燃える昆虫軍団

1975年 アメリカ

キャスト:ブラッドフォード・ディルマン(ジム)リチャード・ギリランド(メット)アラン・ファッジ(マーク)ジェミー・S・ジャクソン(ノーマ)パティ・マコーマック(シルビア)ジョアン・マイルズ(キャリー)

監督:ヤノット・シュワルツ

町はずれの教会で牧師が説教中に激しい震動が起こり、礼拝者を驚愕させる。「収まったようね」「なんだ、いまのは」礼拝していた農場主のタッカーを車で迎えに行く息子のケニー。「ひどい地震だった。全滅だよ」「ノーマは?」「無事だ。待ってるよ。畑に地割れが。パパ、怖いよ」「とにかく帰ろう」タッカーとケニーは車に乗るが、途中で車はエンストし、やがて車は大爆発して、タッカーとケニーは焼死する。

パパが死んだと落ち込むタッカーの娘のノーマを慰める恋人のメット。「もう寝たほうがいい」「ありがとう、メット」猫の鳴き声が気になって外に出たメットは、大きな奇妙な虫が無数に這いまわり、そのうちの一匹が猫の額に飛びついた瞬間、猫の額から煙が上がり、あちこちから炎は湧き上がるのに驚愕する。

生物学の教授のジムに昨夜タッカー農場に行ったと話すメット。「気の毒に。震源地だったとか」「火を吐く昆虫なんているのかな」「敵を熱病で殺す虫はいるがね」「炎を出すのは?」「バカな」「これを見てください」焼きただれた猫の死体をジムに見せるメット。

タッカー農場に行くジムとメット。「凄い地割れだな」「ほら、そこに」虫を掴もうとして、その熱さに驚き、手袋をして虫を捕まえるジム。「重いな」「こんな奴がいっぱいいた」「大型昆虫だ」「なぜ暴れない?」「さあ」「こいつは6本足のボーイスカウトってとこだな。キチン質の尾触角を互いにこすり合わせて発火させるんだ。野営用の火打石みたいにね」「炎を出す昆虫はいないと言った」「あの時はな。驚いた。目が退化している。コウモリのように目がないんだ」虫を地面に降ろすジム。「驚いたな。灰を食べているんだ」

市役所に電話するジム。「市長に行ってくれ。このところ頻発している火事の原因は昆虫なんだ」「また電話を」「その時は市中が火の海だ」同僚のマークに信じてもらえんと嘆くジム。「僕だって信じたくない。炭素を食ってる。消化管の代わりに炭素を代謝する特殊な細菌が」「灰をビタミンに」「外骨格は鋼鉄並み。ハンマーで割った。駆虫剤も無効だ」「奴らの繁殖能力は?」「弱そうだ。内臓は空っぽだ。灰の中でもがくだけだ」

走れる足があると呟くジム。「それなのに這うだけだ。わからん。どうやって移動するんだろう。飛べないし。不思議だ」自分の車のマフラーに虫がいるのを見つけたジムはそうかと呟く。「これが移動方法か」新聞紙を燃やしてマフラーに突っ込んで虫を捕まえるジム

動きが鈍く繁殖もしない理由がわかったとマークに言うジム。「奴らは潜水病にかかっている。外骨格は密閉構造で空気抜きがない。地底の昆虫だろ?高い山にでも連れていけば気圧の低さで、すぐ爆発するぞ」「奴らは頑丈だ」「外骨格はしなやかに出来ているんだ。踏まれてもびくともしないが、編み針の先で突いたら破裂した」

これは最古の昆虫だと断言するジム。「地底で火山活動とともに進化してきたはずだ」「コケや菌類を食べて数千万年も?では、なぜ地上に?」「エサがなくなったか、コケを枯らす菌類が発生したとか」「突然に?」「サンフランシスコの大地震の時も出たのかもしれん」「あの火事の原因か?冗談がすぎるぜ」「脚を縮めると石にしか見えん。だから見逃した。打つ手を考えるんだ。圧力には強い。神経系か。繁殖方法さえ発見できれば何とか」「何を言ってる。奴らは地上の気圧に耐えられないんだろう。ほっとけば奴らは全滅する」「……」

