週刊墨教組 2005年度



週刊墨教組 No.1493  2006.2.27

日朝教育交流の輪を大きく広げよう
 二月十一日、墨田区八広にある東京朝鮮第五初中級学校において、第三十二回「日朝教育交流のつどい」が開催されました。
 このつどいは、歴史的事実を認識した上で、「まず、お互いに知り合うことから始まる」を合言葉に積み重ねられてきました(朝教同・都高教・東京教組が主催)。
 今年の参加者も一五〇人を越え、草の根からの日朝友好がはかられました。この友好の輪が、さらに広がることを願わずにはいられません。

なごやかだった交流の集い
 寒さの厳しい二月とはいえ、暖かい一日でした。朝鮮人と日本人とが民族や国籍を越え心を結んだ一日でもありました。教員・父母・子どもたち、そして、「在日朝鮮・韓国人問題」に心を寄せる人たち、一五〇名が東京の各地から集いました。
 朝鮮学校の初級一年生から中級三年生までの授業参観。朝鮮語での内容はよくわかりませんでしたが、どこの国でも同じような、子どもたちの元気な声が校舎に響いていました。朝鮮語の掲示物に異文化の匂いを嗅ぎました。
 オモニ会が朝から炭火で焼いて丹精をこめてつくったという焼肉丼は格別おいしいものでした。おかわりもできました。手づくりキムチもまた別格の味でした。

教職員交流分科会
 昨年にひきつづき、「参加し、実際に体験してみる」教職員交流分科会がもたれました。
 「言葉」分科会では、「イムジン河」を合唱しました。「チャンゴ、プク」分科会では、実際に楽器を演奏しました。
 「南北コリアと日本の子どもたち展に関する報告」分科会では、絵画による相互交流の実情が詳しく報告されました。

特別報告とアピール文
 今年の全体会では、東京朝鮮第二初級学校の土地問題についての、特別報告がありました。
 この土地問題をめぐる東京都の理不尽な対応については、アピールでも、簡潔にわかりやすく問題点を指摘していますので、アピール全文を掲載します。
 なお、アピールの案文は、森本孝子副委員長が格調高く朗読しました。

日朝教育交流を推進するアピール
 私たちは、ここ東京朝鮮第五初中級学校において三十二年の歴史ある日朝教育交流のつどいを開催しました。お互いを知ることから始まった交流は、朝鮮学校 の授業と公演を通じて日本に生まれ育ち朝鮮を誇りに思う子どもたちの生きいきとした学校生活を知り、それを支えるオモニ、アボジと教職員との交流を深め、 日朝共同の教育実践も生みだしてきました。
 二千年以上昔から朝鮮半島の人々は、日本列島の生活や文化に重要な役割を果たしてきました。しかし、長い朝鮮と日本との友好的歴史の中で、豊臣秀吉の朝 鮮侵略、三十六年間にもおよぶ植民地支配など、朝鮮民族の政治、経済、文化、言語、さらには人間としての誇りと尊厳まで、奪う繰り返してはならない歴史が あつたことを、私たちは忘れてはなりません。虐殺、強制連行、強制労働、軍隊「慰安婦」への正しい歴史認識と謝罪が、相互理解の出発点となります。
 朝鮮学校は、「子どもたちに、奪われた祖国の言葉・文化を学ばせたい」という保護者の強い願いから、戦後、各地に開校され、六十年の歴史を刻んできまし た。この歴史は、文部省の差別的政策と、根強く残る民族差別により、朝鮮学校を取り巻く環境には厳しいものがありました。
 一九七五年、私たちが「まず、お互いに知り合うことから始まる。」を合言葉に第一回日朝教育交流の集いを開催した当時と比べると、朝鮮学傾を取り巻く環 境は大きく改善されました。JRの通学定期券割引問題、高体連加盟などの課題も実現され、朝鮮学校の生徒が文化・スポーツの面で日本の生徒と一緒に活躍す る姿を目にすることができます。しかし文部科学省は、アジア系の民族学校を学校教育法第一条に規定する学校と認定しないという差別的政策を取り続けていま す。全ての外国人学校を認定し、税制上の優遇措置と、国立大学の受験資格を認めるべきです。
 また東京都は、東京朝鮮第二初級学校のグランド用地について、継続されていた払い下げ交渉を一方的に打ち切り、明け渡しを求め提訴し、現在審理が続けら れています。この地の歴史的経緯を無視した、政治的判断と言わざるをえません。直ちに提訴を取り下げ、交渉の再開を行うべきです。
 拉致問題を契機に、マスコミ等による朝鮮民主主義人民共和国を攻撃する報道が相次ぎ、朝鮮学校に対する脅迫、児童・生徒に対する暴行が発生しました。拉 致事件とは何ら関係ない在日の人々に向ける行為は、民族差別に基づいた卑劣な攻撃です。関東大震災後に生じた虐殺を思い出させるこのような攻撃を、私たち は絶対に許すことはできません。
 日本のアジア侵略の歴史を美化しようとする右翼的潮流が、拉致問題を政治的に利用し、「国際交流」に水をさし、根底から覆すとともに、侵略を美化する歴史を子どもたち教え込む教科書を押し付ける動きを、わたしたちは厳しく批判します。
 三十二年間、積み重ねられてきた「日朝教育交流のつどい」は、私たち教職員と次代を担う子どもたちに、なにものにも代えがたい貴重な財産をもたらしてく れました。私たちは、日本の学校と朝鮮学校の交流の輪を、大きく広げていくことを誓い合いましょう。そして来年は、さらに多くの仲間を誘い合って、「日朝 教育交流のつどい」で再会しましょう。

二〇〇六年 二月一一日
二〇〇六年日朝教育交流のつどい



週刊墨教組 No.1492  2006.2.22

学校施設のアスベストの完全除去 小学校五校予算化
 
 小中学校への学校支援指導員の配置
  学校等の安全対策の充実
  各階トイレの洋式化

 
 墨田区教委二〇〇六年度予算案

 墨田区の二〇〇六年度予算案とその執行に関連して、二月一四日、区教委と交渉を行いました。執行部は、 職場の労働安全衛生の確立を求める視点から、アスベストの即時撤去を強く求めました。教育委員会関連のプレス発表部分は資料の通りです。各学校の施設等の 二〇〇六年度大規模改修は管理職を通して各学校に情報提供がなされています。
児童生徒、職員の命を守るため

学校施設からの  アスベスト完全撤去を強く要求
 一九八七年度の旧文部省の調査指示の不備、その後の法改正から、区内の小中学校に吹き付け等アスベストが残存している可能性があり、昨年度から墨田区は 再調査を実施しました。その結果、現時点で、旧曳舟中学校を含め一五校に吹き付けアスベストが存在していることが確認されました。現在、応急処置として、 区教委は、囲い込みなどの対応策を行っています。しかし、階段の天井に吹き付けられたアスベストにボール等の跡がついている所もあり、アスベストが損傷、 劣化し、児童生徒・職員がアスベストを吸い込む危険な状況にあります。アスベストは「時限爆弾」と称されるように、吸い込んでから一五〜二〇年後に肺ガン や悪性中被腫等を発病する恐れがあります。横川小・二寺小・一吾小・錦糸小・外手小の五校に関し、来年度完全撤去が予算化されています。飛散防止処置・撤 去・撤去後の処置と作業にはかなりの日数がかかります。児童と職員の安全を確保することを第一に、各職場でアスベストを吸い込まない対応策を考えることが 大切です。

学校支援指導員の配置  人件費三五五〇万円
      有効的な活用を!
 人員増が難しい状況下,来年度、「支援指導員」が各学校からの希望で措置されます。この事業は、従来小学校を対象に「若手指導員」の形で配置されていた ものを対象校(中学校も対象)や時数等を拡大するものです。小学校では様々な形で活用されてきた経過があります。配置人数や時間数等具体的な内容について は、今後、指導室から各学校に説明があります。
※ 特別教室等の冷房化は予算化されていません 

アスベスト被害:アスベストは髪の毛の千分の一ほどの細さのため、鼻や口から吸い込むと、肺等に刺さって、体外に排出されることがなく、細胞がガン化してしまうことが多い。悪性中皮腫と診断されると、治療法がなく、生存できる年数が一〜二年と極めて短い。














平成18年3月に支給する期末手当に関する特例措置について
平成17年12月12日 専門委員会資料
趣旨 本年4月から給与改正の実施の日の前日までの期間に係る公民格差について、その解消を図るため、平成18年3月に支給する期末手当の額において、所用の調整を行う。
調整の対象者 18年3月に改正後の給与条例等(給与条例、学校職員給与条例、公営企業職員給与条例)により期末手当が支給される職員(再任用職員を含む)
調整方法
 3月期末手当の額=A−(B+C+D)
A:改正後の給与条例等の規定により算出される期末手当の額
  (勤職員 0.25月分  再任用職員 0.1月分)
B:17年4月に受けるべき公民比較の基礎となる給与種目の合計額×100分の0.85×4月から12月までの調整すべき月数
C:17年6月に支給された特別給の額(支給額)×100分の0.85
D:17年12月に支給された特別給の額(支給額)×100分の0.85
※ B+C+Dの額がAの額以上となる場合には、期末手当は支給しない(A以上は調整しない)。



週刊墨教組 No.1491  2006.2.14

戦争の記憶を風化させないために
三月十日を節目とした
特設平和授業のとりくみを進めよう

年もまた三月十日がやってきます。六十一年前のこの日、墨田・江東を中心とした東京の下町 は米軍のB による無差別絨毯爆撃で猛火に包まれて焼き尽くされ、一夜にして十一万五千人の尊い命が焼土に埋もれたのでした。東京大空襲は、広島・長崎の原爆ととも に、戦争の悲惨さと非人間性を、平和と人間の命の尊さを教えてくれる大切な教材と言えるでしょう。
 敗戦から六十一年。「戦争」が歴史のかなたに追いやられ、風化の現象がみられる今日、「東京大空襲」を自ら学び、子どもたちへ語り継ぐことは、私たち教員の課題と責務です。

戦争の実相を伝える
 街を破壊し、人間の命を奪い、動物たちをも殺し、親子を兄弟姉妹を友人を恋人を引き裂く、これが戦争です。「広島」「長崎」「東京大空襲」の、語り部た ちの体験談、手記、写真・・・・等々の貴重な資料は、今も戦争の悲惨や残虐、非人間性というその実相を伝えてくれています。
 私たち教員は、ほとんどが戦争の非体験者です。私たちは、戦争の実相を伝えるそれらの資料に学び、あるいは掘り起こし、自らの思想と言葉によって「戦争」を教材化し、その実相を子どもたちに伝えていかなければならないと思います。

操作される戦争イメージ
 現代は、コンピューターの時代です。子ども達はコンピューターゲームの中で、キーやボタンを操作しながら戦い、敵を破壊し殺戮することになれています。 彼らの脳裏にある「戦争」は、生身の人間の苦しみや悲しみを全く捨象したゲームなのです。現代の戦争もまた、コンピューターを駆使したハイテク戦争です。
 また、大量の情報の中で、それとは裏腹に情報は操作され、報道と実相の落差も大きなものになっています。湾岸戦争の時には、まるでコンピューターゲーム ででもあるかのように、テレビ画面に戦争が映し出されていました。そこからは、戦争の悲惨や残酷、非人間性は見えてきませんでした。しかし、画面の中で夜 空に「美しく」飛び交う砲弾の下で、非人間的な惨状が繰り広げられていたのです。

身体的な戦争イメージ
 しかし、戦争の事実はまったくちがいます。
 辺見庸は、自分自身が体験した「身体的な戦争イメージ」について、つぎのように語っています。
 「吐き気がするほどの恐怖感、底なしの虚無感・・・・・」「小銃弾が人の体を貫通したときの穴の具合も知らないでしょう。被弾した男はどういう風に悶え 泣き叫ぶか。それから迫撃砲で吹っ飛ばされた人間の肉というのがどういう色をしているか。ロケット弾が宙を飛ぶときの空気の焼ける臭いがどういうもの か。」
 戦場には、合理性や論理性は一切ありません。憎悪が憎悪を無限に拡大していく、それが戦争です。
 「戦争」は、時代や場所が変わっても、その本質が変わるものではありません。街が破壊され人間が殺されるのです。「東京大空襲」と同じように、さまざまな苦しみや悲しみが湾岸戦争・イラク戦争でも起きていたことを知らなければなりません。
 そして、イラクでは、今もなお、非人間的な惨状はつづいているのです。

明白な軍事侵略
 イラク戦争とは、理不尽きわまりない明白な軍事侵略です。殺人者のしわざです。
 ブッシュに、普通に暮らしているイラクの人々を殺したり土地を蹂躙する正当な理由など全くありませんでした。
 占領への大義となった大量破壊兵器保有についても国際テロ組織との関係についても、全く根拠のないことが明白になりました。大義などどうにでもなるものだったのです。
 アメリカの単独主義が、国際ルールを無視して暴走し、白昼堂々、侵略を決行したのです。肥大化した武力で、気に入らない弱小国をたたきのめしたのです。正義などかけらもない、何たる卑怯な蛮行であることでしょう。

侵略戦争に加担してはならない
 感情的で、思考力のないコイズミは、まっさきにアメリカ・イギリスの軍事侵略支持を表明し、あまつさえ、不当な占領がつづくイラクへ陸海空三自衛隊を出兵しました。
 破壊・殲滅の限りを尽くしておいて、利権の見えかくれする復興支援とは、あまりに空々しい。
 傲慢に居直ったコイズミは、イラクへの自衛隊派遣の再延長を決定しました。
 イラクでは、日本、英国、オーストラリア三国が陸上自衛隊と英豪両軍の撤退作業を三月中旬から開始し、五月末までに完了させる方針を固め、最終調整に入 りました。しかし、日本政府は陸自撤退に伴い、航空自衛隊のイラクでの活動範囲の拡大をもくろんでいることが明らかになりました。イラクへの「軍事的介 入」は、新たな段階に入り、さらに抜き差しならぬ状況が作られつつあります。
 思い出してみてください。
 東京大空襲では、たった二時間半の爆撃で、十万人以上の死者がでました。人類史上に類を見ないジェノサイドです。人倫のかけらすらありません。生者ですら、焦がされた土地を逃げ惑い、さながらの生き地獄を体験したのです。
 イラク戦争下の人々の位相は、東京大空襲下の市民と同じ位相だったのです。繰り返されるアメリカによる常套の手口。現在のイラクの人々の境遇は、アメリ カ・イギリスの不当な侵略に淵源しているのです。なによりもまず、冷静な洞察力をもって、侵略を告発し、断罪し、糾弾しなければなりません。
 自衛隊の出兵など、絶対に侵略戦争に加担してはならないのです。

規範としての戦争否定の姿勢
 国家が犯しうる「悪」の最も凝縮されたものは、戦争にほかなりません。
 恐るべき悲劇を国民に強いる戦争と、それを遂行しうる国家権力の全能性や恣意性を規制するために、戦争の痛苦の体験をもとに、人々は教基法十条や憲法九条の規定を選びとったのです。
 戦後日本の規範としての戦争否定の姿勢を、絶対に放棄してはならないのです。

グローバル化の中の「愛国」教育
 昨年六月には、民間臨調(「日本の教育改革」有識者懇談会)と教育基本法改正促進委員会(自民・民主・無所属の国会議員三三五人)が合同総会を開催し、 「新教育基本法大綱」を決定しています。「大綱」には、「社会・国家、ひいては世界に貢献する日本人を育成することが目的である旨規定する」とか、「伝統 と文化の尊重、愛国心の涵養・道徳性の育成が重要である旨規定する」などの文言があります。
 新自由主義と新国家主義は補完しあい結託して、グローバル化の中の「愛国」教育をおしすすめ、この国を「戦争ができる国」にしようとしています。呼応するかのような「米軍再編」といい、まさに戦争前夜です。

緊迫する教育基本法改悪と憲法改悪
 教育基本法をめぐる情況は、きわめて緊迫しています。
 今国会への法案提出は必至です。
 さらに、昨年十月二八日、自民党は、「新憲法草案」を決定しました。
 「論点整理」や「要綱」・「原案」に見られた、古めかしい物言いは抑制され、一見、ソフトな物言いに変わりました。それだけ、自民党が「改正」に執着している証しともいえます。
 たとえ、物言いはソフトであっても、改憲の本質はなんら変わるものではありません。
 その本質とは、「立憲主義」の否定に他なりません。
 国家権力を制限して、国民の自由と権利を保障するための憲法に基づいて政治を行うことを、「立憲主義」といいます。
 いうまでもなく、侵略戦争への深切で痛苦な反省から、憲法・教育基本法は、統治機構や行政機構の暴走を制御するために制定されました。つまり、憲法・教 育基本法は、国家を縛るためにあるのです。私たち個々が、国家に対して、行使するために、憲法・教育基本法の規定があるのです。
 いま、まさに、その関係が、大逆転されようとしています。
 憲法・教育基本法の理念は、生きて行使されなければなりません。

教え子を再び戦場に送らない
 なによりも、まず、平和を。
 子どもは「お国のため」にあるのではありません。
 私たちの先達は、戦後、日教組を結成しました。そして、平和を希求して、「教え子を再び戦場に送るな」という不滅のスローガンが生まれました。これから もその精神を受け継がなければなりません。自分たちの職場で、『二度と戦争をさせない』とりくみを進めなければなりません。

組織的な平和教育のとりくみ
 墨田教組は、反戦平和教育の重要な課題として位置づけ組織的にとりくみを進めてきました。一九八八年からは、特に「三月十日」をひとつの節目に設定し、 墨田の全学校で反戦平和教育の実践が行われることをめざし、墨田教組として統一的にとりくみを進めてきました。三月十日の前後には、特設授業や全校児童集 会等々様々な形で、平和教育のとりくみが各学校で実践されています。このとりくみは、東京大空襲で壊滅的被害を受けた墨田におけるという意味で、地域に根 ざした教育の一環でもあります。私たちは、これらの立場に立って、今年も三月十日を節目とした平和教育特設授業のとりくみを進めます。


具体的なとりくみ
一、三月十日に向けて、全分会が全学級一斉授業、全校集会、学年集会など、何らかの形で特設授業を実施するとりくみを進める。
二、分会として意思統一を行い、具体的な方針を決定し、直ちにとりくみを開始する。
三、一分会一万五千円を限度として、学校(分会)における計画実施のために必要な経費補助(教材作成・購入費、講師代など)を「主任手当拠出金」から支出する。
四、分会は二月二十八日までに具体的計画を書記局に報告する。その際、経費補助金の請求も行う。
五、執行委員会は、資料作成・提供・講師の紹介・仲介、具体的な進め方についての相談、交流活動を行う。戦争体験者として、何人かの新しい方も発掘しました。三月十日前後は集中しますので、ご希望の方は、早めにご連絡ください。



週刊墨教組 No.1490  2005.1.17

二月十一日に日朝教育交流のつどい
  今年は三十二回目 墨田で開催
 一九七二年に始められた「日朝教育交流のつどい」は、今年で三十二回目を数えます。これまで都内の朝鮮高校、初中級学校を会場にして開催されてきましたが、今年は二月十一日、墨田の東京朝鮮第五初中級学校で開催されます。
 一九九八年第二十三次の「つどい」は、やはり墨田の第五初中級学校で開催されましたが、墨田区教委の理解と協力を得て、近隣校の校長・教頭・教諭、都内 各地の教職員、地元町会関係者・住民、近隣校の保護者・児童生徒、そして、第五初中級学校教職員をはじめ、都内朝鮮学校教職員朝鮮学校保護者など多くの人 々が集い、児童生徒を除いても参加者は二五〇人を越える盛況で、在日朝鮮人と日本人の相互理解を深めるために大きな役割を果たしました。
 今回も、多数の方々の参加を得て、成功させ、草の根からの日朝友好の実を挙げたいものです。

あとを絶たない差別事件
 かつて日本は、三十六年間も朝鮮半島を植民地として支配してきました。その影響は、日本の敗戦後にも引きずられ、朝鮮半島の南北分断をもたらしたばかり か、多くの「在日」の人々を生み出したのです。しかも、日本政府はそのことについてまったく責任をとらず、「在日」の人々の生活について何ら補償をしてき ませんでした。いや、植民地時代の差別や偏見は、戦後の日本の社会にも根深く残されたのです。今日においても、それは解消されたとは言えません。在日朝 鮮・韓国人への差別事件はあとを絶たず、差別落書きやチマチョゴリ事件のように、かえって陰湿なものになっているのではないでしょうか。

日朝教育交流のつどい
 植民地支配によって奪われた民族の誇りをとりもどすために設立された「朝鮮学校」へも、日本政府は差別的な施策をとり続けてきました。多少の改善の方向が見られるものの未だ全く不十分なものと言わなければなりません。
 以上のような認識のもとに、朝鮮学校と日本の学校の教師たちは、現状の改善・克服を求め、差別・偏見の根絶をめざし相互の理解を確かなものとすることを 願って、「日朝教育交流のつどい」を続けてきました。今次の「つどい」は、都高教・東京教組・朝教同(在日朝鮮人教職員同盟)の三者が実行委員会を構成し 開催するものです。

