モンスターズ/地球外生命体

2010年 イギリス

キャスト:スクート・マクネイリー(コールダー)ホイットニー・エイブル(サマンサ)

監督:ギャレス・エドワーズ

(6年前、NASAは太陽系に地球外生命体の存在を確認。探査機はサンプルを採取したが、大気圏突入時にメキシコ上空で大破した。その直後、新種の地球外生命体が出現し、メキシコの半分は危険地帯として隔離された。メキシコ軍と米軍によるモンスターの封じ込めは、現在も難航している)

中央アメリカ・サンホセ。カメラマンのコールダーはケガをして病院に収容された社長の娘のサマンサと会う。「お父さんから君の無事を確認するよう頼まれた。それは骨折か」「違うわ」「じゃあ、大丈夫なのか」「そうね」電話するコールダー。「3年越しでやっと来たのに」「社長の娘だ。中米から脱出させろ。俺の顔を立てさせろ」「俺にはまたとないチャンスだぞ」「海岸まで送れ。今日中に戻れるさ」「お断りだ」

父に電話するサマンサ。「こっちは平気よ。パパ」「ひどい映像が」「テレビは無視して」「ジョンには電話したのか」「……」「婚約者だろ。電話ぐらいしなさい」「電車が来たわ」「あの男に代わってくれ」社長と話をするコールダー。「君の名は?」「コールダーです。カメラマンで」「コールダー。君の役目は大事だぞ。その子は私の娘だ。必ず無事に連れ戻せ」「はい。社長」「よろしく頼む」

電車に乗るコールダーとサマンサ。「あなたは奴らを撮ってるの?」「今はまだ死骸ばかりだ。いつかは親父さんの新聞の一面を飾りたいけどね。メキシコへは仕事?休暇?」「……」「働いてるのか」「働かない女に見える?」「悪気はないんだ。子守が初めてで慣れなくて」電車は危険で引き返すことを知った二人は電車を降りる。「これからどうするの」「とにかく前進だ」

民家に行く二人。「海岸までまだ100キロ以上あるし、線路が壊されて電車は無理だって。バスはモンスターが怖いから夜の便はない。乗るなら明日ね。2日後には軍が海岸を閉鎖するから」「48時間以内に港に着かないと、隔離期間で、半年足止めか」

民家に泊まり、テレビのニュースを見る二人。<米軍によりメキシコ危険地帯の攻撃は昨シーズンに比べ、かなり早く開始されました。すでに川を上っている個体も多く、たびたび空爆が行われています。新大統領は徹底した掃討を宣言。新設の壁付近の住民は作戦の巻き添えを懸念しています>

翌朝、民家を出る二人。「旦那持ちか」「まだ婚約中」罪悪感はないのと聞くサマンサ。「人の不幸で稼いでいるでしょう」「医者みたいに?」「違うわよ」「わかってる」海岸行きのバスに乗る二人。「知ってるか。モンスターに殺された子供の写真は5万ドルで売れる。笑顔の子供の写真はゼロだ。だから俺は悲劇を撮る。ただ現実を記録する。生活のためだ」

海岸に到着し、フェリーのチケット売り場に行く二人。「アメリカ行きを一枚欲しい」「明日の便ならある。朝7時だ」「いくらだ」「5000ドル」「大金ね」「唯一の手段だからさ」「じゃ彼らはなぜ並んでるの」「あれは陸路の順番待ち」「陸路?」「危険地帯を通っていくんだ。危ないから金があるならフェリーだな。金を払うか、危険を選ぶか」「危険地帯を行くことはない。フェリーに乗せる。アメリカ人だ。パスポートもある」「なら5000ドルでチケットを」

5000ドルってひどい話ねとコールダーに言うサマンサ。「宿でもボラれるかな」「シャワーを浴びたい」「君のせいで俺は今夜ここに足止めだ。受賞モノの写真が撮れなきゃ、テキーラ5杯おごれよ」

サマンサの部屋でテレビのニュースを見る二人。<軍はモンスター殲滅のため、西の境界線一帯に隊を配備。被害にあった11か所中、今も3か所で攻防戦が。専門家によると、この時期、100匹以上が移動>

「飲みに行くか」「もう遅いわ」「大丈夫。奴らがここに来るのは2日後だ」<政府はアメリカ国内の入り江の防衛を強化し、効果は高いと主張。しかし危険地帯周辺は配備が手薄で批判も出ています>

