(9/12)
Nikon D2H
AF-S VR 70-200mmf2.8G
200mm付近
シャッター優先AE
1/500 f2.8
ISO200


クジラの術中にまんまとはまってしまった小魚にとって、
大きく開けられた口は、あらゆる生き物を奔流とともに飲み込んでしまう
地獄の大釜のようなものだろう。
上あごには靴磨きのブラシを思わせるくじらひげが密生し、
滝壷のように逆巻き溢れかえる大量の海水に、
かろうじて難を逃れてこぼれ出る小魚も入り混じり、
90度近くにまで開いた口が、見る間に閉じられてゆく。
小魚の群れごと含み込んだ海水で、普段は収縮状態にある畝が蛇腹状に広がり、
のどが異様なまでに膨れ上がっている。
このまま 身体を横倒しにしながら、あるいは水中で、
大量の海水をくじらひげを通して排出することで
口の中には獲物だけが残る。