教職員交流分科会など多彩な企画
 朝鮮学校の子どもたちの授業公開とともに、教職員交流として、言語・チャンゴ・プクを実際に体験する分科会や、南北コリアと日本の子どもたち展に関する報告会が企画されています。また、朝鮮学校初中級生の演芸公演など、豊かな文化交流ができるように計画されています。

集まろう!二月十一日、朝鮮学校に
 同じ墨田という地域にあって、私たち墨田教組と朝鮮学校は、長い間、隣人として、強く連帯して、貴重なつきあいを続けてきました。
 墨田教組も積極的にこの「つどい」の企画にかかわってきました。墨田の地にある唯一の民族学校である朝鮮学校を見学し、実際に授業や子どもたちの生活に触れてみませんか。
 朝鮮料理を味わいながら、朝鮮学校の教師たち、保護者の方々と交流してみませんか。そのことを通して、日本と朝鮮の友好関係を草の根レベルで作り出していこうではありませんか。
 さらに、日本と朝鮮の関係について考えたり、また、担任している子どもたちに朝鮮学校のこと、朝鮮のこと、日本と朝鮮の関係を話す機会にしようではありませんか。

 多くの方々が積極的に参加されるよう呼びかけます。

2月11日(土)
 10時30分〜15時00分
東京朝鮮第五初中級学校

 戦後60年の今年、多くの朝鮮学校では開校60周年の記念行事が行われました。朝鮮学校は終戦と同時に、異国に暮らしながらも子どもたちに母国の言語・ 文化を学ばせたいという強い親の願いから、全国各地に自分たちの手で創られました。東京には現在、朝鮮学校が小・中・高・大学合わせて11校あります。そ こには在日3世・4世の子どもたちが母国の言語・文化を学ぶために通っています。
私たちは、歴史的事実を認識したうえでの朝鮮学校との交流が重要であるとして、「日朝教育交流のつどい」を毎年開催し、今年で32回目となりました。「ま ず、お互いに知り合うことから始まる。」を合言葉に積み重ねてきた「日朝教育交流のつどい」です。今回は、墨田区八広の東京朝鮮第五初中級学校で開催しま す。日朝教育交流があたり前のものとして広がり、さらに発展させていくために多くの方の参加をお願いします。

第1回拡大委員会
2月9日 (木)
P.5:30〜
@都教委「勤務時間の割振りの要件の緩和」について。「土曜補習」について。
A反戦平和教育について
B2006年度執行委員定数について
C人事考課制度に反対するとりくみ
Dその他(東京教組役員選挙、人事異動について等)
 ★タクシーなど利用された場合は、領収証を受け取ってください。

卒業証書
保護者からの申し出があれば西暦年号記載が可能
―卒業生の全保護者へ周知―

 卒業証書の生年月日や発行年月日の年号記載に当たり、元号で表記するか、西暦で表記するかに関し、墨田区・墨田区教委は基本的な方針を明らかにしています。
1.元号使用が原則
2.保護者からの申し出があれば西暦記載も可能
3.外国籍の子どもについては、生年月日、発行年月日、氏名の表記について確認し、保護者からの希望があれば、その意志を尊重する。
4.このことについて、卒業生の全保護者に周知する
 この方針は、思想信条の自由等の人権を尊重する立場、さまざまな価値観や文化を有する多様な人々と共生する墨田を築くという立場に基づいて明らかにされたものです。
 私たちは、区教委のこうした方針を評価し、児童・生徒や保護者に対応してきました。

人権尊重や国際理解は、
    具体的な実践が大切
 多くの小・中学校では、従来から各校毎にお知らせや保護者会などで、当該児童・生徒や保護者に「西暦記載も可能である」ことを知らせてきました。

 人権尊重や国際理解は、具体的な実践こそが大切です。「保護者への周知」がすべての学校でなされ、児童・生徒、保護者の意志を尊重されるとりくみを強めていきましょう。






週刊墨教組 No.1489  2005.1.6



すみだ春秋 36
  
種村季弘の両国
        栗又菓子店

 種村季弘は世にときめくのをよしとしない文人であった。
 種村は、『江戸東京《奇想》徘徊記』の「あとがき」で、つぎのように記している。

「東京徘徊にもいろいろある。最新情報満載の東京案内もそれはそれでおもしろかろうが、アスファルトを一枚めくると隠れていた地層が次々に姿を現して、な んでもない町が過去に幾重にも重層したふしぎな土地に見えてくることがある。探せばまだ、ポストモダン臭一色になった東京にも江戸や明治の名残が汚れた残 雪のように顔をのぞかせているのである。」

「いたずらに馬齢をけみした徘徊老人の特権は、東京という空間の旅が幼少年時の過去にさかのぼる時間の旅でもある」

 さて、種村は、両国橋を渡り、両国を徘徊して、「本所両国子供の世界」という文章をしたためるのだが、つぎの一節がある。

「・・・・神話世界では、巨人も図体の大きい小人の一種と考えられていたのだ。
 そう思うと両国界隈に子供の精霊のようなものがうようよしていて、そこをお相撲さんが自転車で走っている風景に納得がゆく。裏通りにまわり込むと四十七士討ち入りで名高い吉良上野介邸跡が小公園になってひっそり。
 そういえば勝海舟の生家跡の碑のある両国公園のあたりに一軒、昔ながらの駄菓子屋があったな。記憶をたどって行ってみると、果たせるかな駄菓子屋は健在で、真向かいの公園にはどこから出てきたのだろうとびっくりするくらい大勢の子供が遊んでいる。」

 この栗又菓子店こそ、知る人ぞ知る駄菓子屋の名店なのである。栗又さんのふくよかにしなう心根にふれれば、郷愁を覚え、だれもが忘れられなくなる。
 栗又菓子店の存在を書きとめたことだけでも、やはり、種村季弘はただものではない。



 新刊の廿楽順治詩集『すみだがわ』の「あとがき」に、つぎのような箇所がある。

 「詩集のタイトルについては、私の高校の大先輩・辻征夫に『隅田川まで』という名詩集があるので、いくぶん気が引けたが、やはり『すみだがわ』とした。 じっさい、これらの詩を書くにあたって、自分が生まれ育ってきた「すみだがわ」につらなる地域の記憶から、多くのことばをもらってきたのだから仕方がな い。」

 辻征夫は、都立墨田川高校を卒業している。廿楽の詩集には、「金美館のほうへ」という詩があるが、明らかに辻の「向島金美館」(『かぜのひきかた』所収)をふまえている。

日曜日の 満員の金美館
ドアからはみだして
背伸びしているおとなのせなか
が見えたはず
(あとからきたひとにはね)
でもぼくたち町内の少年は
行列してたおかげでちゃんと
椅子にならんで掛けていて
このまま小便もがまんして
おしまいまで見なくちゃならない
だって いちど出たら ニドトフタタビ
はいってこれないくらい満員だからね
それはとある宿場の旅籠屋の まよなかの
あんどんの灯を見るよりあきらかなことだからね
ほら子供にもよくわかる色っぽさの
花柳小菊

思っているとき
思わぬ方角から
男の声がきこえました
無愛想なこの映画館の従業員または経営者です
《向島須崎町のつじゆきおさん
《向島須崎町のつじゆきおさん
《おうちのひとがきてますから
《至急入口まできてくださいー
なにかたいへんなことが
あったのかもしれないと
胸騒ぎして
六年生の長男は外に出ました
すると家に寄宿していた遠縁の
おばあちゃんが立っていました
《おなかすいたらおたべー
パンと
牛乳もって

 この詩の背景は、自筆年譜をひもとくことによって、察することができる。

一九五三年(昭和二八年) 一三歳
母、国立中野療養所に入院。家事は、伊勢湾台風で海沿いの家を失った母方の祖父の弟夫婦が見ることになり、同居。毎朝読経の声で目覚めることになる。父か らは、妹、弟の面倒を見きれない時は連れて行くようにと、向島金美館、墨田文映など、近くの映画館の切符を毎月もらうようになる。

 現在は消滅してしまったが、あの頃は、どの町にも、小便くさい映画館があった。人々がくらす生計のぬくみがあった。
 その記憶を、辻は、つつみこむようなゆるやかさと、なんとなくはにかんだおかしみをたたえて、くっきりと詩の中にかたどったのだった。
 そして、冒頭の種村季弘の言葉に呼応するような、決して酔わない激情の詩句。(「亀戸」)

この町の変貌も激しいが
嘆くことはない
消滅するひとつの路地は
ひとの内面に場所を移すだけだ
あまたの記憶とさびしさを
風に鳴る絵馬のようにぶらさげて

(長谷川政國)



週刊墨教組 No.1488  2005.12.14
「立憲主義」を否定する 改憲要件の緩和
国家権力を縛る改憲要件
 何度でもくり返しますが、近代憲法の本質は、個人の権利を尊重するために、国家権力へ歯止めをかけるというところにあります。
 つまり、近代憲法は、国民を守るために、国家権力を縛る存在としてあるのです。
 現行憲法は、改憲要件を、両院の総議員の三分の二以上の賛成による発議、国民投票の過半数の賛成と規定しています。
 事実、現行憲法制定後、この国の国家権力の暴走を制御する装置として、この規定は機能しつづけてきました。
 この厳しい改憲要件こそ、国家権力を制限して、国民の自由と権利を保障する「立憲主義」の真髄を体現した規定なのです。


改憲要件の緩和
 ところで、自民党案は、改憲の要件を、「各議院の総議員の過半数の賛成で国会が議決」と大幅に緩和しています。
 このことについて、山口二郎(北海道大学)は、次のように的確に洞察しています。(『週刊金曜日』十一月四日号)

「今回の自民党案における最大の変更点は、九条よりも九六条の改正手続きにあると私は考える。自民党案では衆参各院の過半数で改憲を発議できるようになっ ている。国民投票という追加手続きがあるが、これでは基本的には普通の法律と同じように国会の多数派が憲法をいじれるようになる。また、九月の総選挙でお きたような民意の揺らぎがそのまま憲法に反映されることになる。それこそが自民党の本当のねらいだと私には思える。」

国民を縛る憲法へ
 もし、「自民党案」が憲法として決定されたとしたら、空恐ろしい未来図が予想されます。
 緩和された改憲要件をもとに、政府与党は、法律をつくるように、個人の自由と権利を否定し制限する改憲をくりかえすにちがいありません。そして、国民に責任と義務を強制する規範を押しつける改憲をくりかえすにちがいありません。
 いずれの日にか、時の国家権力が、思いのままに改憲をもてあそんだ結果、憲法は、国家を守るために国民を縛る存在へと転落してしまうのです。

憲法は国民を守る
 「立憲主義」を否定する国家権力の暴走は、必ず戦争につながります。そのための国民精神の涵養が、改憲要件の緩和によって、憲法の名のもとに行われることになります。
 明治憲法をつくった伊藤博文は、「立憲主義」のなんたるかを充分にわきまえていました。国家権力の暴走に歯止めをかけるために、人類の英知を結集したものが、憲法であることを知りつくしていました。
 為政者は、おのれのもつ権力について、もっと謙虚に自戒しなければならないのです。
 憲法は、国民を守るために国家権力を縛る存在としてあります。

  第九章 改正

自民党改憲案
第九十六条 この憲法の改正は、衆議院又は参議院の議員の発議に基づき、各議院の総議員の過半数の賛成で国会が議決し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体であるものとして、直ちに憲法改正を公布する。

現行憲法
第九十六条 @この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。



教育条件整備
 労働環境改善を主に交渉


 一〇月一四日、組合三役は、二〇〇六年度予算要求の提出に際し、 墨田区教委(久保教育長、横山教育次長、山下庶務課長、小暮学務課長)と、「職場労働環境」の改善を求め、交渉を行いました。特に、病欠者の増加や健康破 壊が深刻化する状況を踏まえ、「労働安全衛生法」にもとづく「衛生委員会」の設置を強く要求するとともに、「人間ドッグ」の「職免」扱い、「定期健康診断 二次検診」の拡大、また、吹き付けアスベスト、アスベストを含む建材等を直ちに撤去することを求めました。区教委は要求に対し、誠意をもって検討すること を約しました。

墨田区教育委員会                                                  2005.10.14
委員長 高林 眞理様
教育長 久保 孝之様
                                           墨田区教職員組合 委員長 加藤宗三郎
・2006年度予算において、下記の措置を講じられたい。
なお、検討にあたっては、予算削減を前提とせず、教育委員会としての原則的な立場で、墨田の教育にプラスになるかどうかを吟味していただきたい。 
T.重点要求
1. 子どもの人権を守り、確かな教育を実現する。
@1クラスの子どもの数を区独自に30人以下にするよう教員を配置すること。
A 諸外国からの転入者・入学者の「学習を保障」する基本方針を策定し、具体的な施策に対し予算措置を行うこと。
・区南部の小学校と、中学校に日本語学級を設置すること。
・「日本語ができない児童・生徒に対する通訳介助」措置の期間は、教育的な配慮から、児童・生徒の実態にあわせて措置すること。 
・保護者との意志疎通のため、通訳を区として確保すること。また、保護者宛文書を翻訳するシステムを区でつくること。
B バリアフリーの施設・設備への改善に努めること。とくに、「障害」をもった児童のいる学校は、優先的に改修すること。
C「特別な支援を要する児童・生徒」の教育ニーズに対応するため、要求に応じて、在級する「普通学級」に人的措置を講ずること。
D児童用更衣室を全校に確実に設置・整備すること。
2.「学校選択の自由化」には、墨田教組は基本的に反対である。
しかし、実施にあたっては次のことを要望する。
@ 施設等教育条件の平等化を改修も含め実施すること。
A 「教育課程は学校が決める」ことから、各学校が決定した教育課程を円滑に実施するために、とくに財政的配慮を行うこと。
B各学校の募集人数は、教育条件の低下をまねかない範囲とすること。(有効的に利用されていた特別教室がなくなり、教育活動にマイナスになっている実態がある)
C児童生徒・保護者に負担を強いる新たな統廃合は実施しないこと。
3. 小・中野外体験活動、中学校「移動教室」実施にあたっては、各学校が趣旨にそった内容での実施が可能になるよう、予算を増額すること。
@交通費を増額すること。(少規模中学校ではバス代が不足するところもある。小学校では支給額を越える実施期間がある)
A予算を増額し、保護者負担の軽減をはかること。(準要保護児童への補助金の増加を理由に利用施設等、各学校の独自性が損なわれている)
4.学力調査は予算化しないこと。  
5.「労働安全衛生法」にもとづく「衛生委員会」を設置すること。
・実施ができない場合、緊急要求として
@「人間ドッグ」を「定期健康診断」に代える場合、「職免」扱いにすること。
A定期健康診断判定DEFGを「二次検診」の枠内と考え、通院を「出張・職免」扱いにすること。
B各職場に「休憩室」を設置すること。
6. 学校内の吹き付けアスベストを直ちに撤去すること。また、校舎等に使用されているアスベストを含む建材・接着剤などの実体を調査し、情報を公開すること。
7. 小規模な施設改善要求についても区教委で把握し、教育環境整備の面から、早急に対応すること。
8. 夏季プ−ルを早期に社会教育事業に移行させること。
9. 周年行事の簡素化をはかるよう校長への指導を強め、PTA・町会にも同趣旨を申し入れること。また、5年行事をやめ10年行事一本にすること。

12月12日、アスベスト問題で交渉



週刊墨教組 No.1487  2005.11.28
「立憲主義」を否定する
   「義務」「公益」「公の秩序」


義務が少ない理由
 現行憲法の第三章は、「国民の権利及び義務」として、第一〇条から第四〇条まで、主として、基本的人権について規定しています。
 「国民の義務」として規定されているものは、たった三つだけです。二六条「教育の義務」・二七条「勤労の義務」・三〇条「納税の義務」にしかすぎません。
 近代憲法の本質は、個人の権利を尊重するために、国家権力へ歯止めをかけるところにあるのですから、義務の規定が少ないのは当然といえます。
 そして、「納税の義務」にしても、「国民主権」という大原則に裏打ちされたものなのです。国家は国民を守るためにあるのですから、国家が支出する費用は、国民が自ら負担しなければなりません。納税の義務とは、国民に主権があることの裏打ちでもあるのです。
 国民は、国家による税金の使途が、国民を守るために支出されたのかどうかを、しっかりと監視する「主権者意識」をもたなければならないのです。

国民に「義務」を押しつける
 国家権力を制限して、国民の自由と権利を保障するための憲法に基づいて政治を行うことを、「立憲主義」といいます。
 憲法に、義務の少ないのは、前述したとおりですが、「自民党案」の一二条には、「義務」が突出して、「立憲主義」を否定するつぎの文言があります。

「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、常に公益及び公の秩序に反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う。」

 国家が、国民に「義務」を押しつけることなど、「立憲主義」をはるかに逸脱しています。憲法の何たるかをわきまえない愚かな所業といえます。

「公共の福祉」から
    「公益及び公の秩序」へ
 「個人の尊重」を最も上位におく憲法の理念からすると、個人の人権を制限できるのは、別の個人の人権しかありえません。
 現行憲法のいう「公共の福祉」とは、ある個人それぞれの人権と人権が対立しせめぎあったときに、折り合いをつける原理として編み出されました。
 あくまでも、根底には、「個人の尊重」があります。
 それに比べて、自民党案にある「公益及び公の秩序」とは、個人の人権を、国家的なるものに従属させようとするものです。
 これも、「立憲主義」の否定にほかなりません。

「立憲主義」に立ちもどって
 現行「憲法」は、人間の幸福の根本には、「個人の尊重」があるとしました。
 まず国家があって個人があるのではなく、個人の幸せを守るために国家があるとしたのです。
 めざすべきは、一人一人が自分を、そして周囲の人を大切にして生きられる社会です。国民に義務を課して締め付けを厳しくする監視国家になることは、この国を悪くするばかりです。
 もう一度、憲法が、国民を守るために国家権力を縛る存在としてある、「立憲主義」に立ちもどってみなければなりません。

 

 自民党案
第十二条(国民の責務) この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、保持しなければならない。国民は、これを濫用してはならな いのであって、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚しつつ、常に公益及び公の秩序に反しないように自由を享受し、権利を行使する責務を負う。
 
第十三条(個人の尊重等) すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 現行憲法
第十二条【自由・権利の保持義務、濫用の禁止、利用の責任】
 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

第十三条【個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重】
 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

週刊墨教組 No.1487  2005.11.28

はじける芽( 141)

十一月の指導題目 満州国在住の体験者の戦争体験を聞き書きしよう。

  吉岡数子さんの話   六年

 吉岡数子さんは、一九三二年に満州で生まれ育ち、戦争の時代を生き、今は大阪府堺市に住んでいます。吉岡さんが、十月二十日、僕達のクラスに戦争体験を話しに来てくれました。最初に、吉岡さんは、
「みなさんは、六年生なので、私が同じくらいの年代だった頃のことを中心に話します。」
と言いました。吉岡さんが六年生の時、吉岡さんの父親が急死しました。吉岡さんは、
「はじめは事故死だと思っていたんだけど、戦後アジアを回って調べてみると、そうではない らしいとわかったんです。」
と言っていました。父が死んだことで、吉岡さん達は、日本(内地)へ帰りました。ここで、吉岡さんは、小豆島と言うところに行き、毎日「勝ち抜くぼくら少 国民」という歌をうたって登校していました。吉岡さんが一年生や二年生の頃は、まだアジア・太平洋戦争も始まっておらず、小学校も楽しい生活でした。『サ イタサイタサクラガサイタ」と言う文がのっている内地の教科書は、桜が咲かない満州では、適切ではないと思った山下先生という先生が、『満州補充副読本』 という教科書を使った総合学習をしてくれたからです。しかし、学校には、朝鮮・中国のこどもたちは来ておらず、町でも日本人は優先されており、吉岡さんは なぜ朝鮮や中国の子は、学校に行かないのか、なぜ日本人だけえらそうにするのか疑問に思ったそうです。また、それを実際の聞いてしまったこともあり、
「今となっては、とても失礼な質問をしたと思っています。」
と言っていました。三年生になると、「小学校」が「国民学校」という名になり、「ミニ軍隊」になりました。この頃には「五族協和」や「大東亜共栄圏」とい う戦争を賛美する言葉があらわれ、吉岡さんもこの戦争は正しいんだ、日本人がえらそうにしているのは、当たり前なんだと思いこんでいました。ちなみに、 「五族協和」は日本の周りにすむ五つの民族が互いに助け合うのを目指すことで、「大東亜共栄圏」とは東南アジアで助け合って共栄していこうという意味で す。しかし、これは口実で、実際にはアジアを侵略することが戦争の目的でした。ぼくは、
(国民はみんな、政府にだまされてきたんだな。)
と思いました。また、内地から満州にたくさんの人が移り住んできて、「沖縄は長男、台湾は次男、朝鮮は三男、満州は四男」と言われました。教科書も、それ までは「桃太郎」の鬼の絵が中国の蒋介石だったのが、アメリカ大統領のフランクリン=ルーズベルトの顔に変わりました。ぼくは、
(どんどん戦争色が濃くなったな。)
と思いました。四年生では、『内地の家族』や『斥候』と言う絵を模写しました。『内地の家族』は、非国民と叱られないようとてもていねいに描いたのに、先生から、

