もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら

2011年 東宝

キャスト:前田敦子(川島みなみ)川口春奈(宮田夕紀)峯岸みなみ(文乃)大泉洋(加地)瀬戸康史(慶一郎)入江甚儀(純)鈴木裕樹(正義)西井幸人(祐之助)池松壮亮(次郎)西田尚美(靖代)石塚英彦(本屋の店員)

監督:田中誠

程久保高校2年生の川島みなみは心臓病で入院した同級生で親友の宮田夕紀の見舞いに行く。外出したいと言う夕紀にダメだと言う母の靖代。「夏合宿すぐでしょう?熱中症で倒れちゃう部員もいるかもしれないから」「夕紀はいなくても大丈夫よ」「私がいないとダメなの」

思ったより元気そうなんで安心したと笑うみなみ。うちのチームは本当はもっと強くなれると言う夕紀。「何かきっかけがあれば、どんどん強くなって。きっと甲子園も夢じゃないんだよ」「……」「信じてないでしょう。毎年1回戦負けの程高野球部がって」「そんなことないよ」「そうだよね。マネージャーなんだからそれくらい思ったっていいよね」

みなみは夕紀の代わりに野球部のマネージャーになることを決意する。部員たちにみなみを紹介する監督の加地。挨拶するみなみ。「私はこの野球部を甲子園に連れていきたいんです」いやあと笑う加地。「気持ちは嬉しいけど、うちの野球部はそういうこと考えないで、野球やってるからね。体を鍛えるためとか、仲間を作るとか、高校時代の思い出を作るとかね」「高校野球をやってるなら甲子園を目指すのあたりまえのことだと思います」「3回戦突破くらいにしといたら」「私、そんな中途半端な気持ちでマネージャーやりに来たんじゃありません」

みなみに聞く正義。「じゃあ、どうやったら俺たちが甲子園に行けるわけ?」「それは、まず真面目に練習して」「今時、根性論?それで甲子園行けたら訳ねえよ」「でも、まず真面目にやることからでしょう。どうして部員全員練習に来てないんですか」「それは、夏の大会が終わったばかりだから。1回戦負けで」「来年の大会はもう始まってます」高校野球を甘く見るなと言うキャプテンの純。「俺たちを甲子園に行かしたいなら、まずマネージャーの仕事を覚えることだ」

本屋に行って、マネージャーの本を探しに行ったみなみは店員に「マネージャーになりたい」と言う。「何か解説書ありませんか」「高校生なのにマネージャーになりたいなんて、偉いですね」「ありがとうございます」「こちらがお勧めです」ドラッカーの「マネジメント 基本と原則」を渡されるみなみ。「この本はマネジメントについて世界で一番読まれた本です。今から30年前のものですが、いまだに売れ続けているロングセラーです」「これを読めば一流のマネージャーになれますか」「それはあなたの努力次第です」

家に帰って、この本は何と叫ぶみなみ。「トップマネージメントの役割り。取締役会。これ、会社経営の本じゃん。私、高校生だよ」しかし<マネージャーの資質>と言う項目を読むみなみ。「マネージャーにできなければならないことは、そのほとんどが教わらなくても学ぶことができる。しかし学ぶことのできない資質。始めから身に着けていなければならない資質が一つだけある。才能ではない。真摯さである。ひたむきさである」ひたむきに野球部のマネージャーをやることを誓うみなみ。

夕紀に質問するみなみ。「野球部の定義って何?」「え」「あらゆる組織において、共通のものの見方、理解、方向づけ、努力を実現するには、我々の事業は何か。何であるべきかを定義することが不可欠である、とドラッカーは言ってるの。だから野球部の定義が必要なの」「そんなの野球をするためじゃないの」「でもドラッカーは違うと言ってるわ。わかりきった答えが正しいことはほとんどない、と」

本屋でドラッカーの本を立ち読みするみなみは正義と出くわす。「ドラッカーの本で野球部のマネージメント?マジかよ」「ドラッカー、詳しいんだ」「これでも企業経営を目指してるんでね」「じゃあさ、野球部の定義って何?」「え」「企業の目的は顧客によって定義されるんだって。でも野球部の顧客って何?」「だから野球部と企業は違うって」違わないと言う本屋の店員。「ドラッカーは言ってます。営利目的を求めない組織にもマネージメントはあてはまるって。だから高校野球をマネージメントしてもいいんです」