にぎやかな屋台村でテキーラを飲む二人。「ここは異空間だな」「そうね」蝋燭の炎で包まれたモンスターの被害者のポートレートや、「爆撃はやめろ。死者5000人」や「政府こそモンスター。爆撃反対」と描かれた看板や、身元不明者の遺骨の山を写真に収めるコールダー。「気分は?」「大丈夫」「行くか」酒場でテキーラを飲む二人。「明日の予定は?」「家に帰って婚約者に会う。あとは結婚してめでたし」「俺より楽しそうだな。式はいつなの?」「まだ決めてない」「とりあえず乾杯」

ホテルに戻る二人。「俺の部屋のエアコンは壊れてるし、君のベッドはキングサイズ。真ん中に線を引いて寝よう」「酔っ払いね」「マッサージは?」「お断り」「ただの軽い冗談だ」「楽しかった」「俺もだよ」「もう寝るわ。また明日ね」「一人で平気?」「おやすみ」「中にモンスターは潜んでないか」「おやすみ」

テレビのニュースを見るサマンサ。<暗い深海で伴侶を探すのは、彼らには至難の業です。メスはオスを誘うためフェロモンを放出。オスは160キロ先でも感知します。互いが発する光で出会い、鮮やかに輝きながら触手を絡ませ、交尾するのです。メスは卵をはらむと水辺に戻ります>再び屋台村に行ってテキーラを飲むコールダーは売春婦を買う。

翌朝、コールダーは売春婦にチケットとパスポートを盗まれたことを知る。チケット売り場でフェリーの券を1枚手配してくれと頼むコールダー。「知らねえよ」「無理を承知で頼んでいる」「港は閉鎖された。昨日なら間に合ったが、今は軍が仕切っている」「昨日5000ドル払っただろう」「手遅れだ」陸路はと聞くサマンサ。「危険地帯の?」「ええ」

ダメだと言うコールダーに家に帰る唯一の道ならと答えるサマンサ。「私は陸路を行く」「船より金がかかるよ。まずはドライバーだ。あんたが連れて行く人に払う金がいる。川船と船頭も手配。それから何か会った時に守ってくれる武装した護衛も」「いくらなの」「1万ドル」「父は金を持っている」「今欲しい」「金持ちの父が払うわ」「今、現金を」

俺の時計とカメラをやると言うコールダー。「これじゃ足りない」「帰ったら送金する」「帰る保証がどこにある」「絶対ダメなのか」このダイヤの指輪はどうと聞くサマンサ。「本物よ」「本物だ。2万ドル以上はする」それなら二人分だと言うコールダー。「俺も行く」

危険地帯を通りながら陸路でアメリカを目指す二人。「息子さんの名前は?」「トミーだ。明日で6歳」「お母さんとは何が?」「ケイティか。何も。6年前に出会って、アツアツの2か月を過ごした。2年後、息子がいると宣告されたよ。会わせるけど父親面はやめてね、と」

夜になるとモンスターに襲われる恐怖におびえながらアメリカを目指す二人。護衛に聞くコールダー。「壁まで車でどれくらい?」「1時間半」「壁の向こうはアメリカ?」「そうだ」「もう近い」「凄く近い」「明日は早朝出発?」「他の家族を待って、一緒に行く」

護衛に聞くサマンサ。「壁があるからアメリカは安全だと思う?」「確かにアメリカ政府は大金をかけたけど。まるで牢にいるみたいだ」モンスターを見たことはあるかと聞くコールダー。「生きた奴らを実際、自分の目で」「ある」「ここにいて平気か」「高台に居れば大丈夫だ。川が危ない。手出ししなきゃ大人しい。空軍が来るとモンスターは怒りまくって暴れ出すんだ」「このあたりも空爆を?」「毒薬を撒いてる」「化学兵器ってこと?」「そうだ」「水辺じゃないのに」「モンスターの子供が木に張り付いているからだ」「木って何だ」「産み付けられた。見たいか」

モンスターの子供が張り付いている木を見て驚く二人。「なぜ木に」「彼らは木で育ち、海へ出ていく」「それから」「子孫を残すため、川を上って戻ってくる」「育った木に卵を産み付けに戻るのか」「そうだ」「だから危険地帯なのね」「戻ろう」

真夜中、モンスターの襲撃を受け、合流した家族や護衛は皆殺しとなり、コールダーとサマンサだげが生き残る。二人は壁に到着する。「こんなデカい物初めてみた」「七不思議みたい。もっと感激するかと思った。なんか泣けるけど。うれし涙か悲しい涙か微妙ね」「アメリカは外からだと違って見える。すぐ外から眺めてるだけなのに。家に帰れば全て忘れて、明日にはそれぞれの生活に戻る。小ぎれいな郊外の家にでも暮らし、ここでのことは単なる過去に」