「こんな絵は、誰が見ても非国民だ!」
と叱られてしまいました。吉岡さんは、
「なぜ叱られたのかわからなくて、それ以来ずっとトラウマになってしまいました。」
と言っていました。トラウマとは、昔、経験した嫌なことが後になってからも心の傷として残ることです。ぼくは、
(ショックがとても大きかったんだな。)
と驚きました。戦後しばらくさがして、やっとの事でその絵の原版を見つけました。そこで、その理由がわかりました。当日、吉岡さんは実物を持ってきて並べ ました。僕は、見本と吉岡さんの絵を見比べてみましたが、色遣いや場所などが少し違うだけで特におかしいことはありません。実は、その理由とは、しょうじ の開ける×印の位置がちがっていたというものでした。ぼくは、
(それくらいのことで、非国民といわれるなんてひどい。)
と思いました。
 内地へ帰ったあと、内地の小学校に入るとき、先生から、
「教科書を暗記していますか。大化のまつりごとを言ってください。」
と言われました。吉岡さんは、満州では大化の改新と習っていたので、
「大化の改新ですか。」
と聞きました。先生は肯定し、吉岡さんはスラスラと言いました。言い終わると、先生は、
「違いますよ。」
と言いました。満州と内地では、教科書がちがったのでした。吉岡さんは、
「このことを知っている人は、ほとんど
いないんですよ。」
と言っていました。ぼくは、
(へえ、いわゆるトリビアっていうやつかな。)
と思いました。その当時、義務教育は小学校六年間だけで、それ以上にはすべて試験がありました。しかも、その試験は教科書の暗記で、今のように内容があっ ていればオーケーというのでなく、一言半句でもちがっていたら不合格でした。吉岡さんは何とか合格しました。しかし、一九四五年八月十五日、敗戦すると、 教科書の墨ぬりが行われました。今まで、教科書をよごしてはいけないと言われ、修身などは開ける前に、一度礼をしてから開けるなどと言われていたので、そ れを墨でぬるなんて相当なショックを受けたそうです。二、三日ずっと墨ぬりをし、国史、地理、修身はすべて、国語もかなりが墨ぬりになりました。それと、 吉岡さんは、僕達に昔の教科書を見せてくれました。春日さんが、二千何年かに応仁の乱が起こると国史に書いてあるのを見つけ、前後の記述から、神武天皇が 生まれたとされる年を一年としていることがわかりました。吉岡さんは、
「戦争と差別は、必ずセットになると言われています。」
と言っていました。こんなひどい戦争を、二度とやってはいけません。

 戦後六十年たち、世の中、再びきな臭いにおいがしてきています。平和教育の大切さを実感しております。一九六九年に教師になり、三七年間「綴り方・作文 教育」を、教育の根底にすえて歩んできました。七十年代から八十年代は、民間教育が大きく花開いた時代でした。九十年代は、組合が分裂して、権利が奪わ れ、教研が衰退した時代でした。官制教育が幅をきかせ、身動きが出来ないくらいに、管理統制教育がはびこっています。また、原点に立ち戻るべきです。




週刊墨教組 No.1486  2005.11.16

「立憲主義」を否定する「新憲法草案」

 十月二八日、自民党は、「新憲法草案」を決定しました。
 「論点整理」や「要綱」・「原案」に見られた、古めかしい物言いは抑制され、一見、ソフトな物言いに変わりました。それだけ、自民党が「改正」に執着している証しともいえます。
 たとえ、物言いはソフトであっても、改憲の本質はなんら変わるものではありません。
 その本質とは、「立憲主義」の否定に他なりません。

「立憲主義」とは
 近代憲法の本質は、個人の権利を尊重するために、国家権力へ歯止めをかけるというところにあります。
 つまり、近代憲法は、国民を守るために、国家権力を縛る存在としてあるのです。
 国家権力を制限して、国民の自由と権利を保障するための憲法に基づいて政治を行うことを、「立憲主義」といいます。
 意外かもしれませんが、明治憲法においても、「立憲主義」は貫かれています。
 明治憲法の第二章「臣民権利義務」をめぐる枢密院での「伊藤・森論争」において、森有礼への反論として、伊藤博文はつぎのように述べています。
 「そもそも憲法創設するの精神は、第一、君権を制限し、第二、臣民の権利を保護するにありー」

憲法は国民を守る
 国家の暴走による侵略戦争への深い反省から誕生した現行憲法が、より強く「立憲主義」に貫かれているのは、言うまでもありません。
 現行憲法には、つぎのような規定があります。

「第九九条 天皇または摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。」

 天皇や国会議員や公務員など国家権力に属するものは、憲法遵守義務が課されています。一方、国民には憲法遵守義務は課されていません。ここにも、国民が憲法を守るのではなく、憲法が国民を守るという「立憲主義」が貫かれています。
 また、現行憲法の第三章が「国民の権利及び義務」として、第一〇条から第四〇条まで基本的人権を規定しているのも、憲法が国民を守るという「立憲主義」の見地からすれば、当然すぎることなのです。

「国を愛情をもって守る責務」
 自民党案の前文には、「立憲主義」を否定する、つぎの文言があります。

 「日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有し、・・・」

 ソフトな物言いですが、憲法が、「国民が国を愛情をもって守る責務」があるといっているのです。
 なによりまず国家。国民よりも国家が優先されるのです。
 憲法が国民を守り、憲法が国家を縛るという「立憲主義」が、根底から否定されています。憲法の性格が、百八十度転換してしまいます。
 あわせて、「愛情」とか「責任感」とか「気概」とかの用語は、法として憲法にはふさわしくない、まったく次元のちがう、個人的で感情的な用語です。

「立憲主義」を手離してはならない
 「立憲主義」に貫かれた現行憲法の前文には、つぎの文言があります。

「諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」

「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」

 草案の文言と比べれば、その差異は明白です。
 わたしたちは、憲法が国民を守り、憲法が国家を縛るという「立憲主義」を、たやすく手離してはならないのです。

 自民党案  前文
 日本国民は、自らの意思と決意に基づき、主権者として、ここに新しい憲法を制定する。
 象徴天皇制は、これを維持する。また、国民主権と民主主義、自由主義と基本的人権の尊重及び平和主義と国際協調主義の基本原則は、不変の価値として継承する。
 日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有し、自由かつ公正で活力ある社会の発展と国民福祉の充実を図り、教育の振興と文化の創造及び地方自治の発展を重視する。
 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に願い、他国とともにその実現のため、協力し合う。国際社会において、価値観の多様性を認めつつ、圧政や人権侵害を根絶させるため、不断の努力を行う。
 日本国民は、自然との共生を信条に、自国のみならずかけがえのない地球の環境を守るため、力を尽くす。

日本国憲法  前文
 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自 由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲 法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民が これを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法はかかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの 安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある 地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。




週刊墨教組 速報版   2005.11.15

都労連 苦汁の選択、
        労使合意を重視
マイナス勧告二〇〇六年一月実施
  年末一時金二・一月分十二月九日に支給(条例通り)
  一時金〇・〇五月分の微増

  「所要の調整」(マイナス差額)実施 (三月期末手当で実施か)

  来年度「人事考課制度の改正」
  「人事制度」改悪
    「査定昇給」二〇〇七年四月から実施
    一時金の役職段階別加算、級格付け改悪
  勤勉手当の減額率見直しなどの改悪
  リフレッシュ休暇の改善

十一・十五統一行動は  中止

 二〇〇五年度の賃金確定闘争は、マイナス勧告実施と「人事制度改正案」の一括解決に固執する都当局と都労連との厳しい鍔ぜり合いの中で、きわめて難航しました。
 都労連は、@「人事制度改正案」の全面的な再考=撤回を求めると同時に、議論するなら「人事考課制度」の抜本的な見直しとセットで行うこと、A勧告給料 表の「昇給カーブのフラット化」について、国は来年度からの実施であるとともに、大幅な削減に対する緩和措置があり、都においても何らかな対応が必要であ る、B年末一時金三・〇月分や福祉関連要求の実現をもとめ交渉を強化してきました。
 交渉はきわめて難航しましたが、双方が労使の信頼関係を前提に解決することで合意に達し、一五日未明に団体交渉が行われ妥結しました。

 都側の最終回答骨子は以下の通りです。
・二〇〇六年一月から勧告給料表で実施
 
 扶養手当の一〇〇〇円引き下げは二〇〇六年一月から実施
・一時金は〇・〇五月分引き上げ
(今年度分は三月期末手当の増)
・「所要の調整」は実施(三月期末手当で実施か)
・年末一時金、条例どおり二・一月分、一二月九日に支給
 三月期末手当で〇・〇五月分引き上げ
 (〇・二五→〇・三〇月分 結果、年間一時金合計は四・四〇→四・四五月分)
・人事考課制度については、二〇〇六年度に改善
「人事制度改悪」
 ・「査定昇給」を導入 二〇〇七年四月一日から本措置を適用 (来年度は給料表の切り替え措置)
・五五歳昇給停止の廃止
・特別級の職務段階別加算の改悪(一部押しもどす 左掲)
・級格付け制度の改悪(既格付け者は現行のままに)
その他
・子どもの看護休暇、時間取得可
・育児参加休暇の新設及び出産支援休暇の再編
・リフレッシュ休暇、勤続二五年の場合四日→五日、
取得方法の弾力化(二年間)
・メンタルヘルス対策提示
 
能力・業績主義の強化 給与構造・制度の改悪
 都側は、能力・業績主義の強化を企図した給与制度・構造などの抜本的な改悪の一括実現に固執しました。これに対し、都労連は、「人事考課制度」の抜本的 な見直しがセットで論議されなければ一方的な改悪になるとして、都側に再考を求めました。また、国では賃金の大幅な削減」に対し緩和措置がなされたことか ら、何らかの対応を求めました。しかし、国と一体となった都側の姿勢は固く、厳しい結果になったと言わざるをえません。


特別級  職務段階別加算
  加算率の見直し
   当初案からの変更点
行政系 主任3%(当初案2%)
 係長6%(5%) 課長補佐10%
教員系 主幹6%(5%) 
 ※30年主幹は現行10%から6%へ。     
教諭の特例措置
 12年教諭 現行5%→3%へ
(当初案0%)
 30年教諭 現行10%→5%へ
(当初案0%)
※教諭への措置は、教員の職及び給与制度のあり方についての整理を踏まえ、19年度の給与改定交渉期までに一定の結論を得られるように、協議することとする。
経過措置
※加算率の引き下げは、2年間の段階的な対応とし、20年4月1日に本則化



※現段階で不確かなところもあり、詳細は次号。




週刊墨教組 No.1485 2005.11.10

二〇〇五賃金確定闘争勝利
  生活破壊を許さない! 
  教員の賃金も都側との交渉で決まる
  闘わなければ、賃金は下がり続ける!
    実力行使、墨田教組は
        十五日(火)早朝八時より
        区役所前庭で決起集会


九八・五五%の高率で批准成立
 統一行動の戦術を決める批准投票を一〇月二七日〜十一月二日に実施しました。その結果墨田教組は九八・五五%(投票者数比)、東京教組全体で九五・三五 %という高率で批准が成立しています。墨田教組は、都労連が一時間ストに突入したとき、都労連に連帯して、区役所前庭で決起集会を行います。

東京都人事委員会、
 勧告給料表の引き下げ根拠資料を公表できない
 資料1が、二〇〇五都人勧の勧告の特徴です。本給は、国を上回る引き下げとなっています。しかし、この引き下げ率の根拠を都人事委員会は難くなに公表し ようとしません。また、国に先駆けて、給料表カーブのフラット化がなされています。また、教育職の給料表を行政職(一)との均衡と称して、全人連が示した モデル給料表を無視し、東京都が全国の先陣をきって教育職の給料を大幅に引き下げる内容になっています。こうしたことから、今回の都人勧は、総人件費抑制 政策を積極的に進めようとする、政治的な勧告と言わざるをえません。

「教育職員の給与制度」
さらなる改悪を示唆
 資料2にあるように、都側は教員の給与制度をさらに改悪しようとしています。その意図は、学校職場の協力・協働を否定し、個々を競わせ評価し、処遇する という競争原理の徹底を給与制度面から推し進め、上意下達の学校体制をつくりあげようとするものです。今年度、墨田の小学校では「主幹職」受験者がゼロと のこと。闘い、抵抗し続けてこそ、都教委の攻撃を貫徹させないことになります。

「人事制度改悪案」を撤回させよう
 一〇月二五日、都は「人事制度の改正について(案)」を提示しました。都労連は、この提案の全面的な再考・撤回を求め、都側と厳しく対立しています。勤 務成績に基づく昇給(差別昇給)・職務段階別加算制度の改悪・級格付け廃止(例えば、栄養職員は主任のままでは五級に格付けさせない。既格付け者を格付け 前の級に切替える)・昇給欠格基準の改悪等、都側の提案内容は、「職責・能力・業績による人事給与制度」の徹底です。断固撤回させよう。

資料1
2005年都人事委員会勧告の特徴
●月例給→国を上回るマイナス3681円(0.85%)
・本給引下げ・配偶者扶養手当1000円引下げ・所要の調整を実施
・給料表カーブのフラット化前倒し実施
 マイナス幅は高齢層に厚く、若年層に薄く最大1.9%、平均0.8%
●特別給は0.05月の微増
●給与構造の見直し→「年功的要素を見直し、働きに応じた処遇へ」(号給の4分割、1〜2級の統合、普通昇給と特別昇給の一本化、枠外昇給の廃止と号給増設、級格付の廃止、昇格メリットの導入等)
●教員給与は、行(一)との均衡を考慮

資料2


資料3
年末一時金要求
(1)年末一時金について、三、〇月分を十二月九日までに支給すること。
(2)一時金の職務段階加算制度及び支給対象者の拡大を都労連要求に基づき改善すること。
(3)以上の回答を、十一月十四日(月)までに行うこと。


勤勉手当減額率

昇給欠格基準





週刊墨教組 No.1484 2005.11.9


闘う! 二〇〇五賃金確定闘争

 ライフスタイルの変更を強いる
       大幅賃金引き下げを許すな!
 成績主義強化=「給与制度・給与構造の見直し」を許すな!
 人事考課制度を抜本的に改善せよ!
  山場・最終団交は十一月十四日?


 今年度の賃金確定闘争・交渉山場を迎えつつあります。
 一〇月一四日の都人勧を受け、一〇月二〇日都労連は都側と小委員会交渉を行い、給与改定交渉期の「項目整理」を行いました。一〇月二五日の小委員会交渉 では、都側の「人事制度改正案」提示に対し、都労連としては、労使協議で整理解決する立場から、提示そのものは拒否せず、@人事制度は労使協議事項として きており、見直す場合も労使合意が前提、A改正案の議論の前提に人事考課制度の抜本的改善は不可欠、セットで判断するもの、との基本認識を表明しました。
 十一月一日の団体交渉では、年末一時金要求書を提出しました。その内容は以下の通りです。
(1)年末一時金について、三、〇月分を十二月九日までに支給すること。
(2)一時金の職務段階加算制度及び支給対象者の拡大を都労連要求に基づき改善すること。
(3)以上の回答を、十一月十四日(月)までに行うこと。
 この、団体交渉の席上、都側副知事は、「人事制度の見直し案、とりわけ級格付制度の廃止、特別給の職務加算制度の解決」を強く主張しました。これに対 し、都労連は「人事制度の改正案」について、提案内容の撤回ないし再考を求めました。しかし、都側は回答せず、「団体交渉の終了」を一方的に宣言し、交渉 を打ち切りました。
 その後、水面下で都側と折衝が続けられています。一時金の回答指定日である、十一月十四日まで、実力行使を背景に交渉が強化されます。

教員の賃金も都との交渉で決まる
  敗北は、限りない賃下げ
 昨年度から、教育職の賃金は、国準拠でなくなり、都側との直接交渉で決まる制度に移行しました。二〇〇四年度は、都人事委員会は国の「国家公務員の俸給 表は改定しない」ことに追随し、民間との較差が七二九円あったにもかかわらず、俸給表の改定を不当にも見送りました。結果的には国準拠となり、全国的に教 育職の俸給表は同一のものになりました。しかし、今年度は、全国人事委員会連合会が、九月五日に、参考給料表として教育職のモデル給料表を提示しました。 その内容は、国と同様、一律〇.三%の引き下げとなっていました。また、八月に出された人事院勧告は、東京都では、民間賃金が〇.五四%(二二三〇円)高 いと資料で示しています。
 しかし、東京都人事委員会は、〇.八五%(三六八一円)都の職員の給与が高いとして、引き下げを勧告しました。しかも、不当にも、その引き下げの根拠資 料は公にはされていません。客観的な根拠が明確でない勧告です。さらに、勧告給料表は、中高年齢の賃金を大幅に引き下げ、国に先駆けて、フラット化が強行 されています。教育職の給料表も、行(一)との均衡と称して、全人連が示したモデル給料表よりも大幅に引き下げられたものとなっています。東京都が先陣を きって、全国一律だった教育職の給料表を改悪し、教育職の給料を大幅に引き下げるのが今回の攻撃です。また、都の教育職の給与をさらに見直す考えを示して います。二〇〇五年度賃金確定闘争はその点からも厳しい闘いになっています。闘いに敗北するなら、特に四〇歳代の教育職は、ライフスタイルの見直しを強い られる結果にもなるでしょう。何としても確定闘争に勝利しなければなりません。

 都提案の「人事制度改正案」と不当な都人勧が実施されると・・・

※栄養士も、級格付制度の廃止により、事務職員とほぼ同等の減額が予想されます。


はじける芽( 140)

十月の指導題目  心に残った本は、感想文にまとめておこう

将来の仕事    六年 
 僕は学校の図書室で、「十三歳のハローワーク」という本を借りました。なぜ僕はこの本を借りたかというと、来年から中学に入り、将来の仕事をどうしよう かと悩んでいたからです。最近は、「農業や教師や保育士になってみたい。」と考えてみました。でも、自分の好きな仕事をしても良いなと思います。たとえば 将棋棋士やお笑いタレントです。けれど、その仕事で安心のできる生活ができるか不安です。僕は時に、「大人になりたくない」と思います。それは立派な大人 になれるかと、不安だからです。
 この本の作者の村上龍さんは、小説を書く仕事が、人生の中で一番充実したことだそうです。それは村上さんは自分に向いている仕事だからだそうです。この本は、そんな自分に向いた仕事を探してほしいと考えて、この本を作ったのです。
 でもこの本は、「こういう仕事につきなさい」、「こういう仕事が良いんですよ」と指示をしたり、職業を勧めたりする本ではありません。その人の特性、つ まりその人の個性や資質、その人しか持っていないもの、それは自分で探すしかないのです。だからこの本では、選択肢だけを示しています。
 「どう生きるか」、それは難しい問題です。しかし、シンプルでわかりやすい事実があります。それはすべての子供は大人になり、何らかの仕事で生活の糧を 得なければならないのです。子供はいつか大人になり、仕事をしなければいけないのです。仕事はわたしたちに、生活のためのお金と、生きる上で必要な充実感 を与えてくれます。何らかの方法で、生活の糧を得なければならないとしたら、できれば嫌いのことを嫌々ながらやるよりも、好きで好きでしょうがないことを やる方が良いに決まっています。
 「十三歳のハローワーク」というタイトルにしたのは、十三歳という年齢が、大人の世界の入り口だからです。ちなみにアメリカでは、十二歳までは子供とし てあつかわれますが、十三歳になると逆にベビーシッターなどの、アルバイトを始めるようになります。その年代では、現実に向き合うとき、戸惑いと不安があ るのではないのでしょうか。「自分はいったいどういう人生を送ることになるのだろう」という漠然とした不安と、「子供の方が楽かも」という戸惑いです。こ の本にある数百の仕事から、あなたの好奇心の対象を探してみてください。あなたの好奇心の対象は、いつか具体的な仕事に結びつき、そしてそれが果てしなく 広い世界の「入り口」となることでしょう。
 この本を読んで、僕は「子供はいつか大人になり、仕事をするんだ」、「自分にあった仕事を見つけることが人生を楽しくするんだ」と思います。今はまだ自分の仕事を決められないけど、いつか自分が楽しい仕事をしたいです。



「読書感想文は、やたらに書かせるな」
という考え
 昨年日本作文の会の全国大会に参加した折りに、作家の井上ひさし氏は、こう発言したのだった。本を読んで、やたらに感想を書かせると、「本がきらいにな る。」とのことであった。「感想文を書かせるより、どんどん本を読ませた方が、意義がある。」という論であった。「感想ほど、難しいものはない。」という のが、主旨であった。ある面では当たっていると思うが、新井さんのような感想文を読むと、時には必要ではないかという気持ちにさせられる。

感想文というと、やはり自分の考えも
 低学年や、中学年までは、「あらすじ」や「要旨」のみで終わってしまう子が何人も出てくる。しかし、本のおおよその流れをつかませることが、「感想文」 の出発点であると考えたい。やがて、少しずつ自分の考えをその中に入れたりできるようになれば、合格ではないだろうか。新井さんのように、自分の意見考え を、十分に主張できれば、感想文としては、立派な文章ではないだろうか。

日本の将来に夢を持たせたいが
 この間の東京教組の教研集会の全体会の講演は、金子勝氏であった。彼の話によると、「日本ほど、これからの生活に明るい展望をもてない人が多いそうだ。 それは、子供にも当てはまるともいう。」その話を聞いたせいか、わがクラスの新井さんの文章を読みながら、複雑な思いで読み終えた。

大人になるほど、夢がなくなる
 昔も今もそうであったが、その現実は、今の方がもっと強いかもしれない。半世紀以上前の子供たちであれば、「大きくなったら、どんな職業につきたい か?」と問えば、「プロ野球の選手。」などと夢のある職業をいう子が何人もいた。それがだんだん現実的なことをいう子が増えてきた。「なんとか食べていけ ればいい。」などという子まで出てきた。

正社員が減り、派けん社員やフリーターに
 バブルがはじけて、世の中不景気の連続である。「年収三百万以下の人たちが、三分の一いる。」「年収二百万以下の人は、四分の一いる。」そんな、今の日 本の現実を知るに及んで、正社員の我々の身分は、めぐまれていると考えてしまう。景気のよいときには、公務員攻撃はなかったのだが、今や警察官と教員は、 週刊誌のネタになっている。

しかし、子供たちには夢を
 借金国日本になってしまったのだが、子供たちには、この付けを回したくない。新井さんが書いているように、「自分にあった仕事を見つけることが、人生を 楽しくするんだ。」という結びにしている。やはりそんなことを考えることが、大切ではないだろうか。今から準備していくことが大事であるという世の中にも なってほしい。
 こんな新井さんの感想は、久しぶりに感想文とはどう書けばいいかという問題を与えてくれた。




週刊墨教組 No.1483 2005.10.18
給与は「生計費保障」が基本

例月給平均〇・八%引き下げ
ボーナス〇・〇五月引き上げ
 
「給与構造の抜本的な改悪」を許すな!