高校野球の顧客は何と店員に聞かれ、観客かなと答える正義。「ははは。ドラッカーはこう言ってますよ。わかりきった答えが正しいことはほとんどない、と」「はあ」「高校野球はお金が目的でありませんから、顧客とは高校野球に関わる人と考えるべきでしょう」「それって誰ですか」「保護者。学校。高校野球連盟など高校野球に関わる人全てです。勿論野球部員も含まれます」

考え込むみなみ。「お金が目的じゃないのに、なぜみんな野球をやるんだろう」「好きだからやってるんです」「みんな、高校野球の何が好きなの」「きっと感動じゃないですか」「そうか。野球部のするべきことは感動を与えること。野球部の定義は感動。つまり甲子園に行くこと」そうかと感動する正義。「俺は甲子園に行くぞ」

一番甲子園に行く気のない正義をその気にさせるなんてと喜ぶ夕紀に、次はマーケティングだと言うみなみ。「市場調査。みんなが部に思ってることを聞き出す。でも正義君以外、誰も口をきいてくれない」「そうかな。文乃なんかいい子だよ」「あの子喋るの?」「きっと、みなみと仲良くなると思うよ」「そうかな。じゃあ監督は?」「監督は頭もいいし、技術的にもしっかりしている。ただコミュニケーション下手」「そう」「ねえ。私にならみんな思ってることを正直に言うよ。ここに連れてくれば?」

俺はキャプテンは重荷だと夕紀に言う純。「選手としてのプレーは好きだけど、部員をまとめる器じゃないよ」全然練習に出てないのとショートの祐之助に聞く夕紀。「監督と慶一郎さんがあんなになったのは僕のせいだから」「なぜ」「夏の大会で慶一郎さんがファーボールを連発して監督に交代させられたんです。僕のエラーが原因で、集中力が途切れたと思うんです。そしたら監督はあっさり慶一郎さんを交代させたんです」「本当に祐之助が原因だったの?」「あれ以来、慶一郎さんは監督と口をきいてないから」「二人に悪いと思って練習に来れないんだ」

俺は祐之助を責めてないと言うエースの慶一郎。「ただうまく言えないんだ。試合だって、あいつのエラーをカバーしてやろうと燃えてたんだ。だけどそれが裏目に出て、肩に力が入って。そしたら突然交代させられて」「それを直接加地先生に言ってみない?」「あいつに何を言っても無駄だよ。選手の気持ちなんて全く考えてないんだ」

慶一郎がそんなことを思ってたなんてと夕紀に言う加地。「あいつは祐之助のエラーで気分を害してたから変えてほしいとばかり思っていた」「慶一郎君と話し合ってもらえませんか」「僕が直接?かえってもっとこじらせるんじゃないかな。悪いけど、君が言ってくれないかな」

秋季大会1回戦で程久保高校は1対1の同点で9回裏を迎え、祐之助はトンネルをしてサヨナラのランナーを出してしまう。それから急にボールを連発する慶一郎。あいつはわざとファーボールを出しているわけじゃないとみなみに言う加地。「ファーボールを出したいと言うピッチャーはこの世に一人もいない。でも周りはそう見られない。必ず周りを信頼してと言われるんだ」

慶一郎はファーボールを連発して満塁になる。そのことを皆に話してと加地に頼むみなみ。「どうして」「慶一郎君はとても苦しんでいると思うんです。そのことを伝えればもっと落ち着いて投げられると思うんです」「それは」「監督」「それは得策じゃないよ。今まで何も言ってこなかった俺が。余計混乱させるだけだ」先生と叫ぶ文乃。「私もみなみさんの言うとおりだと思います」押し出しで程久保高校はサヨナラ負けを喫する。

もう先生のことが信頼できないと言う文乃に違うと言うみなみ。「先生をマネージメントできないのはマネージャーである私たちの責任。ミーティングでみんなに話してみる」ミーティングで今日はいい試合だったと言う加地。「今日の試合でいくつかの反省点が見つかったと思う。それを踏まえて来年の夏は頑張ろう。以上」

俺は慶一郎の球を取るのはいやだと言うキャッチャーの次郎。「エラーなんて誰にでもある。祐之助は今回が二度目と言うことでわからない気持ちもないけど、それでも俺はわざとファーボール出すなんて絶対に許せない」俺もそう思うと言う純と正義。違うと叫ぶみなみ。

