野田地図「カノン」 シアターコクーン

キャスト

太郎:唐沢寿明 / 沙金:鈴木京香 / 天麩羅判官:野田秀樹 / 次郎:岡田義徳 / 猫:須藤理彩 / 刀野平六:手塚とおる / 猪熊の婆:広岡由里子 / 海老の助:大森博 / 猪熊の爺:串田和美 / 十郎坊主:宮迫博之 / 烏賊蔵・他:小林正寛 / 蛸吉・他:春海四方 / 八海山・他:蛍原徹 / お通し・他:瀧山雪絵 / 保険のおばさん・他:杉本恵美 / 保険のおばさん・他:保坂エマ

観劇日 4月5日(水)ソワレ

 

あらすじ

平安時代末期、天麩羅判官(野田)の忠実な牢屋番だった太郎(唐沢)は、ある日囚われの身であった女盗賊の沙金(鈴木)に心を奪われ彼女を逃がしてやってしまう。その後、彼女のアジトを探し当てた太郎は毎日のように通うようになり、やがて沙金と結ばれ盗賊団の一味に加わってしまう。やがて太郎の弟である次郎(岡田)も盗賊団の一味に加わり悪事を重ねていくようになるが、権力者である判官もある思惑を抱えていてついには全面戦争へと突入していく。しかし、この戦いの最中に裏切り行為が発覚…盗賊団の中で裏切ったのは…

4月5日(水) ソワレ観劇 

野田秀樹さんの舞台っていつも思うのですがストレートに「わかりやすい」お芝居ではないんですよね(^_^;) ただ、観終わってから不思議と「面白かった〜」と感動してしまう…う〜ん、これこそ野田マジックなのか。ところが、今回の『カノン』は、そんな野田作品のなかではかなり「分かりやすく面白い」舞台だったと思いました。
座席が左脇の席だったので舞台全体美術が堪能できなかったのがちょっと残念だったなあ〜…というのも、『お金が余りかかっていないようでいてものすごくダイナミックでゴージャスなセット』だったんですよ〜、今回!いつもそう思ってたけど、この『カノン』においては感動的なくらいすばらしかったですね。冒頭の戦いシーンから両脇の大きな柱が急に立ち上がって…一転美術館のように様々な有名絵画がかけられていくとか(左端の絵画が結局見えなくて残念)、一番奥からバカでかい『自由』(ジャンヌダルクが率いているやつ)がドドーンと出て来たり…まあ〜〜〜驚くこと仕切りでございました(笑)あと衣装もこれまた「つぎはぎ」っぽいんですけど、それがいかにもこの舞台にマッチしていてよかったですねえ。京香さん演じる沙金の衣装はツギハギながらかなりセクシーでございましたよ(笑)こういった、突飛な演出はまさに野田作品ならではって感じでした。

なんだか演出とか美術ばかりに話題が集中してしまいましたが(爆) 始めにも書きましたようにストーリーも面白かったです。約2時間半の時間があっという間に終わったくらい(^。^) 相変わらず言葉遊びも健在で(自由と銃をかけちゃうとか、自由をスリかえるとか…もろもろ(笑))見る見るうちに話が大きくなっていくって感じですね。それにしても、野田さんいったいどんな頭の構造しているんだろうか(^_^;) ラブシーンがまたかなり濃密でありまして(爆) 随所にキスシーンがちりばめられておりました(爆)←これがかなり濃厚なのです(^_^;) 唐沢さんと岡田君、役得でしたかね(笑)…ってぜんぜん関係ない話題に飛んでしまいスミマセン(~_~;;;)
このお話って途中まではスゴイ喜劇っぽくて笑えるんですけど、ラストをみると結局は悲劇なんです。沙金って一人の孤独な女性像が浮き彫りにされて…盗賊団の仲間からは絶大な支持を得ているし太郎と次郎兄弟からは愛されていた(三角関係にまで発展したしね)のに、最後まで彼女の心を救える人はいなかったんですね。沙金は愛されることはあっても愛することを知らなかった悲しい女性…最後の最後まで、たとえ見捨てられても沙金のことを愛しぬいて救おうとした太郎の姿に感動させられました。自由を盗もうと戦ってきた沙金が『自由』の絵画の後ろに隠れ、その自由を率いる女性の絵画を太郎が銃で撃ち抜くのですが、その撃ちぬかれた絵の胸から赤い鮮血が一本伝わっていくシーンは本当に衝撃的でした(゚.゚) う〜ん、私が野田作品についてここまで感想を書けるなんて珍しいことかもなあ(爆)