 一〇月一四日、東京都人事委員会は都知事と都議会議長に対し、都職員の給与等の勧告・報告を行いました。勧告では、国(〇・三%)を上回る月例給 の引き下げ(〇・八五%)に加えて、昇給カーブのフラット化により、高齢層は最大一・九%の引き下げとなっています。ボーナスは、〇・〇七月の官民較差が ありながら国に追随し、〇・〇五月引き上げに止まっています。また、給与構造・制度の「改革」の具体化を勧告し、「総人件費抑制」をさらにすすめ、「給与 は生計費保障が原則」(地公法)の否定にも繋がるものであり、今回の勧告は全く不当であるといわざるをえません。
 二〇〇五年度賃金確定闘争が今後具体的に展開されます。全力をあげてとりくんでいきましょう。勧告・報告の骨子は次の五点です。

1.官民給与の逆較差(〇・八五%=三、六八一円)、平均〇・八%の月例給の引き下げ
  ※引き下げにあたっては、昇給カーブのフラット化を行う
2.ボーナスは〇・〇五月引き上げ(四・四〇月→四・四五月)
  ※引き上げ分は、勤勉手当で行う
3.配偶者に係わる扶養手当の引き下げ一、〇〇〇円
(一五、五〇〇円→一四、五〇〇円)
4.給与構造・制度の改悪
 @昇給昇格制度と給料表構造の見直し
  ・号給の昇給幅を四分割
  ・普通昇給と特別昇給に分かれている昇給制度の見直し
  ・昇給期は年一回(原則四月一日)とする
  ・号給増設、年齢による一律の昇給停止は見直す
 A給与水準の見直し
  ・昇給カーブのフラット化
  ・教員給与。人材確保法の趣旨を踏まえつつ、基本的には行政職給料
表の改定に準拠して改定
5.採用制度の検討、計画的・組織的な人材育成の推進、管理職要員の確
保・育成、人事考課制度の信頼性の確保、職員の勤務環境の整備等

月例給平均(〇・八%)引き下げ
   ボーナス〇・〇五月引き上げ
 今年度四月時点における月例給の官民較差(都内企業と都職員との給与較差、資料参照)から、月例給が引き下げられています。教員給料では、初任給(二ー 六号)で〇・三%、最高号級(二ー四三号)で一・四六%の引き下げとなっており、昇給カーブのフラット化と全職員の給与の引き下げが具体化されています。
ボーナスについては、〇・〇七月の較差があるにもかかわらず、不当にも国に追随し〇・〇五月の引き上げに止めています。しかも、成績主義を強化するため、引き上げ分は勤勉手当で行うとしています。

「給与構造の改革」=
 成績主義強化の給与制度への改悪
 昨年度は、「報告」に止めさせましたが、今年度は「勧告」として具体化が示されました。その骨子は、「年功的給与上昇の抑制」と「能力・業績がを反映しやすくするための昇給制度」の具体化です。
 地方公務員法では、「職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他事情を考慮して定められなければなら ない」となっており、「生計費保障」が最初に明記されています。そして、経験年数で加算する枠組みは「生計費保障」に職務と責任を加味したものです。都の 職員の実体からも地公法の趣旨からも、都が考える「年功的給与上昇の是正」は不当なものと言わざるを得ません。
 「号給の昇給幅の四分割」や「普通昇給と特別昇給の見直し」等を行い、より業績評価を昇給に反映させようとする制度は、職場に競争原理を持ち込み、協 力・共働の枠組みを崩し、職場を荒廃させることになります。また、私たちのライフスタイルの変更をも強いる結果になります。何としても、給与構造・制度の 改悪を阻止しなければなりません。

資料 職員と民間従業員の給与等の比較



はじける芽(139)
九月の指導題目  移動教室の感動を、俳句や短歌で表現してみよう。
  国語の六年の上の教科書の単元に、短歌と俳句のページがある。俳句には、必ず季語が必要だが、最終的には、十七文字の中に、感動を入れさせるようにしている。
移動教室で、感動を一句、一首に!


坂道をトンボと一緒に登ってく
方賽山コースという一番長いハイキングコースを歩いた。トンボの群生に巡り会い、頭の上や肩にトンボがとまる様子がよく見られた。

空に星地にも星たち笑ってる
三日間快晴に恵まれ、夜の星もキャンプファイヤーをしながら見られた。空と地の星を、盛り込んでいるのが良い。

水面にきらりと光る火打ち石
毎回思川の河原に来ると、必ず「火打ち石」を一緒に見つけることにしている。宿舎にもどり、暗やみで、二つの石をぶつけると光るのを見て、感動もする。

火の神の校長先生絶好調
キャンプファイヤーの火の神は、毎年校長先生の仕事だ。田村校長先生は、分火するこどもたちも一緒にはだしになって、火の大切を語って下さった。

花火やり火の粉がまるで流星群
打ち上げ花火を夜空に輝かせた。都会では、なかなか出来ない花火も、真っ暗闇の中で大いに楽しんだ。

きもだめしさんぽをうたって歩いたよ
肝試しは、こわい話を子どもや教師にも語ってもらい、そのあと裏庭で行う。怖がりやな子ほど、このように歌をうたったりして、男女ペアーになって歩いている。

バックの中思い出いっぱいつまってる
三日間、短歌と俳句を書かせて、次の日の朝会で「優秀作品」を発表し楽しんだ。ふしぎなことに、一日目より、二日目、三日目の方がずっとすぐれた作品が生まれる。

ますつかみ血まなこになってさがすけど まるで母達のバーゲンみたい
狭いところで、みんながよってたかって鱒を追い求める。その姿が、バーゲンセールの母親達の姿と重なったところが面白い。

都会では見ることがない星空と 迫力がある花火の夜
都会では見られない美しい星空の下、キャンプファイヤーを終わりに間近の最後のフィナーレは、打ち上げ花火であった。

火打ち石一生けんめいがんばって 百パーセントの石を発見
火打ち石の純度が高いほど、価値が高いので、子どもたちは必死になって探していた。

キラキラと水面光る思川 すきとおった水飲んでみたいな
都会の川の水は、このように透きとおってはいない。その水の美しさに思わず出てしまった言葉であろう。

森林に囲まれて良い気分 マイナスイオン頭すっきり
緑の中での森林浴は、本当に気持ちがよい。方賽山コースは、目的地の象の鼻が、遙か手前から時々見ることが出来る。きついコースだが、緑の下でのハイキングは、気持ちが良い。

めずらしい昆虫たくさん粟野にておんぶバッタにトンボの大群
昔は、ちょっと郊外に出てみれば、イナゴやバッタはよく見られた。ところが、そのような昆虫と出会うのも、なかなか難しくなってしまった。

肝試し男子が急いで歩いてく でも背中つかみ歩く私
字余りだが、何か伝わってくるものがある。頼りにされた男の子は、この一首を読み、「ああ、俺は、頼られていたんだ。」とうれしくなるに違いない。

夏の夜健斗と行った肝試し こわかったけどはげましてくれた
男女ペアーで、歩いていく時に、さりげなく励ましてくれた男の子の言葉や行動に、感動してくれていることが嬉しい。

情けない私の後ろで 怖じ気づく Aの姿にあきれる私
頼れるはずの男の子が、このようになって、新たな姿を発見してしまった。そういいながらも、この子は、男の子にも優しい心をもった女の子なのだ。

じょうもんの時代の家を初めて見 すごかったなあ 竪穴住居
竪穴住居を初めて見た子どもたちが多い。縄文の時代に夢をはせ、このようにすぐに連想できるしなやかな子どもの発想がうれしい。

最後の日思い出作り帰りゆき さよなら粟野忘れぬ思い
親元を離れ、三日間の宿泊行事は、やはり心うきうきするものらしい。粟野の木村管理人さんとは、二十八年前に出来た頃からのおつきあいをさせていただいた。


教育研究集会
10月19日(水)午後3時〜
講演 植民地朝鮮に生まれ「在満少国民」に       育てられた私が、今伝えたいこと
講師 「平和人権子どもセンター・教科書資料館」 
 代表 吉岡 数子さん
場所 組合会議室


 吉岡さんは、植民地朝鮮で生まれ、「満州」で少国民として育てられ、日本に帰国して女学生として敗戦を迎えた。
 「満州」で、まだ「小学校」だった頃の小学校1年生の担任山下先生の創造的な授業と、「国民学校」になってからの学校生活を体験する。そして、日本で迎 えた女学校1年の時、敗戦直後に行われた教科書の「墨塗り」を体験する。その中で吉岡さんは、「絶対に先生になる。教科書を使わず楽しい授業ができる山下 先生のような小学校の先生に…。そして間違っても子どもたちに墨塗りはさせない…」と決心されたそうだ。大阪の小学校の先生になり、同和教育とも出会い、 人権を主軸に据えた総合学習の実践にとりくみながら、80年代後半から「侵略史実調査訪中」を重ね退職。退職後、私費を投じて私設の「平和人権子どもセン ター」を開館し、さらに「教科書資料館」を併設された。
 吉岡さんが出版された「『在満少国民』の20世紀ー平和と人権の語り部として」の中に書かれているように、「新たな教科書攻撃がすさまじい勢いで広が り、…第二の『墨塗り』、新しい「少国民」を作るための準備」が始められている今、吉岡さんから私たちへのメッセージを、しつかりと聞き受け止めたいと思 う。
 後期が始まってすぐ、忙しい時期ではあっても、多くの心ある教員の参加を呼びかけたい。


週刊墨教組 No.1482 2005.10.4

義務教育国庫負担制度堅持の署名にとりくもう

 政府が進める「三位一体改革」のなかで、義務教育国庫負担制度の廃止が大きな焦点になっています。一〇月末予定の中教審最終答申とその後の国と地方の協 議、十一月に予測される政府与党協議での最終決着と山場を迎えます。義務教育国庫負担制度は、「教育の機会均等」原則実現をめざす制度の一つです。この制 度が廃止されるようなことになれば、四〇道県で教育費の財源不足が発生する恐れがあり、この財源不足を補填できる見込みが立たなければ教育水準を維持する ために必要な教職員の確保が困難になります。これまで続けられてきた教職員増も後退が余儀なくされます。このことから、日本PTA全国協議会を代表に全国 小中校長会、日教組を含め、教育関係一八団体で共同署名を実施することになりました。各学校には、校長宛に署名用紙が送付されています。その用紙を活用 し、「国庫負担制度堅持」のとりくみを強めていきましょう。

教育論抜きの廃止
 昨年政府は、「三兆円」を国税から地方税に振り替えるという目標を掲げました三兆円の税収を移すことは同時に、国庫負担金の額を減らすことになり、どの 補助金を廃止・減額するかの論議になり、結果的に地方六団体は義務教育国庫負担金の廃止を要求しました。それは、義務教育国庫負担金の額が極めて大きく、 この廃止を求める場合、交渉窓口が一つになるからです。義務教育国庫負担金以外で、廃止・減額を考えるなら、額が小さいものを合計しなければならなく、そ の結果、交渉窓口が増え、交渉が煩雑になるからです。数字のつじつま合わせのための「義務教育国庫負担制度廃止論」です。


※三位一体の「三」は、@税源配分(国税と地方税の配分)A国庫補助負担金(国が地方に配っている補助金)B地方交付税(自治体の税収不足を補うとともに、自治体間の税収格差を埋めるために国が地方に交付する金)を指す。
※平成一七年度予算では、一七年度限りの暫定措置として、本来の国庫負担額から四千二百五十億円を減額。これは中学校の教職員費の半額に相当する)


義務教育費国庫負担制度とは
 日本のどこに住んでいても、子どもたちに等しく教育を受けさせることができるようにするために設けられたのが、義務教育費国庫負担制度です。これは、教 職員給与費の半分を国が負担し、個々の自治体の財政力に左右されずに必要な教職員の数を確保するもの。この制度があるからこそ、山間へき地や離島、都市部 など、子どもたちがどこで学んでも教育水準が維持されている。今、「国から地方への補助金削減、地方交付税改革、税源移譲を同時に進める」という政府の 「三位一体改革」のなかで、義務教育費国庫負担制度の廃止が大きな焦点となっている。
 文部科学省の試算によれば、この制度を廃止した場合、40道県で現在の国庫負担金額が確保されないこともわかっている。自治体財政に与える影響は甚大であり、教育サービス水準の切り下げや大都市と地方における格差拡大につながる。

義務教育費国庫負担制度が一般財源化されると教育は・・・・
・大都市と地方の教育の質・水準の格差が広がる。
・自治体によっては、40人学級以上のクラスが生まれる。
・財政赤字の自治体では、教職員不足が生じる。
・臨時の教員が増える。その結果、年間を通した学級担任が代わることも出てくる。
・学校の統廃合がすすみ、通学距離が遠くなり通学時間も長くなる。
・中学校では、専門科目の免許を持たない教員が複数の教科を教えることになる。
・給食費や教材費など、教育費の保護者負担が増える。
・高校の入学金・授業料が値上げになる。
・耐震構造になっていない老朽校舎などの改築・修繕が遅れる。

義務教育費国庫負担制度の堅持を求める教育関係18団体
(社)日本PTA全国協議会/(社)日本教育会/全国連合小学校長会/全日本中学校長会/全国公立小・中学校女性校長会/全国特殊学校長会/全国連合退職 校長会/全国高等学校長協会/全国公立学校教頭会/全国特別支援教育推進連盟/全国へき地教育研究連盟/全国養護教諭連絡協議会/全国公立小中学校事務職 員研究会/全国学校栄養士協議会/日本教職員組合/全日本教職員連盟/日本高等学校教職員組合/全国教育管理職員団体協議会


二〇〇六年度定期異動の作業 始まる
  個々の教員の希望実現に向けてとりくみを強めよう


 二〇〇六年度定期異動の作業が始まりました。
 改悪された「教員の定期異動実施要綱」は、校長の具申権を大きく拡大しました。勤務年数にかかわらずどの地区にも異動させられるなど、「ルールなき人事 異動」を可能にしています。しかし、私たちは、あくまでも強制異動、恣意による異動に反対します。そして、具体的な異動作業が進行させられる中で、個々の 教員の希望実現に向けてのとりくみを強化していきます。

異動作業、当面の日程は
 当面の異動作業日程は次のようになっています。
九月二六日 校長会
 具体的な異動作業の流れ及び内容が説明され、異動作業を始めることが指示されます。
九月二六日以降 校長による説明
 各校校長が、異動作業のながれ、「自己申告書」記入について説明します。あわせて都教委作成の「定期異動に関する『教育職員自己申告書裏面』記入上の注意」との文書が全員に配布されます。
〜十月末(異動対象者は早まる))
「自己申告書」中間申告(表面の「追加/変更」欄および裏面記入)
校長・教頭による「面接」。
 この「面接」の際、異動についての校長による聞き取りを行うことになっています。強制、希望を問わず異動対象者は、校長に異動に関する個々の事情、希望 をきちんと伝えることが必要です。異動と「自己申告書」を連動させることの問題点はここにもあります。異動対象者については、自己申告と面接を強制するこ とになるわけです。
十月中・下旬
   校長からの区教委ヒヤリング開始
 校長が「人事構想調書」(「来年度の学校経営方針の要点」、「現在の教員構成上の課題」、「経営方針実現のために活用したい教員の能力」「在籍するすべ ての教員についての年齢、校務分掌等や、異動の本人以降、校長具申、備考(異動対象者についての事由)の一覧」)と、「異動申告書」を持参して提出。また 区教委に状況や個々人の事情・希望を説明、校長の意見・要望を出す(具申する)場です。学校毎に日時が指定されます。 
十一月十四日(予定)
  墨田区教委からの都教委ヒヤリング

※昨年より、都教委のヒヤリングが早まったことから、各学校での作業が早くなっています。

質問・相談はまず組合へ
 六年以上の「必異動者」にせよ、過員異動者にせよ、希望異動者にせよ、異動を具体的に考えてみるとさまざまな問題点や疑問にぶつかると思われます。職場 で出されたさまざまな疑問や質問はすぐ組合に連絡してください。すぐに調べたり、交渉して答えるとともに、具体的な相談に応じる態勢をとります。
 質問や相談には、組合別や組合員か否かにとらわれず、いつ、誰にでも、誠実に対応します。

「必要があれば異動できる」に
       ○をつけるのは危険
 「自己申告書(裏面)の「 異動について」欄には、まず「異動について`@現任校に引き続き勤務したい A必要があれば異動できる B異動したい」のいずれかに○をつけるようになっています。
 @に付けた人は、この欄の下にある「自己の異動についての意見」欄は一切記入しません。
 Aに付けた場合、これは異動を一任したことになり、危険です。
 Bに付けた人は、「自己の異動についての意見」の欄に記入します。

希望実現に向けて
 ー本人事情記載欄への明確な記載
 異動希望の実現を図るために、当面必要なことは二つです。
 一つは、個々人の事情、それに基づく希望を「自己申告書」裏面に、「自己の異動についての意見」欄に明確に記入することです。
 まず、異動を希望する地区に順位をつけて記入します。「希望地域」を書く欄はなくなりましたが、この欄に必ず書いてください。その後に、異動にあたって配慮すべき事情を書きます。たとえば、次のような事由が考えられます。
「介護事情があるので、自宅から近い学校を・・・母が高齢で、日常のことが自分では・・・」「保育事情があるので〇〇線沿線の学校を希望する。保育園(〇〇駅から徒歩〇〇分)に預けてから・・・」「区内異動を希望します。長年にわたり勤務し、さまざまなことを学び・・・」

希望実現に向けて
 ー校長に具申させるとりくみ
 二つ目は、校長に具申させることです。
 都教委は、「校長の具申、地教委の内申に基づき、都教委が判断」としているのですから、判断材料としている校長「具申」へのとりくみはきわめて重要です。
 校長「具申」の具体的な方法は、「異動申告書」の「校長所見」欄にその事情と校長としての要望・意見を書くこと、区教委のヒヤリングの際にその事情・要望を出すことです。そこへ向けてのとりくみが大切になります。
 なお、この二つ(本人記載欄への記載、校長へのとりくみ)にかかわる具体的なとりくみにあたっても組合と相談しながら進めることが必要です。
 いつ、誰からの相談にも組合は誠実に対応します。

希望実現に向けて
 ー都区教委へのとりくみ進める
 組合は、各学校や個々人の事情・希望を把握し、その実現をめざして都区教委に対するとりくみを強化していきます。そのためにも、具体的、綿密に組合と相 談すると共に、「異動カード」(イエローカード)を組合に提出してください。それらにより、事情・希望を把握し、その希望実現に向けて、組合としてのとり くみを強力に進めます。




