フキノトウ


北海道は千歳空港から札幌まで、山の北側には残雪がまだあるとはいうものの、
高速道路の土手や、ランプに囲まれた土面には、春の先駆けである薄緑色のフキ
ノトウが、訪れた春の証であるかのように、地面から吹き出していました。



東京ではスーパーの棚で、苞に包まれたフキノトウのパックを眺めて、「あゝ、
もうフキノトウが。」と春を実感しますが、こうして、バスの窓を通してとはい
え、土手や隣接する林の落葉の影から顔を出しているフキノトウを見ると、雪国
の人々が周囲の茶褐色の景観の中で、いち早く春の到来をフキノトウで感じると
いうことが、わかるような気が致します。

      味噌汁に蕗の薹をば刻み入れて
             香にたつ朝の厨明るき     斎藤礼子

眼で春の到来を知り、舌でそれをしみじみと味わう。フキノトウは北国で育った
人々には格別な思いのある植物の一つなのでしょうね。

我が家では、庭のタラの芽の初収穫でした。収穫といえば、椎茸の出方は今年は
異常に多く、二本のほだぎから50箇以上が顔を出し随分と戴きました。

                           うめだ よしはる


   春の花へ