目撃

1997年 アメリカ

キャスト:クリント・イーストウッド(ルーサー)ジーン・ハックマン(アラン)エド・ハリス(セス)ローラ・リニー(ケイト)スコット・グレン(ビル)デニス・ヘイスバート(ティム)ジュディ・デイビス(グローリア)E・G・マーシャル(サリバン)メロラ・ハーディン(クリスティ)ペニー・ジョンソン(ローラ)

監督:クリント・イーストウッド

宝石泥棒のルーサーは大富豪のサリバンの家に押し入って宝石を物色するが、そこに酔っぱらった大統領のアランとサリバンの妻のクリスティが現れる。「いい家だな」「主人はいないわ。風邪をひいたって言ったの」アランとクリスティはSMごっこを楽しむが、エキサイトしたアランに身の危険を感じたクリスティはペーパーナイフでアランの右腕を刺す。「こいつめ。俺を刺したな」「殺してやる」「やめろ」

ナイフを振りかざすクリスティを射殺する大統領警護官のビルとティム。どうしたのと驚く大統領補佐官のグローリア。「とんでもないことを」警察を呼ぼうと言うビルにそれはダメよと言うグローリア。「こうしましょう。クリスティが一人で家に戻ったら泥棒に出会った」「……」「証拠を消して」黙々と証拠隠滅をするビルとティム。クリスティはどうしたと言うアランに問題ありませんと言うグローリア。「いつものように私が後始末を」

アランたちはサリバンの家を去ろうとするが、大変だわとグローリアはビルに囁く。「ナイフがないわ」「寝室だ」ビルとティムは二階の寝室に向かうが、ルーサーはナイフと宝石を持って、二階の窓からロープを使って脱出し、車で逃走する。ナイフには指紋もついているわと呟くグローリア。「早くあの男を捕まえないと大変なことになるわ」やつは泥棒だと言うビル。「そして殺しを見た。俺があいつなら必死で逃げ回る」

ジョギングをする娘のケイトの前に現れるルーサー。「実は暖かいところに移住しようと。それで娘のお前に相談しようと思ってね」「何が娘よ。小学生の時から刑務所の面会に通わされて」「引越せばもう会えない」「どうせ逢わないわ。ママが死んで一年ぶりよ」「……」「今まで好きに生きてきたでしょう。一度もそばにいなかった。それで結構よ」「……」「また泥棒をしたの?」「……」

事件を担当した警部のセスにこの泥棒は偉いわと言う部下のローラ。「指紋が何一つないわ」「本当か。サリバン氏は?」「使用人もみんな一緒にカリブに行ってるわ」サリバンと会うセス。「カリブに行かれたのですか」「毎年、家の者全員で行く」「奥さんは?」「風邪をひいて行かなかった」「……」「前の女房とは47年間一緒だった。女房が死んでもう哀しみはお断りだと思った。若いクリスティなら先には死ぬまいと」「……」

副大統領のヘンリーにとてもショックだと言うアラン。「最愛の友も救えないとは。サリバンの力で私は大統領になった。彼の苦しい時に何の力もなれない。記者会見を開く。世界中の人達の前でサリバンを抱きしめる」本気で記者会見をと聞くグローリアに勿論だと答えるアラン。「サリバンは父親も同様だ。我々の捜査は?」「車のナンバーを調べました。警察の押収車を盗んだのです」「抜け目のない奴だ。奴から連絡は?」「ビルはきっとないと」「だろうな。もう奴の事は忘れよう」「そうはいきません。彼は見ています」「泥棒の言うことなど誰が信じる。それに奴は何も証拠を持っていない」「……」

新聞を読んだケイトはクリスティ殺しの犯人として宝石泥棒が手配されたことを知る。なぜ泥棒は首を絞めたのとセスに聞くローラ。「それから射殺するなんて妙な話だわ」「クリスティは酒に酔っていた。誰かが彼女を車で家まで送っている。だが名乗ってこない」「多分、その人間が殺したのよ」「壁の弾はなかった。頭に一発残して、壁のは持ち帰った」「違う弾だったってこと?」「銃が二丁ってことは泥棒も二人。押し入って二人とも窓から逃げた?なぜ窓から逃げる必要がある」

セスと会うビル。「何か用か」「捜査は大変だろ。大統領が関心を持っている。何か協力を」「なぜ」「大統領はサリバンととても親しい。何かわかったら連絡してほしい」ルーサーの資料をローラに見せるセス。「徹夜で考えた。泥棒は二人と言ったが、実は二人ではなくて、一人が二人に見せかけているかも。それでFBIに調べてもらった。あれだけの手口をやれるのは6人しかいない。そのうち、ルーサーだけがここに住んでいる」「犯人はこの男よ。土地勘がある。絶対だわ」「問題がある。奴は大泥棒だが殺しはしない」