週刊墨教組 No.1481 2005.9.16

給与制度の改悪を許すな!
  全国人事委員会連合会(全人連)教育職参考給料表を示す


 九月五日、日教組を含む公務員連絡会地公部会は、全人連から教育職のモデル給料表の提示を受けた。提示された二種類の参考給料表は、人事院勧告を基本に作成されたものとなっており、それらの概要は次のものです。
@〇五年四月の官民格差にもとづく給料表資料1(教育職三表二級:義務制に勤務する教諭)、
・すべての級の各号給を〇.三%同率で引き下げる。平均改定額は、教育職三表で一、一八〇円引き下げ。
A給与構造見直しに伴う改定給料表(資料2)となっています。
・人事院勧告によって、地域給与導入及び中高年齢層の給与水準を引き下げられたことに伴い、教育職三表で平均四.七%引き下げる。
・勤務実績の反映を行うため現行の号給を四分割している。
B教職調整額、義務教育教員特別手当の改定はしない。

モデル給料表の性格
 地公部会は、提示を受けた給料表に次の二点についてただした。それに対し、全人連は次のような見解を述べた。
1.モデル給料表の扱いは各人事委会に委ねるべき
・この参考給料表はあくまでもモデル。そのまま使っても、改変・加工してもいいという性格のものだ。各県人事委員会の自主性に任せるという意味で、無色透明、中立的な性格のものだ。
2.給与構造の見直しに伴う改定について「平成一八年四月改定」としたことの意味 
・国の勧告に合わせれば、こうなるということで示したということだ。〇六年四月を実施時期として各県人事委員会を縛るという性格のものではない。

「日の丸・君が代」不当処分を許すな
 「日の丸・君が代」不当処分の撤回を求める集会、被処分者を激励する行動が七月二一日、七月二九日に開催されました。墨田教組もその行動に積極的に参加しました。
四〇〇名を越える人々が結集し、被処分者を激励

 「私は反省しない、
 反省すべきは東京都教育委員会」

 七月二一日午前と午後二回に分けて、都教委は、今年の卒業式、入学式の被処分者に対して、「服務事故再発防止研修」を強行しました。当日は、「被処分者 の会」の呼びかけで、四〇〇名を越える支援の人々が結集し、弁護団・該当者を先頭に研修会場である都立総合技術センター前で、不当研修への抗議と、被処分 者への激励行動が展開されました。昨年七月二三日の東京地裁決定「繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内 心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や命令研修は合理的に許容される範囲を超えるものとして違憲違法の 問題が生じる可能性があると言わなければならない」を紹介し、加藤弁護士が「研修」を受ける人たちの人権が侵害されないように、責任者に対し厳しく申し入 れを行いました。支援者のシュプレヒコールを背に、被処分者はゼッケンをつけたまま、また処分不当を訴えたTシャツ姿で会場に入場していきました。
 この「服務事故再発防止研修」は、要綱では、「飲酒運転・体罰・わいせつ・セクハラ等による処分者」に対する「研修」としての性格です。「職務命令違反」という視点からのみ実施された「研修」といえます。
 「君が代の教育的意義」等の質問には、「研修講師」である法務観察課長は、一切答えず、被処分者による抗議行動と質問の嵐を浴びせられ、コソコソ会場から逃げるように退場したとのこと。何とお粗末な、悪質な都教委。
 
石原知事は辞めよ! 横山の副知事就任を許すな!
 七・二九都教委包囲デモ


 
新宿西口、路地に囲まれた小さな柏木公園でデモ出発前の集会が開かれた。路地には「右翼」外宣車。昨年は見られなかった「右翼」外宣車。都教委・警察だけでなく、「右翼」からも攻撃される状況になったのか。参加者は、意気揚々と都教委包囲に向けデモに出発した。


週刊墨教組 No.1480 2005.8.26

二〇〇五 人事院勧告

  ボーナス〇.〇五月引き上げ、月例給は引下げ
  地域給与、給与制度見直し、
査定昇給などを含む勧告・報告を強行
 
差別給与制度拡大への改悪を許すな!

 八月一五日、人事院は政府と国会に対し、地域給与・給与制度見直しなどを含む国家公務員の給与改定について勧告・報告を行いました。主要点は次の四点で す。特に、給与構造の「抜本的な改革」は、私たちを含め、地方公務員の給与制度に大きく影響を及ぼすことになります。差別給与制度の拡大による人件費抑制 政策の具体化を許してはなりません。 (教育職員給与についての勧告は、国立大学が〇四年度に法人化されたことにより廃止されています。)
1.官民給与の逆較差(〇. 三六%=一、三八九円)、月例給を〇.三%引き下げる
2.ボーナスは〇.〇五月引き上げ、年間四.四五月分
3.配偶者に係わる扶養手当 五〇〇円引き下げ(一三、五〇〇円→一三、〇〇〇円)
4.給与構造の「抜本的な改革」

 月例給引き下げ、
 ボーナス引き上げ等
 人事院は、今年度四月時点における月例給の官民較差(民間企業と国家公務員との給与較差)行政職(一)では、国家公務員の給与が一、三八九円(〇.三六 %)上回っているとして、俸給表を一律〇.三%(平均一、〇五四円)引き下げ、併せて扶養手当も国家公務員が上回っており、子を扶養する職員の家計負担を 考慮して、配偶者に係わる扶養手当を五〇〇円引き下げるとしました。
 ボーナスについては、昨年冬と本年夏の民間の支給割合は、四.四六月であり、公務員の支給月数四.四〇月を上回ることから、勤勉手当を〇.〇五月分引き 上げることにしました。これらの結果、職員の年間給与は四、〇〇〇円程度減少すると述べています。また、人事院の資料では、東京都内だけでの官民較差は、 民間給与が〇.五四%=二、二三〇円上回ってます。

公務員連絡会、政府に
  見直し部分の実施見送りを要求
 給与構造の「抜本的な改革」について、昨年度の経過、「各府省、職員団体等の関係者との十分な協議を行い、検討項目の具体化を図る」ことを受け、関係者 間で協議がなされていました。しかし、人事院は、協議がまとまっていないにも拘わらず、「地域給与・給与構造の見直し」に関する勧告・報告を強行しまし た。日教組を含めた公務員連絡会は、その内容から、「地域給与・給与構造の見直し」等について到底認めることはできず、厚生労働大臣、総務大臣、官房長官 などの給与関係閣僚に実施見送りの態度決定を行うことを強く求めました。次回の給与関係閣僚会議は、総選挙後に開かれることから、選挙結果が今後の交渉に 大きく影響することになります。

「給与構造の抜本的な改革」を許すな
 約五〇年ぶりの大規模な制度改悪であり、現行給与制度の骨格を改悪するものです。その内容は、@給与を大幅に引き下げる、A「実績重視の給与制度」=賃 金差別拡大への大改悪であり、私たちは到底認めることはできません。この大改悪は、国家公務員だけのものではありません。東京都人事委員会は、七月七日、 「基本的な給与の仕組みについては、国の見直しとの制度的整合性を保持して、均衡に努める必要があること」を「給与構造の見直しの基本的視点」のひとつと することを組合に表明しました。私たち、都の職員についてもこの大改悪が強行されようとしているのです。〇五賃金確定闘争は、極めて深刻な闘いになりま す。何としても「給与構造の抜本的な改革」を阻止しなければなりません。

@給与を大幅に引き下げる
・俸給表の水準を全体として平均四.八%引き下げる。若年層は引き下げず、中高齢層については七%引き下げることにより、給与カーブをフラット化する。(年功的な給与上昇を抑制)
・現行の調整手当を廃止し、地域手当を新設する。支給区分は一八%を上限に、三%を下限とし、全国の都市を六区分に振り分ける。このことにより、民間賃金の地域間格差が反映できるとしています。
 ※同じ仕事をしても、勤務地を要因として賃金に差がでることになります。例えば、東京二三区は一八%地域ですが、東京武蔵村山市は三%となります。

A「実績重視の給与制度」=賃金差別拡大
・査定昇給の導入。特別昇給と普通昇給を統合し、現行の一号俸を四分割し、「勤務成績」によりA〜Eの昇給区分に査定する。
  A(八号俸以上)B(六号俸)C(四号俸)D(二号俸)E(昇給なし)とする。A,Bについては割合を示す。
 ※協力・共働の否定、分裂・分断の強化
・五五歳昇給停止を廃止。昇給幅は通常の職員の半分程度に抑える。
 ※七%引き下げ、フラット化しておいて、はたしていくらアップするの?
・勤勉手当への実績反映の拡大

B実施スケジュール・経過措置
 今回の「給与構造の抜本的な改革」を実施すれば、職員に大きな不利益が生ずるため、経過措置を設けて段階的に実施していくことが必要としています(資料 1「人事院ホームページ」より2―7「経過措置」参照)。これは、資料の判例にもあるように、労働者に対する不利益を雇用主が一方的に強要できないからで す。
・新俸給表は〇六年度から適用。
・俸給の引き下げ、新設手当などは五年間(二〇一〇年度まで)で完全実施。


資料1「人事院ホームページ」より「2-7経過措置」


資料2 東京地公労、人事委員会に申し入れ

東京都人事委員会委員長 内田公三様 2005年8月22日
東京地方公務員関係労働組合協議会議長 遠藤幹夫
2005年度勧告に関する申入れ
日頃から、東京都に働く職員の賃金・労働条件改善にご尽力いただいている貴職に敬意を表します。
 8月15日人事院は、2005年度の国家公務員給与に関する勧告を国会及び内閣に対して行いました。勧告は、特別給について0.05月の増としたもの の、月例給△1,389円、△0.36%の逆較差を、俸給月額の0.3%引下げと扶養手当の引下げにより解消するとし、2年ぶりの年収減となるマイナス勧 告となりました。しかしこれは、民間における賃上げ状況や特別給の増額傾向を十分反映せず、また公務員労働者の生活実態からみてきわめて不満な内容だと指 摘せざるを得ません。
 さらには、俸給水準の引き下げと地域給与の導入による俸給水準の引き下げ等、「給与構造の基本的見直し」の2006年度実施に踏み切ったことは、公務員給与の削減を盛り込んだ「骨太方針2005」に追随した、政治的な内容といわざるを得ません。
 東京都においては、昨年貴人事委員会が729円の公民較差があるとしながら、是正勧告が見送られましたが、私たちは、貴職がその本旨に基づき、東京にお ける公民比較による較差是正を求めるものです。また、東京都というローカルなエリアで働き、生活している私たちには、地域給も地域手当も必要ありません。
 貴職におかれましては、これからの勧告作業において、労働基本権制約の代償機関としての独立性を保持し、公正・中立な立場で正確な調査結果の反映に基づく較差是正の勧告を行い、都職員の勤務・生活条件の改善に向けその役割を果たされるよう申入れます。

1. 給与勧告に当たっては、東京における民間賃金水準の実態を正確に反映すること。また、昨年貴人事委員会は自ら明らかにした公民較差729円についてその是正を見送りましたが、この解消を含め、人事院勧告からも明らかな公民較差の是正を勧告すること。
2. 特別給については、人事院勧告では全国ベース0.05月とわずかな増額となっており、これによっても東京における民間の特別給の増加は明らかです。公民同 一比較に基づいて、都内の民間支給実態を正確に反映した支給月数の改善を行うこと。また、期末手当と勤勉手当の支給割合の改悪 を行わないこと。
3. 人事院勧告における「給与構造の基本的見直し」に関しては、次の事項を踏まえ対応すること。
(1) 全国を対象とした広域行政を前提とした地域給、地域手当という人事院勧告に追随することなく、現行調整手当の本給繰入を基本とした給料表の勧告を行うこと。
(2) 給料表については、給与水準引下げや昇給カーブのフラット化、査定昇給を前提とする号給分割等の勧告を行わず、現行の体系をベースに公民較差を是正し、若年層における改善と給料表の号給延長を行うこと。
(3) 都においては人事考課制度により勤務実績の給与等への反映が実施されているものの、公平性・透明性・納得性などが確保されていない現状にあります。貴職に おいては最近の労働法学の状況を踏まえ、給与制度や勤務条件の根幹をなす人事考課制度が労使交渉・労使協議事項であることから、その抜本的見直しを提言す ること。
 また、国と都の制度の相違を踏まえ、査定昇給制度の導入やそれを前提とする給与制度の変更について勧告しないこと。
4. 住居手当については、東京における住宅事情を踏まえ、より一層の改善を図ること。
5. 公立学校教職員の給与については、公教育の社会的役割はもとより、東京における公民較差を踏 まえ現行水準の確保・改善を勧告すること。
6. 年間総労働時間の短縮を図るため、所定労働時間の短縮、超過勤務の縮減、人員確保など具体的 な提言を行うこと。また、休暇制度全般にわたって改善するよう提言すること。
7. 自治体における男女共同参画基本計画に基づき、数値目標を含めた積極的改善策を提言すること。「東京都職員次世代育成支援プラン」の初年度にあたり、育児休業・介護休暇の男性取得促進のための措置をはじめ、その実効性を高めるための具体的な対策を提言すること。
(以下、8〜12略)
13. 現在労使協議中の事項や労使協議すべき事項については、労使の自主的解決に委ねること。

関東大震災82周年
朝鮮人殉難者追悼式のご案内

 今年、2005年8月14日、韓国を訪問しました。15日は、解放60周年を迎える「光復節」ということで、ソウルの町は前夜祭から盛り上がっていまし た。そして、どこでも、「統一」の言葉と旗が町中にあふれていました。6カ国協議で、日本は拉致問題を第一に取り上げようとしていますが、拉致者が日本よ りはるかに多い韓国でさえ、6カ国協議の議題にすることに反対しています。むしろ、また、北朝鮮を敵にして朝鮮半島が戦争になることを絶対に阻止する意気 込みの強さを感じました。
 念願かなって見学した「独立記念館」では、日本語の巧みなガイドさんが、関東大震災時の朝鮮人虐殺の話をしてくれました。決して風化させてはならない歴史の事実です。
 歴史歪曲教科書に対する韓国の人たちの怒りをともに共有しつつ、「つくる会」教科書の不採択を戦いながら、まためぐり来る関東大震災82周年追悼式に参加しましょう。

日時 9月3日(土)午後3時より
場所 荒川河川敷木根川橋下手
京成線・八広下車徒歩5分
主催 「グループ ほうせんか」
「関東大震災時に虐殺された
 朝鮮人の遺骨を発掘し追悼する会」





週刊墨教組 No.1479 2005.7.4

権利は行使してこそ定着する
夏季休業を有意義に過ごそう
 長期休業中の研修権を保障させるとりくみ
 「研修の取り扱い」が変更され、四年目になり ました。この変更には、様々な問題点をもっていますが、私たちは、あくまでも自主的、自発的、主体的に行うべき「研修」の機会を保障させていくとりくみ を、粘り強くすすめ、現実化させて行く必要があります。権利は行使してこそ定着するのです。

二〇〇二年度の変更点は二点

@ 教員の自宅を研修場所とすることは、原則として認めない
A 研修承認願、研修報告書の様式を変更する

 様式変更についての区教委の態度

 今回の様式の変更は、研修願・研修報告の書式整備を通じて、教員の自主的、自発的に行うべき「研修」を教育行政として奨励しようとすることが趣旨である。個々の教員の自主的、自発的な「研修」を規制するものではなく、そうした意図もない。


自宅での研修

 教育公務員特例法二一条(旧十九条)・二二条(旧二〇条) 

 研修
二一条 教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。
 2 教育公務員の任命権者は、教育公務員の研修について、それに要する施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めなければならない。

研修の機会
二二条 教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない。
 2 教員は授業に支障がない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。(以下略)

 文部科学省、二〇〇二年七月四日通知「夏季休業期間等における公立学校の教育職員の勤務管理について」でも、「研修を自宅で行う場合」「自宅で研修を行う必要性の有無等について適正に判断すること」と述べているのです。


「原則」の意味
 二〇〇二年度に区から出された通知文には、6―(1)―ウ、「研修場所については、研修内容からみて妥当な場所であり、合理的かつ必然的な理由を有すること。なお、教員の自宅を研修場所とすることは、原則として認めないこと。」とあります。
 後段部分「教員の自宅を研修場所とすることは、原則として認めないこと」にあります。
 行政用語として「原則として」は、「例外」があることを意味しています。「原則として認めない」とは、「認める場合がある」ことです。研修をするにあたって、研修の成果がよりあがることが期待できるとすれば、それで十分な理由になると考えられます。


自主的研修を実現しよう 
 区教委は教特法を遵守する立場にあり、区教委には研修の機会を保障する責務があります。区教委が研修内容・方法に介入することはありません。私たちはあ くまでも自主的、自発的、主体的に行うべき「研修」の機会を保障させていくとりくみを、粘り強くすすめていく必要があります。

 

昨年(8月30日)に続き、今年も
都教委包囲デモ 7月29日(水)
石原知事は辞めよ!、横山の副知事就任を許すな!
再発防止研修の強行を許すな 昨年を上回る大結集を!
 ・根津公子さんへの停職1ヶ月の処分を許すな!
 ・高校教員・減給3名、戒告6名の処分を許すな!
 ・不起立の闘いを継続させよう!
 ・窮地に立つ石原・横山・中村都教委を追いつめよう!


  昨年8月の週刊墨教組で、「東京から闘いの大きな狼煙があがる! 都庁第二庁舎を、約250人が包囲。都庁第二庁舎前では約450人のデモと合流し 「都教委の暴走を止めよう、都教委を包囲しよう」のシュプレヒコールを繰り返す。その後、包囲部隊もデモ部隊に合流し、新宿の繁華街をデモ行進」と報告さ れた都庁包囲デモの2年目です。
  多くのみなさんが参加されることを、心から期待します。

7月29日(水)
15:30新宿西口柏木公園集合

16:00都庁包囲・繁華街デモ
18:00講演集会(千駄ヶ谷区民会館:原宿駅徒歩5分)


週刊墨教組 No.1478 2005.6.9

被爆六〇周年 
 今こそ、反戦・反核・平和教育を!

 小泉内閣は、イラク侵略戦争に自衛隊を派兵し、米軍と一体となって行動させ、「戦争」を既成事実化してきました。そして、戦争ができる国にするため、教育基本法・憲法改悪に突き進んでいます。
 今年は戦後・被爆六〇年の年になります。
 広島・長崎の被爆は、東京大空襲とともに、戦争の悲惨さと非人間性を、平和と人間の命の尊さを教えてくれる大切な教材といえるでしょう。
 「広島・長崎・東京大空襲」の語り部たちの体験談、手記、写真…等々の貴重な資料は、今も戦争の悲惨や残虐、非人間性という実相を伝えてくれています。
 今こそ、戦争の実相を子どに伝えていかなければなりません。墨田教組は、この期のとりくみに対し、三月一〇日を節目とした「反戦・平和教育」と同等の経費補助を分会に対して行います。

墨田教組ビデオ・写真ライブラリー
原爆関係
にんげんをかえせ
     VHS 一六ミリ 二〇分
 「 フィート」運動で米国から入手した広島・長崎のフィルムと、被爆者の証言により構成。原爆の恐ろしさ、悲惨さをわかりやすく訴えた作品。原爆投下後に、米 国戦略爆撃調査団が撮影した市街地の詳細な写真、病院で手当てを受ける人々。一ヵ所に集められて焼かれる人々…。悲惨な状況を生々しく伝える貴重なフィル ムで構成。

もうひとつのヒロシマ
   強制連行―そして被爆
          VHS 五八分
 日本による朝鮮侵略の結果、国を失い、土地を失い、生きるために日本に来ざるを得なかった、あるいは強制連行された朝鮮の人々。そのなかには広島・長崎で原爆の被害者にされるという二重の被害を受けた人々もいる。全被爆者の一割はこれらの人々。
 彼らは今なお日本政府から何らの謝罪も補償も受けず、差別された状況下に呻吟している。
 こうした韓国・朝鮮人被爆者の証言を中心につくられたドキュメンタリー。

ひろしまのピカ
  カラー・アニメ VHS 二五分
 同名の絵本「ひろしまのピカ」(絵と文・丸木俊)を土本典昭監督が映像化したもの。音楽を小室等、語りを中山千夏・竹下景子が担当。

夏服の少女たち
 カラー・アニメ VHS 一六ミリ
 広島県立第一高女一年生二百人は、強制疎開のための建物取り壊し作業中原爆にあい、全員被爆死。彼女達は、母親たちのお古をほどいて夏制服を完成させたばっかりであった。
 アニメとドキュメンタリーを合成した演出方法で構成。

はだしのゲン 1
   カラーアニメ VHS 八四分
 物語は戦争中の広島から始まる。ゲンの父親は戦争反対を叫び軍部につかまる。ゲンの一家は「非国民」呼ばわりされるが、国民学校二年生のゲンは弟の信次 と力強く生きる腕白少年。一九四五年八月六日広島に原爆が投下され、一瞬の内に父・姉と弟を奪われた。奇跡的に助かったゲンは、廃墟の広島で母を助け生き 抜く。

はだしのゲン 2
   カラー・アニメ VHS 八八分
 ゲンの母の原爆症発病から死亡までを軸に描く。母親はゲンに背負われて病院に行く途中で命の灯を消す。「わしゃ麦になるんじゃ! 厳しい冬に芽を出し、 何度踏まれてもまっすぐに伸びて実をつける麦になるんじゃ」ラストシーンのゲンの叫びが子どもたちの共感を呼び胸をうつ。大人たちの忘れていた心をよみが えらせてくれる。

