セイタカアワダチソウ

セイタカアワダチソウは日本帰化植物図鑑、長田武正著では、「おそらく戦後日本
に入り急速に伝播して行った。」と記されていますが、牧野植物図鑑では「第二次
大戦後の繁殖が目立つが、昭和の初めには既に帰化が知られている。」と記され、
かなり早い時期に日本へは入り込んでいたようです。

日本へ北アメリカから持ち込まれたのは養蜂家によるもので蜜源植物として北九州
一帯で栽植されたというのが、どうも本当のところのようです。
そのためか、セイタカアワダチソウの大繁殖の経路は北九州に始まります。丁度、
炭坑の不景気の頃と同じであったためか、北九州では「閉山草」の別名でも呼ばれ
ました。 ここ20年ほど前から北九州を起点として一方は南下し、他方は北上し
ていまや札幌の郊外にまで伝播しはびこるようになりました。

これは、現代の交通網の発達も大きな原因でしょうし、養蜂家にとっての蜜源植物
として全国に伝播されたというのも一原因ではないでしょうか。

セタカアワダチソウはその繁殖力の偉大さ、泡立つように咲く黄金色の花をつける
ところから、花粉症の原因のようにされ、また多くの本にも花粉症を起こす張本人
のように書かれてきましたが、これは濡れ衣であることがわかってきました。
ご承知のように花粉症を起こすのには花粉を抗原として吸い込むことが必要で、そ
のために、原因となる植物は

    1.風媒花であり
    2.花粉が大量に生産され
    3.軽くて、遠くまで飛散する

というような性質を持っていることが必要のようです。

セイタカアワダチソウは風媒花ではなく、訪れる虫(ミツバチ等)の体に花粉が着
いて媒介されることから、花粉は比較的重く、また大量には生産されないこともわ
かりました。そのため、セタカアワダチソウは花粉症を起こさせる問題植物の地位
からズッコケてしまいました。 帰化植物での重大犯人はブタクサです。

セイタカアワダチソウは一度侵入定着すると他の植物を押し退けて大群落を形成し
ます。これは、この植物の根部から他の植物を押し退けてしまうような化学物質を
分泌して、自分達に都合のよい生育環境を作り上げるからなのです。でもこれが災
いして、ついには自分の群落を消滅させてしまうことになるのです・・・過ぎたる
は・・・ですね。

セイタカアワダチソウの入り込むのは、多くの場合、人間が新たに手を入れて開発
した土地の場合が多いようです。空き地、飛行場、鉄道線路沿い、埋立地等々です。

最近では、今までに見られた大繁殖も一段落して、また花粉症の原因という濡れ衣
もなくなったせいか、今の時期、黄金の花を咲かせる野草の一つとして鑑賞できる
草になってきたような気が致しますが、いかがでしょうか。

                           うめだ よしはる
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