そんなピッチャーはいないんだと怒鳴る加地。「ファーボールを出したくて出すようなピッチャーはいないんだ。慶一郎は祐之助のエラーをカバーしようと思って一生懸命だったんだよ。それは誰も責められない。責められるとしたら監督だ。俺がしっかりしてなかったからだ。慶一郎、済まなかった。みんな、済まなかった」

加地の一言でチームは一丸となり、真面目に練習に取り組むようになる。野球部は新しい練習方法としてチーム制を導入すると言う文乃。「ランニング練習ではただ走るのではなくタイムを比べます。チームとしての順位を出します。そうすることで各自の責任感を期待します」満足するみなみ。(夕紀は言った。このチームはきっかけさえあれば強くなると。ドラッカーは教えてくれた。人は最大の資産である、と)

秋が終わり、冬が過ぎ、春になり、うちのチームは強くなりましたと文乃に言うみなみ。「この調子ならきっと」「夏の大会のベスト16くらいに行く。でも甲子園に出場するレベルにはなれない」「ではどうすれば」「野球部でなく、高校野球の方を変えてしまう」「イノベーション。革新ですか」「イノベーションは組織の外にもたらす力なの。古い常識を打ち破り、新しい高校野球を打ち出し、高校野球界の常識を変える」「どうやって」「専門家に聞きにいきましょう」

古い常識とは送りバントとボール球を打たせる投球だと言う加地。「現代野球は打高投低なのに、バントはみすみすアウトにとられる。失敗した時のリスクも大きい。ボール球を打たせる投球はピッチャーの成長を妨げ、ひ弱にするだけだ。いいか、今までだって常識を打ち破る人はいたんだ」「……」

「池田高校の蔦監督は守りの野球を変え、高校野球に攻撃野球と言う新しい常識を打ち立てた。取手二高を率いた木内監督はそれまでの管理野球の常識を打ち破り、心の野球を売り出し、あの桑田・清原のいたPLを破った。あの二人は僕にとって憧れの存在だ」「だったら先生が三人目になりませんか」「え」「送りバントをやめ、ボール球を投げさせない投球術で高校野球は変わるかもしれません」

ノーバンドノーボール作戦を実行すると選手たちに伝える文乃。「夏の大会までもう時間がありません。これからの練習は何かを捨て、何かに集中する必要があります」攻撃のポイントはストライクとボールを見極めると言うことだと言う加地。「初歩中の初歩だが、これに集中する。そのかわり送りバントが一切しない。みんな、ストライクを打って打って打ちまくれ。ノーボール作戦は全球ストライクを投げる作戦だ。当然打ち返され、守備の負担も少なくなる。エラーもするだろう。しかしそれで守備が消極的になってはいけない。これからは前進守備で練習する。ピッチャーがボールを投げないためには柔軟かつ強靭な足腰が必要だ」

野球部は何故あんなに練習するのとみなみに聞く女子陸上部のキャプテン。組織の外に与える変化と影響だとみなみに言う正義。「まさにイノベーションじゃないか」「そうか」(陸上部と野球部の合同練習は双方に利益をもたらした。陸上部は野球部に走り方の指導をし、野球部は陸上部に刺激を受けた。家庭部は栄養のある料理を野球部に食べさせ、栄養価についての研究をした。吹奏楽部とチアリーディング部には難易度の高い応援を依頼し、双方の部員が奮い立つようにした)

夏の大会一週間前になり、純がキャプテンをやめることになったと言う加地。「純にはプレーに集中してもらうことになった。代わりのキャプテンは正義にやってもらう」いい作戦があるのと祐之助に教える夕紀。「わざとボール球を空振りするのよ。するとピッチャーは油断して」そこに現れたみなみを見てどぎまぎして去っていく祐之助。にやにや笑うみなみに変な目で見ちゃダメだよと言う夕紀。「祐之助。夕紀のこと好きなんじゃないの」「そんなわけないよ」

野球部は甲子園に行く予感がすると夕紀に言うみなみ。「だから夕紀もそれまでに外出できるようになるといいね」「そうね。でもね、もし野球部が甲子園に行けなくてもそれでもいいと思ってるんだ」「どういう意味?」「大切なのは結果ではないと思ってるの。それより甲子園に行くためにみんなが一丸となった過程の方が大事だと思う」「夕紀の言うことはわかるわ。でも私は野球部のマネージャーとして結果を大切にしたいの。私はマネージャーとして野球部に成果をあげさせる責任がある」「そうか。そうだよね」