つるにのって とも子の冒険
   カラー・アニメ VHS 三〇分
 フランスで原爆被害の実相を紹介する活動をしているミホ・シボさんのよびかけでつくられた「世界の子どもに平和のアニメを贈るピース・アニメの会」によって製作が実現した作品。

「クロがいた夏」
 カラー・アニメ VHS 八〇分
 被爆四十五周年記念企画の長編アニメ。戦争という時代のなかで、一人の少女とその家族の生活、そして、その生活と子ネコ「クロ」の命を一瞬のうちに奪った原爆の悲劇を通して、平和と命の大切さを描く。「はだしのゲン」の作者、中沢啓治の作品。

沖縄戦関係
沖縄ー最後の死闘
カラー・ドキュメント
VHS 四〇分
 一九四五年三月二十三日、米連合艦隊は沖縄本島に向けて猛烈な艦砲射撃を開始、太平洋戦争最後の幕が開いた。「ひめゆり部隊」が、「鉄血勤皇隊」の多くの学徒が、島民十万人と共に犠牲となった。約三ヶ月の攻防戦の末、日本軍は玉砕した。

戦場ぬ童(いくさばぬわらび)
カラー・ドキュメント
VHS 一六ミリ 二六分
 橘裕典監督の作品。沖縄戦四〇周年記念映画として製作。子どもの頃、地獄の戦場をさまよった人々の生々しい証言をもとに、沖縄戦の実態を子どもたちに的をしぼって描き、しかし基地の島沖縄では「戦世(いくさゆ)」はまだ終わっていないと訴える。

沖縄からのメッセージ98
     VHS  三〇分
 沖縄は、「平和」「共生」「自立」を基本理念に21世紀に向けて、新しい時代にふさわしい、国際都市、「沖縄」の建設にとりくんでいます。
沖縄県企画・琉球放送著作制作。

写真パネル「ヒロシマ・ナガサキ」
 原子爆弾の記録 B2版 七十枚
 「子どもたちに 世界に!被爆の記録を語る会」発行。写真と記録画による、迫力ある原爆の悲惨さと無残を訴えるパネル。

被爆60周年
原水爆禁止世界大会に 参加しませんか
日時 2005年8月4日〜6日
場所 広島市内
 東京教組の、団で行動します。
 墨田教組組合員は、宿泊費と交通費半額を補助します。
申し込み 7月12日までに書記局へ。





週刊墨教組 No.1477 2005.6.20

総人件費抑制策反対!
 給与水準引き下げ、差別支給拡大を阻止しよう
 夏季ボーナス六月三〇日に支給


 東京教組は、「夏季一時金二・五月を六月三〇日までに支給すること」を主な内容とした要求書を都側に提出し、交渉を行ってきました。それに対 し、都側は六月一四日に回答をしてきました。回答に際し「都民の理解が得られるかという視点から慎重に検討した上で判断いたしました」と述べ、民間の一時 金支給が増額傾向にある中、「民間との比較を判断の基準にせず」、また、職員の生活実態を事実上無視する考えを明らかにしました。極めた不当な内容です。
 「給与制度の大改悪」が人事院や東京都人事委員会から勧告されようとしています。
 給与水準の引き下げを黙して受け入れるのか、生活を守るために闘うのか。私たちは当然闘いを選択する。

夏季一時金六月三〇日に支給
 現行の条例・規則どおり、
 二.〇五月分(期末手当一.六月分、勤勉手当〇.四五月分)
 再任用職員は、一.〇月分(期末〇.七五月分、勤勉手当〇.二五月分)

給与水準引き下げ、
差別支給拡大を許すな
 都側は、交渉の場で、「骨太方針二〇〇五」や人事院が検討している「給与構造の基本的見直し」の動向などを受けて、「年功的要素を抑制し、働きに応じた 処遇の実現」が必要だとして、人事給与制度見直しを確実に実施する必要があると主張しています。この内容は、総人件費抑制策そのものです。こうした不当な 攻撃を許すことはできません。
 夏季一時金闘争が終結した今、対人事院、対人事委員会勧告に向けたとりくみを強化するとともに、生活破壊を許さないために、二〇〇五秋季年末賃金確定闘争を例年以上に強力に闘わなければなりません。

人事院「国家公務員給与構造の基本的な見直しについて(措置案)」提案骨子 
1.俸給表構造の見直し
@公務員給与が各地域の民間賃金水準をより適切に反映したものとなるように、俸給水準を五%程度引き下げる。民間水準を上回る傾向が見られ始める三〇歳台半ば以降は、さらに最高二%程度引き下げ。(五〇歳台は七%引き下げか?)
A年功的な給与上昇の抑制。
 職務・職責に応じた給与にするため、級構成・号俸構成の見直しと、水準カーブのフラット化。
※本給の引き下げは、退職金に影響。連動して年金支給額も引き下げ?
2.地域手当の新設
@調整手当を廃止し、民間賃金の高い地域に勤務する職員に対し、地域手当を支給。東京の場合、調整手当は現行一二%。措置案の地域手当は一八%。
※七%引き下げ+一二%廃止 → 地域手当一八% (確実に減額)
3.勤務実績の給与への反映
@勤務成績を昇給により反映させやすくする(査定昇給)。
  現行の一号給アップを四分割し、業績評価が極めて良好→八号昇給(現行の考えでは二号給アップ)、特に良好→六号昇給、良好四号昇給(現行)、業績評価が悪い者は昇給しない。
A一時金における、勤勉手当比率の拡大・強化。一般職員の適用対象拡大。
B職責差による職務加算の強化





投稿

「歴史はくり返す」のか?  ―危ない!今の空気―
                 元墨田教組組合員

 最近一冊の本と一本の映画に出会ったことで、今の危うい状況を再認識してしまった。その本とは、クラウス・コルドンの「ベルリン一九三三」。
 ナチスが台頭し、戦争に向けひた走る中、人々が洗脳されるがごとく、ヒトラーを支持してしまう姿が、十代の少年の目でとらえられている(作者は一九四三年生まれなのだが)。心に残ったことばをあげてみる。
 「現実の矛盾は暴力で解決することはできないだろう。しかし、民衆の間の対立は、暴力によって沈黙させることが可能だ。貧困をなくすことはできないが、 自由をなくすことは可能だ。困窮を訴える声を消すことはできないが、報道を禁ずることは可能だ。飢えをなくすことはできなくても、ユダヤ人を追放すること は可能だ。」
 ナチ党が出てきたときの新聞記事として扱われている部分だが、今の日本のマスコミや政府の動きとつながるものを感じてしまう。まともな報道が規制され、一方的な考えばかりがくり返し流されている今の日本とそっくり。
 もう一つは、「・・・・食べ物がなくてもかなり生きていられる。水がないとちょっとつらくなるが、希望を失ったら、三日と生きていられないだろう」
 まさにその通りだなと思う。希望を失わないために何かしなくてはと思い始めている。今年は戦後六十年ということで憲法、教育基本法が改悪の嵐にさらされ ている。教育基本法を読んだことのない人が批判してみたり、主客転倒して教育を国家のものにしようとしてしまうことが平気でまかり通ってしまったり、黙っ ていたら、いつか来た道。一九三三年のドイツの空気そっくり、そして侵略戦争に突き進んだ日本の空気にも。八月には中学校の教科書採択。
 つくる会の危ない教科書を阻止するために今、地域から動きが始まっている。前回に比べ、「つくる会」側も巧妙に動いていて、私の住む千葉東葛地区も危機 感を持っている。五月初めには、小森陽一さんを呼んで講演、学習会が開かれ、つくる会教科書問題・教基法改悪・憲法改悪が一つの流れになって世の中を戦争 のできる国作りなのだということを確認した。教科書ネットの人とも知り合い署名活動も始まった。たくさんの署名を集めたい。教科書展示会にも行こうと思 う。呼びかけもある。小さな力でもやるしかないと思っている(協力していただける方があればうれしいのですが・・・)。

 映画は ビデオジャーナリストの綿井健陽さんの記録フィルム「リトル・バーズ(Little Birds)」
 イラク戦下の家族たち。現在進行形の戦争。そして日本で暮らしている限り、戦火の下の人間、子どもたちの姿はなかなか見えてこない。綿井さんは言う。
 「このドキュメンタリー映画『リトル・バーズ』にはナレーションや音楽は一切入っていない。一〇二分間のすべてのカットは一年半に及ぶ現地取材で撮影し た一二〇時間余りの映像と現場音からのみで構成されて、字幕スーパーによる文字情報もきわめて最小限に抑えてある。それは映像と音だけでイラクを見つめる ためだ。イラクで暮らす人たちの表情をじっと見つめてほしいから。イラクで聞こえてくる音だけに耳を傾けてほしいから。イラクで暮らす同じ人間たちの叫び 声や泣き声、そして笑い声も、僕らのそれと何も変わらないことに気づいてほしいから。」
 本当にそうなのだ。私たちが教室に見つめていた子どもたちとそっくりの子どもたちの顔があるのに、不発弾を拾って、腕をなくしてしまったり、朝食の用意 中、妹や弟を一度になくしてしまった女の子の家族、「お父さん泣かないで、私たちは天国で鳥になりました」と墓標に書かれる家族の心。
 米兵と自衛隊員へのインタビューも対照的で興味深い。でも私たちだってこのまま「つくる会」教科書が使われ、教基法や憲法が改悪されてしまったら、イラ クのリトル・バーズに心を痛めることなんかできないだろう。隣国に与えた六十年前の苦しみを心から反省し共に生きていく世界を創っていくには、真実から目 をそむけることなく伝える歴史教科書で学ぶ次世代の子ども達でなければならない。
 過去の戦争、今の戦争、真正面からとらえる二つの出会いだった。
 今の空気 とっても恐ろしいけれど、絶望だけはしたくない。

※「つくる会教科書」採択反対の署名用紙は、組合事務所に問い合わせてください。我孫子に在住の方であればなおいいのですが、他県の方でも結構です。

つくる会教科書を採択させないために
  墨田でも、できることを、確実に!

 中学校教科書採択に先立ち、教科書見本の法定展示会が開かれています。墨田区では、すみだ生涯学習センター一階がその会場です。
 会場にはアンケート用紙が用意してあり、「教科用図書採択のための資料とさせていただきます」とあります。
 ぜひ、会場に足を運び、よりましな教科書を推してください。これはひどいという教科書に対しては、徹底的な批判を出してください。
 アンケート用紙には、区内在住か区外在住か書く欄がありますので、区民以外の意見も聞こうとしています。また、「お子様が区立中学校に通われている場合には○を」とありますので、その意見には重きを置くと考えられます。
 中学校教員はもとより、小学校の分会員もぜひ、確実にとりくんでください。
 なお、会場は五時で終了します。




週刊墨教組 No.1476 2005.6.6

「土曜補習教室」

  労働条件等で区教委と文書確認

勤務時間の割り振り変更(土曜日四時間勤務)は強制できない

校長・副校長も「指導員」=教諭がいなくても実施可能

  墨田教組執行部は、「土曜補習教室」実施は、勤務条件の変更になることから、区教委と交渉を行ってきました。四月二五日の久保教育長と両教組(墨田教組、 都教組墨田支部)との交渉を経て、労働条件等に関する具体的な文書確認を巡って交渉を継続してきました。この「土曜補習教室」は、「週休日である土曜日」 に校長も含め教員を四時間勤務させることになります。このことは労働基準法・東京都の勤務条例に違反することから、特例を設定しなければ都教委は「土曜補 習教室」認めることができません。そこで、二〇〇六年三月三一日までの期限付きで、「教育職員の勤務時間に係わる特例設定の試行」を設定し、教員が土曜日 に四時間勤務することを都教委は、止むを得ず認めることとしました。都教委の許可条件が守られなければ、この墨田区教委に対する「試行」は、当然、解除さ れることになります。この都教委の許可条件を踏まえ、墨田教組執行部は、五月三一日、「土曜補習教室」に関する労働条件等で区教委と文書確認を行いまし た。

 「土曜補習教室」実施に際し、各職場で、裏面資料3(特例設定試行要領)に違反がないか監視し、違反があれば墨田教組は区教委と是正を求め、交渉を行います。違反が明確になれば、都教委に対し「試行解除」を要求していきます。


資料1  区教委との確認

墨田区教育委員会                       2005.5.31.

教育長 久保 孝之 様            

墨田区教職員組合

      委員長 加藤 宗三郎

土曜補習教室事業について

 土曜補習教室事業の実施に当たっては、(1)週の勤務時間40時間、週休2日制という学校職員の勤務条件を維持する(2)児童・生徒にとっての学校五日制の趣旨を逸脱するようなことがあってはならない、の2点が原則であり、その立場に立って、実施する。 

 その立場から次の諸点に確実に留意、実施すること。

(1)ー@教員が指導員として当たる場合(校長が勤務を割り振る場合)、本人の理解と納得のもとに行う。

A土曜教室の指導に当たる教員には「勤務時間の特例」を設定することになるがその割り振りにあたっては、当該教員の意向を聞いて行う。

B土曜教室実施日の勤務時間の割り振り(出退勤時間・休憩時間等)は、事業時程の関係から月〜金曜日と土曜日とで異なる設定とすることができる。

(2)ー@実施校が運営する土曜補習教室への参加者は、児童生徒が希望し、その保護者が同意した者に限定されるものである。したがって、必ず参加申し込み書を提出させ、それに基づき参加者名簿を作成して行うこと。

  参加申し込み書を提出し、名簿に記載した児童生徒にのみ参加を承認する(思いつき的に参加してくる者の参加は認めないこと)。

  なお、この申し込み書と参加者名簿に記載があるものが、学校管理下にあるものであり、事故ある場合の「日本スポーツ振興センターの『災害共済給付制度』申請」を行う等の基礎となる。

A補習教室事業の時程設定は、児童・生徒の実態も勘案し、実施校が独自に決定する(月〜金曜日と異なる時程となることも有り得る)。

Bこの教室の参加者は、何らの経費負担を必要としない。ただし、教材として市販教材を使用する場合は、その経費は参加者の保護者に負担させるものとする。

(3)土曜補習教室の指導員は、実施校に勤務する教員、地域住民、保護者、及び教職志望の大学・大学院生等とするが、下記の点に留意すること。

@「実施校に勤務する教員」には、校長・副校長が当然含まれる

A各校二名分の指導員手当が予算化されているので、その活用に努めること。その活用に当たっては、当該学校の保護者はできるだけ避け、教員免許状取得者や人材育成の観点からも教職志望者を指導員として採用、手当を支給することが望ましい。

B指導員には、「守秘義務」(職務上知り得た秘密を外部にもらしてはならない義務)があることを明確にし、教員以外については、誓約書を提出させること。          以上

資料2 

17墨教指第274号

平成17年5月20日

各小・中学校長 様

墨田区教育委員会

  指導室長 常 盤  隆

教育職員の勤務時間に係わる特例設定の試行について

 このたび、墨田区土曜補習教室(以下「土曜補習教室」という。)を実施することになったことに伴い、関係教育職員の勤務について、下記により処理されるようお顔いいたします。

 なお、今回の措置が関係教育職員の勤務や生活に大きな影響を与えることを踏まえ、教育職員の理解と納得を得た上で試行されるよう、特段の配慮をお顔いいたします。


1 目的

 土曜補習教室を行った場合に、教育職員の勤務条件に配慮した上で、土曜日に正規の勤務時間を半日単位で割り振ることによって、児童・生徒の自主的な学習を支援し、学習指導要領に示された基礎的.基本的な内容の確実な定着と学力の向上を目指すことを目的とする。

2 特例設定の試行の実施

 土曜補習教室を行う学校において、別紙要額により特例設定の試行を実施する。

(担当)

 指導室事務係 板橋

 5608−6308

資料3 都の許可条件をふまえた試行要領

墨田区立学校教育職員に係る勤務時間の特例設定試行要領

平成17年5月20日

17墨教指第135号

1 趣旨

 墨田区土曜補習教室(以下「土曜補習教室」という。)を行った場合において、教育職員の勤務条件に配慮した上で、土曜日に正規の勤務時間を半日単位で割り振ることができる勤務時間の特例を設定する。

2 試行の実施

 勤務時間の特例を散定するにあたり、職務試行への影響,勤務の合理性及び職員間の公平性の確保等、勤務時間及び週休日の変更に伴う問題点を把握するため、特例設定の試行を実施する。

3 試行期間

 平成17年6月1日から平成18年3月31日までとする。

4 実施校

 学校長が、土曜補習教室の年間指導計画書及び年間実施計画書を墨田区教育委員会(以下「教育委員会」という。)に届け出た小学校及び中学校とする。

5 対象者

 教育職員を対象とし、事務職員、栄養士は除外する。

6 勤務時間

(1) 土曜補習教室に従事する教育職員の勤務時間は、午前を中心とした4時間とし、勤務の途中に15分の休息時間を付与する。

(2) 勤務開始時刻及び休息時間は、実施校の学校長が定める。

7 勤務時間の割り振りの変更

(1) 原則として、4時間勤務の土曜日の属する週において、月曜日から金曜日までの正規の勤務時間につき、勤務時間の始めか終わりに引き続く4時間の勤務を解くものとする。

(2) 上記(1)が困難な場合は、4週間についての総労働時間が160時間となるような勤務時間の割り振りを行うものとする。ただし、やむを得ないと認められる場合には、4時間勤務日の前後各2か月の範囲内で勤務を解くことができる。

(3) 勤務を解く時間は、4時間単位とするが、4時間勤務を2回合わせて8時間とし、1日単位とすることもできる。この場合、前2か月以内において変更する場合 には早いほうの4時間勤務日から、後2か月以内において変更する場合には遅いほうの4時間勤務日から、それぞれ起算するものとする。

8 事務処理

(1)土曜補習教室の実施に伴う勤務時間の特例投定については、勤務時間の割り振り表(第1号様式)(以下「割り振り表」という。)及び土曜補習教室実施に伴う勤務時間の特例設定処理簿(第2号様式)(以下「処理簿という。)により行う。

(2)学校長は、実施前に割り振り表を教育委員会に提出するものとする。

(3)処理簿は,勤務を割り振る教育職員ごとに作成し,実施校で管理する。なお,「週休日の変更命令簿」は使用しない。

9 報告

 教育委員会は、実施校に対し実施状況について報告を求めることができる。

10 その他                     .

