「李香蘭」劇団四季  四季劇場・秋  

主なキャスト

李香蘭:野村玲子 / 川島芳子:保坂知寿 / 李愛蓮:範衛華  / 杉本:芝清道 /王玉林:熱海将人 / 香蘭の父他:日下武史 / 裁判長他:佐川守正 

第1回観劇日 5月19日(金) ソワレ 
第2回観劇日 5月26日(金) ソワレ
第3回観劇日 6月3日(土) ソワレ

 

あらすじ

戦後の上海軍事裁判所で裁かれている李香蘭(野村)。満州事変など日本軍との戦火が広がる中、香蘭は関東軍の宣撫工作の一環としてスターとして扱われ絶大な支持を得るようになる。一方、香蘭の姉的存在であった愛蓮(範)は恋人の玉林(熱海)とともに日本軍と戦うことを決意。香蘭と袂を別ち戦いに身を投じていく。スタートしてどんどんと人気を獲得していきながら心の中は孤独に満ちていた香蘭。彼女を支えていたのはいつも兄と慕っていた杉本(芝)であった。しかし、そんな杉本にも召集礼状がきて…

6月3日(土) ソワレ

この日は予定に入っていなかったのですが、一緒に見せたい友人がいたので急遽ゲットしてしまいました。この時期、他に話題作がゾクゾクと出てきた影響もあり(^_^;) 李香蘭のチケットはいともあっさりゲットできてしまった(苦笑) 私としてはよかったけど、ちょっと複雑な心境でしたね…。やはりとなりの『ライオンキング』のほうが人気あるみたい。ま、この日はライオンキングが休演だったんですけど(^_^;)
さてさて、今回もすごく感動的な舞台だった『李香蘭』!とくにラストではお約束と知りながらどうしても香蘭と一緒に涙を流してしまう私は単純なのかなあ(^_^;) 見るたびに味わい深くなっていくんですね、この舞台。とくに今回はすごい成長を感じるので嬉しかったりしました。地方公演版の李香蘭も見に行きたいな…なんて思ったりもしてしまいました(日程的に無理なんだけど)。ただ、野村さん、かなりお疲れなのでは… 今回いつも外さない李香蘭のナンバーがちょっと危なかった(^_^;) 歌声に揺れを感じてしまって…千秋楽まで大丈夫だろうかと本気で心配してしまいました。
さて、この日は1つアクシデントも発生。なんと冒頭の裁判シーン(ちょうど群集が『嘘だ嘘だ日本の手先!』と叫んでいるあたり)で地震が発生したんです。この四季劇場、専用劇場とはいえけっこう仮設っぽい作りでもあるので(苦笑)揺れをすごく感じるんですよ(^_^;)。客席でかなり「ゆれてるな〜」と感じたので舞台では尚更かなあ〜と心配していたのですが、皆さん、何事もないように大熱演していて… 私はめったにこんな機会にめぐり合ったことはなかったのですが本当に、皆さんさすがは俳優さんでした!!ただ、佐川裁判官は高い位置で椅子に座っていたのでかなり揺れを感じたらしく椅子にしがみついてた感じでしたが(笑) 客席も多少ざわめきはしたものの大きく騒ぎ出す人もなく、途中で席を達人もなく、う〜ん、これにも感動したなあ〜。この地震騒ぎの影響か分からないのですが、その後の俳優さんたちの演技は前回にも増してものすごく熱く感じられました!なおさら感動度もアップ!
なんだかとても貴重な時に遭遇できてよかったです(^_^)

5月26日(金) ソワレ

2度目の李香蘭は座席があまりよくなかったのですが、なんと運が良いことに前の席にお客さんが一人も来なかったんです。まあ、劇団側からすると良いことじゃないかもしれないのですが私にとっては願ってもないこと(笑) よくないといえども前から数えたほうが早い座席だったのでものすごく見やすかった!! しかも、最近の仕事の疲れのたまりもあったせいかいつものも増して集中して見ちゃって… 前回よりもボロ泣きしちゃいました(T_T)
とくに前回よりも近づいた分、俳優さん一人一人の表情がすごくよく分かったのですが皆さん細かいところですごく感情をあらわにしているんですよね〜 今回とくにツボだったのがラストの範さんの涙… あまり演技面では感じることのなかった前回の範さんですが、『王林が死んだ』とに聞かされたとき本当に涙流していらっしゃったんですねえ〜(T_T) そのあと、野村さんが無罪になって涙を流されるのでもうこちらとしてはダブルもらい泣き(T_T) 
ジーンとしたのはそれだけじゃなく、『マンチュリアンドリーム』もかなりツボ。なんといっても冒頭の保坂さんの『♪13年しか続かなかった幻のマンチユリア♪』の歌詞。ご本人の山口良子さんも涙しているというこのシーンがまたさらに味わいぶかく感じて前半から涙目になってしまった。やはり戦争はこれからもあっちゃいけないんですよね… 
というわけで、2度目も感動の李香蘭なのでした。ただ、野村さんの歌声がちょっとまだ気になったりもしたんですが(^_^;)

5月19日(金) ソワレ

四季劇場の柿落としで上演されて以来ですから、約2年ぶりですね。そのせいか、今回の『李香蘭』はいつもにも増してすごく味わい深いものに変身してました!座席の位置も悪くなかったし、なおさら見入ってしまって…前回以上に涙涙な私だったのでした(T_T) 色々と賛否両論がある作品ではありますが、やっぱり私はこの作品が好きだなあっていうのを再確認したという感じですね。

