気分をかえて、アメリカンニューシネマ

次は、気分をかえて、アメリカンニューシネマです。
アメリカンニューシネマって、ニューがつくから新しいのかと思われるでしょうが、実は古いんです。1960年代後半までのアメリカ映画はいわゆるハリウッド大作主義が中心、巨額のお金ときらびやかなスターをそろえ、映画作りもハッピーエンドの定型的なものでした。
そんな、映画界に新風を吹き込んだのがアメリカンニューシネマ。お金もかけず、有名スターも使わず(最もこれらの映画で有名になった俳優は数多くいますが)そして、斬新な映像で話題となりました。
アメリカンニューシネマの題材には、表面的には、暴力、セックス、麻薬、差別とアメリカの恥部を扱ったものが多かったのですが、そこに流れるものは、飾られた愛でなく、本当の人間愛があったので共感を覚えたのだと思います。
さて、作品はといえば、まず「俺たちに明日はない」(1967年)が、そのスタートとされています。

私の好きなAMERICAN NEW CINEMA BEST10

 
作品名制作年監督主な俳優コメント
俺たちに明日はない1967年アーサー・ペンウォーレン・ビューティー、フェイ・ダナウェイやはり、最後の銃撃のシーンが、象徴的ではあるが、今となっては、それほどではないかもしれない
卒業1967年マイク・ニコルズダスティン・ホフマン、キャサリン・ロス最後の十字架を振りかざして逃げる二人がさわやかだったが、それよりロビンソン婦人が悩ましかった
真夜中のカーボーイ1969年ジョン・シュレジンガージョン・ボイト、ダスティン・ホフマン最高傑作の呼び声が高かった。テキサス、ニューヨーク、フロリダへとアメリカの現代が見事に描かれていたと思う
イージー・ライダー1969年デニス・ホッパーピーター・フォンダ、デニス・ホッパーステッペン・ウルフの”ワイルドで行こう”をバックに、ロスからをバイクで出発する二人の姿が忘れられない
明日に向かって撃て!1969年ジョージ・ロイ・ヒルポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、キャサリン・ロス「俺たちに明日はない」西部劇版といったところだが、もっとエンターテインメント性が高くなっており、映像や音楽が美しい
マッシュ1970年ロバート・アルトマンドナルド・サザーランド、エリオット・グールドマッシュとは、移動野戦外科病院のこと。前編にちりばめられた、皮肉やパロディは、見る回数が増えれば増えるほど分かってくる
いちご白書1970年スチュワート・ハグマンキム・ダービーバンバンの「いちご白書」をもう一度でリバイバル

10作あげようかなと思って書き出したら7作しか思い浮かばなかったので、ごめんなさい。70年代にはいると、ニューシネマ亜流のような作品も増えてくるので、やはり、最初の心意気の感じられるこれらの作品が、記憶に残っています。
一応、1972年のゴッドファーザーの登場をもって、ニューシネマというジャンルの終焉ということになるそうです。その後は、特にニューシネマと呼ばなくてもその流れをくんだ作品が続いて行くわけです。
とりあえず、レンタルビデオやさんで、見かけたら見てみてください。今のような何百億円もかけた超大作やジェットコースタームービーのような、あっと驚きはないかもしれません。でも、何か心に残るかもしれません。