(1)土曜補習教室を実施することについて、学校週5日制の趣旨が損なわれないよう配慮しなければならない。

(2)教育職員の遡休日を極力確保するよう配慮しなければならない。

(3)教育職員の勤務条件に関わることであるので、学校長は、教育職員の十分な理解を得た上で実施しなければならない。



週刊墨教組 No.1475 2005.5.26

特別寄稿 情況への発言

 内村鑑三の「不敬事件」について考える

竹田 弘(元墨田教組書記次長)

一、はじめに

  今から百十四年前のこと、内村鑑三の「不敬事件」が起こりました。鑑三は、教育勅語に礼拝することを拒んだという理由で教職から追放されたのです。これ は、天皇の権威を背景とする天皇制国家主義(国体)への反対や抵抗などは、一切の理由を問わず絶対に許さない、とする国家の意志を示すに十分な事件でし た。時あたかも、日本が軍国主義への道を歩み始めた頃のことでした。

 百年余を経た今日、似たようなことが起こっ ています。教育現場への「日の丸・君が代」強制は着々と進められてきましたが、二〇〇三年に東京都教育委員会が出した国旗・国歌強制の通達と、これに従わ なかった教師たちへの厳しい処分は、思想・良心・信教など憲法に保障された個人の内なる自由を全く認めないものでした。国旗・国歌=「日の丸・君が代」の 内実は天皇制です。とくに「君が代」は歌詞をみてもわかるように、天皇主権を謳う天皇賛歌です。これを拒む者を処分をもって徹底的に弾圧するということ は、「不敬事件」と質的に同じと言えないでしょうか。

 私は、内村鑑三の「不敬事件」について考えるとともに、彼の洞察力に富んだ戦争観にも少し耳を傾けてみたいと思います。

二、内村鑑三の「不敬事件」

  一八九〇年(明治二三年)九月二日付で、内村鑑三は第一高等中学校(後の一高)の嘱託教員になりました。一八八九年には、大日本帝国憲法が発布され、やが て一八九四年には、日清戦争が起こります。さらに十年後の一九〇四年には、日露戦争へと突き進んでいきます。日本が天皇制軍国主義の道を確立していく頃の ことです。

 鑑三が一高に赴任した翌月の一〇月三〇日には、明治天皇の『教育勅語』が発布されました。これは「天 皇のために忠義をつくすことが国民道徳の根源である」とする国民教育の基本理念を示した「天皇のお言葉」です。この「勅語」には天皇そのものが体現されて いるとされたのでしょう。これは、御真影(天皇・皇后の写真)とともに天皇制教育推進の要となり、学校では祝祭日に朗読が義務づけられました。

 一高では一八九一年一月九日の始業日に「教育勅語奉読式」が行われました。このとき内村鑑三の「不敬事件」が起きたのです。「不敬」とは、天皇・皇族に対して「敬意を失する」ことを言います。事件の概略は次のようなものでした。

  校長代理による教育勅語の奉読が終わった後、教員、続いて生徒が次々と「宸署(天皇が書き記したもの。勅語)」の前に進み出て、礼拝的低頭(最敬礼、深々 とお辞儀をする)を以て奉拝(つつしんでおがむ)するのです。しかし、鑑三はちょっと頭を下げただけでした。その態度が「不敬」に値するというのでした。

  厳格なピューリタニズムの影響を受け、「汝我の他何ものをも神とすべからず」という聖書の教えを守って信仰を貫こうとした鑑三には、たとえ天皇を体現する 「勅語」であろうともそれに向かって「奉拝」することなどできませんでした。鑑三は天皇を否定したのではありません。彼は天皇を神として拝むことはできな かったのです。

「不敬事件というのは、内村の内面において、天皇神格化とキリスト教信仰とが矛盾し対立した行為として現れたものであった。」(石川冨士夫著『内村鑑三に学ぶ』日本基督教団出版局刊)

 一高の「校友会雑誌」はこの事件を次のように報じました。

「九日、勅語奉戴式を行ふ、式場は倫理室なり、此室に於いて此式を行ふ、日本の臣民たるもの誰か感涙せざらんや、独怪むべし、本校教員内村鑑三氏は敬礼を尽くさず、此神聖なる式場を汚せり」(前掲書より引用)

  一高の教員、生徒から鑑三非難の大合唱が起こりました。新聞も書き立てました。「非国民」はもとより、「不敬漢」「無礼漢」「不忠の臣」「不埒なる教師」 などあらゆる悪罵が浴びせられ、内村鑑三の名は全国に知れわたるところとなりました。この事件のさなかに彼は病に倒れ、必死で看病に当たった彼の妻を病気 で失ってしまったのです。鑑三は一高を追われ職を失いました。

三、天皇の神格化と内面の自由

 天皇主権を明示した大日本帝国憲法には、天皇について次のように書かれています。

「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」(第二条)

  難しい法律論は私にはわかりませんが、つまりこれは、天皇は神であるという規定です。天皇は現人神として君臨し、国民は神である天皇を拝むように強いられ たのです。天皇を神格化して、国の主権者とする国家体制を「国体」といいますが、内村鑑三の不敬事件は、国体とキリスト教信仰の対立の本質をよく表してい ると思います。いや、キリスト教信仰というにとどまりません。「思想・良心」という人間であれば誰もが持っている、人間固有の「内面の自由」を許さない、 それを圧殺する国家の意志がこの事件には表されています。

 これに対し、植村正久らキリスト教の側も新聞紙上に共同声明を発表しました。

「皇上は神なり。之に向かって宗教的礼拝を為すべしと云はゞ是人の良心を束縛し奉教の自由を奪わんとするものなり。」(前掲書より引用)。

  日本は富国強兵政策を進め、「戦争のできる国」「する国」を目指していました。そのためには、国民を死地に赴かせるための、そのように鼓舞するための精神 的な装置が必要です。それこそが、天皇を神格化し「天皇の意思には言挙げせずに従う忠良なる臣民であれ」という精神だったのです。「天皇の神格化」と「戦 争」は深く結びついていると言わなければなりません。そして、この精神を国民の心に培い教化するために要の役割を果たしたのが、「教育勅語」であり「君が 代」であり「日の丸」だったのです。

四、非戦論

 鑑三 は、日清戦争に対しては「義戦論」を主張し肯定しましたが、戦争の現実を知ることによって認識を深め、十年後の日露戦争には、徹底した「非戦論」を展開し ました。「私は戦争問題では実に『変説』をいたしました。」と自らを評して、鑑三は、『万朝報』に次の一文を寄せています。

「余は日露非開戦論者であるばかりではない、絶対非戦論者である。戦争は人を殺すことである。そうして人を殺すことは大罪悪である。そうして、大罪悪を犯して、個人も国家も永久に利益を収め得ようはずはない。」(「戦争廃止論」一九〇三、前掲書より引用)

 『聖書之研究』には次のように書きました。

「そのために苦しむのは日本人とロシア人ばかりではありません。それがために全世界の戦争をひき起こすに至って、五大陸を修羅のちまたと化するに至るかも知れません。」(「平和の福音」一九〇三,前掲書より引用)

 また、『新希望』には次の文章を書いています。

「戦 争終わるごとに軍備はますます拡張されます。戦争は戦争のために戦われるのでありまして、平和のための戦争などは、かつて一回もあったことはありません。 日清戦争はその名は東洋平和のためでありました。しかるにこの戦争はさらに大なる日露戦争を生みました。日露戦争もまたその名は東洋平和のためでありまし た。しかし、これまたさらに大なる東洋平和のための戦争を生むであろうと思います。」(「日露戦争より余が受けし利益」一九〇五年、前掲書より引用)

 歴史はまさに内村鑑三が「予言」したように進みました。内村鑑三、幸徳秋水、堺利彦などの反戦の思想や言論を弾圧を以て封殺し、日本はますます天皇制軍国主義の歩みを強め、大多数の国民はこぞって天皇崇拝・天皇賛美の精神的雰囲気の中に浸っていきます。

 政府は、国体を守る立場から、キリスト教に対する弾圧を一層強めました。日本のキリスト教界は、ごく一部を除き、弾圧に屈し神社参拝や宮城遙拝を受け入れ、やがて戦争に協力していくことになります。

 しかし、内村鑑三は終生天皇神格化への批判を変えることはありませんでした。一九二八年(昭和三年)十一月三日、京都において昭和天皇の即位の「御大典」(重大な儀式)が行われ国中が大騒ぎの中にありましたが、鑑三は弟子の石原兵永に次のように語ったといいます。

「君、 日本がこんなに腐っていき、教育も政治も、どうすることも出来ない様になるその根本の理由は何だと思う? それは他にも色々理由はあるかも知れんが、おも にこれだよ。人間を神様として祭るからだ。そして神様としてこれを拝ませるからだよ。Idolatry(偶像礼拝)とは実に恐ろしいものだよ。ここに偽善 の根本があるのだ。」(石原兵永著『身近に接した内村鑑三』。前掲書より引用)

 一九三〇年、内村鑑三没。翌年、中国に侵攻していた日本軍は鉄道爆破を契機として満州事変を起こし、十五年戦争へと侵略の道をさらに突き進んでいきます。このような日本の歴史の歩みを、内村鑑三は憂慮して見ていたに違いありません。

五、おわりに

 多くのアジアの人々の命を奪い、同胞の命を失って、一九四五年、長い侵略戦争の歴史は日本の敗戦によって終わりました。そして手にしたのが、国民主権・戦争放棄・基本的人権の尊重を明示した平和憲法だったのです。

 しかし、戦後六十年が経過した今日、日本は、「戦争のできる国」「する国」への道を急いでいる、としか思えないさまざまな状況があります。

  有事法制が整備され、自衛隊という強大化した軍隊が、ついにイラクに派兵されてしまいました。また、日露戦争を賛美し、太平洋戦争を大東亜戦争と呼んで肯 定する「つくる会」の教科書が文部科学省の検定に合格。一切の批判に耳を傾けることなく、堂々と(?)靖国参拝を続ける小泉首相。教育勅語を礼賛する人々 の手によって画策され、政治日程に上ってきた教育基本法の改悪。そして、改憲の準備が強力に推し進められています。政府サイドからは「国家」という言葉が 声高に叫ばれ、それを前面に押し出すマスコミの論調も目立ってきました。

 このような政治や社会の在り方の中で、都教委は教育現場へ国旗・国歌強制の通達を出し、大量の教師への処分を実施したのです。教育の現場で、思想・良心・信教という人間固有の心の自由が公の権力によって

奪われているのです。たいへん危ない状況であると言わなければなりません。果たして内村鑑三ならこの現実に対し何と言うでしょうか。




二〇〇五年度教研集会

六月一日(水) 午後三時開会

墨田教組会議室

記念講演は、俵義文さん

      (子どもと教科書全国ネット 事務局長)

 今年は、二〇〇六年度から使用する中学校教科書の採択年になっています。

 「歴史修正主義」によるあぶない教科書も検定に合格しています。

 墨田区でも、「歴史修正主義」による教科書の採択をせまる動きがおきています。

 今回の採択は、前回の採択とは、様相が一変してしまいました。

 全国を奔走され、あぶない教科書を鋭く告発しつづける俵義文さんのお話をうかがい、あぶない教科書の問題点とその背景をしっかりと確認しあおうではありませんか。

週刊墨教組 No.1473 2005.5.17

二〇〇五年度の重要課題
墨田教組 第六〇回定期総会 ー二ー
墨田の地で、労働組合としての機能と責任を果たし続ける

 第六〇回定期総会で、今年度の運動方針が決定されました。執行部が提起した運動方針の重要課題と総会宣言(裏面)を掲載します。

職員会議の合意形成
 一九九八年、墨田区立学校の管理運営規則の改正によって、職員会議が位置づけられることに伴い、区教委は、校長に文書で注意を促しました。
 文書には、次の言葉が、明記されていました。

「学校におけるさまざまな課題に対応していくためには、校長を中心として良好なリーダーシップのもとに全教職員が一致協力して事に当たることが必要である。
 学校運営をしていく上で、全く職員の意見を聞かず、合意も得られないままにやるのでは、うまく行かない。円滑な学校運営を進めていく上で、合意形成は重要である。
 権限行使、一方的指示命令が、すなわちリーダーシップではない。合意をつくる上でのリーダーシップが重要である。独断専行・権限の振り回しは、望ましくない。リーダーシップをこれらと取り違えることのないように留意したい。」

 近ごろは、独断専行・権限の振り回しをして、恥じないおろかな校長がふえています。
 ひとりよがりで暴走しがちな校長を食い止めるのに、この文書は、大変役立ちます。
 何よりもまず、職員会議による合意形成は大切にされなければなりません。

非人間的な人事考課
 能力主義管理とは、労働者個々の評価であり処遇です。それは、限りなく労働者を孤立/分断するものです。
 能力主義管理のもとでは、業績をあげない無能な人間の賃上げは必要ありません。そればかりか、無能な人間には、減給という冷遇もまた正当化されるのです。
 墨田区では、業績評価にもとづく昇給延伸は阻止することができたと確信していますが、業績評価でC・Dとなった「負け組」は、昇給延伸を余儀なくされるのです。
 自己申告による目標をクリアすれば、ハードルは限りなく上昇しつづけます。仕事量は涯なしに増えつづけることになります。
 「勝ち組」は、昇給という優遇をうけ、自尊心を満足させます。
 業績評価によって、異動まで左右されるのです。

 一方、評価者である管理職には、とんでもない人物がしばしば見られます。
 そういう連中に限って、器量が小さい。周囲にイエスマン的とりまきを従えたがり、自分のやり方に批判的な者を容赦なく切り捨てたがります。
 業績評価のシステムが暴走すると、権限にへつらうスタッフばかりが優遇され、なんとも脆弱な学校組織しか生み出しかねません。
 そんな脆弱な組織で、今日の困難な「教育課題」を解決できるわけがありません。
 弱さや病んでいることを寛やかに受け容れることができないのです。
 私たちは、仲間を信じるまっとうな心をもちたいと思います。

大切な職場のなかま
 職場には、およそ他人の足をひっぱるなどということはしないひとがいます。相手を大切にし、自分の領分をわきまえ、目立たぬようにきちんと仕事をするひとがいます。権限にへつらわない、自立して身ぎれいなひとがいます。
 そういうひとたちは、数値化とは全く関係ない位置にあって、しっかりとした輪郭でたたずんでいます。
 いろいろな人がいて、お互いに相手を認めあうからこそ、人間的な組織になるのです。
 大切な職場のなかま。
 非人間的な人事考課に対するたたかいは、はるかな道のりになることでしょう。あらがう強靭なこころざしだけはもちつづけようではありませんか。

改憲と日米軍事一体化
 一月二十四日、自民党は、新憲法起草委員会の初総会を開きました。森喜朗委員長は、「自主憲法制定は立党以来の党是。国民の関心が広がっているこの機会に、党を挙げて改正草案を取りまとめたい」とあいさつしたといいます。
 四月四日にまとめた「要綱」には、「自衛のために自衛軍を保持する」と明記されています。さらに、「義務」よりゆるやかな訓示規定として、国防などの「責務」が明記されています。
 そして、四月十五日に決定した衆議院憲法調査会の最終報告書には、前文に「固有の歴史・伝統・文化」を明記することと、「自衛権の行使として必要最小限の武力行使を認める」ことが、多数意見とされています。
 一方、在日米軍の再編・再配置をめぐり、日本政府は米ワシントン州にある米陸軍第一軍団司令部のキャンプ座間(神奈川県)への移転を受け入れる方針を固め、米側に伝えました。
 このことによって、在日米軍基地の日米共有化や、既存の自衛隊基地を米軍が共同使用する「相互乗り入れ」が行われることが明らかになりました。
 自衛隊と米軍の一体化は一層進むことになります。
 この国は、いま、まさに、軍事力を使える、戦争のできる国をめざして、既成事実を着々と積み上げています。

教育基本法改悪
 このことをふまえて、教育基本法改悪をみるなら、改悪のポイントは大競争(グローバル化)時代の国家戦略として教育を位置づけることにあります。
 教育を個人の尊重に基盤を置いたものから、経済競争に打ち勝つための人材育成へと方向転換することを狙っています。
 日経連が一九九五年に出した『新時代の「日本的経営」』という文書は、財界の労働力政策の転換を明確に示しています。ここでは長期蓄積能力活用型グループ、高度専門能力活用型グループ、雇用柔軟型グループと労働者が三つに分類されています。
 このような労働力の差別化政策と現在の教育改革は、密接に関連しています。
 教育基本法三条「教育の機会均等」が、市場原理によって、なしくずしに打ち捨てられようとしています。
 見くだし、さげすみ、ひとをひととも思わない、弱肉強食の国家管理による競争と選別の教育政策をうけいれることなど絶対にできません。
 さらに、不平等化が進む社会を統合するためにも愛国心という国家主義が国家・政府にとって必要になっているといえます。
 日本経団連は、一月十八日、さらに愚劣な、「これからの教育の方向性に関する提言」を行いました。
 新自由主義と新国家主義は補完しあい結託して、グローバル化の中の「愛国」教育をおしすすめ、この国を「戦争ができる国」にしようとしています。まさに戦争前夜です。

「日の丸・君が代」強制と弾圧
 東京都の教育行政は愚劣です。
 すでに教育現場の状況はきわめて悪化していますが、とりわけ、東京都の教育行政は愚劣です。
 二〇〇三年十月二三日に東京都教育委員会は、「入学式・卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について」通達を出しました。この通達に基づいて 「職務命令」を出し、それに従わない教職員を三百名以上処分しました。国歌斉唱時に不起立であった者から、生徒の不規律を理由とする者までが含まれていま す。こうした東京都教育委員会による教育行政は、「不当な支配」そのものであり、教職員と子どもの「思想・良心の自由」を侵害するものです。今年三月三一 日には、不起立などに対する報復として、戒告三九名、減給十四名、計五三名の処分が強行されました。
 本来、子どもの入学や卒業を祝う式が、国家に対する忠誠儀式になってしまったのです。
 なによりも平和を。私たちは、平和と平等をあきらめないで追究しつづけます。


 総会宣言

 戦後六十年の年を迎え、世の中はますます混沌としてきており右傾化も進行している。出口の見えない不況の中、わたしたちは、第六十回、墨田区教職員組合定期総会を開催し、真摯な討議を経て、二〇〇五年度運動方針を決定した。
 我々の先輩教師は、「教え子を再び戦場に送らない」という誓いを立てた。その思想は、日本国憲法の平和主義の考えを具現化するものだった。戦争のむごさ を知り、軍国主義教育の過ちを身にしみて感じた当時の人々が、世界に誇れる憲法を作らせたのだった。その憲法の理想を実現するのが、「教育基本法」であ る。 
今、その憲法と教育基本法を、改悪しようとする勢力が、国会の三分の二以上になろうとしている。平和を願う国民の意見が正しく反映されているとは、とうて い考えられない。しかし、「戦争ができる国」へという方針は変わらない。「戦争ができる国」をめざす条文が付け加えられることは、間違いない。その欺瞞性 をしっかり見抜き、憲法・教育基本法改悪の動きを封じ込めなければならない。
 教員に対する「君が代・日の丸」の強制と弾圧は、ますますひどくなっている。都教委は、「強制はしない」という国会の付帯決議を踏みにじり、「起立しな い教師」を処分している。定年を迎えた教師の、再雇用の道を取り消しもしている。昨年三百人以上の教師が、処分された。この三月の卒業式にも五十人以上の 教師が再び処分された。
新聞報道によると、ある都立高校の卒業式で、四人の卒業生が壇上で次々と「先生をこれ以上いじめないで。」「考え続けることの出来る生徒として成長し、問題だと感じたら行動してほしい。」と訴えたという。
 日の丸・君が代を取り上げたNHKの「クローズアップ現代」で、「不起立に対する処分」と言う強引なやり方を司会者から指摘された横山教育長は、「指導要領の法的拘束性」それしか言えなかった。
中学校の教科書の検定がおわり、扶桑社版の公民と歴史教科書が検定を通過した。このことに対して、中国や韓国などから強い抗議の声がわきおこっている。なぜ、そのような動きになっているのか、侵略された人々の声を、我々は、謙虚に受けとめるべきである。
競争主義・国家主義・管理主義が強化され、ますますきびしくなっている教育現場である。定年を待たずに現場をさっていった仲間がいる。みんな墨田教組をになってきた仲間である。
かって、墨田教組の委員長を長らく続けてこられた内田さんは、「大きな石をみんなで支えている間は、押しつぶされない。その大きな権力の攻撃に対する、抵 抗の先頭にいて、墨田教組の仲間がその一役を担っているのである。」と主任制単独早朝二時間ストライキのときに、区役所中庭で訴えたのを今思い出す。
きびしい状況が続いているが、わたしたちは、ある時は余裕を持ち、ある時は明るく行動してきた。組合が歯止めをしてくれて、助かっていると感じている人は、私の周りにもたくさんいる。
私達は、どんな状況に置かれても、前を向き、仲間と団結し、連帯し、自立的・原則的に闘い抜くことをここに宣言する。

二〇〇五年四月二十七日
墨田区教職員組合 第六十回定期総会






週刊墨教組 No.1472  2005.5.12

二〇〇五年度運動方針、予算を決定
墨田教組 第六〇回定期総会 ー一ー
墨田の地で、労働組合としての機能と責任を果たし続ける

 第六〇回定期総会が、四月二七日、すみだ女性センターで開催されました。憲法二八条で保障されている組合活動に対し、執拗な攻撃が都教委等から加えられている中、総会開催は、それに抗する質をもつものです。

 総会は三時十五分に森本副委員長の開会宣言、「緑の山河」斉唱後、議長に 藤崎みどり(三寺小)、松崎寅彦(菊川小)両氏を選出してすすめられました。
 役員紹介の後、執行部を代表して加藤委員長が挨拶。

職場の仲間を、
協力・共働を、大切にする組合
 墨田教組は、「労働者、労働組合としての原則性を中軸に据え、組合員の利益を守り、また墨田における教職員全体の権利と利益を守るために闘うこと」を運動の基調のひとつとしています。このことこそ、教職員組合の機能と責任と考えるからです。
 以前に比べ、組合員は少なくなりました。しかし、墨田教組は墨田の地で、労働組合としての機能と責任を果たし続けています。
 人事考課制度が導入され、業績評価に基づき、賃金や異動などの労働条件が決めらる傾向にあります。教員にも、業績評価の結果が「定期昇給」に反映される ことになりました。昇給が延伸されることは、同じ職場で働く者の労働条件が一人ひとり異なることになり、一人ひとりが孤立・分断させられ、管理されること になります。それは、個人と校長との交渉によって労働条件が決まっていくことになります。職場が競争の場に変質させらるのです。そうなれば、協力・共働で 成り立つ職場が破壊され、ますます多忙化・長時間労働・健康破壊が進行することになります。それゆえに、「昇給延伸」を阻止するために対都教委・区教委・ 校長に対するとりくみを強化しました。その結果、「業績評価に基づく昇給延伸」は阻止することができたと確信しています。
 職場の仲間を、協力・共働を、大切にする組合が今職場で求められているのです。

 学力問題を口実にした「土曜補習」について交渉を続けてきました。「土曜補習」実施そのものは撤回させることはできなかったものの、「教員を強制的に土 曜補習に従事させること」は阻止できました。止むを得ず従事する場合も、週休日の振り替えは、本人の意向があくまでも尊重されることは当然です。今後、六 月実施に向け、具体的な内容が職場で提示されることになります。問題が生じたら、直ちに執行部に連絡をとるようにしてください。

