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12月10日 かつしかシンフォニーヒルズ

 かつしかシンフォニーヒルズ。ビバリーヒルズのような、おしゃれな名前ですが、このコンサートホールは東京都葛飾区にあります。京成電鉄「青砥」駅から5分ぐらいの所です。
 12月10日、私が率いるサクソフォーン四重奏団「J-SAXER QUARTET」がこれまでの活動範囲を超えて、このホールでのコンサート「ディスカバー・クラシック2000」(主催:
葛飾区文化振興財団)に出演しました。

 当日は11時半からステージリハーサルということで、11時に現地集合。わが家から電車でならドア・ツー・ドアでも1時間45分はかかろうかという場所ですが、その日は愛車ステップワゴンで高速を飛ばした結果1時間かからずに着きました。東北自動車道から首都高中央環状線へ、そして「四つ木」インターを降りて、国道6号線を北東へ。2つめの信号を右へ入って、しばらくするとホールがあります。日曜の朝、しかも上りということもあったのでしょうか、空いていれば、結構近いものですね。

 楽器を降ろして、ホール入口の案内で聞いてみると担当者は小ホールにいるということ。早速ホールを覗いてみました。客席は200名。客席数の割には、空間は広い。見るからに良い響きを持っていそうなホールでした。ちょうどステージでは仕込みをやっているところで、舞台裏で担当者の所在を確認すると、担当者は楽屋前で出演者のために飲み物を準備していました。簡単なあいさつを交わし、音出しする場所を準備してもらいました。

 予定通り、定刻にメンバーが集まり、軽く音だしすると間もなく、スタッフが呼びに来てステージリハーサルの時間に。このホールの感触をはじめて味わうことになります。吹いてみると思ったほどの響きはありませんでしたが、低音の伸び、まろやかな音が印象的で、4本のサックスの音がホールに広がっていきました。早速、私たちは、プログラムのクルト・バイル作曲「三文オペラ」(抜粋)を通してみました。リハーサルの時間は20分。通すだけでも13分ほどかかる曲なので、細かいことはできませんが、全体のバランスやホールの響き、自分の楽器のリードの状態を確かめます。

 ステージリハが終わり一段落。2時から練習室で再度リハーサルの時間があるので、それまで昼食を取ることになりました。みんなで別棟のレストランへ。

 2時からの約1時間の練習をおこない、ステージリハーサルで気になった音程、テンポの確認などを細かくチェックしました。結構十分に練習できました。それから控え室の楽屋に戻り、少し休憩してから、黒の上下のステージ衣装に着替えました。再度練習室へ行き、チューニングと各曲の出だしの確認。テンションを本番に向けて高揚させます。楽屋に戻ると、15分ほど時間が押しているということで、緊張感がやや下降気味に。メンバーのひとりは高校生のとき以来の緊張だとか漏らしていました(高校生のときとは、だいぶ昔の話です)。さあ、いよいよ出番です。ステージ袖で待機していると、司会者から「次はJ-SAXER QUARTETのみなさんです。曲は---。」と紹介されて、私たちはステージへ。ほぼ満員のお客様です。深々と礼をし、演奏に入りました。

 1曲めは「序曲」。力強い四分音符のテュッティの響きが会場を一瞬の内に包む。一風変わった和声進行と各声部の絡み合い。
 2曲めは「タンゴ」。アルトのメロディーがせつなく、あやしく歌い出す。そして、そのメロディーはソプラノへ。
 3曲めは「ポリーの歌」。神秘的な前奏から、一転して可憐な歌をバリトンの伴奏にのり、テナーとアルトが歌う。
 4曲めは「快適な生活のバラード」快適さを思わせる軽快なリズムのメロディーと、おどけた様子を表す八分音符の4本の掛け合い〜「メキ・メッサーのモリタート(マック・ザ・ナイフ)」本来の歌詞の意味と対峙させた調子のメロディーをテナーそしてソプラノが受け継ぐ〜「コラール(フィナーレ)」人間の尊厳を、アルトとテナーの力強い刻みと、ソプラノとバリトンの音価の長い音が訴え、最後に重厚な響きが会場を包んで終わる。

 まさに、こんな風に私たちの演奏は繰り広げられました。いつもは、もっと小さな公民館や児童館のホールでしか演奏してこなかったので、これほどの音響のいいホールで演奏できたことは、実に良かったと思います。私たちの音楽の可能性を再発見できたような、そして、いつもよりも一歩深いところまで音楽を掘り下げられたような、そんな気がしました。また、機会があればこのような場所で演奏してみたいと思います。

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