夏の大会が開幕し、程久保高校のノーバンドノーボール作戦は功を奏し、ベスト4進出を決める。準決勝で1点をリードした程久保高校は9回裏、祐之助の連続エラーで大ピンチを迎えるが、なんとか逃げ切って決勝進出を決める。明日の決勝戦は祐之助をスタメンから外した方がいいと思うと言う正義。「決勝は準決勝以上の緊張が強いられます。祐之助が再びエラーをする可能性は高いです」

私は使うべきだと思うと言うみなみ。「去年の秋、慶一郎君がストライクが入らなくなって負けた時、彼を変えていたら、今の慶一郎君はなかったんじゃないかって。あの時の悔しい気持ちが彼を育てたんじゃないかって。だから祐之助君も変えたくないの」「みなみはいつも過程じゃなくて結果だと言ったじゃないか。俺たちは3年だ。この夏が最後なんだよ」「たとえ負けることになっても、来年の彼の成長を信じることが、程高野球部のためにマネジメントのすることだと思う」わかったと言う加地。「そもそも祐之助のエラーがないと、このチームの団結はなかったんだ。祐之助は明日も使う」

夜になり夕紀が危篤になったと言う知らせがみなみたちに知らされる。病院にかけつけたみなみたちに一言ずつ別れの言葉をと頼む靖代。「もう意識はないんだけど、耳だけは聞こえるそうだから」「おばさん」「夕紀は今夜か明日にもと言われたわ。それでみんなに来てもらったのよ」「嘘でしょう。こないだあんなに元気だったのに」「……」「嘘でしょう。決勝まで来たんだよ」

許してとみなみに言う靖代。「去年、入院した時、夕紀はもう助からないだろうと言われたの。それをみなみちゃんには言えなくて」「え」「だけど、夕紀はそれから頑張って一年も生きてくれたの。生かしてくれたのはあなたなの。だけどもう限界なの」「私、夕紀にとんでもないことを言った。大切なのはプロセスではなく結果だと。私、なんてこと言ったんだろう」

今日は決勝戦だと言う加地。「みんなが最大の目標として一年間頑張ってきた大切な日です。その日に最も大切な人が亡くなりました。みんなで今日何をすべきかはみんなが一番よく分かってると思う。彼女のために頑張ろう」意味ないよと怒鳴るみなみ。「夕紀はもう死んだ。彼女のために戦っても意味がない。この一年は何もかも無駄だった。私のために夕紀は無理に一年間戦わされた。経過より結果が大事だなんて」

パニックになって走り出すみなみ。私が行きますと言って追いかける文乃。俺たちは球場に行こうと言う正義。「俺たちには決勝戦が待っているんだ」転倒して気を失うみなみはドラッカーの幻を見る。

「君はもうわかってるはずだね。今何をすべきか」「はい」「答えは?」「逃げないことです。夕紀のおかげでマネージャーをやらせてもらって、いろんなことを学んで。だからもう逃げません」「それが君の求めているもの」「真摯さです」みなみを起こす文乃。「みなみさん、逃げてはだめです。一緒に球場に行きましょう」

決勝戦は9回表を終わって、程久保高校は1対2とリードされる。しかし9回2死、純はセーフティバンドを試み、相手のエラーを誘って二塁まで進塁する。続く次郎か敬遠され、2死一、二塁で打順は祐之助となる。祐之助は初球のボール球をわざと空振りすると、二球目の甘い球を「夕紀さん」と叫びながらジャストミートする。打球は左中間を破り、二者が生還し、程久保高校は見事に逆転サヨナラ勝ちで甲子園出場を決める。文乃と抱き合いながらうれし泣きするみなみなのであった。

★ロロモ映画評

程久保高校2年生の川島みなみは心臓病で入院した同級生で親友の宮田夕紀の見舞いに行く。外出したいと言う夕紀にダメだと言う母の靖代。「夏合宿すぐでしょう?熱中症で倒れちゃう部員もいるかもしれないから」「夕紀はいなくても大丈夫よ」「私がいないとダメなの」思ったより元気そうなんで安心したと笑うみなみ。うちのチームは本当はもっと強くなれると言う夕紀。「何かきっかけがあれば、どんどん強くなって。きっと甲子園も夢じゃないんだよ」「……」「信じてないでしょう。毎年1回戦負けの程高野球部がって」「そんなことないよ」「そうだよね。マネージャーなんだからそれくらい思ったっていいよね」

