燃える大陸

1951年 アメリカ

キャスト:セザール・ロメロ(ノーラン)ジョン・ホイト(ロストフ)チック・チャンドラー(ウィルソン)シド・メルトン(ウィリー)ヒュー・バーモンド(フィリップス)

監督:サミュエル・ニューフィールド

米陸軍実験場から史上初の原子力ロケットが打ち上げられるが、突如コースを変えて行方不明になってしまう。由々しき事態だと言う原子力委員会のシモンズ。「実験は明らかな失敗です。我々は各国との開発競争で常に勝利してきた。ロケットを回収し原因究明の必要がある。万が一、他国に回収されれば結果は言うまでもない。研究に費やしたのは予算でなく、ロストフ博士やフィリップス博士をはじめとするスタッフが心血を注いだ数千時間だ。その研究成果が国防の命運を握っている。ロケットを回収しなければ国が滅びる。捜索隊を強く要請したい」

ロストフとフィリップスはノーラン少佐やウィルソン大尉やウィリー軍曹とともに捜索隊を結成し、捜索機に乗って、ロケット落下推定地帯に向かうが、フィリップスの持つガイガーカウンターが激しい反応を見せ、捜索機は操縦不能になり、ある島の中のジャングルの中に不時着する。

「なんとか助かったな」「素晴らしい腕前だ、少佐。もうダメかと思った」「私も命は惜しい」「何があった」「わかりません。磁気計器類や無線が全て止まったんです」「妙だな。不時着直前に強い放射能を検知した」「つまり?」「我々が放射性物質の上にいる事だけは確かだ」「でもガイガーが今は反応していない」「さて、南洋の楽園でも見てみよう」

原住民の村に行き、宣教師学校で英語を習ったと言う娘と接触する捜索隊。「君の他は誰もいないのか?」「村の上を火の鳥が飛んだ。炎と煙を出して」「ロケットだ。間違いないな」「地面が揺れ、みんなは恐れて、カヌーで逃げた」「火の鳥はどこに降りた?」「聖なる山。神の家に。族長は神が鳥に怒って、地面を揺らしたと」「なぜ皆と行かない?」「石が落ち、父は怪我を。私は残り、父を看取った。私も島を出る」「……」「あなたたちは?」「我々は聖なる山に行き、火の鳥を退治する。そうすれば皆が戻って、平和に暮らせる」

聖なる山の山頂に到達する捜索隊。「どういうことだ」「山頂がジャングル?」「まるで別世界だ」「こんなジャングル、見た事ない」「見た者はいないはずだ。これは数百万年前の世界だ」「失われた大陸ですか?」「確かにそう言えるな」「山の上ですよ」「火山灰だ。まるで時間に忘れられた場所」「全てが先史時代に逆行している。あの植物もそうだ。地面から吹き出す蒸気も地殻変動の激しさを物語っている。しかもこんな標高の高い所で」「水爆を山積みしたパワーだな」

それにしても変だと言うノーラン。「確かに空気は薄いが、呼吸するには問題ない。標高何千メートルなのに」「植物だよ、少佐。実に純粋な酸素だ」「だが凄い霧だ。まるで緑のフィルターを太陽にかけたようだな」「少佐。核爆弾の大気への影響を知ってるね。同じ影響がここにあるかもしれん。もし我々がロケットを発見したら、いつか人類全体がこの環境に置かれるかも」

ロストフをどう思うとウィルソンに聞くノーラン。「冷血漢だな。それに頭でっかち。お前はヤツを」「別に疑ってる訳じゃないが、出発前から何か引っかかる」「どうして?」「俺たちはロケットについて何か知識があるか?」「ない」「仕組みを知ってるのは、あの二人。フィリップスに何かあればロストフだけだ。俺たちをいくらでも誤魔化せる。最初からそのつもりだったのかも」「……」

確かに放射能の反応があると言うフィリップス。「ロケットにしては反応が強すぎる」「重要な発見かも知れん。ウラン鉱脈だ」「これで説明がつく。捜索機が島の上で操縦できなくなったり、ガイガーが反応したのは強い放射能のせいだ。不時着して山の下に降りたから反応も消えた」「自然界で最も不可解な元素。最も危険かつ不安定で最も価値が高い」「だが我々はウランではなく、ロケットを探すのが任務だ」

ウランの岩を持ち帰り、蓄積されたエネルギーを制御するとノーランに言うロストフ。「そして動力化すれば、新世界が構築できる。皮肉にも世界最大のウラン鉱脈の上で眠れるとは」「安眠できますよ。悪い夢さえ見なければ」「君は疑い深い男だな、ノーラン」「かもな。最初からあなたが場違いに見えた」

私がロシア人だからだろうと言うロストフ。「もう慣れてるよ。人生のほとんどは迫害の繰り返しだった。まずはヒトラー政権下での強制収容所。戦後はソ連の収容所暮らしさ。妊娠していた妻はそこで死んだ。そして亡命した。あの収容所で祖国に完全に失望した。いつか戻って何とかしたいが、国民や世界の期待を裏切ったあの国に未来はないだろう」「あなたは帰るべきです」「ありがとう」「あなたのような人ばかりなら争いは起こらない」

捜索隊はロケットを見つけるが、回りにトリケラトプスやブロントサウルスがいるため、近づけない状態となる。我々は奴らを岩陰から撃ちまくると言うノーラン。「二人がロケットに入るまでの時間は稼げそうだ。成功させよう」ノーランたちが恐竜を攻撃する間に、ロストフとフィリップスはロケットに入って、必要なデータを回収するが、ウィリーはトリケラトプスに襲われて死んでしまう。