息子に会えると言ってもたまにだと言うコールダー。「どうして」「ケイティが結婚したから」「父親はあなただわ」「息子は知らない」「イヤじゃない?」「トミーを混乱させたくない」壁の中にある合衆国国土安全保障局の事務所に行く二人。「誰もいない?」廃墟と化した集落を歩く二人。「何があったの」「さあな。空爆があったみたいだ」「家はあるのに住んでいる人は?がれきの下?」「もしいたら臭うはずだ」

緊急通報センターに電話するコールダー。「今、避難区域にいる。場所はハイウェイ73にぶつかる農道2777の近くだ」「怪我人は?」「いない。軽く脱水症状になっているだけだ」「では名前を」「男はアンドリュー・コールダー。女はサマンサ・ウィンデン」「陸軍のパトロール部隊が救助します。そこにいてください」

明日は何をするとサマンサに聞くコールダー。「さあね。あなたは?」「さあな。俺は電話をかける。君も水いらずでどうぞ」トミーに電話するコールダー。「お前に会いたい。今度会いに行く」ジョンに電話するサマンサ。「来なくていいわ。軍が来るのよ。意味がないわ。今度会いに行く。私も愛してるわ」

落雷とともにオスとメスのモンスターが現れ、二人の前で交尾をして去っていく。「これで終わり」「帰りたくない」キスを交わすコールダーとサマンサ。そこに到着するパトロール部隊。「男女各1名を救助する」二人はパトロールカーに乗せられるが、モンスターに襲われるのであった。

★ロロモ映画評

(6年前、NASAは太陽系に地球外生命体の存在を確認。探査機はサンプルを採取したが、大気圏突入時にメキシコ上空で大破した。その直後、新種の地球外生命体が出現し、メキシコの半分は危険地帯として隔離された。メキシコ軍と米軍によるモンスターの封じ込めは、現在も難航している)

ということで、この映画はアメリカのためにモンスターに汚染されたメキシコの静かな恨みつらみがベースになっているかに思える映画でありますが、これはメキシコを日本に置き換えたらなんか他人事じゃないなとも思え、日本にこのようなモンスターが現れたら、世界は一致団結してモンスター封じ込め作戦に出ることが予想され、それが島国日本の悲哀なのかとロロモは思ったりもしますが、やはりどことも国境の面してない島国は独特の風土を産むのかとこの映画を見ながら思ったりするわけです。

この映画は1万5千ドルと言う超低予算で作られた映画として有名ですが、こういう映画はその予算にしては面白いと言う評価がされがちでありますが、1万5千ドルで作ろうが100万ドルで作ろうが面白いのは面白いし、面白くないのは面白くないので、1万5千ドルで作った映画が3万ドルの面白さを生み、100万ドルで作った映画が3万ドルの面白さしか生まなかったとしたら、1万5千ドルの映画の方は遥かに価値があるように思いますが、映画の面白さと言う意味では同じ価値であるという冷静な態度が必要ではないかと思うわけです。

ではこの1万5千ドルの映画が何ドルの面白さがあるのかと言うことですが、なかなか何ドルとは言いづらいところはありますが、かなりの面白さがあるのではとロロモは思ったりし、とても1万5千ドルの映画に見えないというどこか格調の高さと言うものを感じるわけです。

基本的にはコールダーとサマンサが話をしながら旅をするだけのストーリーですが、そこにモンスターと言う隠し味を入れながら、恋愛ドラマと怪獣モノをうまくブレンドさせており、この辺の手際のよさが製作者のセンスのよさを感じられ、センスのよさと言うのは値段のつけようのないものだと実感させられるわけです。

でもやはり1万5千ドルの映画ですから、これが100万ドルの面白さを生むと言うことはあり得ず、その辺は最初からある程度面白さの限界があると言う前提で作られている映画なのかなと思い、全然無名な役者を2人しか出ないとか、モンスターの戦うシーンと言った派手なシーンが撮れないとかといった制約の中で精一杯の健闘をしていると言うのは、アマチュアスポーツがいくら頑張ってもプロスポーツにはかなわないと言ったようなものかとロロモは思うわけです。

低予算映画がどんなに頑張っても、高予算映画に勝てない宿命にあるのかとは思いますが、知恵を絞ると言う行為は予算には関係なくできるので、体力を使うスポーツと違って知力を使う映画の世界は低予算映画でも高予算映画に対抗できるのかと思ったりするのでありました。(2015年11月)

得点 67点

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