事件のことは知ってるかとルーサーに聞くセス。「知ってる。鮮やかな手口だ」「あれだけの犯行は数人しかできない。リストにあんたもいる」「身に余る光栄だ」「プロの意見としてどんな奴が犯人だと思う」「忍耐強い男だ。テレビで見たが、あれはでかい屋敷だ。誰かが設計した。図書館に行き記録を調べ設計事務所を探してそこに押し入る。設計図をコピーして朝までに戻す。それから建設会社や警備会社にも行く」「なぜそんな面倒を」「大きな金庫室は必ず入る秘訣がある。犯人は孤独でマニアックな奴だ」「あなたみたいな」

ルーサーは偽造パスポートで国外逃亡を図ろうとするが、アランの記者会見のテレビ中継を見てしまう。「私は彼に出会って大統領になった。奥さんは風邪を引かなければあなたとカリブにいただろう。あなたは父も同然だ」サリバンを抱きしめるアランを見て、人でなしめと呟くルーサー。「お前からは逃げんぞ」

変装してホワイトハウスの見学ツアーに参加したルーサーは、ナイフの写真の入ったグローリアあての封筒を机の上に置く。あの男が来たのよとビルとティムに言うグローリア。「いい度胸だな。仲間にしたいな」「そんな募集はしてないわ。どうするか考えるのよ」「ナイフはどじった」「ビル。それは私を責めてるの」「あの時警察を呼ぶべきだった。あなたに従って後悔している」「どうすれば」「ほっとけ。奴は警察を甘くみている。セスが必ず逮捕する」そのあとに俺が殺すと言うティム。

ケイトと会うセス。「タフな検事と聞いていたが」「そうは見えない?」「まあね」「電話で言ったけど、父とは関係ないわ。時間の無駄よ」「お父上が消えた。協力を」「私、あの人を知らないわ。子供のころは刑務所で出てきても別居だった」「最後に会ったのは」「三日前ね。ここを出るとか言ってたわ」

ケイトをルーサーの隠れ家に連れて行くセス。「こんなところにあるとは知らなかったわ」「やっと調べた」家の中に自分の写真がたくさん飾られていることを知るケイト。「父はいつも私を見守ってたのね」「彼を捕まえる協力を。彼の留守電に「心配している」と。この事件は彼が危険だ。彼を助けるんだ」「父は殺しはしないわ」「彼は無実かもしれん。だったらすぐ釈放する」

留守電にメッセージを入れたらすぐに返事があったわとセスに連絡するケイト。「明日の午後会うわ」「どこで」「オフィスのそばのカフェ・アロンゾよ」「何時に」「4時よ」セスの電話を盗聴するビルとティム。カフェ・アロンゾで待つケイトの前に現れるルーサー。「ケイト。私は殺してない」ティムはルーサーを狙撃するが、目に光が入ったために失敗する。すぐに逃走するルーサー。どういうことなのと聞くケイトにわからんと答えるセス。「撃ったのは我々じゃない」

ケイトのアパートに現れるルーサー。「なぜ来たの」「誤解を解きに来た」クリスティが殺された一部始終をケイトに語るルーサー。「無実なら警察に行くべきよ」「警察が大統領より私を信じるか」「私に信じろと」「嘘じゃない。死んだ母さんに誓う」「お父さんは殺されるわ。逃げて」「その気で空港まで行ったが、記者会見を見た。大統領め、サリバンを利用して。あの時、彼女を救うべきだった」「どうするの」「なんとかしてやる。去年、お前の法廷を見た。お母さんの頭のいいところを受け継いだな」「外は危険よ」「いつだって危険さ」

グローリアにアランの名をかたって、クリスティのネックレスをプレゼントするルーサー。「大統領。ありがとう、今日これを受け取ったわ」「どういうことだ」「素敵なプレゼント。感動したわ」「よく似合うよ。そのネックレスは死んだクリスティが着けていた」「実はこれが初めてじゃないの。昨日はナイフの写真を送ってきたわ」

それを送ったのはルーサーですとアランに言うビル。「追ってるのか」「昼夜をたがわず」「ほっておけんものがもう一つある。娘がいるな」「まさか彼女を」「彼女は検事だ。検事は質問する。彼女もきっと知っている」「……」「すぐにやれ。国のためだ」

車に乗ったケイトはティムに崖から突き落されが、なんとか一命をとりとめる。入院したケイトを医師に変装したティムは殺そうとするが、ルーサーに殺される。「娘の命を狙ったのは許せない」サリバンと会い、クリスティが殺された一部始終を語るルーサー。「信じられん」「残念だが真実だ」「確かにアランの女あさりの噂は聞いていたが。私を裏切るとは。わしが大統領にした」「記者会見であんたを抱いて、彼女は風邪を引いたと言ったな。なぜそのことを知っている」「……」「私は彼がそう言ったのを聞いた」「証拠があるか」ペーパーナイフをサリバンに渡すルーサー。「血も指紋も私のものじゃない」