みなみは夕紀の代わりに野球部のマネージャーになることを決意する。部員たちにみなみを紹介する監督の加地。挨拶するみなみ。「私はこの野球部を甲子園に連れていきたいんです」いやあと笑う加地。「気持ちは嬉しいけど、うちの野球部はそういうこと考えないで、野球やってるからね。体を鍛えるためとか、仲間を作るとか、高校時代の思い出を作るとかね」「高校野球をやってるなら甲子園を目指すのあたりまえのことだと思います」「3回戦突破くらいにしといたら」「私、そんな中途半端な気持ちでマネージャーやりに来たんじゃありません」高校野球を甘く見るなと言うキャプテンの純。「俺たちを甲子園に行かしたいなら、まずマネージャーの仕事を覚えることだ」

みなみはマネージャーの仕事を学ぶために本を買おうと思って、ドラッカーの「マネジメント」の本を買ってしまい、この本に従って野球部をマネジメントしていきますが、経営学の本で野球を分析しようと言う発想はなかなか優れているとロロモは感心し、定義づけやマーケティングやイノベーションと言った流れはなるほどと納得し、これが高校野球を強くするためにどの程度実際に役立っているのかと言う点では疑問がありますが、着眼点はいいかなと思うわけです。

ここで大事なのが経過を重視するのか結果を重視するのかと言うことで、映画は野球部は甲子園に行くと言う最高の結果を残していますが、主人公の友人が死んでしまうと言う最悪の結果も提示しており、結局経過の方が大事と言うことを言いたいのかと思いますが、一つだけ言えることはいい経過なしでいい結果はありえないと言うことでありまして、そういう意味では真摯な態度でいい結果を求める経過が絶対に必要であることをこの映画は教えてくれるわけです。

ロロモは当然野球が好きなのですが、その大きな理由として頭を使う要素が多いからではないかと思い、野球はサッカーの100倍知的なスポーツであると信じており、それをマネジメントする監督は天才である必要がありますが、プロ野球の監督は名選手と相場が決まっており、確かに彼らはプレーヤーとしては天才ですが、マネジメントとしては天才なのかと疑問に思うことが多々あり、野球の監督はもしかしたら必ずしも選手じゃなくてもなれるのではないかと思ったりするわけです。

アメリカで野球と並んで人気の高いのはアメリカフットボールで、こちらも相当頭を使うスポーツでありますが、ニューイングランド・ペイトリオッツを4度にスーパーボールチャンピオンに導いた名ヘッドコーチとして知られるビル・ベリチックは大学卒業後にすぐ指導者の道に入り、一度もプロでやったことがないのにその指導力は高く評価されていて、アメフトのコーチとはかように別に名選手でなくてもよく、それだけアメフトは野球より頭を使うと言うことなのかもしれませんが、ロロモは野球もアメフトに負けてないと頭脳スポーツだと思うので、野球界にもベリチックのように大学卒業後にすぐ指導者の道に入るような人物が現れてほしいと思うわけです。

そしてドラッカーのイノベーション理論に従って野球部は高校野球革命を起こしますが、「古い常識とは送りバントとボール球を打たせる投球だ。現代野球は打高投低なのに、バントはみすみすアウトにとられる。失敗した時のリスクも大きい。ボール球を打たせる投球はピッチャーの成長を妨げ、ひ弱にするだけだ。いいか、今までだって常識を打ち破る人はいたんだ。池田高校の蔦監督は守りの野球を変え、高校野球に攻撃野球と言う新しい常識を打ち立てた。取手二高を率いた木内監督はそれまでの管理野球の常識を打ち破り、心の野球を売り出し、あの桑田・清原のいたPLを破った。あの二人は僕にとって憧れの存在だ」と加地が言うところがロロモがこの映画で一番気に入ったところで、こういうセリフを聞くと野球ファンのほっぺが落ちそうになるわけです。

そして加地監督の唱えた「ノーバンドノーボール作戦」が果たしてイノベーションに値する作戦なのか検証しなくてはなりませんが、ノーバンドの方はそれに近い作戦で甲子園に出るチームはいて、蔦監督の池田高校はそれに近く、これはイノベーションに当たらないかと思うわけです。

問題はノーボールでありまして、確かにロロモはツーストライクノーボールからアウトコースに一球はずすと言う意味がどうもわからなくて、あれは単に投手を疲れさせるだけで、ツーストライクノーボールから打たれると監督に怒られるから外しているようにも思えるので、常に打者と勝負するノーボール作戦は意味があるかと思うので、是非どこかの高校がこの戦術で甲子園に出場してほしいものだと思うのでありました。(2015年9月)

得点 83点

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