印象的なキャストについて…まずは太郎の唐沢さん。はじめて舞台姿を拝見したのですがさすが野田作品を知り尽くしているって感じで見事に作品にマッチした演技を披露してくれました〜!テレビの唐沢さんもかっこいいけど、舞台だともっと映える役者さんですね。声もすごく通っているし何より聞き取りやすかったのがとても好印象でした(^○^) ほんと大熱演で舞台全体を引っ張っているって感じでしたね。
沙金の鈴木京香さん、彼女のイメージってすごく清楚な大人の女性って感じだったのがこの舞台でスゴイ豪傑女(笑)を演じていたのにまずびっくりさせられました!服装もかなり大胆で、胸元なんて女性の私でもどきどきしちゃうくらいでしたわ(爆) それでいてあの気品のある美しさ…テレビで見るよりまたさらにお美しい方でございました〜(*^.^*) でも残念だったのは声ですねえ。京香さんの声ってちょっと低めでこもりがちなので舞台でいくら大きな声を出してもあまり通らないんです。まあ、私が見たのが初日明けて間もないころだったせいかもしれませんが…。
次郎の岡田君、わたし、登場してからしばらくの間次郎が岡田君だとはちっとも気がつきませんでした(爆)話が架橋になるに従って「そう言えば、岡田君ってどこにいるんだろう」なんて思ったくらいなので(爆) いや、だって、髪の毛ちょんまげだし(笑)スゴイ舞台慣れしているっぽい感じで分からなかったんですもの〜〜〜(^_^;)…と、そのくらい岡田君の舞台は素晴らしかったと思います。これからもどんどん舞台に進出していってほしい若手俳優さんですね♪ダイナミックな全身演技がとても印象的でした!
猫役の須藤さんなどは、舞台が終わっても「あの子はいったいどんな舞台女優さんなんだろう」と思ってしまったくらいでございます(爆)実は須藤さんは私の住んでいる町(というにはちと田舎なのですが(爆))出身の女優さんなので影ながら応援しているんですよ。数年前のNHK朝ドラで主演を勤めて以来色々ドラマに出演してきた須藤さんですが、舞台でもイケルよ〜〜!声が通っててすごく聞き取りやすいしなかなかうまい!また舞台に出てほしいな。
アンサンブルで気になったのが猪熊の爺の串田和美さん…「よかった」というよりかは「このまま千秋楽まで声がもつのだろうか」と心配になってしまった(^_^;) がらがら声で聞いているこちらがやきもきしてしまうということが何度かありました。う〜ん、しかし串田さんをあのような配役に置くとは…野田秀樹恐るべし!ってたいした意味はありませんです…ハイ(爆) あとは小林正寛さん…彼は『聖者の行進』という数年前のドラまでの演技が印象的だった俳優さんですが、演技的にはよかったのですが何が気になったって…背のあまりのデカさに(笑) 『もしや、靴底に竹馬つけてるんじゃなかろうか』などという超バカな考えが浮かんでしまったほどだったわけです(^_^;) いや〜〜〜、私、Y口Y一郎さんよりもデカイ役者って初めて生で見たよ(笑) 190センチ以上あるらしいです…スゴイ…

なんだかあまり関係ない感想ばかり書いてしまったような気がしますが(爆) なんだかんだいってやっぱり野田作品は面白かったのでありました(^_^;) テレビ放映してくれないかな。