんね。これだけの好条件、その上デキル役者がそろっている!やはりすごい舞台だったニジンスキーなのです。

市村さん、相変わらずすばらしいです!パンフにも書いてあったけど、市村さん、本当に気が狂ってしまったんじゃないの?と思わせるにふさわしい熱演でございましたっっ(*_*) 登場していきなり同じ言葉を何度もつぶやきながらノートに殴り書きしていく姿…目はどこを向いているのか… まさに天才が爆発してプッツリ切れちゃった(なんか変な表現(・・;))人って感じでした〜。でも、ただプッツリしてしまった人じゃないというのが市村さんのすごいところ。気は狂っているんだけどでも心の奥はちゃんと普通の感覚…いや、それ以上のとても純粋なしっかりした感覚を持っている…だからなおさら見ていてニジンスキーが痛々しく感じられました。今回この役を演じるのにかなり苦悩したという市村さんですが、その分、役にもそれが影響しているような感じで迫真に迫ってました!一番印象的だったのは絵を書きながら緑の照明に包まれて遠い目をするところ。私は一番ここでグッときました。やはり市村さんはすごい役者さんです!!
岡田さん、この方が出てくると「ラ・カージュ」がすぐに頭を掠めてしまいました(笑)以前は恋人同士だったんだよなあ〜なんて余計なことを思っていると、なんと今回も恋人役(爆)しかも、前回よりもずっとずっとディープで怪しい恋人でございました(~_~ゞ 市村さんと岡田さんはやはり恋人同士となる運命なんでしょうかねえ(そんなわけないでしょう(爆))〜と錯覚を起こさせるような怪演でございました。もう、いかにも「男性大好き」っていう匂いをぷんぷん匂わせていらっしゃるんですもの〜(笑)これはさすがとしかいいようがありません。で、パンフを見てまたびっくり…実物のディアギレフとそっくりではあ〜りませんかっっ!本当にこんな人だったんだろうなあ〜とまた感慨深く見てしまいました(爆) 印象的なのはニジンスキーを呼ぶときの「ヴァ〜ツァ〜」という声… これにみんなやられてしまったんでしょうか…って私はいったい何を言っているんだろうか(自爆)
ニジンスキーの妻ロモラを演じた久世さんは今回初見でしたが、いや〜〜大変お綺麗な方ですねえ〜〜。それだけで感動してしまいました。ロモラってすごく気性のはげしそうな女性なのですが、久世さんのロモラを見ていると打算ではなく本当にニジンスキーのことを愛していたんだろうなって感じました。出会いのシーンはものすごく官能的で…愛しているとはちょっと感じられないようだったのですが、(舞台でここまでやるとはさすが女優!なんて感じてしまったほどなんですけど(・・;))ニジンスキーが精神病棟にいれられても年月を経てではあっても見舞いにくるというのはやはり愛していたからなんだと思いましたね。それにしても、若きロモラが出てきたとき、私は別の女優を使っているのかと思ってしまった…それほど久世さんのロモラは超魅力的でした〜〜〜!
精神科医の段田さん、この重厚な舞台にちょっとした軽いテイストを加えてくださってとてもよかったと思います!一番はじめの登場は段田さんで、客席をセミナー参加者とみなして話し掛けるところから始まるのですが、「どうもどうも〜」と登場するや否や客席から拍手がおこり、「あ、思わぬ拍手ありがとうございます」と素の表情(だったと思うのだけど)でテレ笑いしていたのがかわいくてよかったです(^。^) 舞台全体ではちょっとしたコメディリリーフっぽいのですが、精神分裂したニジンスキーを労わる気持ちはすごく感じ取れましたね。どんなにニジンスキーにいたぶられても(ビリヤードの棒でひっぱたかれたり骨折られたり踏んだりけったりでした(苦笑))、ショック療法を反対してきたヴインズヴァンガー先生。だから、一度行ってしまったショック療法に彼自身もとても自己嫌悪に陥ってしまったんでしょう。そんな苦しみがすごく伝わってきて切なくなりました。段田さんって舞台だとテレビ以上に生き生きしてますね!
バレエ界ではかなりの人気者であり有名人であるという若きニジンスキー役の首藤さん…私はこの舞台があるということを知るまで、まったく知らなかった(爆) バレエといえば熊川哲也くらいしか頭に浮かばなかったんです(~_~;)が、今回首藤さんをはじめてみて「バレエってすごいんだ〜」とつくづく感じてしまいました。指先までピーンと張り詰めた繊細なダンス…はたまた、激しく回り狂うダンスなど…もう見所万点で思わずのめりこんで見てしまいました!!そして、なななんと!(←大げさか(爆))舞台の上で岡田さんにどんどんと服を脱がされ…どこまで行くのかと思いきや、すばらしい全裸の肉体美を披露!2列目ど真ん中に座っていた私は思わずドッキリしてしまいました(爆) しかも〜2幕目ではロモラ役の久世さんに…ああ、私はこれ以上書けません(大自爆) でも、ぜんぜん厭らしくなかった…って当たり前か。とても繊細そうな体なのに、脱ぐと本当にバレエダンサーの方ってすごいんですね。彼にはせりふも結構あって、ちゃんと芝居にも絡んでました。市村さんとラスト二人で語り合うところが印象的でした(^。^)
フリッツを演じた宍戸さんって宍戸錠さん一家の方なのでしょうか?はじめに登場したとき、ビリヤード台を舞台袖から暗い中持ってきたので私はてっきり大道具の方だと思ってしまいました(爆) でもすごくはつらつとフリッツを演じていらっしゃって好印象でしたよ〜(^。^) 狂ってしまったニジンスキーが唯一心を許したっていうのもわかる気がします。ニジンスキーにとってフリッツは本当に心の安らぎだったんだろうなあ〜ってほどホノボノ感を感じさせてくれました。初めて知った役者さんですが今後もどこかの舞台で見たい俳優さんです。

と、まあとても充実した観劇でございました。観劇後にミニオフ会みたいにいろいろとお話できたのも楽しかったですね♪(首藤さんのカーテンコールの服装が…とか興味深い(?)意見が飛び交ってました(笑))