メットに君は物理学専攻だったなと聞くジム。「物理学部以外にも圧力タンクはあるかね」「使用目的は?」「窓と計器とエアロック付きのものだ」「潜水帽みたいな?」「そうだ」「例の虫のために?」「作ってくれないか」「質問に答えてください」「答えられない。パニックが起こると困る」「……」「作ってくれるね?」

ジムの妻のキャリーは虫に髪の中に入られて焼死する。気の毒にとジムを慰めるマーク。「キャリーは妻の親友だった。力を貸したい」「……」「君の言う通り、奴らは死にかかっている」「死んだのはキャリーだ。僕のせいだ。マフラーの中にまだ虫がいたんだ」「やめろよ」「絶対に奴らのことは忘れんぞ。生きてる限り」

タッカー農場でたった一匹生き残っている虫を殺そうとして思いとどまり、メットの作った圧力タンクの中に入れるジム。「生かしてやる。死なせるものか」<9月12日、午前2時。オスのゴキブリをタンクに入れた。交尾の可能性を観察する。2匹の昆虫の生殖機能を発動させるために気圧を高くした>

ジムを訪ねるメットとノーマ。「少し眠ったら?ヒゲが似合う」「……」「朝食でも」「入るな。悪いが徹夜で本を書いていて、これから寝るところだ」「……」「居所を誰かに?」「マークに」「余計なことを」ドアを閉めるジムに憤慨するノーマ。「失礼ね」「彼に家を貸したのは君さ」「彼は大丈夫かしら」「食糧と睡眠が必要なだけさ」

<9月16日、午前4時。オスが高圧で死んだが。交尾は済んだ。減圧して受精卵を取りだす。発火昆虫は必要なだけ生かしておく。ダメだ。警戒している。卵を守るためだ。異常な高圧にしても耐えている。信じられん。昆虫の苦痛が感じられるようだ?><9月18日、午前10時20分。卵鞘が24時間で3倍になった。一体どんな生物が生まれるのか>卵鞘を飼育箱に移すジム。卵鞘から生まれる無数の新虫。<9月19日、午後4時。わずか5時間で成虫になる。どちらの親にも似ていない新種ができた>圧力タンクにいる虫に話しかけるジム。「仲間に入るか?」飼育箱に虫を入れるジム。新虫に襲われて炎上して死ぬ虫を見て、泣き笑いするジム。

ジムは受話器を外していると妻のシルビアに言うマーク。「どうしてもかからない」「心配だわ」「会いに行った学生によると、寝不足だが元気だそうだ」「キャリーは彼の過労を心配していたわ」「ジムは大丈夫さ」「キャリーの聖書を返すと言う口実で会いに行くのはどう?」「心配するな。彼はちゃんとやるよ。連絡を待とう」

飼育箱からはい出した新虫が生肉に群がるのを見て驚くジム。<9月20日、午前2時。彼らは生肉しか食べない。驚くべきことにある種の組織化のもとに行動するようだ>眠るジムは新虫に体を咬まれて、怒って新虫を圧力タンクに入れる。「さあ、踊れ」圧力タンクの中の新虫と同じようにもだえ苦しむ飼育箱の中の新虫たち。<9月20日、午前8時。タンクの中の虫は圧死した。飼育箱の虫たちはおとなしくなった。私の優位に気づいている。私の意志で生かされていることも>

<9月22日、午後4時、今日、メスが卵鞘を運び始めた。私の声を聞いている。非合理な解釈だと言うことはわかっているが、私を観察している。確かにこのところ行動様式が変化している>真夜中に目覚めたジムは新虫が壁に「WE LIVE」と虫文字を描いているのに驚愕する。「殺さねば」圧力タンクが壊れていることに気づくジム。「すぐ修理しなくては」圧力タンクを持って農場から出るジム。

タクシーでジムを訪ねるシルビア。「一時間後に迎えに来て。電話するわ」家の中にはいり、新虫だらけなのに驚愕したシルビアは逃げ出そうとするが、新虫に襲われて納屋の中で悶死する。卵鞘を地割れの中に落とす新虫たち。

