第14話 就職試験   

 全日本吹奏楽連盟(現在は全日本合唱連盟の仕事についています)の事務局職員募集に早速応募してみました。まず、筆記試験があるというのです。この手の試験はどうも苦手ですね。内容は覚えていませんが、どこかの専門業者のテストだったようです。こういう就職試験には、昨今に見られるように、男女とも紺のスーツを着るのが一般的ですよね。でも私はそのスーツが無かった(持っていたのはステージ用の黒の上下)こともあり、またアメリカ帰りということもあり、試験の時は普通の格好でいいやと、紺の丸首のセーターにズボン、そしてワインカラーのダウンジャケットに身を包んで受けに行きました。事務局は東京・市ヶ谷にあるビルの一室。あまり広いとは言えません。長机が6つか8つ並んでいて、その前には試験監督(後でわかりましたが当時の副理事長)がいらっしゃる。緊張した雰囲気の中試験に臨みました。作文もあり、題の内容は「連盟に入ったらどういうふうに仕事をしたいか」というもの。私はすぐさま、アメリカン・フットボールのことを例に、文を組み立てていきました。アメ・フトはチームの中に攻撃のグループと守備のグループに分れています。その攻撃グループの中には、敵陣の攻撃をブロックする役、司令塔役のクォーター・バック、そのクォーター・バックにボールを渡す人、クォーター・バックからボールを受け取って走る人または投げられたボールをキャッチする人。そしてフィールド・ゴールを蹴る人まで完全に分業化されています。いわゆるスペシャリストの集まりなんですね。そんな風に連盟の中で仕事をしたいと書きました。
 ここでも運良くその試験に通り、第2次試験(面接)の通知が届きました。今度ばかりは、兄からもらった上着を着て受けに行きました。この時の面接官は4人。その方々は理事長、副理事長と事務局次長。いろいろ聞かれ、後は、結果の連絡を待つばかり。その時驚いたのは、試験を受けに行って、交通費が出たということ。多くの会社では出ませんよね?
 そして、その結果は---。(つづく)

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