<心からお詫びを>と言うメモを残して拳銃自殺するビル。アランをペーパーナイフで刺し殺すサリバン。セスに逮捕されるグローリア。大統領はどうして自ら命を絶ったのですかと記者から質問を受けるサリバン。「彼は最近、特に仕事のプレッシャーを感じてました」「なぜナイフで自殺を」「それは全くの謎だ。勿論私は止めた。アランは息子同然だ」ルーサーはケイトにきっとよくなるさとほほ笑むのであった。

★ロロモ映画評 

宝石泥棒のルーサー(クリント・イーストウッド)は大富豪のサリバンの家に押し入って宝石を物色するが、そこに酔っぱらった大統領のアランとサリバンの妻のクリスティが現れる。「いい家だな」「主人はいないわ。風邪をひいたって言ったの」アランとクリスティはSMごっこを楽しむが、エキサイトしたアランに身の危険を感じたクリスティはペーパーナイフでアランの右腕を刺す。「こいつめ。俺を刺したな」「殺してやる」「やめろ」

ナイフを振りかざすクリスティを射殺する大統領警護官のビルとティム。どうしたのと驚く大統領補佐官のグローリア。「とんでもないことを」警察を呼ぼうと言うビルにそれはダメよと言うグローリア。「こうしましょう。クリスティが一人で家に戻ったら泥棒に出会った」「……」「証拠を消して」黙々と証拠隠滅をするビルとティム。クリスティはどうしたと言うアランに問題ありませんと言うグローリア。「いつものように私が後始末を」

アランたちはサリバンの家を去ろうとするが、大変だわとグローリアはビルに囁く。「ナイフがないわ」「寝室だ」ビルとティムは二階の寝室に向かうが、ルーサーはナイフと宝石を持って、二階の窓からロープを使って脱出し、車で逃走する。ナイフには指紋もついているわと呟くグローリア。「早くあの男を捕まえないと大変なことになるわ」やつは泥棒だと言うビル。「そして殺しを見た。俺があいつなら必死で逃げ回る」

こうして大統領の恥部を目撃してしまったルーサーは娘との確執に悩みながらも大統領をあの世に送ることに成功しますが、どうもこの映画は真面目に作っていると言うよりもかなりリラックスして作っているようでありまして、ルーサーはナイフを持たずにこっそり逃げれば何の問題もなかったはずなのにわざわざナイフを持って逃げたために命を狙われる破目になり、どうもその辺の設定の甘さが気になるわけです。

そして義賊であるはずのルーサーがいくら愛する娘を狙われたからと言う理由でティムをあっさり殺してしまうのもなんだか納得いかず、また直接は手を下していないもののアランも殺してしまったのと同様で、どうもすっきりしないところが多いのですが、とにかくこの映画はアメリカを代表する大統領がとんでもないゲス野郎だと言うギャップを楽しめばいいと言う映画なのかもしれないと思ったりもするわけです。

この映画が公開された当時のアメリカ大統領はビル・クリントンでありますが、クリントンと言えばモニカ・ルインスキーとの不倫スキャンダルが有名で、ホワイトハウス実習生となったモニカはクリントン大統領から「私と関係があったことは裁判で言わないでくれ」と念押されて困り、電話で同僚に相談しますが、話を聞いてしまった同僚は裁判で自分までもが偽証することを拒否し、モニカとの電話内容をテープで公表します。

こうして、クリントン大統領との「不適切な肉体的関係」不倫騒動が世界のトップニュースとなり、モニカ・ルインスキーは一躍有名人となります。その後モニカが「大統領の精液がついた青いドレス」の存在を明らかにし、クリントンはDNA鑑定を受けることになります。そして「精液が別人のものである確率は、欧米人で7兆8700万人に1人」という結果が出たため、1998年8月18日、クリント大統領は法廷証言とテレビ演説で「不適切な関係」を認め、事態は前代未聞のスキャンダルに発展。しかし下院は大統領弾劾訴追したものの、上院が無罪の評決を下し、この事件に幕がひかれたわけです。

このスキャンダルがこの映画にどれだけ影響を与えているのか知りませんが、日本の総理大臣がこんなスキャンダルを起こせばすぐに辞任に追い込まれることは間違いありませんが、クリントンはその後も大統領を続け、そのへんがアメリカのいいところなのか悪いところなのか何だかわかりませんが、「上半身と下半身の人格は別物じゃ」と言う大岡裁きにクリントンは救われたわけです。

クリントンはこの映画の大統領のようなゲス野郎ではないとロロモは信じたいところですが、結局この映画での大統領は暗殺されましたが、アメリカ大統領で暗殺されたと言えば、リンカーンとケネディは有名でありますが、あと二人ほど暗殺された大統領がいて、1881年7月2日にジェームズ・ガーフィールド大統領がチャールズ・J・ギトーに銃で撃たれ、9月19日に死亡。また 1901年9月6日にウィリアム・マッキンリー大統領がレオン・チョルゴッシュに銃で撃たれ、9月14日に死亡。ただよほどのアメリカ史に詳しい人でないと、この2人が暗殺されたことは知らないので、ロロモはなんだかこの2人の大統領に同情してしまうのでありました。(2014年6月)

得点 44点

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