圧力タンクの修理を終えて戻ったジムは、新虫がいなくなっているのに驚く。そこに現れるマーク。「シルビアが来ただろう」「なぜ彼女が」「キャリーの聖書を返すとか言ってたから。どうなっている?」「別に」「これは?」「メットが圧力の研究用にね。キャリーが死ぬ前のことだ」「……」「彼女は来てないよ」「帰ったかな」自宅に電話するマーク。「誰も出ない」「……」「落ち着かないな。怖いのか?」「ずっと一人だからな」「仕事は大学で」「いやだ」「自分を責めるな」「うるさい。干渉するな。余計なお世話だ」「……」「マーク、悪かった。わかってくれ。まだ研究が残ってる。2、3日したら電話する」「わかった」

新虫を探すジムは納屋でシルビアの死体を発見する。「なんてことだ」警察に電話しようとして、電話線が焼き切られていることに気づくジム。「なんてことだ」じりじりした羽音に誘われるように地割れに近づくジムは、孵化して舞い上がる新々虫に襲われて家の中に逃げ込む。しかし新々虫は窓を割って家の中に侵入し、ジムを攻撃する。炎上しながら地割れの中に落ちるジム。再び地震が起こり、地割れの中に戻る新々虫。そして地割れはじわじわと塞がっていくのであった。

★ロロモ映画評

この映画はB級昆虫パニック物に属しますが、まず最初に出てくる昆虫は地底生活を長くしていて発火能力を持っており、高圧世界に暮らしていたため、地上に出ると低気圧のために破裂して爆発してしまうと言う設定になっていて、この設定はなかなか優れているとロロモは感心しますが、この昆虫の容姿はダンゴムシと三葉虫をミックスしたようなものでありますが、幼少期に庭にいるダンゴムシを丸めて遊んだロロモにとっては親しみやすい容姿と言えるわけです。

この発火昆虫に主人公の生物学教授は魅せられていくことになり、なんとか繁殖させようと言う気になりますが、そこに自分の不注意から発火昆虫に妻を殺されてしまうと言う事件が発生し、主人公はこの発火昆虫に対し、激しい憎しみと限りない愛おしさを持つことになり、この複雑な感情についていけるかがどうかがこの映画を楽しめる鍵になりますが、ロロモはなんとかついていけたわけです。

そして主人公はたった一匹生き残った発火昆虫を助けてゴキブリと交配させますが、なぜそんなことをさせたのかはわかったようでわからず、そんなに簡単に違う種同士で卵が生まれるものかと訝しくなりますが、人間とサルが交配しても子供は生まれませんが、昆虫同士ならそいうこともあるのかと納得し、太古から生きている生命力のある発火昆虫とゴキブリなら交わることもあり得るのかなと納得するわけです。

そして生まれた新虫は当然発火昆虫とゴキブリのいいとこどりをしていますが、肉食になったり優れた知能を持ったりするのはあまりにも進化しすぎだろうと言わざるを得ませんが、新虫はかなりゴキブリの要素が強いのはゴキブリがオスだったからだろうと推測しますが、彼らはが虫文字で「WE LIVE」と描くのはなかなかインパクトがあると言うか、そういう表現方法があるのかと感心するわけです。

そんな新虫同士から生まれた虫は普通なら新虫になりますが、頭のいい彼らは高圧の中で孵化すればさらに進化した形態になるだろうと考えて、卵鞘を地割れに落としますが、この辺の展開はなかなか見事で、新々虫は今度は飛ぶという機動力を身につけて、さらに進化した形を見せつけますが、この辺はたまにゴキブリが飛ぶのを見てイヤな気分になるのを連想させるわけです。

そして新々虫は主人公を攻撃しますが、新虫にとって主人公は生みの親ともいえるので思う存分攻撃できませんが、新々虫はそんな気後れがないので思う存分攻撃できますが、主人公が燃えながら地割れに落ちたのは偶然なのか必然なのかわかりませんが、地割れの中にはおそらく女王蟻的存在の新々虫がいて、それを救うためにいったん地球征服の野望に燃えた新々虫も地割れの中に戻ったかと推測されるわけです。

ということでこの映画はなかなかよくできているとロロモは思いましたが、気になったのは新虫はどうなったんだろうと言うことでありまして、卵鞘を地割れに放り込んでからは画面に登場しないので彼らの消息は不明ですが、恐らく新たな新々虫を産んで、地球征服を虎視眈々と狙っているかと思われますが、それを示唆するようなエンディングであればよかったと思いますが、この手のB級SF映画が好きなロロモはこの映画にかなり満足したのでありました。(2018年1月)

得点 82点

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