顎と歯

 オルカの口には鋭い円錐状の歯が上下のあごに計46-48本あります。
イルカやオルカは獲物を食べるとき咀嚼することはしません。したがって、彼らの歯は食物を飲み込みやすいように噛み砕くことよりも、獲物をしっかりと捉え、必要ならば噛みちぎるという機能に特化しています。歯の形状はほぼ均一で犬歯や大臼歯のような区別がなく(これを「同歯性」が高いという)、頑丈なあごで支持され、イルカやクジラのような大型動物の体であっても強引に引きちぎる威力があります。

 

 

 

 陸上に比べて視界がきかない海中で聴覚に依存しているイルカ、クジラの視力は一般にはあまり良くありませんが、オルカはハンターの例に漏れずかなり鋭い視力をもっているとされます。魚類とは異なり目を閉じることができます。色を検知できるかどうかは、確かなことはわかっていません。

 

 

 

噴気孔

イルカ、クジラ、オルカの噴気孔は、私たち陸上の哺乳類で言う「鼻」が水中生活に適応して頭頂部方向に移動したものです(これを鼻孔のテレスコーピングという)。オルカ、イルカなど、ハクジラ亜目では、水中生活への適応の過程で鼻孔が一つになってしまっています。ヒゲクジラ亜目では、私達の鼻と同じく噴気孔は2つあります。「鼻」の位置が移動したといっても、頭蓋の各パーツの位置関係は他の哺乳類と異なるわけではなく、噴気孔の直後に脳が位置しています。
 噴気孔の奥はいくつかの気嚢をもった複雑な構造をなしており、気嚢中の空気を移動させることで音波を発生します。(左下図)

メロン

オルカをはじめ、ハクジラ亜目はエコロケーション(ソナー)やコミュニケーションに音を用います。噴気孔の前方内部には「メロン」と呼ばれる脂肪で出来た器官があり、気嚢で発生した音波を前方に収れんさせるレンズの機能を果たします。