冒頭の裁判シーンはやはりすごい迫力!群集の躍動感がすごいんです。ジーザスのときにも感じますが、四季のアンサンブルはやはりものすごくエネルギッシュですね。香蘭への憎しみが全身から感じられて恐かった… で、香蘭がはじめて登場する場面もすごく今回印象的に感じてしまいました。『もう一人の淑子さ』という川島芳子の一声と中国民衆に抱えられて静止している舞台奥の香蘭の姿がものすごく神々しくて…なんだかそれだけで胸が熱くなってしまった(;_;) で、その後の歴史モンタージュですが、前回まではけっこうウザッタク感じてしまう部分もあったんですけど今回は不思議と新鮮。やはりこれは私が年を取ってしまった証拠なんでしょうかねえ(爆) 軍人の中で光枝さんも発見!!今までも軍人登場されていたのでしょうか、なんだか今回はじめて光枝軍人を認識してしまいました(苦笑) でも私は愛蓮のお父さんの光枝さんが一番好きだな〜。発見といえば日下武さん、キャスト表を見たとき、日下さんの名前を見て『ありゃ?なぜ日下さんがここに』と失礼ながら思ってしまった(笑) 私が李香蘭を新鮮と感じてしまった理由の一端として日下さんの登場が合ったかもしれませんね。香蘭のお父さん、海軍人、高橋是清、中国軍人、…どれも一発で『あ、日下さん』と分かってしまうのがすごい(笑) ところどころ短いシーンでもしっかり味わいの演技をしているのはやはりさすがですね。ラストの軍人シーンでは逃げ遅れた可愛そうな女の子の服を剥いでいたなあ…(^_^;) ってよけいなところに目が行ってしまった私(爆)
変わったといえば『香蘭の人気』のナンバー。ここの歌詞は毎年その年の旬の歌手を歌っているのですが、今回は『♪安室でも、宇多田でも、桑田、キムタク 目でもない〜♪』になってました(笑)たしか、キムタクは前回も出てきたような… でもそれも目でもない李香蘭はやはりすごい人気だったと認識せざるを得ないですね(笑)
お決まりといわれればそれまでだけど、ラストの裁判シーンで香蘭が『無罪』になる瞬間はどうしても私も涙が出てしまいます(T_T) しかも、前回よりボロ泣き… 客電がついても涙目になっていた私にちょっと恥ずかしかったりもしました(^_^ゞ

キャストについて少し…。
まず、主演の野村玲子さん、李香蘭を続けて500回という大記録を達成されているだけに、もう登場から『あ、李香蘭』って思っちゃうほど雰囲気つかんでますね。さすがです。体に染み込んでいるんですねえ。実年齢とはかなり離れている7歳から13歳…(爆) 近くで見るとさすがに辛いものがあると思うのですが、ちょっと遠くから見ればまだまだ行けます!(笑) なんといっても仕草が小学生ですごく可愛い〜 小柄な体質も幸いしているのでしょうが、やはり上手いと思いますね。裁判で無罪になったときに涙するシーンでは私もついもらい泣き(T_T) ただ、歌の面ではさすがに限界が近いのではと感じざるを得ないのが残念… 明らかにCDよりも歌声が落ちてるんですね。でも、李香蘭のナンバーでは絶対はずさないのはやはりさすが! 野村さん以外の香蘭はちょっと想像できないけど、そろそろ世代交代の時期かなと思ったりもしてしまいました。
保坂知寿さんはさすがにかっこいい!川島芳子にぴったりですね!私はやはりおとなしく静かな女性よりもこういった男性チックなかっこいい保坂さんが好きです。歌と踊りの安定感はもちろん、ところどころ感情を込めて叫ぶところとかはこちらもドキッとしたり、ジーンとしたり… 一番今回ジーンときたのが2幕ラストの「わだつみの声」で『♪泥沼の戦争の終わり、最後を飾ったものは命奪う花火♪』と消え入るような声で歌ったシーンですね。これには私もほろっと涙ぐんでしまいました(;_;)
前回は芥川さんのイメージからどうしても抜けられなかったため受け入れられなかった芝清道さんの杉本ですが、今回はようやく受け入れることが出来ました。その要因の一つとして、髪型(笑) 前回よりもすっきりしていてカッコよかった〜(^_^) それに今までずっとエネルギッシュな芝さんを見てきたからすごく新鮮に感じたのかもしれないですね。一番ぐっときたのは香蘭との最後の別れのシーン。抱きしめようとして、その手を香蘭の腰に回そうとするのですがそれをグッとこらえるんです… これにはこちらもジーンときちゃいました(;_;)
愛蓮の範衛華さんは今回が初見。始めから中国人の役柄だから、中国語なまりなのが本来の姿なのですごくリアリティがありました。でも、ずっと五東さんの愛蓮で慣れていた私はちょっと違和感も…(^_^;) ただですねえ、ものすごく歌が綺麗なんですよ!安定感があるし、聞いていてものすごく心地良い(^○^) あの歌声を聞いただけでもこの舞台はものすごく満足できるものであったと思います。あとはもう少し演技面での成長が見たいですね。
今回の舞台で一番成長したな、と感じたのが海将人さん。今までずっと物足りないと感じてきたのですが、今回はもう、燃える男『王玉林』!その熱い熱い男っぷりにびっくりするやら嬉しいやらで…。とくに、学生集会のときの海さんの熱い演技は最高でした〜!こんなに熱い演技が出来るんだ、と嬉しい発見でしたね。所々で現れるアンサンブルでも生き生きと演じていたのが印象的でした。

と、このように今年の李香蘭は一味もふた味も違って見えたのでした。やはりこのミュージカルが好きなんですね、私(^_^)