4人となった捜索隊は聖なる山から下りるが、火山活動とウラン鉱脈が反応し聖なる山は大噴火を起こす。なんとかカヌーに乗って、島から脱出し、島が海底に沈むのを見届ける4人。「彼らの世界の終焉か」「我々と共存するよりマシなのかも知れんな」

★ロロモ映画評

この映画はロロモの好きなB級SF映画かと思いましたが、残念ながらC級でもなくD級だったようで、さりげなく、しかもわざとらしくソ連批判をしているのが、1951年公開と言う時代を感じさせますが、ロロモは3大恐竜スターとはティラノサウルス、トリケラトプス、ブロントサウルスであると思いますが、この映画ではそのうちトリケラトプスとブロントサウルスが登場しますが、その可愛らしい動きを見て、この映画はダメだと思わざるを得なくなったわけです。

と言うことでこの映画はA級でもB級でもC級でもないD級映画となりましたが、アルファベットの最初の3文字であるABCはホノルル拠点のコンビニエンスストアチェーンである「ABCストア」、日本の靴・衣料品のチェーン店の「ABCマート」、ジャクソン5のヒット曲、「ルック・オブ・ラブ」のヒット曲を持つイギリスのバンド、アガサ・クリスティーの小説「ABC殺人事件」などでお馴染みですが、ABCDとなるとなかなか馴染みがなく、ロロモが思い出すのは「ABCD包囲網」くらいかなあと思うわけです。

1930年代、世界は枢軸国(伊独日)・自由主義国(英米仏)・共産主義国(ソ連)の3陣営が次第に対立を深め、日本は1937年から日中戦争を行いますが、中華民国の権益に野心があったアメリカでは人種差別的意識もあって対日経済制裁論が台頭し、1939年に日米通商航海条約の廃棄を通告し、1940年1月に条約は失効。アメリカは屑鉄・航空機用燃料などの輸出に制限を加え、航空機用燃料や屑鉄など戦争に必要不可欠な物資が入らなくなり、地下資源に乏しい日本は苦境に陥いります。

1940年9月、イギリス・アメリカなどが中国国民党政権に物資を補給するルートを遮断するために、日本は、仏領インドシナ北部へ進駐し、日独防共協定を引き継ぐ日独伊三国同盟を締結。この同盟によりアメリカは日本を敵国とみなし、北部仏印進駐に対する制裁と、中華民国領への進出など日本の拡大政策を牽制するという名目の元、アメリカは屑鉄と鋼鉄の対日輸出を禁止。その一方で、日本はオランダ領東インドと石油などの資源買い付け交渉を行いますが、その地方の供給量が日本の要求量に不足していることから、日本は1941年6月に交渉を打ち切り、アメリカ・イギリス・オランダの三国は、軍事参謀会議を開き、アジアにおける対日政策について協議します。

1941年7月には、石油などの資源獲得を目的とした南方進出用の基地を設置するために、日本は仏領インドシナ南部にも進駐。これに対する制裁という名目のもと、対日資産の凍結と石油輸出の全面禁止、イギリスは対日資産の凍結と日英通商航海条約等の廃棄、オランダ領東インドは対日資産の凍結と日蘭民間石油協定の停止をそれぞれ決定。日本は石油の約8割をアメリカから輸入していたため、アメリカの石油輸出全面禁止が深刻となり、早期に開戦しないとこのままではジリ貧になると強硬論が台頭し始め、 とうとう12月8日に日本は真珠湾を攻撃してしまったわけです。

この日本に対して行われた貿易制限の総体を「ABCD包囲網」と呼びますが、「ABCD」とは、貿易制限を行っていたアメリカ合衆国(AMERICA)、イギリス(BRITAIN)、中華民国(CHINA)、オランダ(DUTCH)と、各国の頭文字を並べたものでありますが、別に中華民国は貿易制限はしておらず、これは本来なら「ABD包囲網」が正しいのではと思ったりもしますが、まあ「ABCD」の方が語呂がいいと言うか、見栄えがいいわけです。

ここでやや引っかかるのが、イギリスがなぜ「BRITAIN」なのかと言うことですが、イギリスの正式名称の日本語表記は「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国」であり、この国はイングランド、スコットランド、ウェールズ、それに北アイルランドから構成。イングランド、スコットランド、ウェールズのことがブリテンで、それに北アイルランドが加わるとイギリスとなるようで、英国のロックを「ブリティッシュ・ロック」と称するのは、その辺から来ていると思われるわけです。

それよりももっと引っかかるのが、オランダがなぜ「DUTCH」と言うことでありますが、元々この地方が低地を意味するがネーデルランドと呼ばれますが、領主であるオーストリアのハプスブルグ家から反乱を起こして独立した北部ネーデルランド同盟なかで一番大きな州の名前がホランド州で、それが日本語で訛ってオランダとなり、ダッチはドイツ語で我々という意味で、我が国という意味がオランダ語でダッチランドとなり、それが短くなって英語でダッチと略されましたが、オランダの正式国名はオランダではなく、ネーデルランド王国と呼ぶのが正しいわけです。

と言うことで、正式国名はアメリカは「アメリカ合衆国」、イギリスは「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国」、オランダは「ネーデルランド王国」となりますが、日本の正式名称は「本州および四国・北海道・九州連合国家」ではなく、「日本国」でいいようなので、なんだかほっとするのでありました。(2018年12月)

得点 19点

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