教育基本法・憲法改悪に反対する
  敗戦後六〇年という節目の今年、朝日と毎日新聞が、両国小と言問小での三月一〇日の平和教育を大きく掲載しました。墨田での反戦・平和教育は定着し、高く評価されています。このことも、墨田教組の存在があってこそのものです。
 戦争の深い反省から生まれた平和憲法。平和憲法の理念を実現するために英知を結集して制定された教育基本法。憲法と教育基本法は一体のものです。現国会 への教育基本法の「改正」案の上程を阻止できたものの、自民党小泉は、今年十一月には改憲改正案をまとめ、それを踏まえて、憲法改悪と教育基本法改悪とい う目標を一挙に突破しようとしています。教育基本法・憲法改悪阻止の集会が、昨年の十一月六日に引きつづき、今年は五月七日に代々木公園で開催されます。 全国から仲間が結集します。昨年よりさらに多くの参加者が結集することが、教育基本法・憲法改悪阻止を可能にします。墨田でも教育基本法改悪阻止の共闘が 広がりつつあります。何としても教育基本法改悪を阻止しなければなりません。

 人事考課制度との闘い、完全週休二日制を守る闘い、教育基本法改悪阻止の闘いは、墨田教組の存亡にかかわるものです。この墨田の地で、少数であっても、 教職員労働組合としての機能と責任を果たし続けようではありませんか。ともに、健康に気をつけ、がんばりましょう。と呼びかけました。


教育基本法の改悪をとめよう!全国集会
 五月七日 代々木公園 前回を越える参加者が結集!
集会アピール
 教育基本法の改悪が行われようとしているな か、本日、私たちは組織・団体の枠を超えて全国から集まりました。教育基本法の改悪によって「愛国心」の強制、家庭教育への介入、教育行政による教育支配 が進めば、教育は国家権力によって支配され、私たちの自由は奪われてしまうことになるでしょう。また改悪は、子どもが教育を平等に受ける権利を奪い、エ リートとその他大勢に分ける差別を強化します。

 二〇〇五年一月十八日、日本経団連は「これからの教育の方向性に関する提言」を発表し、教育基本法改悪の方針を打ち出しました。同日、同団体が発表した 「わが国の基本問題を考える」で、憲法第九条第2項の「改正」、具体的には自衛隊保持の明確化と集団的自衛権の明記が提唱されていることは、教育基本法改 悪と憲法改悪の一体性を示しています。政府は憲法「改正」のための国民投票法案の国会提出を目指しており、自民党は二〇〇五年十一月に憲法「改正」案を作 成する予定です。財界・政府・自民党ともに、「戦争する国家」づくりへ向けて、教育基本法と日本国憲法の改悪を急ピッチですすめようとしています。
 教育基本法改悪の先取りは、既に、差別・選別を推し進める「教育改革」や、卒業式・入学式での「日の丸・君が代」強制という形で、全国で実施されていま す。東京都では、教職員への「君が代」起立・斉唱の強制はもとより、生徒に「君が代」の起立・斉唱を「指導せよ」との項目を加えた校長の教職員への職務命 令が出されました。これに対して、保護者、市民、地域の労働組合による教育委員会、学校への申し入れ、校門前でのビラ撒きなどが、現場教職員の職務命令阻 止.撤回の運動と連帯して取り組まれました。子どもたちからも、卒業式での「先生をこれ以上いじめないでください!」という発言など、強制や処分に対する 批判の声があがりました。そして今年も、処分を覚悟で六十名以上の教職員が不起立・不伴奏を貫きました。これらの運動は、教育基本法改悪の先取りを許さな いたたかいであるとともに、自由と民主主義を否定する石原都政のファシズム的支配に対する貴重な抵抗運動であるといえます。北九州においては、既に二十年 前から強制が実施され、教職員によって「ココロ裁判」が続けられていましたが、四月二十六日、福岡地裁は、学習指導要領は「大綱的基準」に過ぎず、卒業式 の細目にわたっての拘束力をもつものではない、教育委員会の細部にわたる指導と実施状況の監督は「教育基本法十条1項にいう不当な支配」にあたるとし、減 給処分について、「直接、生活に影響を及ぼす処分をすることは、社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権の範囲を逸脱した」として、処分の取り消しを命じま した。私たちは、各教育委員会、文部科学省が、この司法判断を真摯に受け止め、直ちに「不当な支配」をやめ、処分の撤回をすることを求めます。しかし、こ の判決においても不当に認められていない憲法第十九条「思想及び良心の自由」を真に獲得し、人権がおびやかされない社会を実現するため、私たちは、さらに 良心のたたかいを続けます。
 自民党は二〇〇五年度の運動方針案に教育基本法「改正」を明記しました。しかし私たちは二〇〇三年三月二十日に中教審答申が出てから二年以上たった今日 にいたるまで、「改正」法案の国会上程を行わせていません。この情勢は、「日の丸・君が代」強制への反対運動、二〇〇三年に行われた「教育基本法改悪反 対!十二・二三全国集会」以降、新たな連帯を生み出しながら広がっていった多彩な運動の展開、憲法改悪に反対する運動・世論の大きな広がりなどによって生 み出されたものだといえます。しかし、政府.与党は教育基本法改悪法案の国会上程をあきらめてはいません。また二〇〇五年四月五日には、近代日本の侵略戦 争と植民地支配を賛美する「新しい歴史教科書をつくる会」の歴史・公民教科書が検定を通過しました。「つくる会」教科書の検定合格と採択へ向けての動き は、教育基本法と日本国憲法の改悪と密接に関係しています。私たちは「つくる会」教科書の採択に反対します。それは「つくる会」教科書の検定合格、小泉首 相の靖国神社参拝、日本の急速な軍事大国化などに対して立ち上がった中国・韓国をはじめとするアジアの市民の訴えに誠実に応答し、彼らと平和に基づく連帯 をつくっていきたいと考えるからです。そのためには過去における日本の侵略戦争の責任を明確にし、学校教育の場で子どもたちに教えていくことが必要不可欠 です。二〇〇五年七月から八月にヤマ場を迎える「つくる会」教科書採択を阻止すること、それは教育基本法改悪法案の国会上程、さらには改悪そのものを阻止 することにつながります。
 私たちは、教育における自由と平等と民主主義の理念を守り、実現し、今また繰り返されようとしている侵略の歴史にストップをかけるために、教育基本法の改悪を全力で阻止することを、ここに宣言します。
二〇〇五年五月七日       
   教育基本法の改悪をとめよう!  五・七全国集会参加者一同




週刊墨教組 No.1471 2005.4.27

五月七日 代々木公園へ
 子どもは「お国」のためにあるんじゃない!
 教育基本法の改悪をとめよう!全国集会へ

 今国会での教育基本法「改正」案の提出は、「愛国心」をめぐっての与党内の調整がつかず、提出は困難となりました。だからといって安心はできません。自 民党内には、憲法改悪と教育基本法改悪を連動させるという志向は根強く、今年十一月にまとめる自民党の憲法「改正」案を踏まえて、憲法改悪と教育基本法改 悪とい目標を、一挙に突破しようとしています。今こそ、「憲法改悪・教育基本法改悪」阻止の大きなうねりを全国的な規模でつくりあげていかなければなりま せん。五月七日の全国集会は、この点で大きな節目となります。

 新憲法起草委員会
一月二十四日、自民党の新憲法起草委員会には、検討項目別に、十の小委員会が設けられています。
 「前文に関する小委員会」がまとめた中間集約の例文には、「国民の義務」について、「基本的人権を常に公共の利益のために行使する責任を負う。公共の義務を進んで果たし、国家及び社会のために能力に応じて寄与する」とあります。
 また、「安全保障に関する小委員会」は、九条を「改正」し、軍事組織保持・集団的自衛権行使と国際貢献に伴う海外での武力行使の容認で一致しています。
 さらに、「国民の権利と義務に関する小委員会」は、靖国参拝を想定し、政教分離緩和の方針を打ち出しています。

 改憲と連動する教基本「改正」
 自民・公明、民主三党は、憲法「改正」の手続き法となる国民投票法案の今国会提出をめざして調整することで合意しました。三党の合意により、改憲に向けた動きが、現実のものとなっています。
 いうまでもなく、侵略戦争への深い反省から、憲法・教育基本法は、統治機構や行政機構の暴走を制御するために制定されました。つまり、憲法・教育基本法 は、国家を縛るためにあるのです。戦後日本の規範としての戦争否定の姿勢を絶対放棄してはならないのです。私たちは、ひるむことなく、憲法改悪と教育基本 法改悪阻止の闘いをつづけていくのです。

 最大規模の全国集会を成功させよう
 教育基本法改悪反対の一点で、組織・団体の枠を超え、全国集会が過去二回開催されてきました。二〇〇三年一二月二三日集会は四〇〇〇人以上、二〇〇四年 一一月六日には五五〇〇人にもの人々が全国から参加しました。今回、全国各地のとりくみを結集し、これまででの最大規模の全国集会を開催します。多くの方 の参加を呼びかけます。

教育基本法の改悪をとめよう!全国集会
5月7日(土) 代々木公園
11時〜14時 交流の広場
13時〜14時 ライブ ソウル・フラワー・モノノケ・サミット
14時〜15時半 決起集会
呼びかけ人スピーチ 大内裕和・小森陽一・高橋哲哉・三宅昌子
全国からの発言 憲法・教科書問題からの発言
16時 デモパレード
 2003年12月23日に4000人以上で開かれた「教育基本法改悪反対全国集会」は、2004年11月6日には5500人もの人々が集まりました。与 党は2005年通常国会に教基法「改正」法案を提出する準備を着々と進めています。これがなされれば、東京の「不当な支配」は法的にも正当化されるでしょ う。そして、全国化するでしょう。
 教基法をめぐる攻防は山場を迎えています。国会上程阻止に向けて、東京の教育行政による権力濫用=教育支配をきっぱりと否定するためにも、全力でとりくみましょう。

はじける芽 (136) 2005.4.27
三月の指導題目 平和集会で語ってくれた内容を、じっくり思い出して、ていねいに書いてみよう。

  涙を浮かべながら
   語ってくださったFさん
 六十年前の三月十日、東京にアメリカ合衆国の爆撃機、B二九が百機以上も飛んできました。東京大空襲です。三月十日の一時間目は、毎年やっている平和集 会がありました。語り部の方はFさんでした。七十五歳だと年を聞いた時は、とても見えませんでした。当時は十五歳です。タイトルは「信ちゃん」でした。全 部印象に残りました。その中でも、信ちゃんに六個もおにぎりをくれた、おじいさんとおばあさんの事と、信ちゃんがそのおにぎりをすぐに食べなかった事と、 信ちゃんへのFさんの気持ちが、一番印象に残りました。自分達の食料だって大変なのに、こんな事が出来るなんてすごい人達だなと聞きながら思いました。な かなか出来ない事です。私もなんだかずっとそれまでの事を聞いていたので、うれしかったです。でも、信ちゃんはすぐに食べなかったので、すごく優しい子な んだなぁー、いい子なんだなぁーと想像できました。Fさんも時々、眼鏡をはずしてはハンカチで目をおさえていました。もう一つの信ちゃんへのFさんの気持 ちは、とても強いものだと思いました。たばこ拾いや靴磨きをしながら一生懸命、信ちゃんのお父さんとお母さんを探し出して会わせてあげたいという、Fさん の強い気持ちがすごく伝わりました。信ちゃんの両親が、空襲で亡くなってしまっていると知った時は、
「信ちゃんには言えなかったねぇ。」
と悲しげな声で語ってくれました。私も悲しくなりました。その後、信ちゃんは、しせつに行き、養子に行ったそうです。会ってはいけないと言われ、それ以来一度も会っていないとも言っていました。何度も会おうとしたそうなのですが、
(会わない方がいいんじゃなないか。)
とFさんは思いました。 私も元気でいてくれればいいなと思いました。戦争の事は決して誰も忘れてはいけません。平和が一番です。きちょうなお話、本当にありがとうございました。

  Fさんの語り
 三月十日の平和集会で、Fさんに六十年前の戦争の話を聞きました。題名は、「信ちゃん」という題でした。東京に、しょういだんが落とされて、家もなく、 家族もなく、ものもない中を生きていました。福田さんは、最初は、一人で、たばこのもく拾いをしていました。一日中拾って、それをアメ横に行って、お金に かえると、「さつまいも一本」になりました。そのうえ、ねるところが、駅のホームや駅の地下道でした。ある日、地下道でねようとしたが、たくさんの人がね ていて、ねる場所が、ありませんでした。Fさんは、浅草の方に歩いて行きました。とちゅうで、お寺がありました。そこで、ねむることにしました。夜中に、 おなかのところが重かったので、目が覚めました。見てみたら、二本の足が乗っていました。その足は、小さな足だったので、そのままにして朝までねむること にしました。朝目が覚めたら、まだ、足が乗っていました。もく拾いにいこうとしたら、腰の所がつかまれました。見ると、よるに、足をのっけていた子でし た。可愛想に思い、持っていたさつまいもをその子にあげてしまいました。しかし、その子は半分、食べたら、半分は、とっておきました。もく拾いに行こうと したら、どう思ったかFさんについてきました。Fさんは
(この子は両親とはなれたんだな。)
と思いながら、もくひろいをしました。もく拾いをしていたら,橋の所で男の子四人いて、六人になりました。もくひろいをしていました。やがて、くつみがき も始めました。雨が多くふるつゆ時は、もく拾いはだめでした。くつみがきも、お客さんがあまりきませんでした。六人は、おなかをすかせて、上野の西郷さん のところまでやってきました。そのとき、二人の老ふう婦に出会いました。二人は、大きいおにぎりを食べていました。六人は、そのおにぎりを、じっと見てい ました。やがて、Fさんが、
(信ちゃんに食べさせよう。)
と考えて、その人のところに行って、
「おにぎりを少しでもいいから、あの信ちゃんにくれませんか。」
とたのみました。すると、おにぎりを、八個もくれました。信ちゃんは、すぐには食べずに、そのおにぎりを六つに分けました。それを見た福田さんは、ぐっと信ちゃんのやさしさが胸にきました。
この時代は、ものがなくて、生きていくのがせいっぱいでした。しかし、子供たちのやさしさだけは、失われずに残っていました。

Fさんの話
   Tさんの感想でぼくは泣き
 三月十日にFさんの戦争体験を聞きました。一校時目は平和集会で、二校時目は五年一組だけに続きの話しと、ぼくたちの感想を聞きたいということでした。ぼくは初め、
(感想なんていやだな〜、どういえばいいんだ?)
と思いました。時はどんどんすぎて、感想まできてしまいました。Sさん、Nさん、Aさんといき、Fさん、Tさんときました。ぼくは、
(もうそろそろだ。)
と思い、Tさんの感想を聞きました。Tさんが何を言ったかは、覚えていません。その中には感動の感想があったのは、まちがいありません。ぼくはその感想に 感動して、泣いてしまいました。とめてもとまらない涙でした。ぼくは感想が言えませんでした。ここで、ぼくは感想をいいたいとおもいます。ぼくの感想は、 『人生は山あり谷あり。友と会えるのは、本当の奇跡。信ちゃんと稔さんが会ったのは、運命だったのかもしれない。稔さんが信ちゃんに会えないのは、残念か もしれない。でも、稔さんはぼくたちに言った。信ちゃんが元気でいるならと。それはがまんして言ったのかもしれない。稔さんはきっと会いたいんだ。信ちゃ んもがまんしているのだ。児童相談所からの命令は、ちょっときつすぎる。ぼくが稔さんだったら、やっぱり児童相談所の命令にしたがっていたのかもしれな い…』ぼくはこういう感想です。やっぱり戦争は悪いことです。でも、ちょっとしたところに友との出会いがあるのかもしれません。




週刊墨教組 No.1470  2005.4.18


完全週休二日制の破壊を許すな!
「土曜補習」=土曜勤務に反対する
 労働条件は労使が対等の立場で決定すべきもの



ての方策について」、その具体策のひとつとして「土曜補習教室」実施を表明しました。今、墨田区教委は、「土曜補習教室」を区内小・中学校で六月から実施 可能にするように、都教委と協議を行っています。「土曜補習教室」は「学力向上」を表向きにしつつ、実は「学校週五日制」と「教員の完全週休二日制」をな し崩し的に破壊しようとするものであり、必然的に私たちの労働条件を低下させるものです。「土曜に勤務すること」は、労働条件の変更であり、組合との交渉 を経ずに、実施できるものではありません。今後、墨田教組と都教組墨田支部は共闘して、墨田区教委と交渉に入ります。東京教組はこの件に関して、都教委か ら「解明要求に対する回答」(資料)を三月にすでに得ています。今後、墨田区教委との交渉に際し、この回答が前提になることから、「回答」に沿って、問題 点を整理していきます。

 区教委はなぜ都教委と協議しなければならないか
  週休日に勤務することは想定されていない


 私たち都費負担職員の勤務条件は、都勤務条例で定められています。区教委や校長が都勤務条例に違反して勤務条件を変更することはできません(要求B)。 都条例では、土曜日と日曜日を週休日としています。週休日の意義について都教委は次のように説明しています。「週休日とは、正規の勤務時間が割り振られて いない日をいう。これは、労基法三五条の休日に当たるもので、本来職員が勤務する義務を課せられていない日である。この日には、職員は勤務について任命権 者の拘束から解放されるものである。週休日が設けられていることの意義は、勤労による疲労の解消を図り、家庭生活の面でゆとりを与え、生活習慣を確保する ことにある。このような趣旨から、週休日は時間単位ではなく、日を単位に付与されており、原則として、暦日(午前零時から午後一二時まで)の勤務から解放 する取扱いをしている」。また、公立学校では日曜日と土曜日を休業日としていることから、週休日に正規の授業を実施することは想定されていない。要求Dの 回答からも、週休日の変更は、学校行事や出張に限定され、その週に週休日を変更することになっている。これらのことからも明らかなように、「土曜補習教 室」のために教員が土曜日に勤務することは現行法制上ありえないのです。

土曜日の勤務を校長が  一方的に命じることはできない

 「教職員と十分話し合い、理解と納得を得た上で、学校長が事業実施に必要であると判断する教員に勤務を割り振ることになると考えています…」と都教委は 答えています(回答I)。つまり、週休日の変更はそんな簡単にできることではないのです。「土曜補習教室」実施は、教員が従事しないことが前提となるはず です。土曜日の昼間の警備は、「シルバー人材センター」(区の職員ではない)に委託されており、委託内容をも考慮すれば、児童・生徒の安全確保の面から も、「土曜補習教室」は不可能です。

「試行」の意味

 「土曜補習教室」での教員の勤務は、「勤務時間に係わる特例設定の試行」として扱われるのです(回答G)。そもそも勤務時間条例には「特例」設定の考え はありません。ここで敢えて「勤務時間に特例」を設け、その「特例」に対する「試行」として扱わなければならないほど、「『土曜補習教室』での教員の勤 務」は異常なことなのです。しかも、「教員が所属校の授業・補習等に従事している実態を勘案し、…」のように、「土曜勤務」がすでに実態化されていること を前提にしているのです。しかし、墨田では、区教委が突然実施を表明し、各小・中学校校長に実施を命じようとしているのが現状です。「従事している実態」 などは無いのです。「試行」をして「問題点等を検証する」実態も無いのです。「検証」する内容は想定されているのです。「週休日の変更」であり、回答Hに あるように、その具体案は提示されているのです。茶番と言わざるをえません。こうまでして「土曜勤務」をさせようとする背景には、「学校週五日制」・「完 全週休二日制」をなし崩し的に改悪していくことがあると断ぜざるを得ません。








週刊墨教組 No.1469  2005.4.1

定期異動墨田区関係名簿

墨田にいらした 皆さんへ
  ようこそいらっしゃいました
     心から歓迎いたします

私たちの組合ー墨田区教職員組合
 私たちの組合ー墨田区教職員組合(墨田教組)は小さな組合ですが、五十年以上にわたる厳しい闘いの歴史を持ち、それなりの実績と位置を墨田の教育の中に 持っています。墨田は教職員の権利を含む労働条件が比較的よく守られ、確保されているとの評価を受けています。また、「ひとりの子も切りすてない教育」の スローガンを掲げて進めてきた教育活動・教育運動の面でも先進的なとりくみが進められています。これらは、私たちの組合の運動・とりくみの結果であると自 負しています。

自立的・原則的に
運動を進める墨田教組
 私たちの組合は一貫して政治党派の思惑・もくろみとは無縁なところで自立的かつ原則的に闘い、とりくむ立場を堅持してきました。自分たちの組合の方針や とりくみを政治党派等、組織の外から持ち込むのではなく、自分たちの討議を通じて自分たちで決定してとりくむ立場を守ってきました。それが大衆組織である 教職員組合として最も大切なことと考えてきたからです。私たちはそうした立場をこれからも堅持しながら、さまざまな課題にとりくんでいこうと決意していま す。

私たちとともに!
 墨田教組に加入してください。
 私たちは,皆さんを私たちの組合に迎え、皆さんとともに引き続き政治党派の思惑とは無縁なところで、自立的・原則的に運動を進め、墨田・東京・日本の教職員労働者と子どもの権利・利益を守り、未来を切り拓いていきたいと願っています。

ご理解とご協力をお願いします。

2005年度 組合行事予定

定期総会 4月27日(水)
女性部総会 5月25日(水)
教育研究集会 6月 1日(水)
教育研究集会 10月19日(水)


  どの行事も午後3時からです。
 確実に参加できるよう、ご予定ください。